薫さん（勲さん）に火をつけられて、久しぶりにDVDを観る気になりました。
とはいえ、この『酒帘（The Girlie Bar)』(1976)、南宮勲さんは予告篇にはチラリとも
登場していないし、出演といってもチョイ役だろうなあと全く期待していなくて、
どんな役なのかが気になっただけでした。
それに、勲さん目当てなので、他の部分は早送りにしちゃうつもりでしたが（ヒドイね！）、
これがなかなか面白かった。…さすが、ショウブラ！
さて、お話は…
老蓋（野峰）は、早くに妻を亡くし、男手ひとつで三人の娘を育ててきました。
長女の小紅（葛荻華）は、船乗りと結婚し子供をひとりもうけましたが、夫は海の事故で
帰らぬ人に。
次女の小燕（陳萍）は、良家の少爺と付き合っていましたが棄てられ、未婚で一児の母。
三女の小芬（林珍奇）に望みをかけるものの、もともと貧しい出身の老蓋、高利貸しの
龍大姐（すごいイヤなババア！）に借金をしたところ返済できず、経営をまかされた
酒帘（売春宿のようなもの？）で、自分の娘たちに体を売らせることになってしまいます…
長女・葛荻華の常連客が、石天！週に3回も通って来るほど、御執心（笑）
「結婚しようゼ！」
葛荻華も一途な石天を憎からず想っていて、「俺が子供の父親になる！」とまで言う
石天とイイかんじなので、この二人うまくいくと良いなーと思っていたら、なんと石天には
妊娠中の奥さんがいたんです…最低！（怒）
未練タラタラで店に押しかける石天、当然のごとく、酒帘の用心棒・白彪にボコられます…
次女・陳萍は、言い寄る魯俊谷をからかった挙句、口説きに応じません。
…すると、この魯俊谷が実に執念深い男だった！
いやー、でも陳萍さんに、こんなふうに焦らされたら、男はたまらんでしょうね？
うふふふふ！
豊満なイメージでしたが、わりとお胸は小さいですね、陳萍さん。
（いや、ワタクシも人のこと言えませんがね…）
陳萍さん、婀娜っぽくて蓮っ葉なかんじだけど、可愛かったりもするところが好きです。
ふられた魯俊谷、今度は店にやって来て、「一晩分の金を払うから、付き合え！」と
陳萍を連れ出し、仕返しに「服を脱げ！」と要求…案の定（？）レ×プされそうになる
陳萍を助けにやって来たのは白彪！
ここで、白彪＆酒帘のボーイ・啞巴（陳樓） vs 魯俊谷＆手下2名 のバトルが
繰り広げられますが、ちょっと見応えあるファイトシーンですよ。
白彪 vs 魯俊谷
白彪さんはもちろんカッコイイのですが、魯俊谷と陳樓もなかなかステキじゃん。
この魯俊谷と陳樓が、本編の動作設計担当で、調べてみたら、魯俊谷は監督として
ずいぶんたくさんの作品を撮っている方なのですね。
陳樓は、何だか見たことがあるなあと思ったら、勲さんも出ている『生龍活虎小英雄』や
『忠烈精武門』にも出演していた。…こういうことを調べるのって、本当に面白い。
激闘の末、ついに魯俊谷を倒した白彪。秘かに想いを寄せていたのか、助けた陳萍に
「俺と一緒に遠くへ逃げよう！」と言うのですが、陳萍は「所詮は酒帘の女と用心棒、
甘い夢は見ちゃダメよ…」と断ります。…切ないねぇ（涙）！
三女・林珍奇は、偶然出合った良家の少爺・大衛（伍衛國）に見初められ、交際スタート。
林珍奇、モデル出身だとかで超スレンダー。ちょっとカルメン・リーに似てると思う。
ミステリアスな彼女（当然、自分の事は語らないので）に夢中な伍衛國、カナダ留学に
「一緒に来てくれないか？」などと言い出す始末！
しかし、若くてフレッシュな三女は、店の売れっ娘。
野峰は伍衛國に娘の素性を明かし、「連れて行かれたら、店が立ち行きません」と、
訴えます。ショックを受ける伍衛國！ところが、なかなか骨のある少爺だった。
「それでも僕は彼女を愛している。本当の父親として、それで良いのですか？」と。
そんな伍衛國に心を打たれた野峰、「娘を連れて行って、幸せにして下さい。後の事は
なんとかなるでしょう…」
この二人のやりとりを秘かに聞いて、父親の思いを知った林珍奇は、野峰が止めるにも
関わらず、積極的にお客の相手をするようになります…（涙）
そしてある日、葛荻華が売春行為の最中、タンスの中に隠れていた息子の小狗が、
窒息死！ 度重なる不幸に、もう、こんな生活なんて続けられない！と、野峰は
娘たちを自由にしてやろうと決心。
林珍奇には「少爺のもとへ行け」、陳萍には「阿勇（白彪）と一緒になれ」と言います。
ところが！
先日やっつけられた魯俊谷が、白彪に再び挑んできた！しつこいヤツだなあ！
で、またまた始まるバトル！このファイトシーンも手に汗握るかんじ。
今度は2対4なので、苦戦する白彪＆陳樓コンビ。
白彪さんに惚れてしまいそう！
飛ぶ白彪！
そして、うっすらと想像していたとおり、魯俊谷に刺されて死んでしまう白彪！
ああ～（涙）
しかも、自分をコケにした陳萍への仕返しに、酒帘に火を放つ！
店の中の女達やお客が逃げられないように、出入口を開かないようにまでする残虐さ！
こんなことに！
しかし、そんな魯俊谷も、自分が白彪を刺したナイフで、陳樓に殺されるのでした…
酒帘にいた人々は、三姉妹を含めて全員死んでしまった（！）けれども、
野峰と陳萍の赤ちゃんだけは、浴槽に隠れていたおかげで生き残りました。
この赤ちゃんが、これから野峰の唯一の希望になっていくのでしょう…という悲しい劇終。
伍衛國が林珍奇にギターを弾きながら歌う歌や、切ない劇中歌が良いなあと思ったら、
音楽は顧嘉煇でした。納得。
さて、肝心の勲さんなのですが…20年前に別れたきりの恋人を探している男の役。
「この女を知らないか？」
香港を離れているうちに（どうも船乗りのようです）、妊娠していた恋人の居所が
わからなくなってしまったらしく、彼女の写真を手に、いくつものバーを訪ね、
夜の街を彷徨っているのでした…
寂しげな勲さん…！
…飲んだくれて老蓋の酒帘にやって来ました。
「アタシの家に来ない？」
お相手の小露露の誘いで、彼女の部屋へ…小露露は高い料金をせしめられるし、
時間制限が無いので、お互いに好都合なシステムらしいです。
…でも、もう酔っ払っちゃって、ヤル気はなさそう（爆）
小露露の部屋で、なんと探している恋人の写真を見つけた勲さん！
「（驚）！」
「あの写真は、誰？」
…それは、小露露の母親でした。…つまり、小露露は自分の娘だった！
エッチなことはしてないけれど、娘が体を売っていることがショックだったのか、
ひどく動揺して部屋を飛び出す勲さん。
…そして、なんと、自動車にはねられてしまいます！！（驚）
恋人は、彼が戻るのを待つうちに精神に異常を来たしてしまい、まだ小露露が幼い頃に
自殺したのだということを聞かされながら、こと切れる勲さん…（涙）
しかし、このエピソード、小露露が老蓋の店の女の子というだけで、本編とは全く関係が
ありません。こんなロマンティックな役を勲さんにあてるなんて、監督の羅馬と勲さんって、
仲良しだったのかしら？
もう一度、予告篇を観てみたら、はねられるシーンで勲さん、登場していました！
それにしてもショウブラ作品、これまで観てきた中で、ツマラナイと思ったものは
ありません…ただ１作品を除いて！ その最低な作品の監督も羅馬でした…（苦笑）
その作品については、いずれまた…
