JTDの小窓

川崎市幸区下平間の鍼灸・手技療法『潤天堂』院長のあれこれなつぶやき

全日本鍼灸学会学術大会

2017-06-18 | 講習会・セミナー・勉強会
6月11日(日)全日本鍼灸学会学術大会(会場:東京大学本郷キャンパス)に行ってまいりました。

10日土曜は予約が入ってしまっていたため日曜だけの参加。

聴講したのは以下の症例報告です。


〇末梢性顔面神経麻痺の鍼灸治療開始後に無月経が正常化した1症例
〇鍼灸治療で軽快した月経前症候群の症例
〇月経前症候群に対する自己施灸の効果の検討
〇月経困難症に対する円皮鍼に関する検討ー月経痛を対象としたランダム化比較試験ー
〇治療変更によって、高度生殖医療の採卵成績が変化した1症例
〇40代女性の妊娠に至った2症例
〇不妊鍼灸受療患者の東洋医学的診断(五臓スコア)に特徴はあるのか
〇不妊(症)に対する鍼灸治療ー病態との関連性についてー
〇高度生殖医療不成功41例に対する鍼灸治療による採卵成績の変化
〇不妊症患者に対する中髎穴刺鍼と陰部神経鍼通電の追試結果 第二報
〇鍼治療を併用した胚盤胞移植の検討
〇排尿痛・陰部痛に対する鍼灸治療の一症例 良導絡調整法に陰部神経パルスを併用して
〇男性不妊に対する鍼灸治療の可能性 高度乏精子症・精子無力症を含む2例の報告
〇男性不妊症(乏精子症・精子無力症)患者を対象とした鍼治療効果ーランダム化比較試験(RCT)による検証ー
〇精子運動の改善に中髎穴への骨膜刺激が必要か
〇妊婦のマイナートラブルに対する温灸療法の効果
〇妊娠期特有の愁訴 週数別調査
〇妊娠後期の上肢痺れに対する鍼治療の1症例 クリニック内における鍼灸治療の提供
〇白斑を伴う乳腺炎に鍼灸治療が奏功した一症例
〇分娩時の鍼灸治療により陣痛が促進した2症例
〇4施設による骨盤位に対する鍼灸治療の効果の検討第8報 質問紙を用いた分娩形態別の比較検討


そしてどちらも聴きたい2つのシンポジウムから、より興味のあるこちらを聴講。

あなたは患者さんに触れていますか?
~日本鍼灸の特徴である“触れる”を科学する~
「患者さんに触れる意義」

治療部位としての反応点(ツボ)を探る臨床的意義や、身体接触がもたらす心身の癒し効果(脳内ホルモンオキシトシンのこと、皮膚の触覚線維による生体反応について)など大変興味深い内容のお話を聞くことができました。

なかでも

「触れることで生じる生体反応」桜美林大学リベラルアーツ学群 山口創先生


のお話は私にとって特に興味深いものでした。

ー身体接触がもたらす心身の癒し効果ー

(1)脳内ホルモン『オキシトシン』
オキシトシンは視床下部で産生され、下垂体後葉から血液中に送られ全身に作用を及ぼす。末梢では心拍や血圧を低下させ、ストレスから身体を守る作用を持つ。さらに脳内に分泌されたオキシトシンは、他者との親密な関係や信頼関係を築く役割を果たし、痛みを軽減し、副交感神経を優位にしてストレスによるHPA軸(視床下部ー下垂体ー副腎系)の機能を抑制してリラックスを促す効果を持つ。
最近の研究では鍼灸の刺激によってもオキシトシンが分泌されることがわかってきた(但し、反射的な分泌ではなく心理的要素が重要な役割を果たす)。

(2)皮膚触覚線維による生体反応
C触覚線維の存在。この線維は「秒速5cm程度」のゆっくりした速度にのみ反応し、快の感情を喚起させストレスを癒す効果がある。などなど

(抄録より抜粋)



これから先『AI』が発達しても、温かく心のこもった「人の手で触れる」という診察の良さは、ずっと求められていくのではないかと思っています。


少なくても、私自身が調子を崩したときはそのように診ていただきたいと願うので。






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