哲学者か道化師 -A philosopher / A clown-

映画、小説、芸術、その他いろいろ

『ハゲタカ』

2007-12-24 | Weblog
 連休中にNHKドラマの『ハゲタカ』の再放送をやっていたので見たのだ。というのも、今まで最終回が見られなかったのだけど。

 というわけで、最終回まで見たわけだけど、熱かったなあ。面白かった! 思うにNHKも民放も、恋愛や家族がうんたらとかいうふにゃふひゃしたドラマばかり作らないで、法とか経済とかの、これくらい硬派なドラマをやれば一定層の視聴者は集まるだろう。勉強にもなるし。もっとも作る方は大変かもしれないが。

 この『ハゲタカ』、およそ不満というものがないのがすごいね。あえて挙げるとしたら、「ハゲタカ」という経済の不毛な拝金主義を描くと思いきや、伝統とか誇りとか希望とか浪花節的なものが多いということ。主人公たちの動機も、過去の悔恨や親父の敵討ちだしね。それもまあ、他ならぬマルクス大先生も「理念というものも、一度それが人心を掴むやいなや、現実的な力となる」と言っていることを考えれば間違っていない。現に「感動」を売り物にした言説がこれだけ金を生んでいる今日この頃である。

 それにしても見事なのは、最終回で主人公の鷲津さんが(古き良き)日本人代表の加藤さんと(まさにハゲタカの)アメリカ代表のアランの両方を諭したところだよね。こういう風に、伝統という観念的なものも、資本という理念的なものをも廃したところにしか希望はない。もし、そのうちのどちらかが正しいと言おうとするなら、そこには不毛な言い争いしかないはずだ。言うなれば、金の力を信じつつ信じすぎるなといったところだろうか。

 それにしても良い! また思い出した頃に再放送でもやられたらまた見てしまいそうだ。とりあえずは、この前勝った年末ジャンボ宝くじでも当たらないかなあと思いました。

 ……クリスマス? なにそれ、おいしいの?
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