五行目の先に

日々の生活の余白に書きとめておきたいこと。

9月9日(金)曇りのち晴れ

2011-10-24 12:43:36 | 

 6時半起床。ホテルの朝食はバイキング形式。チーズやらソーセージ、ハムやらがとても充実している。コーヒーがおいしい。

 今日が実質的な観光の初日である。外はどんよりと曇っていて、生憎のお天気ではある。ザルツブルク中央駅前の観光案内所でザルツブルクカードを購入。市内の交通機関とほとんどの観光施設が無料(もしくは割引)となるすぐれものだ。

 さっそくOBUSというトロリーバスに乗り込む。2車体連結のバスで、駅前のプラットホームのような停留所から乗る。どの系統に乗るべきかは昨日ガイドさんにレクチャーをしてもらっていた。いざ走り出すとモーターの音がするだけで、普通のバスと比べるとはるかに静かだ。

 降りるべき停留所のところで停車ボタンを押し、降車口に立ったが、ドアは開かない。ん、困った。そのうちにバスはさっさと発車してしまう。次の停留所で降りるべく停車ボタンを押した。ドアの開閉ボタンがどこにあるのか、見つけられないでいたら、見かねた他のお客さんが親切に開閉ボタンを押してくれた。ようやく下車して街歩きを始める。厚い雲の下にホーエンザルツブルク城と旧市街が見える。



 旧市街のなかで最も人通りの多いゲトライデ通りに入る。狭い道の両側が5階建てくらいのアパートなので、少々圧迫感があるが、細かな装飾が楽しい。マクドナルドでさえこんな感じだ。



 この通り沿いにあるモーツァルトの生家を見学する。内部はモーツァルト一家が生活していた当時をできるだけ再現しているようだ。子どものころに使っていたバイオリンや同じく幼い時分に書いた楽譜を見る。



 そのままゲトライデ通りを抜けてモーツァルト広場へ。中心にはモーツァルト像がある。



 朝方は少し冷えるような感じだったが、だんだんと暖かくなってきた。この銅像のほぼ真正面にある「DEMEL」のカフェに入る。こちらのチョコレートは日本でも売っていて、以前いただいて食べたことがある。まだ開店してそれほど経っていないせいか、それほど混んではいない。入口で案内されるのを待っていたが、格別声をかけてくれるわけでもないので、勝手に席に座る。すると店員さんがやってきた。そういうものらしい。

 ザッハートルテとメランジェを注文する。



 ザッハートルテは甘かった。甘いとは聞いていたが、想像以上に甘い。だがメランジェを飲むとこれが案外いい感じだ。何よりコーヒーがおいしいのがうれしい限りだ。ミルク入りのものを飲んでいるが、シュヴァルツァー(ブラック)でももちろんおいしいだろう。

 カフェで一服して外に出ると、いいお天気になってきた。映画「サウンド・オブ・ミュージック」に出てくる噴水を眺める。





 この地への旅を選んだのは、大好きなミュージカル作品「サウンド・オブ・ミュージック」「モーツァルト!」「エリザベート」の舞台を訪ねてみたかったからである。あえてそこに行ってみるというよりは、歩いているとここそこにゆかりの場所があるという感じである。

 広場から大司教の宮殿である「レジデンツ」に進む。何となく宮殿というと複雑なお城のようなものを連想してしまうのだが、こちらの宮殿は外見というか、格好は街中のアパートと同じような四角い建物である。





 だがひとたび足を踏み入れてみると、そこが庶民の世界とは大きく隔絶した場所であることを思い知らされる。こちらは日本語のイヤホンガイドがあって、詳細な解説を聞きながら見学していく。まず一歩進んでみれば、いきなり壮麗なホールだ。



 天井、壁面、床、どこに目をやっても、ひたすら贅沢で華やかだ。ここの主の一人が「モーツァルト!」に登場するコロレド大司教なわけだが、その大司教を演じた、真っ赤な衣装の山口祐一郎さんがこの場所にいることを想像して思わずにんまりする。もちろんこの建物はモーツァルトゆかりの場所でもある。











 「レジデンツ」を出ると、目の前には双塔の大きな教会「ザルツブルク大聖堂」がある。モーツァルトが洗礼を受けた場所である。



 外観もさることながら、内部の装飾の見事さに息を呑む。



 薄暗い中に陽が差してきて、明暗のコントラストが美しさをいっそう引き立たせる。



 教会と教会の間の道を通り抜けて「馬の水飲み場」に行く。こちらも「サウンド・オブ・ミュージック」に登場した場所だ。映画の印象だと少しくすんだような色合いだったような気がするが、実際に見てみると鮮やかな色彩に彩られている。



 この「馬の水飲み場」のほうからゲトライデ通りを眺める。お天気がよくなってきたこともあって、人出が多くなってきた。



 大学前広場にはたくさんの出店が出ていて、こちらも活況を呈している。気温が上がってきて暑い。スーパーでペットボトルの水を買う。つい目と鼻の先の出店とスーパーとでは、同じ銘柄の水がえらく違う。ただスーパーでの買い物はちょっと気ぜわしい。ベルトコンベアに載せた商品の会計をささっと済ませて前後の人に迷惑をかけないように気を遣わなくてはならない。



 「祝祭劇場」に行く。ガイドツアーは1日に数回で、その時間つぶしのために辺りをうろうろしていたのだ。ガイドさんは1人で、まずドイツ語で説明を、次いで同じ内容を英語で話してくれる。

 豪華なロビーを抜けると、メンヒスベルク山の岩盤をくりぬいて作られた劇場だ。「サウンド・オブ・ミュージック」のザルツブルク音楽祭でトラップ一家が合唱を披露した会場である。客席全体を巻き込んだ「エーデルワイス」の合唱は印象的だった。なぜだかやたらと司会役のマックスおじさんの姿が記憶に残っている。



 舞台の上にも上がらせてもらった。客席のほうはすっかり近代的な劇場然としている。

 続いて大劇場へ。こちらは毎年のザルツブルク音楽祭のメイン会場として知られている。





 舞台袖から裏側も見せてもらった。熱心な見学者の方は、ガイドさんにたくさん質問している。これくらいの気合いで見学したいものだ。

 祝祭劇場の見学は思ったよりも時間がかかって、時計的にはすでに夕方である。だがまだ明るい。

 「ザンクト・ペーター教会」へ。こちらは内部もさることながら、われわれにとってはやはり裏手の墓地のほうに惹かれる。





 こちらの墓地は「サウンド・オブ・ミュージック」のなかで、トラップ一家が「祝祭劇場」から逃げ出したときに身を潜めた場所である。



 いよいよザルツブルクのシンボルである、「ホーエンザルツブルク城」に上る。ケーブルカーであっという間に到着する。ものの本によっては、「城」ではなく「要塞」と書かれている。実際の印象も後者に近い感じである。





 こちらは内部の混雑を避けるためか、一定間隔で見学者を入場させているようで、入るまでにしばらく待たされた。日本語ガイドがあって、それを聞きながら進んでいく。案内されるままに上へ上へと上がっていくと、展望台に出る。ここからの眺めは素晴らしい。旧市街から新市街を一望できる。



 もともとは軍事上の要塞としての機能をもつホーエンザルツブルク城ではあるが、豪華なところはしっかり豪華に設えてある。黄金の広間ではコンサートのリハーサルが行われていた。

 再びケーブルカーで下りてくる。ツェントラルと呼ばれる旧市街は、建物と建物の間の小路が複雑に入り組んで迷路のようだ。行き止まりかと思うと、建物の中をくりぬいたような通路(パッサージュ)がある。ちゃんと外に出られるのか心許ないが、ぶらぶら歩きするのは楽しい。



 朝からさんざん歩き通しだったので、いったんホテルに帰ることにした。系統番号1番のObusに乗る。今度は終点のザルツブルク中央駅までの乗車だから、降りる際の心配もない。



 ホテルの部屋に帰ったら、へとへとになってしまった。夕食を食べに再び市街地に戻るのが面倒になって、中央駅のマクドナルドに入る。少し高めの(あくまでマクドナルドにしては、の)セットを注文したら、えらく大きなものが出てきた。それだけにお腹いっぱいになってしまった。

 時差ボケはほとんどない。よく歩いたおかげでよく眠れそうだ。

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