鶴岡法斎のブログ

それでも生きてます

小説五回目 ちょっと色っぽいシーンも出てきました

2016-03-14 17:39:06 | 小説(新作)

 そのままビルのなかにある宴会場で始まって。新鮮な牛肉豚肉は貴重品でしたけどこういう場でしたから。すき焼き作りましたよ。例の女は、
「酒は飲めない」って。お茶かなんか飲みながら肉食ってましたね。あれだけ人を殺して、血だの生首だの見ても平気で肉を食えるってのは、まあ才能なんでしょうね。プロの人殺し。
 親分は甲斐さんが殺された直後だったけど、この女を幹部として迎える、とかいってね。どうせ何日かしたら猿の縄張りに放り込んで死ぬと思ってたから適当に相手したんでしょうけど。
 この女が調子に乗ってるっていうか得体が知れない。肉を食いながら親分に話しかける。最初は季節がどうこう、毒にも薬にもならない話していたんだけど突然、シバさんのほうを指差して、
「あの人、男でしょ」って。
 その場の空気が張り詰めたよ。親分のそっちの趣味だってみんなわかってるけど言葉にしてないんだから。でも女はズケズケいうんだよ。
「一回やらして。貸して」
「……」
 親分含めみんな黙っちゃった。すき焼きのグツグツって音だけが聞こえて。でもこの女が何考えてるんだか続けるんだよ。
「お兄ちゃん、こっちに来ておちんちん見せてよ。おちんちん、見たい」
 酒を飲んでもいないのになんだこの女、って。みんないまにもこの女に襲いかかって殺そうってくらいの気分になった時に親分が、
「仕方ない。客人のいうことだ。ちょっといってこい」って。
 シバさん、とてつもなく悲しそうな顔になって。
 それでも命令だから仕方なく女の前に行ったんですよ。そうしたらあの女が、
「ああ、思ったり大きいね。触らして」って弄りだした。
「ほら、勃起してみせてよ。でっかくなったのが見たいから」
 好き勝手いうんだよね。
 でもシバさんも弄られてるからだんだんよくなってくるんでしょうね。みんなが見てる前でむくりむくりと膨らんでくる。
「いいね、いいね。気持ちよくなってね」
 女が囃し立てる。ふざけてるような口調だけど表情は驚くくらい冷たくて。見たことないような色気があって。媚びない色気。商売女ばっかりまわりにいるからってのもあるけどそういうのが珍しくてね。なんだろう、この女、狂ってるのかな、って思ったんですよ。これだけの男に囲まれて好き勝手やって。親分の愛人のちんぽ弄ってるわけだから、目の前で。
 親分も本気でここまでやるとは思ってなかったのかすごい表情で見ている。怒ってるのもあるけど女があまりにも理解超えてるから混乱もしてるんだろうなって。下品な冗談程度かと思ったら本気なんだもの。
「うっ……」
 シバさんから思わず声が漏れると同時に白いの、精液も出てきて。女はいつ用意したんだか小皿でそれを受け止めたんだよ。
 そうしたらそこに溜まった精液にすき焼きの肉を浸して食い始めたんだよ。見てるこっちが気持ち悪くなっちゃって。女は平気な顔でさ。
「あんたも食べる?」
 精液まみれの肉をシバさんの顔の前につきだした。シバさん、耳まで真っ赤になっちゃって、そのまま部屋を飛び出したんだよ。
 そこにいる人間、みんな唖然としちゃって。
 親分がキレたんだったらみんなあとに続くきはあったんだろうけど当の親分が呆気にとられてなにもいわないから、変な沈黙が続いて。
「なかなか面白いお嬢さんですな」
 紀州さんが沈黙に耐えられなくなったのか喋りだして。女は口元が笑ってるんだけど目が笑ってなくて。それでどんどん肉を食ってくんだよ。
 親分も、
「シバも変わった経験ができて、こういうのは人生のプラスになるだろう」ってわけわかんない。
 そこにいるみんな面食らうっていうか、この女にあてられちゃって、とりあえず世間話して平静保とうとして。変な空気だったよ。
 結局、そんな変な感じが続いたまんま、
「ちょっと外で遊んできます。タネ銭融通してくれません」って女がいうから、番頭の紀州さんが親分の許可とって札束渡して。女はそのまま外に出てってたんだよ。
 女がいなくなってから親分、でかい声で、
「畜生!」って叫んで。
 紀州さんと秋田さんが「どうします?」って聞いたら、
「これで怒ったらこっちが負けだろう。メンツってもんがあるだろう」って。イライラしたんだろうなあ。目の前で愛人をおもちゃにされたんだからなあ。
 昼から仲間も何人も殺されてるし、さっきのを見て、
「あの女、狂ってるから気をつけよう」って雰囲気が俺たちのなかに広がったよね。


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