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阪神間で暮らす-2

テレビを持たず、ラジオを聞きながら新聞を読んでます

実は日本に基地がある「朝鮮国連軍」が突如活発化の怪

2018-07-01 | いろいろ

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実は日本に基地がある「朝鮮国連軍」が突如活発化の怪

朝鮮半島情勢「激動」の影響?
東京新聞論説兼編集委員。獨協大学非常勤講師 半田 滋



 朝鮮戦争の休戦から65年。朝鮮戦争で編制され、北朝鮮軍や中国人民志願軍と戦った「朝鮮国連軍」がいまだに活動を続け、しかも日本にその基地があることを知る人は少ない。

 その朝鮮国連軍の航空機・艦艇の来日が昨年、過去5年間で最多の27回に上ったことが外務省への取材で分かった。


 艦艇が「1隻」から「14隻」へ

 米朝首脳会談をきっかけに朝鮮戦争が終結となれば、朝鮮国連軍はその役割を終え、日本国内の国連軍基地も廃止されることになる。

 朝鮮国連軍は、1950年に始まった朝鮮戦争勃発に伴う国連安保理決議に基づき、米国を中心にして編制され、オーストラリア、カナダ、ベルギーなど18カ国が参加した。53年に朝鮮戦争が休戦を迎え、現在に至っている。

 国連憲章が規定する「国連軍」は本来、常任理事国の代表らで組織する軍事参謀委員会が指揮する仕組みだが、当時は米ソが対立する冷戦下にあり、正式な国連軍を編制できる環境になかった。経費も国連ではなく各国が負担しており、朝鮮国連軍は実質的には「多国籍軍」に近い。

 朝鮮国連軍の司令部は、朝鮮戦争勃発時には米軍占領下の東京に置かれていたが、57年に韓国の首都ソウルに移転。現在の司令官は在韓米軍司令官のブルックス陸軍大将が兼務する。

 現在も日本と密接な関わりがあり、在日米軍司令部のある横田基地に「朝鮮国連軍後方司令部」が置かれている。オーストラリア軍のウィリアムス空軍大佐が司令官を務め、カナダ軍の副司令官、米軍出身の下士官ら計4人が専従として勤務する。

 横田基地が朝鮮国連軍の基地を兼ねているのは、1954年に日本政府と朝鮮国連軍との間で締結した国連軍地位協定が根拠となっている。

 朝鮮国連軍の基地を兼ねる在日米軍基地は、横田基地(東京都)、嘉手納基地、普天間基地、ホワイトビーチ地区(以上、沖縄県)、横須賀基地、キャンプ座間(以上、神奈川県)、佐世保基地(長崎県)の7カ所である。

 いずれの基地にも星条旗と並んで国連旗が掲げてあるものの、朝鮮国連軍の専用施設があるわけではない。滑走路、港湾などはいずれも米軍施設を利用する。

 これらの基地を利用できるのは、国連軍地位協定締結国の日本、オーストラリア、カナダ、フランス、イタリア、ニュージーランド、フィリピン、南アフリカ、タイ、トルコ、米国の12カ国。しかし実質的には、基地を提供する日本を除く11カ国ということになる。

 日本に朝鮮国連軍の基地があることを知る人はどれほどいるだろうか。まして、その役割、任務、活動については、日米地位協定によって「不可侵」とされる米軍基地の内側に置かれているだけに、ごく一部の政府関係者以外、知る人はいない。

 2006年3月、当時民主党の白眞勲参院議員が「国連軍地位協定の今日的意味」「国連軍基地が国内に存在する意味」「国連軍の航空機や艦艇が基地を利用する目的」などについて、政府見解を求める質問主意書を参院議長に提出した。

 小泉純一郎内閣は同月31日付で「国連軍は抑止力として重要な役割を果たしており、国連軍地位協定は現在も意義がある」「在日米軍基地に国連軍の航空機や艦艇が出入りしていることは承知している」との答弁書を閣議決定しているが、質問にはまともに答えていない。「承知している」では、まるで人ごとである。

 外務省に問い合わせたところ、昨年までの直近5年間における、国連軍としての米軍基地の利用実績が明らかになった。以下の通りである。


 昨年は艦艇が前年の1隻から14隻に急増している。どういう理由だろうか。外務省日米地位協定室の担当者は「基地の利用目的、いずれの国の航空機や艦艇か、どの基地を利用したのかは運用にかかわることなので答えられない」とゼロ回答だった。

 ただ、外務・防衛両省は今年4月28日、北朝鮮が洋上で違法に物資を積み替える「瀬取り」を監視するため、オーストラリア軍とカナダ軍の哨戒機が国連軍地位協定を根拠に嘉手納基地を拠点にして警戒監視活動を行うと発表した。

 北朝鮮に対して「圧力一辺倒」で通してきた安倍晋三政権の主張に沿う基地利用であれば、公表するということなのだろう。当初は非公表だった海上自衛隊のP3C哨戒機による「瀬取り」の発見も途中から公表に変わり、これまで5例を発表している。

 だが、政府による国民への説明責任は「ご都合主義」でよいはずがない。既に終わった基地利用の実績については、利用目的、国籍などを公表するべきではないだろうか。



 朝鮮戦争が終わったらどうなる?

 筆者の独自取材によって昨年、在日米軍基地に寄港した朝鮮国連軍の艦艇のうち、2隻の潜水艦が海上自衛隊と共同訓練を実施したことがわかった。

 昨年9月12日から同月19日まで、本州南方海域で海上自衛隊の護衛艦や米軍の潜水艦とともに対潜水艦戦の共同訓練を行ったオーストラリア海軍の潜水艦と、昨年11月10日から同月26日まで行われた、海上自衛隊と米海軍による大規模な日米共同演習に参加したカナダ海軍の潜水艦である。

 海上幕僚監部広報室は「共同訓練にはそれぞれオーストラリア軍、カナダ軍として参加しており、国連軍としてどのような活動を行ったのか承知していない」という。

 取材によって判明したカナダ海軍の潜水艦は、通常動力型の「シクティミ」(水中排水量2400t)で、昨年秋にカナダを出航し、今年3月まで西太平洋で長期間の哨戒任務に就いていた。

 国連軍として寄港したのは米軍横須賀基地であることも判明、乗員の休養と燃料などの補給を受けた後に出航し、日米の共同演習に加わった。

 今年1月、北朝鮮の核・ミサイル問題に関する20カ国からなる関連外相会合が開かれ、北朝鮮による国連制裁逃れを防ぐため「海上阻止活動」の強化で合意した。それを受けて、「シクティミ」も「海上阻止活動」の任務に就いていた。

 さらに取材の結果、国連軍として在日米軍基地を利用するのは、(1)北朝鮮関連の警戒監視や哨戒活動の拠点として、(2)燃料などの補給を受けるため、とほぼ判明した。この程度の内容まで「非公表」とする日本政府の姿勢はどうかしている。

 6月12日にシンガポールで行われた米朝首脳会談では、朝鮮戦争の「終戦宣言」は出されなかったものの、トランプ米大統領が会談後の記者会見で、朝鮮戦争について「間もなく終結するとの期待を持っている」と述べた。


 朝鮮戦争が終結した場合、国内7カ所の国連軍基地はどうなるのだろうか。国連軍地位協定24条は「すべての国連軍が朝鮮から撤退していなければならない日の後90日以内に日本から撤退しなければならない」と定めている。

 そして同25条には国連軍地位協定について「日本から撤退しなければならない期日に終了する」とある。

 朝鮮戦争が終結すれば、在日米軍基地は国連軍基地としての役割を終えるというのだ。国連軍そのものが消滅するのだから、それはそうだろう。


 いっそう際立つ「米国の影」

 ただ、世界トップの実力を持つ米海軍と海上自衛隊が揃う日本で、先のオーストラリア軍やカナダ軍のように共同訓練を希望する他国軍もいる。朝鮮国連軍の旗を降ろした後の在日米軍基地は使えないのだろうか。

 外務省日米地位協定室は「在日米軍は、日米安保条約とこれに伴う日米地位協定によって日本政府から基地の提供を受けている。米国以外の他国との間に同様の条約や協定はなく、米軍基地の使用は想定していない」と否定する。

 すると、米軍以外の他国の航空機や艦艇が日本を訪れる場合、自衛隊基地や民間空港・民間港を利用することになる。実際に、昨年6月にはカナダ海軍のフリゲート艦2隻が京浜港(晴海ふ頭)を利用して訪日した。

 東京都港湾局によると、外国艦船の晴海ふ頭の利用は親善目的であれば、岸壁使用料と入港料が都条例によって免除されるという。ただし、全国の民間港がすべてタダというわけではない。海上自衛隊艦艇も他の民間港では岸壁使用料などを支払っている。

 さらに民間企業が運営する曳船(タグボート)は、使用料を負担する必要がある。大型艦船であれば、入港時と出航時に船首と船尾を押すのにそれぞれ2隻必要となり、費用は1隻約100万円、出入港の際だけでも合計約400万円かかる計算。これに補給、廃棄物処理などの必要経費が上乗せされれば、1千万円を超えることもあるという。

 すると現在、国連軍であれば、すべて無料で使える米軍基地が朝鮮戦争の終結後には使えなくなり、代わりに民間港を使おうとすれば高額の費用負担が必要になる。そうなれば訪日する他国軍は激減するのではないだろうか。

 是非はどうあれ、日本の玄関の敷居が高くなる。ただ、米軍だけは別格だ。日米地位協定には「(米軍の艦艇や航空機は)入港料、着陸料を課されないで日本国の港、飛行場に出入りすることができる」とあり、港湾を管理する自治体側が拒否しても入港を強行する場合さえある。

 朝鮮国連軍の場合、国連軍地位協定に同様の規定があるものの、日本政府は民間港と民間空港の利用を認めていない。

 制約を受ける朝鮮国連軍に対し、無制約の米軍。朝鮮国連軍が消えれば、他国軍の出入国は減る。「日本は事実上、米国の占領下にある」という真相が、いっそう際立つことになる。
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憲法の理念を活かした外交・安全保障はどうあるべきなのか

2018-06-30 | いろいろ

「五十嵐仁の転生仁語」より

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憲法の理念を活かした外交・安全保障はどうあるべきなのか

 6月27日のブログで、私は「拉致問題を解決するためにも安倍首相を引きずり降ろさなければならない」と書きました。これは私の勝手な思い込みだというわけではありません。
 安倍首相では拉致問題は解決できないという意見は、世論の多数になっているからです。毎日新聞が6月23、24両日に実施した全国世論調査で、安倍首相が意欲を示している日朝首脳会談による日本人拉致問題の解決に「期待できる」は18%にとどまり、「期待できない」が66%に上りました。
 7割近くの国民は、安倍さんに期待できないと考えているわけです。そうであるなら、安倍さん以外の方に首相となって拉致問題の解決に取り組んでいただく以外にないでしょう。

 そもそも、安倍首相は憲法の理念を活かした外交・安全保障政策には全く関心がなく、その逆の道を歩んできました。憲法に自衛隊の存在を書き込む改憲案を提起しているだけでなく、首相就任以来、「戦争する国」「戦争できる国」をめざした好戦的政策を具体化し、軍事大国に向けて暴走を続けてきたからです。
 野党や世論の反対を押し切って特定秘密保護法、安保法制、共謀罪法などを制定し、防衛費も毎年の増額によって1兆2000億円も増やし、長距離巡航ミサイルなどの攻撃的兵器を導入し、オスプレイの購入などによる装備と自衛隊基地の増強、沖縄の辺野古での米軍新基地建設、教育での道徳の教科化や愛国心教育の強化などを強行してきました。いずれも、軍事的対応による安全保障をめざしたもので、軍事力によらない安全保障を志向する憲法の理念に反するものばかりです。
 憲法は、その前文で「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と謳い、9条には「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と書かれています。つまり、国民の「安全と生存」は「平和を愛する諸国民の公正と信義」への信頼によって「保持」されるべきで、「国際紛争」も戦争、武力の「威嚇」や「行使」によって「解決」されてはならないというのが憲法の要請なのです。

 北朝鮮危機、核やミサイルの問題を軍事力で解決することもいとわない姿勢を示していた安倍首相は、このような憲法の要請に完全に反していました。憲法上の制約を受ける日本の首相は、アメリカのトランプ大統領と一致するような対応を取ってはならなかったのです。
 トランプ大統領が、軍事的なオプションを含めてあらゆる選択肢がテーブルの上にあると言った時、安倍首相が100%共にあると言うことは許されず、軍機的な選択肢を外しなさいと諫言するべきでした。それが、平和憲法を順守するべき日本の首相としてのあるべき姿だったのです。
 今後の朝鮮半島での緊張緩和、ミサイルと核問題の解決に当たっても同様です。戦争や軍事力に訴えるのではなく、非軍事的な手段によって非核化への道を具体化していくのが日本としての取るべき道にほかなりません。

 これについて、昨日の『朝日新聞』の「論壇時評」に示唆的な論攷が掲載されていました。小熊英二さんの「ゲーム依存と核 関係性の歪み 北朝鮮にも」という記事です。
 小熊さんは、ゲーム依存について、「依存症とは、社会関係の歪みから生じる病なのだ。関係の歪みから依存になると、関係がますます歪み、さらに依存が深まる。強制して一時的にやめさせても、当人の社会関係が変わらないとすぐ依存が再発する。周囲の人がやるべきことは、説教や恫喝ではなく、社会関係の再構築を助けることだ」とし、北朝鮮の核問題も同様だと指摘するのです。つまり、「猜疑心や敵対心、相互不信がつのると、核兵器が増加する。逆にいえば、猜疑心や相互不信に満ちた関係を作り変えることなしに、核兵器をなくすのは難しいのだ」と指摘し、「猜疑心や相互不信に満ちた関係を作り変えること」が大切だと主張しています。
 日本についても、「日本はなぜ核武装しないのか。それは、そうしなくてもよい国際関係があるからだ。また核武装したら、その国際関係が破綻するからだ」とし、「いちど核依存になった国は、圧力だけかけても効果は薄い。北朝鮮も同様だ。全面戦争で双方に大量の犠牲者を出したいのでなければ、関係を再構築していくほかない。その具体策を考える際には、日本自身が、安全保障上の不安をやわらげる国際関係なしには核武装をあきらめなかったことを念頭におくべきだ」「力で恫喝すれば何でも解決すると考えるのは非現実的であり、幼稚である。外交とはすなわち、国際関係を再構築する努力にほかならないはずだ」というのが、小熊さんの結論です。

 力による「恫喝」ではなく、「国際関係を再構築する努力」こそが必要であり、それこそが「外交」だというのです。それには「猜疑心や相互不信に満ちた関係を作り変える」知恵も忍耐力も必要で、相手を納得させるような道理に立脚した説得力も不可欠でしょう。
 憲法の前文にある「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」することによって、このような道理や説得力を手にすることができたはずです。それを安倍首相は投げ捨て、相手の猜疑心や不信を高めてきたというのが、「戦争する国」に向けての好戦的政策実施のプロセスにほかなりませんでした。
 憲法に反した暴走の連続だったというだけではありません。「平和憲法」を持つ国であるからこそ実現できたはずの紛争解決への道を閉ざし、国際社会で享受できたはずの「名誉ある地位」を踏み外してしまったと言うべきではないでしょうか。

 この日の『毎日新聞』一面下のコラム「余録」にも、注目すべき文章が書かれていました。「武器効果」という用語についての指摘です。
 「心理学に『武器効果』という用語がある。胸にわだかまるイライラや欲求不満が、時に他人への攻撃衝動に変わることがあるのは人の悲しい一面である。それを結びつけるものの一つが『武器』の存在という▲ストレスを与えられた人に銃を見せると攻撃的になるという心理実験があるそうだ。銃などの武器が人の心にひそむ攻撃のイメージや記憶を呼び覚まし、欲求不満などによる怒りを攻撃衝動へと結びつけてしまうのだといわれている」
 武器の存在こそが、人々のイライラや欲求不満、ストレスを攻撃衝動に変えてしまうのだというのです。逆にえば、イライラや欲求不満などによる怒りなどがあっても、武器がなければ簡単には攻撃衝動に結びつかないということになります。

 国家や国家指導者についても、同じことが言えるのではないでしょうか。核やミサイルなどの武器があるからこそ、攻撃衝動へと結びつくのだと。
 「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と宣言したことの深い含意を、ここから汲み取ることができるように思われます。安倍首相がめざしてきた軍事力依存の「積極的平和主義」や軍事大国路線こそが攻撃衝動を高める極めて危険な道だったということも、同じように学び取ることができるのではないでしょうか。
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働き方改革法成立、「過労死が増える」高プロを遺族批判「雇用主と対等ではない」

2018-06-30 | いろいろ

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働き方改革法成立、「過労死が増える」高プロを遺族批判「雇用主と対等ではない」

 高度プロフェッショナル制度(高プロ)を含む、「働き方改革一括法案」が6月29日、参院本会議で可決、成立したことを受け、過労死遺族らが記者会見を開いた。

 過労死をめぐっては、遺族らの尽力で、2014年に過労死防止法(過労死等防止対策推進法)が成立した経緯がある。過労死を助長しかねない高プロの成立に、遺族らは「過労死のない社会づくりとは真逆の法律が成立するとは」と落胆を口にした。

 今後も反対や改善を促す活動をしていくという。


 残業規制、もっとも引き下げていく必要がある

 法案の成立により、2019年度から順次、罰則付きの残業規制などが始まる。ただし、その上限は年720時間(休日込みで960時間)。月単位では、単月100時間未満、2〜6カ月平均80時間未満と、過労死ラインに張り付いた形だ。

 過労死弁護団の須田洋平弁護士は、罰則がつくことは評価しつつ、「労災認定では、これより少ない時間でも認定されることが多々ある。上限は不十分。もっともっと引き下げていく必要がある」と述べた。


 高プロに過労死遺族「労働者と雇用主は対等ではありません」

 一方、過労死遺族がなにより反対してきたのが、高プロだ。「平均給与額の3倍を相当程度上回る」(1075万円を想定)一部の専門職を労働時間規制から外す制度で、過労死の増加が懸念されている。

 適用には労働者の同意が必要とされるが、2015年に過労自死した電通の高橋まつりさんの母・高橋幸美さんは、「労働者と雇用主は対等ではありません。会社の評価を気にして、望まないのに同意する恐れもあります」。

 高橋さんは、2017年2月に安倍晋三首相と面会し、過労死をなくす決意を伝えられた。しかし、高橋さんにとって、財界から出てきた高プロを通す政府の姿勢は正反対のように映る。

 「安倍首相や加藤(勝信)厚労大臣の『過労死は二度と起こしてはならない』という言葉が本当なら、経済成長のために国民の命を犠牲にする政策ではなく、命と健康を守るための働き方改革を行ってもらいたい」(高橋さん)

 高プロでは、健康診断で済む企業の「健康確保措置」の不十分さも指摘されている。2013年に過労死したNHK記者の佐戸未和さんの母・佐戸恵美子さんは、勤務間に一定時間をあけることを義務づける「インターバル規制」を一般の労働者も含め、義務化するよう訴えていきたいと述べた。


 「ご飯論法」は「不誠実で失礼極まりない」

 今回の国会審議では、厚労省調査の不適切データ問題のほか、質問に真っ向から答えない加藤大臣の答弁が「ご飯論法」などと批判された。

 この点について、全国過労死を考える家族の会代表の寺西笑子さんは、「不誠実で失礼極まりない」と語気を強めた。

 「私や(東京過労死を考える家族の会の)中原のり子さんは、国会の公聴会に呼ばれて、質疑に立ちました。聞かれたことに誠実に答えていますよ。誠実に答えようとせずに、はぐらかす。卑怯ですよ」(寺西さん)

 高プロの詳細は法律でほとんど決まっておらず、今後、政労使による労政審での話し合いなどに委ねられる。

 寺西さんは今後の活動について、「政治家はつくった法律は守られると思っている。法律があっても濫用や企業の拡大解釈で労働者が苦しめられており、その延長に過労死がある。当事者として、役割を果たしていく」と述べ、制度の撤廃や悪用されない仕組みを求めていくとした。

 最後に、2000年に夫を亡くした渡辺しのぶさんの言葉を紹介したい。

 「過労死する人は特別な人じゃないんです。自分の隣の人がある日、突然亡くなるっていう怖い、ほんとにほんとに怖いのが過労死なんです。過労死する人が特別だとしたら、特別真面目で特別責任感があって、周りの人のことを考えて、仕事を投げ出せないで、一生懸命頑張る人です。真面目に真面目に真面目にやるから過労死が襲うんです。

 その怖さを皆さんに向かって伝えられるのは、私たちだけだと思って、私たちはこの法案の審議中、ずっとずっとずっと声を上げ続けてきました。法案が法律になってしまいました。これから私たちは、高プロ危ないよという声を上げていかないといけないと思います」
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古賀茂明が室井佑月に語った「安倍首相は残虐」の意味

2018-06-29 | いろいろ

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古賀茂明が室井佑月に語った「安倍首相は残虐」の意味、そして加計疑惑の決定的な問題とは?

 室井佑月対談連載「アベを倒したい」。古賀茂明氏を招いての前編は、安倍首相をかばう官僚たちの習性について突っ込んだ議論が交わされたが、最後に、古賀氏が口にしたのが「安倍さんはものすごく怖い人なんです」「執念深くて残虐」という言葉だった。後編ではその発言をきっかけに、古賀氏自身が受けた“報道圧力”や、安倍首相の官僚・メディア支配、さらには加計疑惑の本質までが次々暴かれていく。そこから浮かび上がってきたのは、想像以上に異様で卑劣な安倍首相の政治手法だった。
 なぜ、モリカケのようなとんでもない疑惑が浮上しても安倍首相の支持率は落ちないのか。シビアな現実にも踏み込んだこの対談をぜひ、最後まで読んでほしい。
(編集部)

● 安倍の攻撃は官僚を辞めてからも続く! 古賀茂明が語った報ステ降板の真相

室井 安倍首相が「安倍さんはものすごく怖い人なんです」「執念深くて残虐」っておっしゃいましたけど、具体的にはどういうことなんですか?

古賀 残虐性、非人間性、執拗性。これらをすべて持っていて、それが徹底している。「こいつは!」と思ったら、辞めたからそれで終わりじゃないんです。辞めたあとも徹底的にやってくる。たとえば、前川さん(喜平・前文科省事務次官)のように、人格攻撃もやるし、講演にも横槍を入れる。僕も講演は最初はいっぱいあったけど、なくなっちゃった。そういうことをされるのが見えているし、多くの官僚にとってそれは恐怖でしかない。

室井 安倍さんに目をつけられるとそんなに怖いんだ。でも安倍さんに目をつけられた古賀さんは、ある意味一目置かれているということでもあるかもね。

古賀 安倍政権を批判している人はたくさんいるけど、その中で「こいつは抑えておかないとやばいな」と思われたら、徹底的にやられる。そういう意味では室井さんも覚悟したほうがいいかも(笑)。

室井 やだよ! あたしは普通のおばさんなんだから。それに作家、コメンテーターとしては権力をチェックして批判するのって当然のことだし、特殊なことをしているつもりはないんです。安倍さんや自民党の批判もするけど、民主党政権の時は民主党も批判した。でも確かに安倍さんはこれまでの首相、権力者の中でも怖いっていうのは実感しているけど。でも安倍さんって、第一次政権のときは残虐性はそんなに感じなかったと思うんです。第二次政権になってからすごく怖くなったと。

古賀 第一次安倍政権では、自分のお腹が痛くなって辞めたわだけど、でも安倍さんはそうは思っていない。「マスコミにやられた」と思っているんです。だから下野時代に「今度政権についたら、まずマスコミを抑える」と執念深く考えていたのでしょう。だから本気で批判してくるメディアやジャーナリストは自分にとって一番危ない“敵”とさえ思っているんです。

室井 だからか。朝日新聞に対する恨みは尋常じゃない。

古賀 そしてマスコミを抑える方法として、ひとつは見せしめ的に目立っていてかつ強いやつをやる。もちろん直接的な圧力では絶対にやらないで、干すんです。『報ステ』の出演者など格好のターゲットでしょう。僕の前にも浜矩子さんが降板した一件があったのですがこれも典型だと思っています。あまり騒ぎにならなかったし、浜さん自身もそういう意識がないかもしれませんが、でも、僕が聞いている話では、テレビ朝日の上層部が官邸を忖度して「報ステなんとかしろ」「浜か古賀、どちらかをあきらめと」という圧力がかかったということです。そう言えば、古舘伊知郎さんはいつも「古賀さんと浜さん、どっちも変え難い人たちなんですよね……」と言ってましたね。

室井 古賀さんがまさかここまで歯向かうとは思っていなかっただろうしね。

古賀 僕自身もそんなに歯向かうつもりはなかった(苦笑)。そもそも僕の名が知られるようになったのは民主党政権時代です。現職官僚として参議院予算委員会に呼ばれて、総理(菅直人)や仙谷由人さん、全閣僚がいる前で、小野次郎というみんなの党の議員が、「古賀さん、最近の民主党の公務員改革、天下りの政策はどう思いますか?」と訊かれたので、僕は思いきり、「民主党になってから、天下り規制の緩和措置が堰を切ったように実施されている」と批判しちゃったんですよ。そうしたら仙谷さんら閣僚はみんな頭に来て。でもその当時はすでに、大臣官房付という個室に入れられて仕事を干されていた。その理由は財務省なんです。民主党政権が発足した際、仙谷さんから「補佐官になってくれ」と打診があった。それで「行政刷新」について改革メニューを渡すなど打ち合わせもしていた。しかしその話が全部チャラになってしまった。仙谷さんは何も言わなかったけど、その後当時の松井孝治官房副長官に訊いたら、その直前に財務省が仙谷さんのところにきて「古賀は絶対に使うな」と止めたと言うんです。


 安倍首相の霞ヶ関恐怖支配は内閣法制局長官人事から始まった

室井 財務省が経産省の人事にまで介入するの!? 

古賀 財務省は閣僚より強い。仙谷さんは財務を敵に回したら民主党政権は潰れると思ったんでしょうね。政治主導とは言っても官僚、特に財務省は強い。その強い官僚を震え上がらせたのが安倍さんです。安倍政権以外では、そういう政権はなかったと思います。

室井 でも官僚が「本当にこいつはヤバい」と思って省庁の枠をとっぱらって連合を組んだら、安倍さんにだって絶対勝てるでしょう?

古賀 いや。総理は強いんです。さきほども安倍さんの特異性は執念深くて残虐なことにあると言いましたが、その最大のあらわれが人事です。内閣人事局ができて官僚人事を官邸が握った弊害が指摘されていますが、しかし実はまったく関係ない。そもそも1年生のペーペー官僚の人事権まで大臣がもっている。でも大臣が全職員の人事を見るなんてできないから、役所が決めた人事が大筋通るんですが、しかし安倍さんは違う。細かいところまで見ているんです。たとえば人事検討会議というのがあり、官房副長官のもと各省から幹部人事をチェックしますが、これまではよほどのことがない限り変更はなかった。しかし安倍さんになってからは違った。内閣人事局ができる前から、好き勝手をやり始めました。一番すごかったのが、内閣法制局長官人事です。歴代長官が、集団的自衛権は憲法違反であると、当然のことを主張していたのですが、安倍さんは、それなら、法制局のトップを代えてしまえと考えたんですね。そこで、解釈改憲で集団的自衛権行使を容認できると言っていた外務官僚の小松一郎氏を抜擢した。安倍さんと仲が良くて「違憲じゃありません」と言ってくれる人を持ってきたんです。慣例では内閣法制局次長の横畠裕介氏が昇格するはずだったんですが、これはかなり異例、というか、官僚たちから見れば、「とんでもない」ことであり、衝撃でした。

室井 集団的自衛権はほとんどの専門家が「違憲」と言ってたのに、それを覆すために、子飼いの官僚を登用したってことか。やっぱり安倍ちゃんは、加計幸太郎理事長だけでなく、自分の意のままになる子分と、お友だちばっかりを優遇しているんだな。

古賀 日本中の官僚も、ほぼ99.9%は集団的自衛権は違憲だと思っていますよ。とくに法律専門の人は東大法学部を出ているわけですけど、東大法学部の教授はみんな、「集団的自衛権は違憲です」と教えている。法制局長官も法律の専門家の中の専門家だから、頑なに「違憲です」と言ってきた。さらにその後、小松さんの体調が悪くなると、今度は横畠さんを登用したんですが、安倍さんの怖さを思い知らされていた横畠さんは、安保法制などで安倍政権の意向に沿った判断を下すようになった。

室井 安倍さんって異常。権力の私物化って言うけど、これまでの首相も私物化しようと思えばできたけど、それは国のためにならないとか、恥ずかしいことだと知っていたわけですよね。独裁は国を滅ぼすって。でも安倍さんにはそうした考えがない。しかも羞恥心もない。自分にとっての勝ち負け、敵味方だけを考えて、そのためにはなんでもやる。平気で嘘をついてね。安倍さんの体には、事実を認めたり、謝罪すると爆発する装置でも埋めこまれてるのかと思うくらい。

古賀 いや彼の発想は、勝つか負けるかなんて甘いものじゃない。自分が生きるか死ぬか。それは、相手を生かすか、殺すかという意味ですよね。自分に歯向かってくるやつは、「自分を殺そうとしている」という発想です。「こいつは放っておくと俺を殺す。それなら先に殺してしまえ」と。

室井 ゲームの「コールオブデューティ」みたい(笑)。戦国時代のお話にも聞こえる。

古賀 まさにそういう感覚だと思いますよ。だから、自分にとって危ない存在だと思ったら徹底的に潰す。


 古賀茂明「加計学園問題はまだ、安倍首相の致命傷になる可能性がある」

室井 そんな危ない人なのに、どうして周りの人がそれに乗っているのか不思議。潰されるなら、その前に潰しておけばよかったのに。

古賀 まさか安倍さんにそんなに実力があると思わなかったんでしょう。最初は「バカなぼんぼんが」とみんな甘く見ていたから。それとお金はあるんでしょうね。自民党は今、数が多いでしょう。だから、政党助成金だけでもめちゃめちゃ増えた。使えるお金が多いんです。

室井 スポンサーもいっぱいいるっていいますよね、アパホテルとか。あと加計さんも。加計さんが酒席で「1年に1億かかるんだよ、安倍と付き合うと」と言っていたとか、安倍さんのほうも「加計さんは俺のビッグスポンサーなんだよ。学校経営者では一番の資産家」だと話してた、って「週刊文春」(2017年4月27日号)とかに書いてありました。

古賀 そこに大きな鍵がある。安倍さんがなぜあれだけ加計さんをかばうのか。2017年1月20日まで獣医学部新設構想を知らなかったという説明に途中から切り替えましたよね。「すみません。私いろいろ混乱して間違えたんです」とわざわざ前置きして、それまでの答弁を修正してまで「1月20日に初めて知った」と言い換えた。それはなぜかというと、収賄の問題が出て来るからなんです。安倍さんは総理大臣であり、すべてに職権、権力があるんですが、だからと言って、何でもかんでも安倍さんが具体的に決めている訳じゃない。収賄罪は、「職務に関し、賄賂を収受」したらアウトです。加計さんから年1億円ももらっていたとしたら、それが、“職務に関して”なら収賄罪になる可能性が出て来る。裁判では、「職務に関し」というのがいつも議論になりますが、国家戦略特区は、議長が総理だから、まさに安倍さんに“具体的な権限”があるということになり、これはどうやっても言い逃れできない。もちろん、加計さんが特区に申請しているのを知らなければ、賄賂だという認識がなかったことになりますが、知っていて、その間ゴルフに行ったり会食したり、いろいろな形で年1億円とか贈与されていたとなれば、普通に考えたらアウトでしょう。収賄はそれによって不正行為があったかどうかは関係ない。職務に関連してお金をもらってしまったらアウトなんです。お金を貰った結果、もし何もしなかったとしてもダメ。これは安倍さんにとって、致命傷になり得るし、かなり危ない。

室井 そうなんだ。だから必死であんな不自然な答弁を続けたのか。しかも愛媛県の担当者の記録では、それ以前に安倍さんと加計さんが会っていて「獣医大学の考え、いいね」と言っていたというのに、加計側は面会じたいが嘘だったと謝罪までしたしね。いろんな人の多くの嘘の影に収賄が隠れていたのか。大変な犯罪。これで倒せるじゃないですか!

古賀 でも忖度マスコミはそんなこと本気で追及しないんです。

室井 “腹心の友もとい”爆心の友”の加計さんは、籠池さんと違って今のところ裏切りそうにないしね。でももし寝返られたら安倍さん、犯罪者になっちゃうんだ。それじゃあ、必死になるな。

古賀 加計さんのほうも贈賄になる可能性がありますから、仮にやってても裏切ることはないでしょうね。


 古賀「アベノミクスは中身が何もない」室井「大企業を儲けさせているだけ」

室井 安倍さんがいつも自慢してる経済については、古賀さんから見てどうなんでしょう。

古賀 安倍さんがやっているアベノミクスは中身が何もない。たとえば第1の矢は「異次元の金融緩和」で、円を大量にばらまいて金利を下げるという作戦です。これで建前上は金利が下がり、いま投資したほうがお得だと思わせて、みんなが借金して新しい工場を作ったりして、景気が良くなり雇用も増える、という建前です。だけど実際には、「日本に工場なんか作ってもダメだよな」とみんな思ってるから、それができない。でもいいことはひとつだけあって、円安になること。円の金利は低いから、みんなが「円を買うよりドルのほうがいいだろう」となり、ドルやユーロが高くなる。民主党の最後あたりは、1ドル80円の円高で大変だったのが、安倍政権で120円以上の円安になり、今は110円くらいでしょう。でも、これは、世界から見ると、日本人全体が貧乏になっているということなんですよね。だって、時給800円が、1ドル80円なら10ドルだけど、120円なら6.7ドルっていうことだから。

室井 わたしがもっている貯金が目減りする、ということですもんね。

古賀 加えて安倍政権はデフレ脱却のために物価を上げようとしている。物価が毎年上がるということにしておかないと、「来年は物価が下がる」となるとみんながいま物を買わなくなるから。「来年上がるんだぞ。早く買ったほうがいいぞ」と買うように仕向けるというね。変な発想です。結局それは、借金をしている人が得になる。お金の価値が毎年目減りするから。貯金をしている普通の庶民が、200万円貯金した場合、インフレになって毎年 2、3%目減りするということです。1億円借金している企業や、一千兆円借金しているような国は、その分借金の価値が小さくなる。知らないうちに、一般庶民が損をして企業や国が得する政策なんです。しかも円安で、輸出企業は何もしなくても利益が何倍にもなる。毎年トヨタみたいな輸出大企業が「史上最高益更新」とか言っているでしょう。それにはこうしたカラクリがある。

室井 だから大企業の社長たちの安倍政権支持率は70%以上なのか。

古賀 法人税下げてくれましたしね(笑)。

室井 でも怖くないですか。安倍政権って普通の人を窮地に陥れて、大企業や富裕層を大儲けさせているんだから。なのに、モリカケ問題もあったのに、支持率は思っていたほど下がらない。国民は本当に騙されてる。

古賀 絶対的右翼というか、タカ派路線をすごく支持している、何がなんでも安倍支持という人が支持者のなかで4分の1くらい。あとは、雰囲気で「安倍さんになって景気がよくなった」という支持層も多い。今年大学を卒業した人の98%が就職したというニュースとかを見て支持する人もいるでしょう。一方で、「アベ大嫌い」という人がいる。安保法制や原発でダメという人は、何があっても変わらないわけです。一方で、「安倍さんのタカ派なところが好きです」という人も変わらない。だから中間層が安倍政権をどのくらい支持するかどうかで、現在の政権の将来が決まると思います。


 室井佑月が古賀茂明に「応援しますから、選挙に出て!」

室井 でも、その中間層がいまも支持してるわけでしょう。あんな嘘つきなのに。

古賀 嘘をついても景気が良くなったほうがいい、という人がたくさんいるんです。

室井 景気が良くなっても時給があがっても私は嫌い。っていうか、原稿料とか全然あがってないし。

古賀 僕はアベさん別に嫌いじゃないですよ(笑)。そもそも、僕は嫌いな人自体、あまりいないです。安倍さんはあまり好きじゃないけど、安倍さんが「古賀さん仲良くしましょう」と言ったら、「じゃあ土下座してくれ」とちゃんと言えるよ。土下座したらハグします(笑)。

室井 土下座するような男じゃないわけでしょう。殺されるよ!

古賀 まあ、それは冗談ですけど。確かに室井さんが先ほど言ったように、安倍さんは謝れないから困るんです。日本の外交はこれから本当に大変です。中国にも韓国にも北朝鮮にも謝れない。もし北朝鮮問題が解決して、中国と韓国、北朝鮮が一緒になって「安倍さん、太平洋戦争って間違いでしたよね」と責められたら、安倍さんは思考停止して固まってしまうと思うんです。それで官僚が一生懸命根回しして、「その話言わないでくれたら一兆円出します」とかやる。もし僕が総理だったらいちばん最初に韓国や北朝鮮や中国に、「本当にすみませんでした! あの安倍って人はちょっとおかしくて、あれ違います! 日本国民は戦争なんか大嫌いです。朝鮮を植民地にしたり、太平洋戦争で本当にひどいことをしたし、自分たちもひどい目にもあったから。だから憲法9条があるんです。信じてください! 土下座? いくらでもしますよ」とか言って仲良くしましょうとやりますけどね。

室井 そういう人のほうが本当に強いリーダーだと思います。古賀さん応援しますから、選挙に出て! 選挙のたびに名前が上がっているでしょ。都知事選のときも、今度の新潟知事選も。

古賀 いやいや(苦笑)。それは勘弁してください。僕のスローガンは、「改革はするけど戦争はしない」なんです。なぜそれを言う人がいないんですかね。「改革する」というと、みんな「嫌だ」となる。「改革したら僕たちは取り残されちゃう」と。実は、安倍さんさえ倒れればいいと思っている人がいるけど、その後にまた石破さんになっても意味がない。安倍さんよりタカ派ですからね。ですから安倍さんが代わってもらったあとの政策が大事ですよ。そのとき、戦争をしないことと並んで大事なのが改革です。なかでも僕がいちばん主張しているのが、とにかく既得権をぶち壊すこと。でも、たぶん日本は本当にこのまま終わりますから。どんどん世界から取り残されていきます。

室井 もう既存の野党の人じゃダメだと思うんです。もっと違う分野、古賀さんだけじゃなく芸能人なら渡辺謙、坂本龍一、吉永小百合さんとかを口説く。あっ、護憲で言えば天皇陛下ですよ。来年引退するから選挙に出てもらう!

古賀 いやいや、それは無理でしょう(苦笑)。

〈了〉 
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なぜだ? “安倍内閣支持率”上昇 その裏の虚飾とカラクリ

2018-06-29 | いろいろ

より

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なぜだ? “安倍内閣支持率”上昇 その裏の虚飾とカラクリ

 各社の世論調査で内閣支持率が上昇している。森友・加計問題など安倍首相にまつわる疑惑は何ひとつ解明されず、国民世論も「納得できない」が多数を占めるのに、なぜ支持率が上がるのか。

 自民党内からは「支持率は下げ止まった」と安堵の声が上がり、秋の総裁選での安倍3選が既定路線のように語られ始めている。先月までは、モリカケに公文書改ざんで支持率下落が止まらず、危険水域を割り込んで「すわ退陣か」と言われていたのが嘘のようだ。

 日経新聞とテレビ東京による22~24日の世論調査では、内閣支持率がなんと10ポイントも上昇して52%だった。不支持率は前月の53%から42%に下がり、4カ月ぶりに支持率が不支持率を上回った。

 国会は32日間の延長が決まったが、この1カ月間で安倍が何をしたというのか。都合の悪い文書は認めず、しらばっくれ、嘘で上塗りし、疑惑から逃げ回っていただけではないか。前月から支持率が10ポイントも上がる理由がさっぱり分からない。

 日経の調査では、支持する理由は「国際感覚がある」が37%で最も多く、「安定感がある」(36%)、「指導力がある」(22%)が続いた。国際社会の激動にまったく対応できず蚊帳の外なのに「国際感覚がある」? これだけゴタゴタ続きの政権のどこに「安定感がある」のか? ますますもってワケが分からないのだ。

■ 蚊帳の外で飛び回る1匹の蚊

 「国外逃亡の外遊で、何かやっているかのように見せているだけなのが安倍外交です。G7では存在感を示せず、日米首脳会談でもトランプ大統領から厳しい通商問題を突き付けられ、米朝会談でハシゴを外された。ロシアのプーチン大統領には領土問題で袖にされ、北朝鮮問題の関係6カ国の中でも唯一、金正恩と会えずに国際社会から置き去りにされています。5年半の安倍外交で国益に帰する成果は何もなく、訪問先でカネをばらまいているだけなのですが、外遊をメディアが華々しく伝えるおかげで、パフォーマンス外交を支持率回復につなげてきた経緯がある。同行取材したメディアは『何も成果がなかった』とは報道しませんからね。拉致問題だって、安倍政権の間は解決できないとメディアも分かっているはずですが、『私の政権で解決する』という首相の言葉を垂れ流して、国民に期待を持たせている。実際は拉致、拉致と口で言うだけで北朝鮮とまともに交渉もできず、蚊帳の外で飛び回っている1匹の蚊に過ぎません。本当に国際感覚があるのなら、米国依存一辺倒ではなく、北とも対等に渡り合えるはずです」(政治学者の五十嵐仁氏)

 政府は北朝鮮問題への対応を強化するため、外務省に新たに専門の部署を設ける方針を決めた。これまで韓国と北朝鮮を担当してきた北東アジア課を来月1日付で2つに分け、対北政策を専門的に扱う部署を設けるというのだが、何を今さらではないか。拉致問題担当大臣は何をやっていたのか? 安倍は政権発足当初から拉致問題を「最優先課題」と言いながら、何もしてこなかった。北の脅威をあおり、安保法制や防衛費拡大に利用してきただけだ。

 これほど罪作りな外交無策が「国際感覚がある」と評価されるなんて、ブラックジョークというものだ。安倍夫妻が仲良く手をつないで外遊に出かける映像を撮らせるだけで、国際感覚があると思わせることができるなら、こんなラクなことはない。


 デタラメすぎて政治に関心も期待も持てない悲劇

 なぜ、疑惑まみれのペテン首相が評価され、こうも高い支持率を得られるのか。26日の日経が「支持率の水準、質問方法で差」という記事で、そのカラクリを明かしていた。

 日経と同じ週末の23~24日に実施した毎日新聞の世論調査では、支持率が5ポイント増の36%だったが、不支持率は40%で、いまだ不支持率の方が高い。その要因のひとつが質問の仕方だというのだ。
<日経は内閣を支持するか、しないかの2択だが、毎日は「支持する」「支持しない」「関心がない」の3択で聞く>
<無関心層は2択を迫られると支持に回る人が多い可能性がある>
<日経は「いえない・わからない」と答えた人に「お気持ちに近いのは」と重ね聞きする。2回聞くので支持率、不支持率ともに1回のみ聞く調査より高めに出る>

 その結果、日経は支持52%、不支持42%で、「いえない・わからない」という回答は6%におさえられている。

 この分析は、ある意味で的を射ているのだろうが、完全とはいえない。22~24日の日経調査は全国の18歳以上の男女に携帯電話も含めた乱数番号(RDD方式)による電話で行われたが、回答率は47・2%だったという。半数以上が答えない調査で支持率50%なら、全体の母数からすれば支持率は25%未満だ。

 「安倍政権における政治の私物化はすさまじく、このデタラメぶりを見た有権者の政治離れが加速しているのではないか。自民党政権のままでトップを代えたいと思っても、自分たちが直接、首相を選べるわけでもないし、政治に関心を持てなくなっている。どの調査でも『首相を信頼できない』という声が多いので、安倍内閣を積極的に支持しているわけではない。変化を好まない国民性もあるかもしれませんが、世論調査に答える層でも、政治に期待していないから、現状維持で仕方ないと考える人が増えているように感じます。アベノミクスは掛け声倒れで一向に給料は上がらず、自分たちが納めた税金がこれだけメチャクチャに使われていたら、普通なら国民も怒りますが、もはや諦めモードなのかもしれない。しかし、それでは権力の思うつぼです。麻生副総理が『新聞を読まなければ自民党支持』と言い放ったことからも分かるように、権力側が政治に関心を持たせないようにしてきた側面もあるのです」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)

■ 好き放題が「指導力」なのか

 安倍政権は、国民の多くが反対している「働き方改革法案」も「カジノ法案」も今国会で成立させる方針だ。もはや強行採決にも躊躇がない。

 「国民の声を聞かずに好き勝手するのが『指導力』と評価され、数の力で少数野党をねじ伏せる圧倒的議席数が『安定感』と支持される。嘘と脅しの強権政治で、歯向かう者は許さずドーカツする安倍政治は、民主主義を破壊する独裁です。こんな手法が『指導力』などと美談にされるようでは、この国は終わっていると言うしかありません。本来なら総辞職ものの不祥事が重なっても、安倍サマ服従で3選を支持する自民党議員の劣化もひどい。メディアも報復を恐れて萎縮し、社会全体がファッショ化している日本は危機的状況です」(五十嵐仁氏=前出) 勝手に党の規定を変えて総裁任期を延長し、なりふり構わず3選に突き進む安倍の姿は、中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領ら名だたる独裁者と変わらない。

 24日のトルコ大統領選では、独裁仲間のエルドアン大統領が、メディアを拘束して報道の自由を奪ったヤラセ選挙で再選を決めた。安倍はすぐさま「見事な大勝利を挙げられたことを心よりお喜び申し上げる」と祝意のメッセージを送ったが、EUは「報道を制限して行われた選挙を疑問視する共同声明」を発表した。いつの時代も、メディア統制が独裁の道具になるのだ。

 大メディアが安倍政治への批判を封印して、サッカーと紀州のドン・ファン一色の日本では、W杯が終わる頃には支持率70%になっていてもおかしくない。働き方改革はサラリーマン全般の生活と人生に直結する話なのに、多くの国民が自分には関係ないとばかりにサッカーW杯に夢中になっている不思議。まさに「パンとサーカス」の世界と言うほかない。国民は本当にそれでいいのか。
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虐待問題解決の本質とは 黒川祥子さんが取材経験から語る

2018-06-28 | いろいろ

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虐待問題解決の本質とは 黒川祥子さんが取材経験から語る

 「もうおねがいゆるして」――。両親による虐待で5歳児が亡くなる痛ましい事件がまた起こった。厚労省の発表によると、2016年度に全国の児童相談所が虐待相談として対応した件数は、過去最多の12万2575件。相談の種別は「心理的虐待」が最も多く、次いで「身体的虐待」となった。第11回開高健ノンフィクション賞受賞作「誕生日を知らない女の子 虐待――その後の子どもたち」(13年刊)以降、虐待や貧困をテーマに取材をし続けているノンフィクション作家はどう見ているのか。

■ 保護だけでは解決につながらない

  ――虐待に関心を持つようになったきっかけを教えてください。

 09年に橘由歩の筆名で「身内の犯行」というルポルタージュを出版しました。殺人事件のうち、2件に1件が「身内」で起こっている。一つの家庭で殺人者と被害者を出すようになった背景を知りたい。板橋両親殺害爆破、渋谷「セレブ妻」夫バラバラ殺人など10件の身内の犯行を取り上げました。気付いたのが、10件の殺人者全員が性別、年齢関係なく、被虐待者ということ。虐待がいかに大きな傷になるか。虐待から子供たちを救い出す社会を構築する方法はないものかと考えるようになりました。

  ――「誕生日を知らない女の子」では、愛知県運営の「あいち小児保健医療総合センター」を取材されています。

 それまで私が見ていたのは、虐待で殺された子供たちでした。だから虐待家庭から保護されることが、虐待問題の解決につながると考えていました。しかし「あいち小児保健医療総合センター」を取材し、それが全く甘い考えだと知り、愕然としました。0歳から15歳までが収容されるこの病院に、二重構造の閉鎖病棟があるのはなぜか。子供たちのベッドに「イライラするのが治まらない時の具体的対策」を書いた紙が張られているのはなぜか。“気が済むまで殴っていい”ぬいぐるみをたくさん置いた部屋が設けられているのはなぜか。

  ――保護だけでは問題解決にならない?

 まさにその通りです。「性化行動」という言葉をご存じでしょうか? 性的虐待を受けていた子供は、未就学児や小学校低学年など小さな子供でも、自分が受けた性的行動を“再現”する。人前でパンツを下ろしたり、性的暴力を他の子供に与えたり。性化行動をどう抑制するかは、児童養護施設の深刻な問題のひとつになっています。厚労省が発表した性的虐待の児童相談所への対応件数(16年度)は虐待相談全体の1・3%ですが、あいち小児保健医療総合センターでは17%(取材した12年当時)。性的虐待が顕在化しづらい現実を示す数字です。

  ――虐待の影響から逃れられる時が子供たちに来るのでしょうか?

 重要なのは、その後、誰と出会えるか。自分を認め、愛を持って受け止めてくれる大人と出会えるか。被害者としての人生では、「不幸なのは親のせい、社会のせい」と何かを恨み続けることになります。虐待のその後を追う取材で、見違えるほど変わった子供たちに何人も出会いました。それをあらためて痛感したのが、ある再チャレンジ高校との出合いです。

 “困った生徒”は実は“困っている”生徒

  ――近著「県立!再チャレンジ高校」では人生をやり直そうとする高校生とそれを必死で支援する教師が出てきます。

 再チャレンジ高校とは、中学までに持てる力を発揮できなかった生徒に対し、再チャレンジの場を与える趣旨の学校で、選抜基準は「関心・意欲・態度」。入試は作文と面接のみで、学力考査は行わず、中学の成績も考慮しない。生徒のプライバシー保護のために仮名で紹介しますが、A県教育委員会が10年、県内に5校つくりました。そのひとつが槇尾高校(仮名)で、偏差値38、A県内の公立高校202校中190番目前後。いわゆる「底辺校」「課題集中校」「教育困難校」と形容される高校です。

  ――虐待家庭の子供が多い?

 最初からそれが見えていたわけではないのです。“困った生徒”ばかりで問題噴出。1年間で1クラス丸ごと消える高い中退率に、教師の側も「槇尾ではやっていけない」と最短で異動願を出すケースが珍しくなかった。そんな槇尾高校へ再チャレンジ高校づくりのキーマンとなる新校長、新教頭が赴任。有言実行の彼ら管理者と、さまざまなアイデアを出す教師たちによって、生徒たちが抱える問題が浮き彫りになっていく。「大人にとっての“困った生徒”ではない。“困っている生徒”なんだ」と分かってくるのです。

  ――大きな転換です。

 生徒自身が「困った」ことを抱えた「困っている生徒」だと考えれば、その解決を一緒に考えようとするスタンスへと教師や周囲の大人が転換していく。では、生徒たちはどうして困っているのか? ヤングケアラーという一時期盛んに報道された言葉があります。家族のケアを担う18歳未満の子供を指す言葉ですが、槇尾高にはそれが現実のものとしてずっとあった。生徒たちと話していると、「バイト代入ったけど、家賃で全部消えちゃう」と言うんです。親が生活費も置かずに出て行ってしまい、弟や妹の面倒を1人で見ている。100円ショップで買ったカップラーメンやポテトチップス1食が1日の食事という生徒、親の手作り料理を食べたことがなく煮物や野菜料理を見たこともない生徒もいます。

  ――ネグレクトです。


 加えて、心理的虐待、身体的虐待、性的虐待もある。生徒たちの遅刻、無断欠席、敬語を使えない、すぐカッとなって暴力を振るう、我慢や努力ができないなどの問題行動の陰には、虐待がある。生活費のためにバイトを掛け持ちして深夜まで働いていれば朝なかなか起きられません。子供は親の言動を見て育つ。酒を飲んで働かない親、すぐに殴る親、子供に無関心な親しか家庭内にいなければ、それしかロールモデルがなく「○○をしたい」という夢を持ちづらい。「いい人生を送るために○○をしよう」という気持ちは湧いてこないでしょう。

■ 再チャレンジ高校では卒業後も生徒を支える

  ――なぜ虐待を受けている子供が「底辺校」に集まるのでしょうか?

 槇尾高の教頭(後に校長)が行った調査に、A県のある学区の上位校2校と下位校2校との「授業料免除者数・滞納者数」を比較したものがあります。困窮家庭には、授業料が免除される制度です。91年のデータによると、上位校の免除者数は1人、滞納者数は49人、中途退学者数は6人。ところが下位校の免除者数は88人、滞納者数は507人、中途退学者数は174人。家庭の経済格差と子供の学力格差は見事な相関関係にあったのです。実際、槇尾高には生活保護を受けている家庭も多数あります。親は貧困で生活に疲れきっており、自分が生きるだけで精いっぱい。子供のことまで考える余裕がない。子供は家庭に居場所がなく、勉強に取り組める環境もなく、小中学校では粗暴だ、勉強ができない、などと無視されてきた。

  ――「居場所としての高校をつくらないといけない」「支援教育」という言葉が印象的でした。

 彼らは放っておくと、男子はフリーター、女子はフリーターか風俗、または若年出産に至る未来が目に見えています。社会に出ても、教育困難で“社会常識”を身に付けていない子供たちは、正規の職業に就くのは難しい。不安定な非正規労働の末に行きつくのは、生活保護かもしれない。

  ――大きな社会的損失です。

 それらのリスクを抱えた生徒たちに対し、再チャレンジ高校では、従来とは違う新たな仕組みによって主体的に行事や部活に取り組めるようにし、生徒たちに自信や経験を身に付けさせ、自分の未来を自分で考え、卒業後も自活していけるようにする。「教育、福祉、労働」の三位一体の実現を目指して、教師だけでなく、児童相談所、地域若者サポートステーション、地域の自営業者など、さまざまな立場の大人を巻き込んで、生徒たちを、卒業後も含めて支えていきます。虐待や貧困のニュースが流れれば注目を集めますが、一方で社会の大半は「子供の貧困なんてあるの?」程度の認識です。しかし、何とか変えていかねばと行動する大人がいることで、“虐待のその後”が変わっていく。槇尾高が確実にひとつの結果を出しました。

(聞き手=和田真知子/日刊ゲンダイ)

 ▽くろかわ・しょうこ 福島県生まれ。東京女子大学卒業後、弁護士秘書、業界紙記者などを経て、フリーランスに。近著に「県立!再チャレンジ高校 生徒が人生をやり直せる学校」「PTA不要論」「『心の除染』という虚構 除染先進都市はなぜ除染をやめたのか」など。
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室井佑月が元官僚の古賀茂明に聞く!

2018-06-27 | いろいろ

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室井佑月が元官僚の古賀茂明に聞く!「なぜ佐川氏や柳瀬氏ら官僚は安倍首相をかばい続けるのか」

 財務省による森友文書改ざん、加計「首相案件」文書と、決定的な不正が次々と発覚したのに、いまも権力の椅子に座り続けている安倍首相。こんなことが許されているのは、疑惑のキーマンだった佐川宣寿・財務省前理財局長や柳瀬唯夫・元首相秘書官ら官僚が、自分に責任を被せられてもなお、「安倍首相からの指示はない」とかばい続けたからだ。
「なぜ官僚たちは、自分たちがこんなに追い詰められても安倍首相をかばい続けるの? 安倍ちゃんなんて、自分たちよりずっと頭も悪いのになんでへこへこ言うことを聞いてるの?」 
 こんな疑問を抱いた室井が、今回、「教えを乞いたい」と対談相手に指名したのは古賀茂明氏。周知のように、古賀氏は経済産業省の元エリート官僚でありながら、退官後は政治権力や官僚の失政、腐敗を徹底批判し続けている稀有な存在だ。安倍政権に対してもその対米追従政策や原発政策を真っ向から批判し、官邸からの“圧力”で『報道ステーション』(テレビ朝日)のコメンテーターを降板させられた。

「古賀さんなら、霞が関の不可解な言動の理由を一切の忖度なく、解説してくれるよ、きっと」
 そう期待して対談に臨んだ室井だったが、実際、古賀氏からは、佐川氏や柳瀬氏ら官僚に対する的確な分析はもちろん、「安倍さんはものすごく怖い人なんです」という安倍政治の本質をつく指摘も飛び出した。
 いったい安倍首相の「ものすごい怖さ」の正体とはなんなのか。戦慄さえおぼえるような対談、まずは前編からお届けしよう。
(編集部)

●新宿の焼き鳥屋で「I am not ABE」と言ったら、「イエーイ!」と盛り上がった!

室井 昨日、新宿の焼き鳥屋で飲んでいたら、隣に韓国語を喋っている2人組がいて。それで「文在寅大統領は、弱腰とか言われたり、日本ではあまりいいように報道されないけど、どんな悪口を言われても東アジアの平和のためにちゃんとやって立派だと思いました」と日本語で言ったら、たぶん半分だけ伝わって。最後に「I am not ABE」と言ったら、「イエーイ!」と盛り上がりました。古賀さんの「I'm not ABE」運動は続いています。でも、古賀さんって変わってますよね。官僚だったのに反権力で安倍さんを一貫して批判して。ってか、今日ぜひ聞きたかったのはなぜ森友加計問題で安倍首相は追い詰められたはずなのに佐川さん(宣寿・財務省前理財局長)や柳瀬さん(唯夫・元首相秘書官)たち官僚はなぜあんなに必死こいて安倍さんをかばうのか、忖度するのか。元官僚の古賀さんにぜひその心理分析を教えて欲しいんです。

古賀 それにはまず安倍首相の特異性から語らなければならないでしょうね。安倍さんは“目を合わせてはいけない”というたぐいの人なんです。たとえば、街に暴力団がやってきて「俺が仕切るぞ。逆らったらただじゃおかねえからな」という怖い顔をしていたとします。しかし、みかじめ料を払っておけば難癖もつけられないし、この前まであった喧嘩やゴタゴタもなくなる。商売が順調にできるようになったなと町人は錯覚するわけです。ただ、安倍さんが「この店、俺のものにしたいな」「ここに何か作りたいな」となったとき、「そんなのはダメです!」と反対したり抵抗する人がいると、バッサリやられる。だからなるべく、安倍さんとは目を合わせたくない。官僚もそうした安倍首相の特殊体質を熟知しているんです。そもそも安倍首相と闘おうなんて思っている官僚はいないと思いますよ。

室井 安倍首相は官僚にとっては、怖いヤクザみたいなもんなのか。でも、闘おうという官僚がいないなんて。

古賀 そもそも政治家は官僚から見ると“使うもの”なんだから。

室井 でも第二次安倍政権発足以降、「安倍政権がやりすぎたから俺たちがやっつけないと」と思わないんですか。

古賀 もともと官僚は、正義を実現しようだなんて思っていませんから。正義のためじゃなく、自分たち、または自分の省庁の利益のために働いているんです。


 「優秀な俺が、タダ同然で働いてやってる」!? 古賀茂明が分析する官僚たちの本音

室井 素朴な疑問なんですけど、官僚って本来、国のため、国民のために働くものでしょ? 官僚自身にそういう意識はないんですか?

古賀 大義名分として表向きはあるし、みんな「自分は国のために働いている」と信じていますけど、でもそれは嘘です。自分でそう信じようとしているけれど、自分たちが本当は何を求め、考えているのかちゃんと自覚できてない。そして本当はみんな、自分のために働いている。

室井 じゃあ公務員の中で、自衛隊の人が一番純粋かもしれませんね。国のためって思っていそうですもの。

古賀 役人を理解するには3つのタイプを分けて考えるとわかりやすいでしょう。ひとつは、消防士型。たとえば自衛隊だと「統合幕僚長になりたい」という野心がある人もいるだろうけど、消防士にそういうのはあまりない。「消防士になって偉くなりたい」「消防士になって金儲けしたい」という人はいないでしょ? 彼らに「火の中に飛び込んで、火を消して、何が嬉しいの?」と聞くと、「それで人の命を助けたり、家を守ったことで感謝されることが嬉しい」と。これが公務員の原点なんです。金や名誉、地位のためでもなく、「ただ国民・市民のために働きたい」というのが働く動機です。そういう人が報酬として何を求めるのかというと、「ありがとう」の言葉で、こういう公務員は市民から「困っているんです。助けてください」というお願いがあると、一生懸命考える。

室井 そんな人たちに私たちの血税、給料をあげたいです。

古賀 役所の窓口の人や、派出所のおまわりさんでもそうですよね。そういう人がいたら本当に市民は助かります。2つめは、中央エリート官僚型です。その典型が財務省のキャリア官僚です。なぜ公務員になったのか。それは「自分が一番優秀で頭がいいことを証明したい」から。小さいときからずっと、小学校で1番、中学校で1番で、高校も優秀な成績で、東大法学部に入れて勉強して優秀な成績を修めて、一番難しそうな「財務省に行くか」と。それで「財務省に入ったら次官を目指すぞ」というタイプです。そういう人たちは、給料は外資系のコンサルタント会社に行ったほうが高いですが、それよりも「すごーい!」と言ってもらうことが嬉しいんです。それが報酬なんです。上から目線でいられれば嬉しいし、「自分が一番」という思いが強烈だから、「自分たちはタダ働きしている」と思っています。

室井 は?

古賀 要するに、「俺たちは一番優秀で、こんなに国のために働いてやっているのに給料は安い」「だから天下りがあって当たり前だ」と。逆に「天下りをなくせという方がおかしい」と、それは不公平だ、という考え方です。特に財務省は強烈で「天下りは自分たちの権利」という感じなんですね。だから市民が「あれやってください」「これやってくれないと困ります」と来ると、どう思うかというと、「タカリだ」「またたかってきた」という思考回路になる。俺たちはこんなにいろいろ考えて、難しいことも調整してやっているのに、それでも、まだ、あれが欲しいとか言うのか!またタカってくるのか! と。

室井 でも柳瀬さんや、佐川さんは正義や真実解明ではなく、自分のために国会で堂々と嘘をついたってことですか? 

古賀 官僚はみんなそう思ってますよ。そして、「よくそんな細かいことでぐちゃぐちゃ言ってくるよな」という気持ちが根底にあると思います。「こんなことくらい別にどうってことないよ」と。それは麻生さん(太郎・財務相)も同じでしょう。

室井 わたしたちの税金で食わせてもらっているという感覚はないんですか?
エリート官僚は上から目線で国民を見下してるってことですよね。

古賀 そうです。こんな安月給で働いて「やってる」、という感覚だから、ありがたいなんてこれっぽっちも思っていないですよ。こんなはした金でこれだけ働かされて。俺たちがちょっと本気になればどれだけもらえると思っているんだ、と。

室井 こっちからすると、はぁ!?って言いたくなりますよね。「ありがとうございます」と思うのが普通なのに、「働いてやってる」って。じゃあ3つ目は?

古賀 凡人型です。なぜ公務員になったかというと「食いっぱぐれがないから」。このタイプは多くて、一番大事なのは安定した収入と天下りが確保されていること。そこしか関心がない。


  古賀茂明「安倍さんはものすごく怖い人物。執念深くて残虐」

室井 なんか普通の人や民間のサラリーマンと感覚が違いますね。

古賀 だから面倒なトラブルからは逃げるし、新しいことには関わりたくない。財務省の文書改ざんにしても、官僚からみると、「情報は国民のもの」ではなく「俺たちのもの」なんです。

室井 だから、モリカケでも、安倍さんをかばうという以上に、自己保身なんですね。国民なんてみんなバカなんだから、情報を与えてもしょうがないって意識が。ムカムカしてきた。

古賀 国民に情報を与えることは「危ない」とさえ思っているのでしょう。危険物だと。●●●に刃物、みたいな(笑)。

室井 安倍さんのほうが危険物だと思いますけど。しかも柳瀬さんや佐川さんって、みんな一生懸命勉強して東大を出て官僚になり偉くなった人でしょ。それなのに生まれた家柄だけで首相になった安倍さんのコマ、いいなりになって悲しいと思わないんですか?

古賀 確かに柳瀬くんも佐川くんも着々と上り詰めてきた。だけど、ここで安倍さんに逆らったらどうなるかというと、すべてが潰えてしまうわけです。次の人事で「あなたは勇退です」と簡単に切られる。いや、それで済めばまだいいけど。というのも安倍さんはものすごく怖い人物なんです。執念深くて残虐。これが安倍政権の異常性です。

室井 ……古賀さん、それを知っていて歯向かったんですか……!? テレビの生放送(『報道ステーション』)で「Iam not ABE」って……。それとも、歯向かってから残虐だと知ったんですか?

古賀 そうですね。安倍さんの残虐性は最近わかったかもしれない。

室井 怖い! ちょっと、この対談、やめようかな。

(後編に続く)
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飛躍的地位拡大のアマゾン

2018-06-26 | いろいろ

賀茂川耕助氏の「耕助のブログ」より

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飛躍的地位拡大のアマゾン

 米国の小売業界はここ数年、高い閉店率と破産率を記録し続けているが、原因の一つはオンラインショッピングの台頭にあると言われている。

 中でも1995年に書籍通販事業から始まったアマゾンは、今や世界40カ国以上を市場とし、条件が合えば注文の翌日に商品を入手できるというサービスを提供している。米国ではアパレル業界でも飛躍的に地位を拡大し、アマゾンに売り上げを奪われた全米最大の小売業者だったシアーズやメイシーズなどの百貨店は店舗の閉鎖やリストラを余儀なくされている。

 そんなアマゾンについて、去る4月、英タブロイド紙「ザ・サン」は、アマゾンが極限まで効率を上げようと、物流センターにおいて酷使される従業員の最新状況を報じた。イギリスのある物流センターでは休憩時間が厳密に管理され、一定時間にどれくらい商品を取ってこられるかを監視しているため、トイレ休憩を取ることを恐れて空き瓶の中におしっこをした従業員がいるという。

 トイレが作業場から遠く、用を足す必要があるのに無駄な時間を取っているとして罰せられ、職を失うかもという恐怖の中で働いているためそのような行動になったという。アマゾンの広報担当者は、トイレはすぐそばにあり、良い賃金と手当を提供し、アマゾンは人気の高い職場であると反論し、記事の内容を否定している。

 商品を顧客に早く届けるためにアマゾンが従業員を酷使していることを最初に報じたのは2012年、シアトルタイムズだった。その後、英BBCの記者が派遣社員として物流センターで荷物を集める「ピッカー」として潜入取材を行い、従業員たちが大きなプレッシャーのもと過酷な労働を課せられていることをリポートした。

 2015年にはアマゾン本社においても社員同士を監視させ、遅刻したりランチタイムを長く取っている同僚を「密告」する仕組みによって給料カットや解雇もあり、長時間労働を好み、休暇は取らず、仕事量にも内容にも一切文句を言わないのがアマゾンの「優れた従業員」だ、という記事をニューヨーク・タイムズが掲載している。

 アマゾンが全世界で約56万人を雇用し、CEOのジェフ・ベゾス氏は世界一の富豪で保有資産1120億ドル(約11兆8千億円)という事実は、米国の歴史を振り返れば目新しいことではない。北米先住民族を奴隷にし、次にアフリカ大陸から黒人を輸入して働かせ、第1次大戦頃までは鉱山や工場で児童労働は当たり前だった。カーネギー、ロックフェラー、グールドといった工業資本家は「泥棒男爵」と呼ばれ、巨大な富と権力で労働者を搾取し、近年企業は低賃金労働者のいる海外へ生産拠点を移してきた。

 しかしアマゾンの従業員はひどい待遇を嘆き続ける必要はない。なぜなら2030年にはそれらの仕事の多くがロボットにとって代わるとみられているためだ。それが資本家と企業経営者が最ももうかる方法なのである。労働者はむしろ、仕事がある間は給料をもらって雇われているという事実に感謝するべきなのかもしれない。
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古賀茂明「反安倍勢力に広がる無力感 沖縄県知事選も新潟の二の舞いか」

2018-06-26 | いろいろ

より

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古賀茂明「反安倍勢力に広がる無力感 沖縄県知事選も新潟の二の舞いか」

 モリカケ問題などで、安倍内閣支持率は、一時、第2次安倍政権成立後最低を記録した。その後も共産党が、財務省内で文書公開を巡って恣意的な選別を行ったり、官邸から法務省に影響力が行使されていることを示唆する文書の存在を暴露したりしていて、まだまだ火種は尽きない。また、文書がない、あるいは真偽不明などという話から、結局あったという展開になることも十分ある。かなり危うい状況だ。

 一方、安倍総理の武器と言われる外交では、日米首脳会談もG7サミットも不発に終わり、安倍総理の最大の庇護者であるはずのアメリカからも厳しい通商の課題を突き付けられてしまった。北朝鮮問題では、関係6カ国の中で、唯一置き去りにされるなど、徐々に、その戦略に対する不信感が国民の間に醸成されつつある。少なくとも外交で起死回生の一打とはなりにくい状況だ。

 こうした八方塞がりに見える状況にもかかわらず、世論調査では、安倍内閣支持率は下げ止まり、上昇の兆しすら見せ始めた。国会は32日間の延長が決まり、安倍政権は、主要法案をすべて今国会中に成立させる強硬策に出ている。野党が反対するだけでなく、世論調査でも今国会中の成立に反対の声が強い「働き方改革法案」や「カジノ法案」も、このまま行けば、「強行採決」も含めて成立させる準備は万端整ったように見える。

 さらに、秋の総裁選での安倍3選はほぼ決まりだというのが政治部記者たちの見立てである。

「こんなことがあってもいいのか」「日本の民主主義はどうなったのか」「どうしてこうなるのか、理由がわからない」「このままでは、終わってしまう」という声が、野党や安倍批判を展開する識者から聞こえてくる。さらに、「もう駄目だね」「もう終わってるんだよ」「疲れたよ」という諦めの声さえ漏れ始めた。

 ある韓国人の友人は、私にこう言った。「これだけ酷いことをされたら、韓国では政権に対する批判が一気に高まって、ローソク革命のような民衆の反乱が起きるのに、どうして日本では何も起きないのだろう」

 本当に不思議なことだと言いながら、その友人は別れ際にこんな言葉を残して韓国に帰国した。

―日本人は何でも許せるんだね
許せることはいいことかもしれないけど
許してはいけないこともあるんだよね
日本人は本気で怒れないんだね
怒らないのはいいことだけど
本気で怒らなければいけないこともあるんだよね
そうしないと、国が壊れちゃうんだよね―

 本当に、日本という国が壊れてしまうのではないか。海外の友人も心配するほどの深刻な状況だということだ。

■新潟県知事選敗北に危機感を持てない野党

 こうした日本の政治状況を端的に表す「事件」が起きた。6月10日投開票の、新潟県知事選で、自公が推す花角英世候補が勝利したのだ。地方では自民が強いから驚きではないと思う方も多いだろうが、この選挙は、野党にとっては、絶対に勝たなければならない選挙だった。なぜなら、今回の選挙では、野党有利の条件が、これ以上ないというほどそろっていたからだ。その選挙で勝てなかったのだから、野党にとって、これは衝撃のはずだ。

 そもそも、新潟は、昨秋の衆院選で野党が6小選挙区で4勝という全国でも珍しい野党優勢県だ。前回知事選では、連合と民進党(当時)が野党候補の米山隆一氏を推さなかったが勝利した。いわば、片翼飛行での勝利だ。一方、今回は、野党6党・会派が共闘した。前回よりもはるかに態勢が強化されたのだ。さらに、保守層に大人気の小泉純一郎元首相が新潟入りし、野党候補の池田千賀子氏を事実上応援した。

 それに比べて、モリカケ疑惑で自民党は不人気の極致だった。新潟入りした自民党幹部は街宣もできず、花角候補は、ひたすら自民色を消すことに必死だった。沖縄県名護市長選で破壊的威力を見せつけた、自民党の切り札、小泉進次郎議員が新潟県連の再三の要請にもかかわらず、応援に来なかったのも野党にとっては願ってもないことだった。

 さらに、浮動票がどの程度増えるかという観点で注目を集めた投票率も、事前予想に反して前回を5ポイントも上回った。もちろん、これまでの常識では、これは野党候補に有利な材料だ。

 安倍政権は森友・加計スキャンダルに苦しんでいる。この知事選に勝てば、来年の統一地方選や参院選を控え、自民党内では、「安倍政権では選挙を戦えない」と、安倍降ろしが始まる。これが安倍政権打倒の第一歩だ、と、一瞬、野党の夢は広がった。

 しかし、野党はこの“恵まれた”新潟ですら、勝てなかった。しかも、ショックなことに、浮動票が多いはずの新潟市内でもかなりの票差をつけられてしまったのだ。これでは勝てるはずがない。

 そこにはいくつか理由があるだろう。野党側が嘆くのが、「原発再稼働が争点にならなかった」ということだ。与党の花角候補が、徹底して「柏崎刈羽原発再稼働に慎重」という姿勢をアピールしたため、池田候補との違いが見えなくなったと言うのだ。しかし、果たしてそうだろうか。実は池田候補は、最初から「再稼働させない」と明言していない。米山前知事が始めた検証結果を待つ姿勢を示しただけだ。ニュアンスとしては脱原発だが、「絶対に動かさない」と言えなかったので、新聞などでは「慎重」という言葉で花角候補と同じように扱われてしまった。もし、「絶対に動かさない」と言っていれば、花角氏との差別化は可能だったはずだ。では、どうしてそう言えなかったのかと言えば、結局、連合などに気を使ったということなのだろう。

 花角候補は、当選するや否や、いかにも再稼働を否定しないととれる発言をして、野党側から、「やっぱり、嘘つきだった」と批判されているが、こうした「嘘」で票を集めるのは、鹿児島の三反園訓知事のときも同じだった。嘘だと暴くより差別化された公約を掲げられなかったことが敗因の一つだと素直に反省すべきだが、それを言うと、共闘態勢にひびが入るので、そうしたことを公に言う野党議員も市民連合幹部もいない。

■野党が直面する経済政策に関するジレンマ

 私は、池田候補を応援するために新潟駅前で演説をしたが、そこで感じたことがある。

 それは敵失に乗じた安倍批判だけでは、野党は自公に勝てないということだ。池田陣営の応援弁士のほとんどが森友・加計問題への自公の対応を面白おかしく批判した。それはそれで、的を射ていて、正しい批判ではあった。ただ、その演説は、太鼓をたたいて気勢を上げる「市民連合」には内輪受けしても、その様子を遠巻きに眺める一般市民には響かなかったようだ。

 私が声をかけた高校生たちの中には、「キモイ」と拒否反応を示す人も結構いたほどだ。

 では、なぜ、そういう反応になるのだろうか。その最大の理由は、市民の多くが、アベノミクスで経済が良くなったと信じ、しかも、野党の政治では、経済が悪くなると思っているからではないのかというのが私の分析だ。前者は野党側がよく「こぼす」ことである。自民のウソに市民が騙されているというのである。しかし、後者については、野党側から反省の声はあまり聞かれない。

 実は、野党が勝った前回知事選では、地元経済界に「隠れ米山派」がかなりいたことが知られている。米山氏が過去に自民党や日本維新の党に属していたこともあり、保守層にも一定の支持が広がったことや連合や民進党(当時)の支持が得られなかったことから、かえって保守層が支持しやすかったという面があったのだ。ところが、今回、経済界は割れなかった。それは、池田氏が、野党候補、すなわち、左の候補だというイメージが非常に強く出たからだと思われる。

 よく言われるとおり、スキャンダル追及や理念だけでは保守層はもちろん中間層も動きにくい。現実的な経済政策を打ち出せるかどうかが、野党側勝利の一つのカギとなる。さらに、経済振興策でも、「バラマキ」という印象を与えると野党不信がかえって高まる傾向があることにも野党は気づくべきだ。「弱者保護」的な政策を野党が打ち出しても、そんな政策は長続きしないと庶民は直感する。その原資はどこから来るのかについて野党がちゃんと語らないからだ。「弱者に分配すれば経済が良くなって税収も増える」などと言っても、庶民はまやかしだと感じてしまう。そして、「バラマキ」への不安が頭をもたげるのだ。

 面白いことに、自民党が弱者保護的な政策を掲げると、庶民は、「自民党もようやく私たちのことを考えてくれるようになった」と前向きな反応を示す傾向があるように見える。野党が言ったことを自民党がパクったとしても、同じ政策を掲げた野党批判とは全く違った評価になるのだ。これは、安倍政権が、普段から、「成長」「成長」と言っているので、そちらの方はちゃんとやりながら、一方で格差対策にも目配りしているという印象を与え、バランス感覚として、ちょうど良いと感じるためではないだろうか。

 自公が推す花角候補は、子育て、福祉などの公約も掲げていたが、「日本海縦断新幹線の整備」など、古びた感はあるが、経済面で夢を見させるような公約を派手に打ち出していた。しかし、池田候補には、それに対抗する明確な数字を伴うような公約がなかった。その差が3万7千票の差となったのではないだろうか。

■沖縄は新潟の二の舞いとなるのか

 新潟県知事選を終えて、非常に心配していることがある。それは今年11月に実施される予定の沖縄の那覇市長選と沖縄県知事選も新潟と同じ構図となり、与党候補が勝利を収めるのではないかということだ。

 反基地を掲げて前回選挙で自民候補に勝利した翁長雄志現沖縄県知事だが、すい臓がんを患い、復帰はしたものの、次の選挙に出られるかどうかはわからない。

 しかも、知事を支える連合体の「オール沖縄」から経済人が次々と離脱するという危機的事態に立ち至っている。その象徴が「かりゆし」グループと「金秀」グループの脱会だ。実は、沖縄でも、常に、基地反対と経済振興という二つの課題が二律背反のテーマとして取り上げられてきたのだが、近年は、県内のホテル、建設大手のツートップがこぞって「基地のない沖縄の方が経済発展できる」と主張したことで、経済界や一般庶民は反基地と経済発展が両立できると安心し、翁長知事や反基地候補に票を投じやすくなったという側面があった。

 もし、このまま、経済界が「オール沖縄」から離れていけば、沖縄県知事選は新潟県知事選と同じ構図になり、結果も同じになる可能性は極めて高いのではないだろうか。野党の経済政策への不信が根強い状況を考えれば、自民党がついて来れない、本気の規制緩和など既得権と闘う政策を打ち出せるかどうか。例えば、今回、安倍政権の骨太方針でも途中で落とされた、米国のウーバーや中国の滴滴出行などが展開するライドシェアの解禁。日本は大きく立ち遅れ、海外観光客も不満を高めているこの分野で、本土に先駆けてこれを解禁することなど、自民党ができない成長戦略を打ち出すべきではないだろうか。ただのバラマキでは、すぐに自民党にパクられて、また、「抱き付き作戦にやられた」と言い訳をしなければならなくなるだろう。

 これは、新潟や沖縄に限った話ではない。どんなに失点が続いても安倍政権が持ちこたえる現状に対して、「マスコミが悪い」とか「自民党が嘘をつくからだ」と嘆くのではなく、新潟県知事選に敗北した今こそ、野党は、敵失批判とただのバラマキ公約から脱して、自民との「違いがわかる」経済政策こそを「戦略的に」語るべきではないのか。

 もちろん、原発についても、拘束力のない脱原発基本法案を出しましたなどというアリバイ作りではなく、明確に「再稼働は絶対にさせない。すべての原発は廃炉に追い込む」ことを明確にした実体法を提案してほしい。そして、その政策を信じてもらうためには、連合との関係など、しがらみは、明確に断ち切ったという姿勢を示すことも重要だ。

 どん底にあるのは安倍政権だけではない。野党の方こそどん底にある。その危機感を持つこと、それが最初の一歩になるのだと思う。
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安倍政権が「終わる瞬間」はいつなのか?

2018-06-25 | いろいろ

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安倍政権が「終わる瞬間」はいつなのか?~森友調査報告書を精読する

区切りがついた、わけがない
首都大学東京教授 社会学者  山下 祐介



 財務省「森友事件文書改ざん報告書」を読む

平成30年6月4日、財務省による森友学園問題をめぐる公文書改ざんに関する調査報告書が公表された。その数日前の5月31日には大阪地検特捜部がこの問題について財務省職員らの不起訴処分を発表している。

これらにより、森友問題については一つの区切りがついた。一応、そういうことになっているようだ。

また加計問題についても6月19日、ついに渦中の加計孝太郎理事長が記者会見を行った。この会見のあり方には批判が高まっているが、加計氏の答弁でやはり安倍総理の関与はなかったことが裏付けられたと、官邸ではそういうふうに進めたいようだ。
当然、これらの問題に対し野党からは反論の声が続いている。

とはいえ、これまでを超えるような新たな事実が暴露されない限り、もうこれ以上、状況が変わることはなさそうだ。そしてすでに新しい事実はつきたかのようにも見える。

だが、これでモリカケ問題は決着ということでよいのだろうか。

いや、これほどまでに色々なことが明らかになっているのに、なぜモリカケ問題がいつまでも問題ではないことになっていくのか。このことをあらためてよく考えてみたいと思う。

まずは財務省による「森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書」をどう位置づけるか、今一度そこから検討してみたい。


というのも、この報告書については「内部調査の限界」が強く指摘され、問題を起こした財務相自身の調査では何も明らかにならない――と、そういう否定的な面ばかりが強調されたような気がするからだ。

だが、あらためて読んでみると、この報告書には内部調査だからこその自己批判がかなり色濃く潜んでおり、財務省の立場からすればかなり踏み込んだ表現になっていることをもっと評価した方がよいように思える。

そういう文脈で読むことでこそ、この問題を含めたモリカケ問題の本質が理解できてくるような気がするからだ。

財務省の報告書は、財務省のホームページに全文が掲げられており、誰でも読むことができる。

まずはこれまで、公式には「文書書き換え」と表現してきたものが、ここでははっきりと「改ざん」という言葉で表現されている。恥ずべき「改ざん」を財務省が認めたのである。

また、佐川理財局長なのか誰の指示なのかは明確にはなっていないものの、かなり手の込んだ複数人数による組織的な文書の改ざん、事実の隠蔽が確認されている。

そしてそこには少なからぬ職員の抵抗(とくに近畿財務局)があったことも明確に記されている。

なにより、2017年2月17日の安倍晋三首相の国会での発言をきっかけに、ものごとが発したことを財務省が認めた。

報告書の15頁に「平成29年2月17日(金)の衆議院予算委員会における内閣総理大臣の上記答弁以降」様々な作業が開始されたと明確に記されているのである。

そしてこの日に安倍総理が行った発言こそ、「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」というものであった。


 ふつうに読めば総理の「関わり」はある

この最後の点について、その後の麻生太郎財務大臣の国会答弁では、「総理答弁が問題行為のきっかけになったとは考えていない」と安倍総理や昭恵夫人の関係を否定してきた(6月5日衆議院財政金融委員会)。

しかし素直に報告書を読めば、この文書の書き手が改ざんのきっかけをこの発言においているのは明らかだ。そう読まない方がおかしいだろう。

公文書の中に首相夫人である安倍昭恵氏の名前があり、それを表に出さないよう隠したのが改ざん事件の核心であることを財務省が認めている。

こんなところに安倍昭恵夫人が登場していなければ、公文書改ざんなどという異常事態は生じなかったし、国会の空転などということもおきなかったと。

安倍総理はむろん、依然として自身の「関わり」を否定している。

しかし「関わり」という意味では、この報告書では明確に首相夫人との関係が確認されており、どう読んでも、森友学園問題をめぐる財務省文書改ざん事件に安倍首相との関わりがないとはいえない内容になっている。この事実を、私たちはこの文書からしっかりと拾い上げなくてはいけない。

ある土地取引の案件に、首相夫人が強く肩入れをはじめた。それもその学校当時者が夫人との関係を強調するにとどまらず、夫人との親しげな写真を示された上に、夫人付の職員から具体的な問い合わせまであった――このことが財務省の仕事を混乱させたことを財務相自身が認めているのである。

この責任は財務省にあるとはいえまい。たとえ悪気はなくとも、夫人が「李下に冠を正す」から、官僚たちの文書改ざんなどというおかしなことが起きるのである。

安倍総理には、総理として官僚装置を適切に動かしていく重大な責任がある。にもかかわらず、そこに不用意に夫人を近づけた(夫人が近づいた?)ことで生じた問題だ。

首相には明らかに関わりがあり、責任がある。財務省では一人が亡くなり、各方面から有能といわれた官僚が一人(二人?)、この件で辞めているのである。

「関わりはなかった」ではすまない。報告書はそのことを、今の財務省の立場上、可能な限りの記述で国民にうったえているように筆者には見えるのだ。

念のために述べておけば、この報告書は、森友学園が購入した土地の価格算定については何の検証も行っていない。

そしてこの土地取引の不当な値引き疑惑については大阪地検特捜部が立件をあきらめたのだから、法的には問題はないのかもしれない(ただし検察審議会での審議は残っている)。

しかし、たとえそうだとしても、財務省という我々国民にとって大切な精密装置に異常な作動を引き起こしたという現実は重く残る。

6月19日には会計検査院がこの改ざんについて検査院法違反であるとの経過報告も出した。総理はその責任を避けては通れないはずだ。


 加計問題「新しい獣医学部の考えはいいね」の波紋

とはいえ、森友問題については、この先を突き詰めてもこれ以上の話は出ないのかもしれない。財務省理財局内でも明確な指示がなく、「空気」で物事が進んだということだから、首相からの指示もなかったのだろう。

そして森友学園では元理事長の籠池泰典氏が詐欺罪等で起訴され、長期拘束の憂き目にもあい、学校建設も挫折することとなったのだから、国民としてはひとまずよしとしよう。

問題はやはり、すでにこの4月に開学してしまった加計学園の獣医学部の方が大きいだろう。

そしてお友達としては、籠池氏とは比較にならないほど安倍総理と加計学園理事長の加計孝太郎氏は親しいのであり、度重なる二人の会合の記録が残っていて、つねにゴルフや会食をともにしている普通ではない仲なのである。

しかもこのところわかってきたことには、加計学園側では、愛媛県と今治市に加計理事長と安倍総理の架空の面談までもちだし、総理が「新しい獣医大学の考えはいいね」と言ったという作り話までしたのだという。

愛媛県の文書に残っているこの打ち合わせ内容が、学園の事務局長によれば「その場の雰囲気で、ふと思ったことを言った」ものなのだそうで、このことを加計孝太郎理事長も会見で確認し、「これから気をつけます」と述べている。自身の監督責任も認めて、給与の一部自主返納までするのだという。

この件もまた、どう転んでも安倍総理には分の悪い話だ。

2015年2月25日に総理が加計孝太郎氏と会って話をしていたとすれば大問題だが、事務局長がいうとおり加計学園が愛媛県や今治市にそんな嘘を言っていたのだとしたら、それはそれでやはり大問題だからだ。首相の友人がまさに友人であることを利用して「何かを成し遂げよう」としたことになる。

そして愛媛県の記録によれば、加計氏はこのときすでに愛媛県などよりずっと政権にアクセス可能な立場にいたことも明らかだから、その嘘は単なる弾みの言葉ではすまない作用を愛媛県や今治市に及ぼし、結果として96億円もの交付金が動いたことになろう。

友人である加計孝太郎氏(ないしはその部下)が、首相との仲を利用して愛媛県や今治市を騙し、内閣府や首相官邸に入り込み、自分たちの利益になるよう画策した。

たとえ本人が知らないことであっても、そんなところに友人を近づけることを許したということにおいて、首相には十分に責任があるわけである。

すでに加計学園は開校し、新入生が勉学をはじめている。他方で同様に獣医学部開設を企画していた京都産業大学は開校できなかった。

加計学園が開学でき、京都産業大学が開学できなかった経緯には、「いいね」の話から数ヵ月後の6月30日に閣議決定された獣医学部新設の4条件が深く関わっているとも報道されている。

この一連の流れを見て、「安倍総理のお友達だから利権を得られたのだ」と思わない方が無理というものだ。

このプロセスは周到に積み上げられたようだから、法的には問題はないようにできているようだ。だが、政治的には問題がないとはいえまい。その決定には少なくとも総理がらみの「嘘」が紛れ込んでいるのだから。


 どちらかが嘘をついている

だがどうもみんながおかしいと思っているのは、やはり安倍首相が2017年7月24日に国会で行った答弁なのである。
   
報道によればこの間、加計理事長と食事やゴルフをともにしているにもかかわらず(「安倍晋三首相と加計孝太郎氏、食事やゴルフ14回 「食事代、先方が支払うこともあった」安倍首相」ハフポスト日本版、2017年7月24日付)、加計学園が国家戦略特区に応募しているのをずっと知らなかったのだという。

そして、2017年1月20日、国家戦略特区の事業者として加計学園が認められたときに、はじめて応募を知ったのだという。

あまりにも不自然である。

先の加計学園事務長のいう「その場の雰囲気で、ふと思ったことを言った」というコメントは、安倍総理のこの発言とつじつまを合わせようとするさらなる嘘に違いないと多くの人が思うのは当然だろう。

そもそも1月20日、総理はその事実をどのように知ったというのだろうか。

誰かが「加計さん通りましたよ」とでもいったのだろうか。

あるいは決裁文書の中に「加計学園」があったのを見つけたのだろうか。その時、驚いた総理の反応をまわりはどう受け止めたのだろう。

「なんだ、加計君だったのか。ははは。知らなかったよ」とでも言ってなければおかしいはずだ。誰かそれを証言してくれるのだろうか。

ふつうであればこの事件は、まわりの親しい誰かが「お前、本当は知ってたんだろう。いい加減なことをいうなよ」と言ってそれでおしまいの話である。

だが、それを誰もいわない。本人が嘘を認めればよいように思うが、国会の答弁で総理が嘘をついていたとなれば大問題だ。簡単には認めることはできまい。

もちろんこの国の総理が嘘をついているとは思いたくない。

だがもはや安倍首相か、加計孝太郎氏(および加計学園)かのどちらかが嘘をついていることになっており、そのどちらに転んでも安倍首相には責任が帰着する。

いったいこの先どうするつもりなのだろうか。


 安倍政権を支えるものとは?

ここまでの議論をまとめればこういうことだ。

森友と加計の二つの事件をめぐって安倍総理の政治責任は明らかである。

法的に問題はなくとも――いやそうであればこそ――政治的には問題がある。政治はこういう点で清潔でなければならない。総理はあまりにも脇が甘すぎる。

これではこの先何が起きるかわからない。

多くの人がそういっているように、森友事件は「安倍総理夫人が関係しているのは明白」である。

また加計問題も「総理との特別な関係をその友人(ないしはその部下)が利用したことは明白」だ。

この不都合な真実を安倍総理が認めないから、国会がいつまでも空転しつづけているのである。

  

しばしばこの問題、これを追及する野党に批判が及ぶが、「いつまでモリカケやっているのだ」という批判はどう考えてもおかしいだろう。

というのも、すでにもう事実は明らかだからだ。その明らかとなっている事実を、総理が認めないから、いつまでたっても話が終わらないのである。

とはいえ野党は野党で、例えば森友問題については麻生財務大臣の責任追及にばかり矛先を向けたことから、なかなか国民の支持が得られなくなったようにも思う。この戦略に多くの国民が苛立ちを覚えたのは事実だろう。

森友も加計も、いずれも麻生太郎財務大臣からはじまったものではない。財務省の監督責任はあるにしても、すべての原因は安倍総理にある。

むしろこの件でクリーンな麻生大臣を悪者にし、責任をとらせようとする野党の戦略こそが、安倍内閣の支持率低下を押しとどめているかもしれない。

問題は安倍総理であり、あるいはその周辺にある。総理のまわりに嘘が渦巻いている。財務省も、加計学園も、そしておそらく内閣府まで。そしてそのすべての発端は安倍総理にある。

筆者から見れば麻生大臣はその意味で潔癖であり、見方を変えればそれが今の政権を維持している最大の楯なのであろう。

他方で、その楯をつぶせば安倍内閣は終わりと見て執拗に狙っているのが野党の戦略ということなのだろうか。

とはいえ事実、一見強靱に見える安倍内閣も、実態は首の皮一枚でつながっているのではある。それは麻生大臣の辞任で即崩壊するものだから、野党も麻生大臣の責任追及をひたすら狙ったのだろう。

いや、脆いということでは実は、加計孝太郎氏や安倍昭恵夫人、場合によっては昭恵夫人付であった谷査恵子氏の証人喚問が実現しただけで、その証人喚問の実施を待たずして安倍内閣は総辞職するはずだ。

事実、6月19日の加計孝太郎氏の記者会見は、とても国会の質疑にたえられるようなものではなかった。


 重要な二つの問い

さて、こうしてみればこれらの事件の本当の核心は、安倍総理が森友事件に直接関わっているかとか、加計学園の獣医学部設置を総理が事前に知っていたかということではない。

国民のほとんどがわかっているように、森友事件に安倍夫人は関わっており、獣医学部の新設においても総理と友人とのただならぬ仲が関わっているのである。

首相の直接的な「関わり」は実際には小さくても、夫人や友人は明確に関わっており、「関わり」はなかったとはいえないものである。

しかも加計問題ではだれかが嘘をついており、それを確認する場が野党からも、メディアからも、国民からも求められている。

そしてそれを確認する場ができた瞬間に、おそらく安倍内閣はおわる――すでにそこまで追い詰められてはいるわけだ。

だとすれば、問いは二つになる。

なにゆえ、そこまで追い詰められているのにもかかわらず、安倍首相は自己の政権に固執するのか。これが第一の問いだ。

そして第二に、もっと重要な問いがある。

本来であれば総辞職すべきような案件が山積みになっているのにもかかわらず、なぜまわりは総理に「もうやめたらよかろう」と後押しせず、いつまでもこれを守ろうとするのかである。

後編ではこの二つの問いについて、さらに考えてみたい。

(何が総理の甘えを生んでいるのか? なぜ国民は安倍政権を支持するのか? 後編では、“事実を頑なに認めない”安倍総理を支える力の「正体」に迫る)
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モリカケ潰しと国威発揚 安倍政権がほくそ笑む“W杯狂騒”

2018-06-24 | いろいろ

より

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モリカケ潰しと国威発揚 安倍政権がほくそ笑む“W杯狂騒”

 サッカーワールドカップ(W杯)のコロンビア戦でまさかの勝利を収めた日本代表に日本中が沸いている。とりわけ、テレビは朝から晩までサッカー一色。コロンビア戦の勝因分析や次のセネガル戦の予想に加え、決勝の勝ち越しゴールを決めたFWの大迫勇也を大きく報道。高校時代の大迫と対戦した相手選手が試合後に漏らした「ハンパないって」というフレーズを繰り返し流し、早くも「今年の流行語大賞だ」とバカ騒ぎしている。

 NHKの日本対コロンビアの平均視聴率は、関東地区で48・7%(関西地区44・1%)を記録。そんな日本全体が「W杯狂騒」に包まれている状況に、ローマ時代の「パンとサーカス」のごとく、ほくそ笑んでいるのが安倍政権だろう。W杯前にテレビ・新聞であふれていた「モリカケ問題」も「過労死法案」も、きれいさっぱり吹き飛んでしまったからだ。

 どんどん下がる内閣支持率に顔色が冴えなかった安倍首相もW杯開幕後は表情が一変。ツイッターで〈今夜から、いよいよ、サッカー日本代表の熱戦が始まります。がんばれ!ニッポン!〉と投稿し、日本代表と同じ青いユニホームを着てニヤケる姿を披露したと思ったら、コロンビア戦後に出席した全国信金大会では「やればできるんです。(略)重ねてきた鍛錬と自分に眠っている能力を信じて最後まで頑張って、これが勝利につながったのだろうと思います」と大コーフン。日本代表の勝利を引き合いに、自身の禊が済んだかのような口ぶりだった。

 そうしたら、このタイミングを計ったように、政府与党は突然、野党の反対を押し切って通常国会の会期を7月22日まで32日間延長することを決めてしまったのだ。


■ 勝手に会期延長を決めながら野党の声を聞く気なしの身勝手

 国会の会期延長は、与野党関係なく、全会派にかかわる重要な問題だ。本来であれば、与野党の党首会談や幹事長会談などを開いた上で慎重に決めるべきなのに、与党だけで勝手に会期延長を決め、衆院議長に申し入れたのだから許し難い。「過労死法案」や「カジノ法案」などの悪法を何が何でも成立させる狙いだろうが、会期内に成立しない法案は廃案が原則だ。「数の力」で押し通すのは民主主義政治の破壊行為にほかならない。

 「過労死法案」も「カジノ法案」も各メディアの世論調査では「成立させるべきではない」との回答が6~7割にも及ぶ。そもそも国民の多くが法案成立を望んでいないのだ。法律や政策は立法事実(ファクト)を踏まえて作られるのに、安倍政権は最初から結論ありき。「過労死法案」の柱である高度プロフェッショナル制度(高プロ)でも、厚労省が必要性を聞き取り調査したのは法案要綱作成後だった。

 法案成立に都合の良い情報だけを集める一方、都合の悪い情報は隠蔽するか、ウソをつくか、改ざんする。国民を愚弄したイカサマ政治に嫌悪感が広がっているから法案に反対する声が多いのに、W杯の熱狂のドサクサに紛れて強行成立を企んでいるワケだ。しかも、「現代のゲリマンダー」と批判されている、参院の議員定数を6増やす公選法改正案までゴリ押しする気だから言語道断だ。河村衆院予算委員長は発言を訂正したが、河村や自民党幹部と20日会食した安倍は、「もう集中審議は勘弁してくれ」と泣きついたという。会期は延長しても野党の声には一切耳を傾けるつもりはないらしい。身勝手この上ない独裁体質だ。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。

 「モリカケ問題で政権がやってきたことは、ひたすら論点をずらし、争点回避すること。さらに会期延長で審議時間が長く、論点が多様化すれば、問題の全体像が把握しにくくなり、いずれは国民も忘れてしまうと思っているのでしょう。テレビメディアがW杯報道に引っ張られるのを見て、逃げ切れると踏んでいるのだと思います」

 国民も随分とバカにされたものだ。


 安倍政権はサッカーW杯に続き、ラグビーW杯や東京五輪を疑惑隠しに利用する

 「ニッポン!」「ニッポン!」……。コロンビア戦後に東京・渋谷のスクランブル交差点や大阪・道頓堀で手を叩いて絶叫し、乱痴気騒ぎしていた一部の若者らの姿は戦前の日本を彷彿とさせた。日本代表に祝意を示さない国民は「非国民」扱いしかねないような異様な雰囲気だったからだ。ナチス・ドイツやスターリン時代の旧ソ連でみられた「全体主義(ファシズム)」のような不気味さを感じ取った国民も少なくなかっただろう。

 コロンビア圧勝の下馬評を覆した日本代表の勝利を称えることに論をまたないが、必要以上に持ち上げたり、大騒ぎしたりする風潮や翼賛報道は極めて危ういといえる。オリンピックを国威発揚(高揚)に利用した旧東ドイツや旧ソ連といった、かつての共産圏諸国と同じ思想だからだ。

 もっとも、ネトウヨがバッジを着けたような議員が少なくない自民党や、安倍政権を支える戦前回帰の右翼思想団体「日本会議」にとっては好都合なのだろう。日本代表に向かって懸命に国旗を振るサポーターや、「ニッポン!」を連呼する若者の姿は、“大日本主義者”が目指す「愛国心教育」とダブるだろうし、W杯に国民の注目が高まるほど、安倍政権の疑惑が覆い隠され、封じ込められる。まさに「一石二鳥」になるからだ。

 「サッカーのW杯が終われば、ラグビーのW杯、そして東京五輪……。現政権は今後もナショナル・イベントを国威発揚や疑惑隠しに利用するでしょう。『パンとサーカス』の政治そのものですが、結局、問題は何も解決されず、先送りになるだけ。国益が失われる状態が続くのです」(五野井郁夫氏=前出)


■ このまま浮かれていると、行き着く先は国民生活の破綻

「どうしてみんな揃って国歌を歌わないのか。国歌も歌えないような選手は日本の代表ではない」

 リオ五輪選手団の結団式で、東京五輪・パラリンピック組織委会長の森元首相はこう言ったが、今後、森のような国家主義的な洗脳思想を強いる連中が出てくるのだろう。そして、その傾向は「日本会議」と思想信条がピタリ一致する安倍が次期総裁選で3選すれば事態は加速する。タダでさえ、公文書を改ざんしても、ウソをつきまくってもおとがめナシの無法政権が、東京五輪を錦の御旗に大暴走するのだ。悲願の憲法改正に向け、安倍も思い切りアクセルを踏み込むのは間違いない。だが、突っ走った先に待ち受けているのは破局だ。法大名誉教授の五十嵐仁氏がこう言う。

 「安倍政権がこの5年間に強引な手法で成立を急いだ特定秘密保護法や安保法、共謀罪などは、いずれも北朝鮮の脅威などを理由にしていましたが、北を取り巻く国際情勢が激変した今、エネルギーと時間の無駄遣いだったことがハッキリしました。そして、その間のアベ政治によって、三権分立も議会制民主主義も総崩れになり、経済や外交もメタメタ。アベノミクスは異次元緩和の出口すら見えず、外交では米ロにだまされ、北からは相手にもされず孤立化している。現実に目を向けず、やれW杯だ、東京五輪だと浮かれていると、行き着く先は国民生活の破綻。死屍累々の状況を覚悟した方がいいでしょう」

 米国のミシェル・オバマ前大統領夫人はホワイトハウスの最後のスピーチでこう言っていた。

 「権利と自由は、毎日、毎日、獲得し続けなければならない」

 5年後、10年後、子や孫から「なぜ安倍政権の暴走を止めなかったのか」と問われた時、「番狂わせのW杯の勝利に酔いしれていたから」「東京五輪で大騒ぎしていたから」なんて答えたくないだろう。冷静に物事を見つめ、決して狡猾政権にだまされてはダメだ。
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古賀茂明「米朝会談立役者の文在寅大統領の邪魔をする安倍総理の思惑」

2018-06-23 | いろいろ

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古賀茂明「米朝会談立役者の文在寅大統領の邪魔をする安倍総理の思惑」

米朝首脳会談が終わった。

【写真】韓国の文在寅大統領と握手する安倍晋三首相

 この先、良い方向に向かうのか、それとも戦争への危機が再び訪れるのか、誰にも分らないが、そのカギとなるのが、米朝間の「信頼」醸成ができるかどうかだ。

 両国の不信の関係には長い歴史があり、お互いが、「相手は過去に何回も自分を裏切った」と思い込んでいる。ゲームの理論などを持ち出すまでもなく、素人的な感覚でも、この両者の間に信頼を醸成するのはほとんど無理だという結論になるだろう。ニュースの街頭インタビューを見ていても、北朝鮮は信用できないという市民の声は非常に多い。

 しかし、「特別な環境変化」が原因で、今回は相互に協調行動をとる可能性が生まれるはずだというのが私の見方だ。どういうことか。

 これまでの北朝鮮との交渉では、失敗すれば、仕切り直しで、時間をかけてまた次のディールをするというのが前提だった。しかし、北朝鮮が核とミサイルを開発したことによって、この取引の前提条件が崩れた。今回は失敗すれば核戦争になり、双方が破滅するという、言わば、本物のチキンゲームに変質した。それを理解すれば、これまでの取引の履歴はいったん「リセット」して、もう一度、破局を避けるための協調行動を模索するというステップに入ることができるはずだ。損得勘定で論理的に考えれば、それしか双方が生き残る道はないということがわかる。それを前提にして、このタイミングで米朝交渉が実現したのは、トランプ大統領が、ビジネスマンとしての「直感」で、また、金正恩委員長が独裁者の自己防衛本能で、今がその転換点だということを察知したということだろう。もし、これから始まる交渉の中で、米朝間に最終的に強い信頼関係が醸成されれば、本物の妥協が成立することになる。

■安倍政権は「環境変化」についていけない

 日本では、北朝鮮の歴代トップは悪の権化だという強いイメージが定着している。特に安倍政権は、北朝鮮が核兵器とミサイルを保有するのは、武力で韓国を併合したり、日本に先制攻撃を仕掛けてくるためだと本気で信じ込んでいるようだ。つい2月ごろまでは、今にも北からミサイルが飛んでくるという宣伝を一生懸命行っていた。しかし、この考え方は根本から間違っている。 

 北朝鮮の最大の心配は、アメリカに攻撃され、体制を潰されるということだ。それを防ぐための唯一の手段として選んだのが、核とミサイルである。だから、「核とミサイルを手放せば制裁を解除する」といくら言っても、北朝鮮がアメリカを信じていない以上は、何の意味もない。手放せば、自分が殺されることを容認するのと同じだからだ。

 一方、元々アメリカから身を守るための手段としての核・ミサイルだから、アメリカが、北朝鮮を攻撃したり、裏で動いて体制を崩壊させるようなことを絶対にしないという「確信」が持てれば、核もミサイルも必要なくなる。少なくとも、論理的にはそうなる。

 そして、金正恩委員長は、それを望んでいるはずだと、トランプ大統領は確信したのではないか。これは、トランプ氏が変人だからそう考えたのではなく、金委員長の立場に立って、論理的に考えれば当然の帰結である。

 なぜかと言えば、まず、金氏にとって、自己の体制存続のためには、アメリカから身を守ることは必要条件だが、実は、十分条件ではない。北朝鮮の経済は非常に厳しい状態に置かれていて、韓国はもちろん、最近では中国にも大きく引き離されてしまった。中朝国境を行き来する北朝鮮人民から見れば、その落差は歴然だ。いくら鎖国状態を保っても、少しずつそういう情報は広がる。自国の困窮状態が続けば、いずれは人民蜂起という事態も十分にあり得る。金氏はまだ若い。これから40年くらいは体制を維持していかなければならない。アメリカから攻撃されなくても、その40年を鎖国状態のまま乗り切れることはないということは、スイスで教育を受けた金氏にはよくわかっているはずだ。だから、核・ミサイルと同じかそれ以上に経済復興が優先課題となっている。核とミサイルを捨てれば、確実に体制保証が得られ、経済制裁が解除されるのであれば、金委員長にとっては、一石二鳥である。

 先代の金正日総書記は「先軍政治」を掲げ、軍事最優先主義を貫いた。金正恩氏も当初はそれを引き継いだが、すぐに、これを経済復興と核・ミサイル開発の「並進路線」に転換した。「経済」が自己の命を守るカギだということを知っているからだ。そして、今年1月の新年の辞では、並進路線をも脱して、事実上の「経済集中路線」を宣言している。正式には4月の朝鮮労働党中央委員会総会での決定によるのだが、実は1月には既に宣言されていた。だからこそ、1月から驚くような融和路線への急転換があったのだが、その路線転換を日本の大手メディアは伝えなかったので、日本国民は最近までこれに気づかなかった。もちろん、安倍総理の頭の中は、昔のままであった。

■核・ミサイルの完全廃棄までに不信の連鎖は起きないか?

 上記のように考えると、今回の米朝会談が、真の恒久和平につながる可能性は十分にあると見るべきだ。しかし、論理的にはそうであっても、本当にそれが実現できるかはまた別の話だ。

 なぜなら、核・ミサイル廃棄には時間がかかる。物理的にも1年や2年では無理で10年以上かかるかもしれないということは、ようやく、日米のメディアの間にも理解され始めた。しかし、今も、「時間がかかる」と言うと、「一括ではない」から「段階的」だとして、「後退だ」と決めつけて騒ぐメディアも多い。

 しかし、時間がかかるのには、物理的な理由があるし、また、最終的に核・ミサイルが完全に廃棄されて今後も開発されることはないという判断をするには、結局、北朝鮮が嘘をついていないということを「確信」するという、「主観的要素」が最後まで残る。つまり、信頼が築けなければ、終わりは来ないのである。

 もし、その「確信」に至る長い時間、北朝鮮に、ひたすらアメリカを信じて、一切、何の見返りも期待せず、作業を続けろと言うのは、どう考えてもフェアではないだろう。そんなことをすれば、イスラエルやインド、パキスタンが核兵器を持っていても普通の国として遇されているのに、北朝鮮だけがこんな仕打ちを受けるのは不当だというそもそも論が蒸し返されるのは、むしろ当然のことではないかとさえ思う。

 そこで、北朝鮮が、自分はやはりアメリカに騙されているのではないかと疑心暗鬼になってしまえば、また核戦争の危機に逆戻りである。最後の最後の段階までそのリスクがあると考えるべきだろう。

■文在寅大統領の賢い外交を邪魔をする安倍総理

 今のチキンレースの中で、北朝鮮が一方的に敗北宣言をする可能性は非常に低い。一方、繰り返しになるが、米朝双方とも、冷静に考えれば、相互に協力することで、戦争という甚大な損害を回避し、さらには、新たな経済的利益を双方に呼び込むような取引も可能である。トランプ大統領の米朝首脳会談後の記者会見の前に記者団に見せられたビデオでの、核・ミサイルを放棄した後の北朝鮮の明るい未来絵図は、まさに、この問題を損得で考えようという提案をしたものだ。正義とかメンツとかではなく、「損得勘定」で双方ウィンウィンとなるディールの答があり得ることを双方が正しく認識すれば、真の信頼関係が確立されるまでの間は、「損得勘定」で何とか良い方向への交渉を続けて行くことが可能となる。

 これまでのところ、両者の間の信頼を高めるのに大きな役割を果たしているのが韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領だ。彼の働きによって、今回の交渉がここまで進んだと言っても過言ではないだろう。金正恩委員長のご機嫌を取りながら不安感を弱め、トランプ大統領をおだて上げ、習近平国家主席にも気配りしながら、とにかく和平に向けて邁進している。小国としては、これが真の賢い外交だと言っても良いのではないだろうか。


 韓国には、米朝間で戦争が起きたら最大の被害者になるという危機感がある。これまでの数千年の歴史上、中国の脅威と戦ってきた小国にとって、今は、米中の狭間で北朝鮮とも向き合いながら、どうやって国の安全を守り、発展を継続させるのか、それを真剣に考えれば、何とか和平を実現しようと考えるのはある意味自然なことだ。一方、これまで何度も北朝鮮に煮え湯を飲まされてきたのも事実。時には武力攻撃も受けて、死者まで出している。にわかに北を信じようと言っても、韓国国民はそう簡単には受け入れない。

 それでも文大統領が和平に向けて突き進むのは、前述した「環境変化」を敏感に感じ取り、「損得勘定」を武器に米朝をうまく説得するという戦略を頭に持っているからではないだろうか。単に、「お互いを信じましょう」と言うだけでは、ここまでの事態打開はできなかったはずだ。

 一方の安倍総理は、完全にアメリカにはしごを外されて、慌てて、日朝首脳会談を模索し始めてはいるが、この段階になっても、二言目には、完全な非核化と拉致問題解決までは「制裁」は解除しないと言い続けている。裏では、トランプ大統領に対して、「北は嘘つきですから要注意ですよ」と言って、不信感を煽っているのではないかとさえ疑われる。しかし、そんなことをして、何の意味があるのだろう。おそらく安倍総理は、北朝鮮が核・ミサイルを開発したという重大な環境変化を、「あってはならないこと」だから「認めない」という愚かな心理状態に陥っているのではないか。一日も早くその周回遅れの頭の中をリセットしてもらいたい。

■平和の配当を享受するべきだ

 米朝会談の前に行われたG7サミットは大失敗に終わり、G7は終わったという声もある。アメリカは、中国と貿易戦争の一歩手前だし、G7諸国とも鉄鋼・アルミの関税問題に加え、自動車への関税大幅引き上げという劇薬にも手を付ける姿勢だ。このままアメリカと各国の通商戦争が激化すれば、世界貿易が縮小する事態もあり得る。

 そうなれば、中身のないアベノミクスの頼みの綱である外需が頭打ちとなり、アベノミクスはたちどころに変調を来すだろう。

 こんな時だからこそ、日本経済の底上げに繋がるかもしれないプラス材料を真剣に探さなければならない。

 米朝交渉が成功し、もし最終的に、核廃棄の合意が実現すれば、その後は経済制裁の解除、米朝国交正常化、そして北朝鮮への経済支援というシナリオが進む。

 北朝鮮のGDPは日本円で1.8兆円(2016年)ほどに過ぎないが、国民の教育水準は決して低くなく、12万平方キロの国土に約2500万人の人口を抱えている。周辺に日本、韓国、中国東北地方、ロシア極東地域が広がることを考えれば、米朝和解で地政学上のリスクがなくなった後は、この国は“北東アジアの新しい経済フロンティア”となり、国際的な対北朝鮮投資ブームが起きるはずだ。現に、韓国では、ロッテグループ、通信大手KT、観光業の現代峨山などが北朝鮮への投資を検討する特別な組織を設けたと報じられる。

 日本もこのチャンスを見逃すべきではない。北朝鮮への経済協力を協議する国際的な枠組みをリードするくらいの勢いで、これまでの圧力一辺倒の政策とは一線を画した、独自の経済協力の絵図を描くべきだ。

 2002年の日朝平壌宣言で、日本は北朝鮮に経済協力を約束している。その宣言を活用し、たとえば日本の新幹線を北朝鮮に供与・導入するというアイデアはどうだろう。4月27日の南北会談で署名された「板門店宣言」では、ロシア国境から朝鮮半島東部沿岸を縦断する「東海線」についての鉄道と道路の高度化を目指すと書いてある。その東海線をシベリア鉄道、さらには日韓海底トンネルで九州と連結すれば、日本から朝鮮半島を経由してヨーロッパにつながる壮大なユーラシア横断鉄道が完成することになる。中国の一帯一路構想と並ぶプロジェクトにもなるだろう。

 北朝鮮の電力インフラの整備に乗り出し、モンゴルで太陽光発電した電力を日本に送る巨大な送電網=アジアスーパーグリッドの建設の主役になってもいい。ソフトバンクがこの構想に深くかかわっているのもチャンスの芽になるはずだ。

 こう考えると北朝鮮和平が実現すれば、日本経済を元気にするビジネスチャンスは無限にあると言っても良い。早い段階から北朝鮮と経済協力の構想を話し合うなかで相互間に信頼が生まれれば、決して簡単ではないが、拉致問題の早期全面解決も視野に入る。

 不安なのは安倍政権が今後も北朝鮮敵視政策を続け、圧力路線に頑なにこだわることで、国際的な陣取り合戦で取り残される、という点だ。今からでも遅くはない。安倍総理は一番苦手なことかもしれないが、自らの不明を恥じて、これまでの態度を変更しますと宣言し、文大統領とトランプ大統領の努力を側面からサポートする役を担ったらどうだろうか。

 トランプ大統領は「対北経済協力資金、非核化のコストは日韓が拠出する」と公言している。このままでは日本は米韓に後れを取り、なおかつ、南北双方に恨みを買うことになる。その結果、トランプ大統領の言いなりになって、サイフ役としてその資金供与はさせられるが、経済プロジェクトの果実の配分には与れないということになりかねない。

 一方の韓国は、資金も出すが、その果実も最大限享受することになりそうだ。

 安倍総理は、メンツにこだわるのを止めて、平和の果実を日本にももたらすような戦略を早急に考える時だ。
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安倍首相と加計理事長、共通する鉄面皮 国民はもう辟易

2018-06-22 | いろいろ

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安倍首相と加計理事長、共通する鉄面皮 国民はもう辟易


 “腹心の友”がようやく出てきたと思ったら、疑惑払拭には程遠い、国民を愚弄するばかりの記者会見だった。

 加計学園の加計孝太郎理事長が19日、一連の問題について初めて公の場で口を開いたのだが、愛媛県文書の核心である2015年2月25日の安倍首相との面会については、「もう3年も前のことなので記憶にも記録にもない」と否定。2月25日前後に首相と電話やメールで接触した可能性についても、「ございません」と強調した。だが、首相と面会していないのであれば2月25日当日、何をしていたのか。自身の詳しい日程など一切の根拠を示すことなく全面否定されても、納得などできるものではない。

 首相と獣医学部の話を初めてしたのはいつか、という質問では、「計画が決まってからではないか」と言いながらも「覚えていない」と答えた。それなのに、首相が加計学園の計画を知った17年1月20日以降か、と問われると「そういうことだと思う」と言うのだからメチャクチャだ。

 すべては理事長と首相との面会を“勝手に”捏造した渡辺良人事務局長の責任。で、「減給10%・6カ月」の処分を下し、理事長自らも監督責任として給与10%を1年間返納でチョンということらしい。

 事務局長の捏造には、「あくまで(計画を)前に進めるためだったと聞いている」「申し訳なかった」と言うだけ。そうしたことが起こる学園のガバナンスについては「これから気をつけます」。軽すぎる口先だけの反省の弁を残し、予定の30分を5分早く切り上げ、理事長は逃げるように会見場を去った。

 「記憶にも記録にもない」という言い回しや、記憶にないくせに安倍との関わりについてだけは「ない」と断言するところは、いかにも安倍政権の常套手段を彷彿させる。文言を含め、官邸との連携プレーなのか。そんな疑惑まで浮上する会見だった。

 コラムニストの小田嶋隆氏はこう言う。

 「大阪の震災の直後のうえ、サッカーW杯の日本戦当日という誰もニュースを見ないだろうというタイミング。『理事長はなぜ説明しない』という批判をかわすための“アリバイ会見”にしか見えません。タイミングといい、『記憶にも記録にもない』という発言といい、政権と打ち合わせがあったのではないかと疑ってしまいます。そもそも『部下が嘘をついた』という説明自体、卑怯なストーリーだと呆れていましたが、加計理事長は人前に出ても平気で同じ言い訳をする。『卑怯者』という泥をかぶってでも安倍首相をかばわなければならない、ということがよく分かりました」

 首相の名を語って、国家戦略特区の認可を勝ち取っても、政権から訴えられることもなければ、「これから気をつける」で済んでしまう。今後、同じような詐欺が増えるんじゃないか。このフザケた会見に、さすがに与党からも「自分が野党なら、ますます疑惑は深まったと言うだろう」(公明党幹部)という声が上がっている。


 安倍政権が続く限り、内部告発も続

 森友問題でも決定的な新事実が出てきた。18日の参院決算委員会で共産党が示した国交省の内部文書は、これまでの政府答弁を完全に覆すものだ。

 森友学園が小学校用地として国有地の賃貸契約を結んでいた時期に、安倍昭恵夫人付職員だった谷査恵子氏が財務省に照会していた一件。これまで安倍も佐川宣寿前理財局長もみな「制度に関する事務的な問い合わせ」とトボケてきた。ところが、大阪航空局の担当者の名前が記された内部文書には、2015年11月12日に財務省の近畿財務局から谷氏の照会に関する報告を受けたとして、次のように書かれているのだ。

 〈貸付料の減免、土壌汚染対策工事中の免除等はできないのか〉

 どう見てもこれは、“値下げ交渉”だろう。財務省が〈森友に対しては、現行制度上で最大の配慮を行っている〉と回答したという記述もある。とても「制度に関する事務的な問い合わせ」とは読めない。さらにこの内部文書には、ご丁寧に〈安倍総理夫人は、森友学園が開校を計画している「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長に就任しています〉と手書きで“注意喚起”までしてあるのだ。

 このやりとりの翌年、学園は賃貸から売買への転換を申し出て、鑑定価格の9割引きという破格の売買契約が結ばれた。籠池前理事長は、「神風が吹いた」と言ったが、夫人の関与はあった。まさにそういうことなのだろう。

 同じ決算委で共産党は別の新事実も暴露している。これも国交省のものとみられる内部文書で、ナント、大阪地検の森友捜査に官邸が介入したことをうかがわせるものなのだ。

 文書では、財務省の調査報告書の公表が刑事処分の時期に依存しているとして、〈官邸も早くということで、法務省に何度も巻きを入れている〉と生々しい。やはり検察はこうした官邸の圧力に屈して佐川らを不起訴にしたのか。

 安倍は不意打ちのような新事実の連打に動揺したのか、答弁がシドロモドロ。文書の真偽が不明だとして「架空の状況だから答えようがない」と逃げの一手だった。

 上智大教授の中野晃一氏(政治学)はこう言う。

 「文書は内部告発でしょう。モリカケ問題に対する政府の対応はおかしいと思っている人がさまざまな組織にいる。安倍首相一人をかばうために日本全体が腐っていく。そんなことを許してはいけないという怒りだと思います。安倍首相やその周辺が嘘に嘘を重ねていることを、多くの国民は分かっているし、官僚だってそうでしょう。この政権が続く限り、モリカケ問題は終わりませんよ」

■ 日本の政治を嘘まみれにした悪辣と大罪

 愛媛県文書に書かれた安倍首相と加計理事長の面会話は、もとをただせば、官邸で愛媛県や今治市の職員と会ったのかどうかを問われた柳瀬唯夫元首相秘書官が「会った記憶はない」と言い張ったことに端を発する。結局、柳瀬の答弁は真っ赤な嘘だったのだが、この柳瀬といい、佐川といい、そして19日の加計理事長といい、3人に共通するのは、ノラリクラリと曖昧な発言を繰り返すくせに、「安倍夫妻の関与」につながることだけは「ない」と言い切ることだ。アベ様だけは守るという異常性とそのためなら国民など欺いてもへっちゃらという鉄面皮。そんな異様な景色が見える。

 安倍は自分の保身のためなら、親友だろうがなんだろうが、なりふり構わず嘘を言わせる疫病神だ。そこに国民は不信感を覚える。前出の中野晃一氏は、「あまりのモラルの欠如に、国民はげんなりしています」と言ったが、だから、メディアの直近の世論調査で内閣支持率こそ若干上向いても、森友問題は「決着がついていない」という人や、加計問題での安倍や学園の説明に「納得できない」という人が8割近くにも上るのである。

 「モリカケ問題を、よくある政治家の利益誘導と言う人がいます。確かに、昔から力のある政治家は身内びいきをしがちです。しかし私は、モリカケ問題は、そうした利益誘導よりとんでもなく悪辣だと思う。安倍首相が自らの過ちを絶対に認めないために、何十人も巻き込んで嘘をつかせ、日本の政治を嘘まみれにしてしまったのですから」(小田嶋隆氏=前出)

 国民の信用を失ったデタラメ政権に、まともな震災対応などできるはずがない。実際、安倍は地震発生の18日夜、自民党の岸田政調会長と高級料理店でメシを食っている。総裁3選への協力で念押ししたのだろう。国民の生命財産より自分の延命が大事。そんな私物化政権には、一日も早く退陣してもらわねばならない。
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官房機密費「支出先文書は5年で廃棄」「9割が領収書不要」の実態

2018-06-22 | いろいろ

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官房機密費「支出先文書は5年で廃棄」「9割が領収書不要」の実態

本来と異なる使途に流用されている…?
NPO法人情報公開クリアリングハウス理事長 三木 由希子



 機密費の使途はわからない

 2018年1月19日、最高裁は、内閣官房機密費(以下、「機密費」)の支出に関する行政文書の一部の公開を命じる判決を出した。

 それまで総額(2018年度予算では約12億円)しかわからなかった機密費のごく一端が、情報公開されることになった。

 機密費は、官房長官の判断で使用されており、情報収集や非公式に合意や協力を得るための相手方への対価、慶弔費等に支出されている。

 今回公開が命じられた範囲には、具体的な使途は含まれていない。

 公開されたのは、月ごとの総額の収支や払出した総額だ。具体的な使途がわかる情報は、内閣官房の行う業務への支障になるとともに、外交・安全保障上の不利益を被るとして、非公開とすべきと最高裁は判断した。

 機密費の使途が公式に公開されたことはこれまで一度もないが、政界工作や世論工作にも用いられていると言われている。過去には何度か、金銭の渡った先が話題になっている。

 例えば、2000年には政治評論家に機密費から金銭が渡っていたと週刊誌で暴露された。また、2002年に日本共産党は、入手した機密費の金銭出納帳とされる文書を公表した。それによると、与野党の政治家に機密費から金銭が渡っていたことが記録されていた(https://www.jcp.or.jp/activ/activ45-kimituhi/)。

 2010年には、1998年の沖縄県知事選で、保守系新人候補者に3億円が機密費から渡っていたことを、当時副官房長官だった鈴木宗男氏がTBSのインタビューで証言した。

 この知事選では、現職知事が落選し、保守系候補者が当選しているため、機密費が影響したのではないかと言われている。

 このような断片的に伝わってくる機密費の使途は、本来の支出可能な使途の範囲を超えて流用していた疑いが指摘されている。

 さらには、政策や選挙結果、世論が左右されているのではないかと強く疑われるが、この先、情報公開請求によっては公開しなくてもよいという最高裁のお墨付きを政府はもらったことになる。

 しかも、情報を非公開にできるだけでなく、実は機密費の使途を記録した行政文書は、5年間保存の後、廃棄していることが筆者の情報公開請求の結果わかった。

 機密費の使途等が記録された行政文書は、内閣官房の保有している「その他内閣庶務関係」という名称のファイルで保管されていた。

 この名称で行政文書ファイル管理簿を検索すると、保存期間が5年、保存期間満了後の措置に「廃棄」とあるため、5年保存で廃棄されることがわかったのだ。

  

 3つの支出目的

 実は、筆者は3年前から、機密費の使途に関する行政文書の保存期間が何年であるのか、保存期間が満了したら廃棄か国立公文書館へ移管するのかを把握しようと試みてきた。

 前述の通り、機密費が政策形成や意思決定に重大な影響を与える使われ方をしていると思われるからだ。

 機密費は、正式には報償費という。1947年度から予算に計上されており、「内閣官房の行う事務を円滑かつ効果的に遂行するため、当面の任務と状況に応じて機動的に使用することを目的とした経費」(平成30年1月19日最高裁判決)とされている。

 支出目的別に「政策推進費」「調査情報対策費」「活動関係費」に分けられている。それぞれの支出目的は、次のように内部ルールで定められている。

 まず、政策推進費は、施策の円滑かつ効果的な推進のため、内閣官房長官の高度な政策的判断で機動的に使用する経費だ。

 内閣の重要政策の企画立案や総合調整に使用され、重要政策の関係者等に非公式に交渉や協力依頼等の活動を行う際に合意や協力を得るために支払う対価等として用いられる。

 調査情報対策費は、施策の円滑かつ効果的な推進のため、必要な情報を得るために必要な情報収集等の対価や会合の経費にあてられている。

 活動関係費は、政策推進、情報収集等の活動が円滑に行われ、目的が達成されるように支援するための経費とされている。重要政策の関係者等との交渉、協力依頼、情報収集等の活動に必要な経費、相手方への謝礼、慶弔費等に使用されている。

 機密費が、少なくとも内閣の重要政策やそのほかの施策を進めるための対価として用いられていること自体は、政府も認めている。

 どこにどのような案件で支出したのか自体が、内閣の重要政策に関する意思決定に至る過程に影響を与えるので、支出先は政府の意思決定や判断を跡付け、説明責任を果たすために重要な情報だ。

 また、機密費は官房長官の判断で支出されていくので、政治的な責任を伴っている。

 前述の沖縄県知事選に機密費を使ったとすると、本来の目的外に流用している可能性が高いが、使途を秘密にすることで、予算の目的外流用もわからないという構造になっている。

 その一方で、最高裁の判決や機密費の使用方法を考えると、すぐに情報公開させることもなかなか難しい現実がある。

 そうすると、長期保存して将来的な検証に委ねることが、今の段階で唯一、機密費が政策に与えた影響や、不適切な流用により選挙や世論に影響を与えたか否かを図る方法になるだろう。


 機密費の9割が政策推進費

 しかし、機密費は使途を非公開としているだけでなく、5年で支出に関する行政文書そのものもなくなることがわかった。

 それに加えて、実はもう一つ問題がある。それは、使途が行政文書として保存されているかどうかも疑わしいという問題だ。

 おそらく、筆者が確認した行政文書ファイルに含まれる機密費の使途は、「調査情報対策費」と「活動関係費」に関する文書だろう。

 この二つの経費は、事務補助者(おそらく職員)が、支払決定書に基づき支払いを行っているからだ。これは、行政文書として残る。

 しかし、「政策推進費」は、官房長官が自ら直接相手方に支払っている。手持ちがなくなると国庫から払い出されて官房長官の手元に補充され、一説よると官房長官室の金庫に保管されているという。

 この支払いには領収書が必要なく、官房長官が個人で管理しているため行政職員が関与していない。

 最高裁判決で公開された情報から、機密費の約90%がこの政策推進費の支出であることがわかっている(2018年3月21日 毎日新聞「官房機密費 9割が領収書不要 政府、支出文書を初開示」)。

 過去に流出したとされる機密費の使途を記録した文書等には、ノートに支出先を書き込んだ子どものお小遣い帳のようなものがあり、官房長官が個人で記録を作っているようではある。

 方法は別にして、少なくとも内閣の重要政策の推進のために使っているので、誰にいくら支払ったのかなどは、官房長官の手元に必ず記録が残っているはずだ。

 しかし、「政策推進費」は、行政職員にその使途情報が渡らないよう管理がされているので、記録は高度な政治レベルで抱えておくもの、という慣行の中で扱われてきている。

 行政文書として管理するとなると、そうもいかなくなるので、何か記録があっても、それを組織的に管理する行政文書として扱うかは別問題になるし、政治的に決断しない限り残ることはないだろう。


 作成と保管の双方に課題あり

 また、政権交代が一定期間ごとに起こらない日本の政治状況であるものの、政権交代があったときに政界工作や世論工作の記録でもある政策推進費の使途をそのまま引き継ぐことは考えにくい。

 例えば、2009年9月の民主党への政権交代が決まった後、当時の河村官房長官が2億5千万円を政策推進費から払い出していたことが、今回公開された情報からわかっているが(前掲毎日新聞)、このようなお金の使途の情報が次の政権の手に渡ることもないだろう。

  

 しかし、政権交代が決まっている段階で多額の機密費を払い出していることまでは、わかるようになった。

 土壇場で多額が払い出されたなら、本来の使途と異なるものに流用されたのではないかという疑念が出てくる。

 機密費問題は、高度な政治的判断で支出がされるのだから秘密でやむを得ないという考え方が根強い。

 しかし、使用の目的が内閣の重要政策の推進のための対価として交渉や協力依頼に用いる以上、重要政策の形成過程、決定過程の記録として重要な意味を持っている。

 公文書管理法は、意思決定過程を合理付に跡付け検証できるよう文書の作成を義務付けている。作成された文書は、検証できるように保管されてなければ意味がない。機密費は、この作成と保管の双方に課題があることになる。

 政治的問題で難しいと言っているだけでは、課題に向き合ったことにならない。

 さしあたり、5年で廃棄する機密費文書はいったん廃棄を凍結し、機密費の使途をどう記録し、保管し、引き継いでいくのかを議論する必要がある。

 現在、森友文書改ざんと交渉記録の廃棄問題、防衛省日報問題を受けて、昨年度に続き公文書管理法について、見直しの議論が与党・政府で行われ、6月11日から公文書管理委員会での議論がはじまる。

 改ざん問題から罰則の導入や電子決裁に推進、監視機能の強化などの必要性が、一つの社会的議論の方向になっている。

 その一方で、まったく同じ問題はそうそう起こらないので、一連の問題を想定した強化策にとどまると、小手先の改善になってしまう。少なくとも、一連問題は行政の問題であると同時に、政治レベルの指導性や説明責任の問題が大きかった。

 しかし、政治レベルの説明責任を徹底する方向に議論が動いていない。官房機密費問題や、以前に取り上げた佐川前国税庁長官の日程表一日廃棄問題など、タブーなしに公文書管理の問題を議論すべきだ。
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「加計学園」理事長の記者会見 不信感しか残らなかった原因とは?

2018-06-21 | いろいろ

より

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「加計学園」理事長の記者会見 不信感しか残らなかった原因とは?
 臨床心理士が分析する 岡村 美奈

 さすが学校法人「加計学園」を西日本有数の学校法人グループへと成長させた人物と皮肉のひとつも言いたくなる。問題が報じられて以降、自分が初めて公の場に姿を現すには、今が絶好のタイミングだと読んだのだ。


取材できたのは地元メディアのみ

 理事長である加計孝太郎氏が緊急会見を開いたのは、岡山にある加計学園本部。6月18日の朝に起きた大阪の地震にメディアはどこもかかりきり。せっかく大手メディアが駆けつけても、取材できたのは地元のメディアのみ。その会見も「校務があるから」と25分で切り上げられた。

 内容はというと、愛媛県や今治市に虚偽の報告をした件について、当該職員と理事長について処分が決まったという報告。担当者が虚偽報告をしたと学園側が発表したのは5月26日。それから数週間経っているのに、今になってわざわざ緊急理事会を開き、緊急会見を行った。

 どんなことでも、自分にプラスになるように利用する。このタイミングの緊急会見に誰もが、保身のためというより、これで問題に区切りをつけ、次へと進めるための策士的な計算を感じたのではないだろうか。それだけに、会見中の態度を見ても、真実を話そうという意識が感じられなかったのだ。


書面をもつ手が震えている

 冒頭、やや緊張した面持ちで用意してきた書面を淡々と読み上げた加計理事長。続けて一緒に会見に立った岡山理科大学の柳澤康信学長が、獣医学部の今後の役割について書面を読み上げた。人前で話すことなど馴れていると思うのだが、書面をもつ手が震えている。なぜそこまで学長が緊張しているのだろうと、少々訝しくなる。

 もとより、これまでの経過から、加計理事長に対しては疑念や不信感を持っていた。そこにこのタイミングでの会見だ。いいイメージを持てるはずもない。なのに質疑応答が始まると、加計理事長は記者に向って、やや斜に構えて顎を上げて立っていた。この姿勢は、相手を見下しているような印象を与える。理事長の立ち方の癖かもしれないが、いかにも尊大な権力者のイメージが強くなった。

 質疑応答が始まると、加計理事長の顔には汗が吹き出し、瞬きが増えていく。見ている側は、そこに欺瞞のサインが表れていると感じるだろう。

 嫌な質問には、答えながらもすっと視線を質問者から外していく。答える度に身体が大きく前後左右に揺れるのも、不安や動揺と捉えられやすい。

 動揺すればそれだけ揺れは大きくなるが、人は嘘をつこうとする時、ついている時は、身体の動きは逆に小さく、少なくなると言われている。「事務局長が勝手にやったという認識か」と聞かれ、「はい、そうです」と答えた時は、逆に身体がほとんど揺れなかった。その後も問題の核心に触れるような質問に答えている時は、身体の揺れが小さくなる。動きが多くなる方に目が向きがちだが、見ている側はそんな動きの変化を敏感に感じ取り、はっきりはわからないが何かがおかしいと思うものだ。


人は真実とは違うことを言おうとすると……

 話し方や言葉使いからも、真実を話しているようには感じられない。

 愛媛県への誤った情報について「担当者に伝えるよう何ら指示があったのか」と聞かれた加計理事長は、目を瞬かせると「担当者が」と言い、そのまま「あ~う~」と言い淀み、「そのような誤解を生むようなことを言ったことに」とさらに間を空けながら説明した。

 このタイミングで記者会見を開いた理由について聞かれた時も同様だった。

 人は真実とは違うことを言おうとすると、頭の中にある真実を抑制する必要がある。すると言い淀んだり、言い間違ったり、話の途中に不自然な間が空いたりする傾向が多くなるのだ。

 「総理に対して獣医学部の話はしなかったか」など、答えたくない質問には、「はい」と短く返答をした加計理事長。真実を話そうとする人は、それを証明しようと詳しく細かく説明をしようとするものだ。同じ質問を繰り返されれば、前とは違う情報をそこに少しでも加えていこうとする。だがそうでなければ、同じ質問をしても、短く答えるか、同じことを繰り返すだけだ。「覚えていません」「ありません」「思いませんでした」など、短く同じ答えを繰り返している様子は、下手に説明して辻褄が合わないことを言わないようにしたとしか、聞こえない。


 「獣医学部新設も加計ありきだったのでは」と問われると、淡々とした表情で国家戦略特区へと話をすり替えていく。自分たちを、虚偽の報告を行って国会を停滞させた側ではなく、「申請者側」と答えた時も、自分たちを弱い立場へ方向づけ、そうせざるを得なかった的なイメージへとすり替えてしまう。この論法も、真実を話していないのではと思わせる要因だ。

 国会を停滞させたことについて「申し訳ない」と言いながら、表情は変わらない。この会見中、何度も申し訳ないという言葉を口にしたが、声の調子も変わらず抑揚がないため、その発言に感情がこもっていないことがわかる。だから言葉に合わせて、きっちり頭を下げることがない。冒頭、頭を下げた時も表情を変えることもなく、口先だけの実にあっさりしたもの。頭を下げながら記者たちを見続け、その反応をうかがっている形だけの謝罪でしかない。


左目だけ一瞬、微妙に引きつったように瞬き

 だが、そんな加計理事長の表情がひときわ強張ったのは、「安倍首相に獣医学部の話をしたのはいつ?」と聞かれた時だ。目の表情が暗くなり、口元にも力が入る。さらに突っ込まれて、仲の良さを質問されると、左目だけ一瞬、微妙に引きつったように瞬きをした。疑われていると感じたのか、何度も視線をそらす。安倍首相との関係については、やはり気を使っているのだ。

 それなのに、部下が首相の名前を使って虚偽報告をしても「虚偽発言と言えば虚偽の発言なんだろうが、前に進めるために」と悪びれる様子もなく平然と答えていた。やったもの勝ちの不遜さとでもいおうか、巧妙な経営者のイメージがついてくる。

 安倍首相の「(虚偽報告をした加計学園に)抗議する必要がない」という参院予算委員会での答弁を聞いていても、虚偽報告をしたという加計学園の事務局長が、今治市に1人で謝罪に行き、「つい言った」「言ったんだと思う」とへらへらしながら説明していたのを見ても、安倍首相と加計理事長、二人の間に何もなかったと言われて、それを鵜呑みにするのは難しい。

 会見を早く終わらせようと、最後にはいい加減な生返事を繰り返し、「もう、もう」と何度も司会の方を向いていた加計理事長。虚偽報告について「指示はしていない」と言うが、タイミングを計ったかのように記者会見した経営者が、首相の名前を利用しない訳がないと思うのは、果たして私だけだろうか。
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