とある看護師の迷宮組曲

とある救命看護師。迷宮を彷徨い、雑記を綴ります。
管理者:T-okayama、TakoShun

カフェモカの恋物語

2007年06月01日 21時30分11秒 | 記憶の彼方
小中学校時代、仲の良かった同級生M子は喫茶店の娘だった。
その喫茶店は商店街の中にあり、昼間は奥様方、夜は飲み屋をはしごしてきたサラリーマンも入っていた。
中には中学の先生が出没することもあった。

さすがに小学生の頃は子供だけで単独でお店に入ることはなかったが、
中学生にもなるとガキのクセに学校帰りに寄ったりすることもあった。
さらに生意気なことにボンゴレとか頼んだり。。。
普通にM子と遊ぶときはよくお店に集合して遊びに行ったりした。

中学3年のときだった。
ワタシは当時英語と数学の塾に通っていた。
塾といっても先生が自宅の一室で開いているようなもので、
基本週2回2時間、時間も融通が利いた。
思えば小学校4年から高校3年までその先生のところ以外に塾や予備校の経験はない。

その先生のところから帰るとき、基本は住宅街を抜けて行くのが近いのだが
ワタシはいつも同じ道だと飽きてしまうので商店街経由で帰ることもあった。
ある日の帰り、もう夜になっていたが喫茶店の前に差し掛かると
M子と当時わたしの好きだったN美ちゃんが二人でお店の前にいるではないか。
これはチャンスと思い声をかけるとお店でコーヒーでもって話になった。

M子が「ウィンナーコーヒーでも入れようか?」なんて言っている。
ワタシはウィンナーコーヒーなんて洒落たもの飲んだことなかったのだが、
ちょっと見栄はって「あ、たまにはいいね」なんて言いながら席に着く。

N美ちゃんはもう帰ろうとしていたらしく、何も飲まないみたいだった。
3人で学校のこととかありふれたことを話して、帰ることに。
N美ちゃんとM子は二人で家に帰るという。
M子の自宅はお店からは駅を挟んで反対側、N美ちゃん家もそっちのほうだった。
ワタシの家は商店街を反対に抜けてすぐのところ。
お店の前でバイバイとなる。

この展開でM子が邪魔なんてワタシは思わなかった。
実を言えば恋多きワタシの少年時代、小学校の頃にはM子のことが好きだったこともあった。
だからかどうかは分からないが、N美ちゃんと二人になれなくても、
一緒にお茶が出来たという事実、そしてこれからもこんな展開がある予感がして、
少なくとも他のライバルよりは一歩抜きに出ているのは明らかだった。
まーライバルがいたかどうかは分からないのだが。

真冬の寒空の中、ウィンナーコーヒーで温められた口から白い息が出る。
明日も元気に学校に行けそうだ。
今夜はトゥナイト(注*)でも見てしまおうか。
そんな気持ちで家路についた。

今はもう、その喫茶店はない。
だが、どこかお店に入ってウィンナーコーヒーを見るたびに
3人で話したあのシチュエーションを思い出す。
塾帰りにサ店でおしゃべりなんて、あの頃はずいぶんと背伸びしていたな。


のちにN美ちゃんは小悪魔であることが分かるのだが、それはまた別の話。


注* 当時中学生男子にとって神のような番組であった。