五行目の先に

日々の生活の余白に書きとめておきたいこと。

9月13日(火)晴れ(その2)

2011-10-27 00:37:04 | Weblog

 そろそろお腹が空いてきた。この旅行中、昼食はいつもケーキである。「ホーフブルク宮」の前にあるカフェ「グリーンシュタイドル」に入る。メニューを見ながら迷っていると、ウェイトレスさんに急かされる。何だか動きがやけにきびきびしている。

 グリーンシュタイドルトルテとメランジェを注文する。グリーンシュタイドルトルテは、ザッハートルテの甘さを抑えめにした感じ。本当はアンナトルテを食べたかったのだが、こちらは売り切れていた。



  まだ最後まで食べ終わらないうちに先ほどのウェイトレスさんが会計を急かす。どうやら彼女の「上がり」の時間が迫っているらしい。基本的にこちらのカフェ はそれぞれのテーブル担当が付くから、別の人に引き継ぐのがイヤなのだろう。ほどなくして食べ終えて、きちんとチップを渡したら、ようやくにっこりしてく れた。

 ここに至ってようやく市電(トラム)に乗る。ずっと乗りたかったのだが、スケジュールの効率性を重視して、移動時間の短い地下鉄を利用していたのだ。系統番号をしっかりと見極めて乗り込む。



 古いタイプの車両の内部はこんな感じ。簡素な造りだが、しっかりしている。



 僕が乗った路線の終点はループ線になっているので、運転席は前側にしか付いていない。後ろの車両は完全なトレーラーになっている。いったんおみやげを置きにホテルに戻る。ホテル近くまでの59番は、ずいぶんと狭い、結構な傾斜のある道をすいすいと上っていく。

 身軽になって再びリンクへと戻ってきた。ここからリンクを1周するトラムに乗る。観光用のぐるっと1周するものではなく、一般路線を乗り継いで回ることにした。

 リンク周りには素晴らしい建築が建ち並ぶ。まずは「国会議事堂」。車内から撮影するとどうしても写り込みがあってなかなかうまくいかない。「ウィーン市庁舎」とか「ブルク劇場」はきれいに撮れなかった。



 「合同庁舎(旧陸軍省)」。上部の双頭の鷲のレリーフがいかめしい。





 「市立公園」に立ち寄る。緑豊かな公園内には、数々の作曲家の像がある。

 シューベルトの像。



 なかでも有名なのがヨハン・シュトラウスの像。だが行ってみるとこんな具合。シュトラウスがいるべき場所はがらんと空いている。ガイドブックでは今年の春まで修復中とあったが、まだ完了していないようだ。



 でもその代わりにこんなメッセージが掲示されていた(各国語のものが用意されている)。



 再びトラムに乗る。目の前を古いタイプの単車が走っていった。ああ、こんなのにも乗ってみたかったなあ。



 リンクトラムをもう半周乗車する。今度は下車して「国会議事堂」を撮影する。だんだんと日が傾いてきた。



 ショッテントーア/ウニヴェルジテート電停でトラムを乗り換える。ホームからは「ヴォティーフ教会」の2本の尖塔が望める。



 ここでの乗り換えにまごつく。お目当ての系統の電車に乗り換えたいのだが、乗り場がわからない。よくよく案内表示に気をつけながら進んでいくと、エスカレーターを降りろ、とある。降りてみると、そこにはホームがあった。なんと、路面電車の停留所が2層式になっているとは。すごいなあ。

 今宵は「フォルクスオーパー」でオペレッタを観る。格式ある「シュターツオーパー」と比べると、「フォルクスオーパー」は外観からして入りやすそうだ。



 こちらのチケットも予め日本でインターネット予約をしておいた。席に入る直前にチケットをもぎってもらうのは「ライムント劇場」と同じ。3階の一番前の席に座る。隣りに座っていたドイツ人の男性から、「写真を撮るときはフラッシュは焚いちゃだめだよ」といわれた。はなから撮ってはいけないものと思っていて、ただカメラを首から提げていただけなのだが、ということは撮っていいのだな。しっかり注意は守って撮影する。緞帳の古びた感じもいいし、ボックス席があるのもオペラ劇場ならではだ。

 そして、開演直前となると、後方に立っていたお客さんがどどどっ、となだれ込んでくる。空いている席なら立見料金(びっくりするくらい安い)でも座ってかまわないということなのだろう。日本の劇場ではありえない習慣である。



 演目はオペレッタ「ウィーン気質」。入口で買ったパンフレットには、あらすじが日本語でも書かれていたので、おおよそのストーリーは頭に入れておいた。さらに舞台上方には英語の字幕も流れるので、思っていたよりも流れについていける。

 歴史ある作品だけれど、かなり現代風に、というかコミカルに潤色されている。先ほどお会いすることができなかった金色のヨハン・シュトラウス像が登場するし、フランツ・ヨーゼフ1世は、子どもが演じている(公園の大道芸人といった設定なのだろうが)。テレビで有名な俳優さんが出演しているらしく、その人の登場場面では客席からどっと笑いが起きる。

 それでいて、オーケストラの演奏やオペラ歌手たちの歌声は素晴らしい。笑わせるところは笑わせ、聴かせるところは聴かせる、そんなメリハリが効いた舞台だった。ミュージカル好きが、その延長線で観ても存分に楽しめる。こんな肩の凝らない作品は楽しいなあ。



 終演後、真っ直ぐホテルに帰るのは惜しくなって、再び旧市街に出る。さすがに夜はちょっと冷えてきた。温かいものが食べたい。一昨日も訪れたカフェ「モーツァルト」で、アルト・ヴィーナー・ズッペントプフとステーキサンドを食べる。コンソメスープのなかに野菜と細い麺がたっぷりと入っている。小さなクネーデル(肉団子)も入っている。ああ、これでお酒が飲めたら、もっとゆったりと夜を楽しめるのだろうが。

 「シュターツオーパー」の前からトラムに乗る。いよいよ明日でこの旅行も終わりである。まだまだ観たいところがたくさんあって、名残惜しい。だからゆっくり走るトラムに乗って、できる限り風景を目に焼き付けておく。

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