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阪神間で暮らす-2

テレビを持たず、ラジオを聞きながら新聞を読んでます

「コミュ力重視」の若者世代はこうして「野党ぎらい」になっていく

2018-07-15 | いろいろ

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「コミュ力重視」の若者世代はこうして「野党ぎらい」になっていく

「批判」や「対立」への強い不快感
成蹊大学教授 野口 雅弘



 政党不信が深刻である。とりわけ「野党」への不信の広がりとその深さは、前代未聞のレベルに達している。総選挙で躍進した立憲民主党への支持も5%程度で伸び悩み、希望の党が解散してできた国民民主党にいたっては、支持率は1%にも達していない(参考)。こうした傾向は少々のことでは変わりそうにない。

 「野党がだらしないからだ」。こう言う人がたくさんいる。たしかにそうかもしれない。しかし、「だらしなさ」加減があまりにひどいので、「野党ぎらい」が高まっている、という説明だけでは、この不信の底の深さは理解できないように思える。

 このエッセーでは、既存の「野党」だけに一方的に責任を負わせるのではない仕方で、「野党がきらい」という雰囲気について考えてみたい。


 麻生財務相の「新聞読まない人」発言から考える

 麻生太郎財務相は先日、6月24日の講演で、「はっきりしていることは10代、20代、30代前半、一番新聞を読まない世代だ」と指摘したうえで、「新聞読まない人たちは全部、自民党(支持)だ」と述べ、物議を醸した。


 たくさんの調査が示しているように、年代別の自民党支持率では、「若者」の支持率の方が断然高い。近年、「政治に関心があります」と言って、講義の後に私に話しかけてきてくれる学生はだいたい「保守」だと名乗る。

 ジェンダー、歴史認識、憲法改正など、いずれの論点でも変わらない。かつてのように「問題意識がある学生は左」ではまったくない。政権与党が18歳選挙権にかなり前向きだったのも、この傾向をよく把握してのことだろう。

 たしかに新聞を読む/読まないが政党の支持に与える影響はあるかもしれない。しかしここでは別の視点で考えたい。自民党を支持する10〜30代世代の「コミュニケーションのあり方」という視点である

 いまの「若者」は、物心がついたときから「コミュ力」(コミュニケーション能力)が強調されてきた世代でもある。

 学校でも職場でも、ナチュラルに感じよく会話ができれば、ものごとは円滑に進む。社会の流動性が激しくなり、かつてのようにずっと同じ職場で、同じメンバーと仕事をすることが当たり前でなくなれば、即座に当たり障りなくフレンドリーな関係を作り、その場の「空気」をうまく読み、それを継続する「コミュ力」がその分だけ評価されるのも当然ではある。

 実際、大学のAO入試や、企業・公務員の就職試験で、集団討論(グループ・ディスカッション)を取り入れているところも多い。大学の教員のなかにはゼミの運営に苦労している人も少なくないので、「この学生がいれば、ゼミの討論がうまくいくだろうな」という印象は重要な判定基準になる。

 ただ、こうした社会の「要請」は、それにうまく応えられない人に強い負荷を強いることになる。コミュニケーションがいまいちうまくいかないということ自体の問題ではない。むしろ「うまくいっていない自分を他者はどう思っているのかという再帰的な視点」(貴戸理恵『「コミュ障」の社会学』青土社、2018年、12頁)が、「コミュ障」(害)と呼ばれ、あるいは自分をそう感じる人の思考と振舞いを縛ることの方が重要である。

 コミュニケーションは相互的なものであるので、「コミュ障」を特定の個人の「自己責任」にすることは、そもそもおかしい。

 しかしここで注目したいのは、こうした「コミュ力」が求められる世界の政治的な帰結である。

 「コミュ力」と称されるものの測定基準は、コミュニケーションの軋轢、行き違い、齟齬とそれが生み出す気まずい雰囲気を巧妙に避け、会話を円滑に回すことである。逆に、「コミュ障」と呼ばれる人がそう呼ばれるのは、会話がすれ違ったり、お互いの言い分が感情的に対立したりして、それを調整するのに骨が折れるような「面倒臭い」事態を招くからである。

 もしコミュニケーションの理想がこうしたものになりつつあるとすれば、ここに「野党」的なものの存在の余地はほとんどまったくない。

 野党がその性質上行わざるをえない、いま流れているスムーズな「空気」を相対化したり、それに疑問を呈したり、あるいはそれをひっくり返したりする振舞いは、「コミュ力」のユートピアでは「コミュ障」とされてしまいかねない。

 「コミュ障」と呼ばれないためには、極力「野党」的な振舞いをしないように気をつけなければならないということになる


 「抵抗」の思想家を毛嫌いする

 「コミュ力」信仰が「野党ぎらい」を助長する――これまで述べてきた仮説を肌身で感じることがある。

 私の担当科目「現代政治理論」で扱ったテーマのなかで、今年ダントツで評判が悪かったのが、藤田省三だった。丸山眞男のもとで学び、高度経済成長による日本社会の変容と批判的に対峙した思想家である。

 講義では「離脱の精神――戦後精神の一断章」(1978年、『精神史的考察』所収)を紹介したが、「抵抗」なきデモクラシーは「翼賛」になりかねない、と主張する藤田に、共鳴する学生はほとんどいなかった

 最後に学生に書いてもらったオピニオン・シートには、藤田に対する違和感と嫌悪の言葉が並んでいた。「たんなる老害」というコメントすらあった。

 「公的なもの」の喪失を危惧するハンナ・アーレントの評判は決して悪くない。しかし、彼女とともに「全体主義」について考え、経済的な豊かさという「安楽」にすら「隷従状態」を見た思想家は、いまどき受け入れがたいらしい。


 「こだわり」や「情念」は忌避される

 こうした状況を考える際に、ヒントとなる用語がある。「キャッチ・オール・パーティ」である。

 かつて政治学者のオットー・キルヒハイマー(Otto Kirchheimer, 1905-1965)は、脱イデオロギー化して、特定の階級や支持層ではなく、幅広い国民的な得票を目指す政党をcatch-all party(日本語の政治学の文献では「包括政党」と訳されている)と呼んだ。

 イデオロギー的にさして違いがない政党が競争することになるので、政治リーダーの「好感度」が重視されるようになる。ここでは「こだわり」を持って抵抗したり、金切り声をあげて反対したりすることは忌避される。「キャッチ・オール」するためには、誰からも嫌われないように振舞わなければならない

 「キャッチ・オール・パーティ」の世界は、「コミュ力」の世界と同じではないが、重なるところがある。

 このタイプの政党のプレイヤーは、ある特定課題に「こだわり」を持つ人たちや、ある法案に必死に抵抗しようとする勢力を排除する。これをスマートにやることで、彼らは感じのよい振舞いをディスプレイする。

 この「感じのよさ」の基準からすれば、法案に反対してプラカードを掲げる野党議員や、暑い夏の日に、タオルを巻いて座り込みを続ける人たちの評価はどうしてもよいものにはならない。

 「こだわり」を持つことも、「情念」を出すことも禁じられれば、対抗する側(「野党」は英語ではoppositionである)はその分ますます無力になる。おかしいと思う問題に「こだわり」続ければ、「まだやっているのか」と言われ、不正義に憤って大きな声を出せば、「冷静な議論ができない」と言われ、党内で論争しただけで「内ゲバ」と言われる。


 そして恐ろしいことに、そうしたレッテル貼りには、抗いがたいほどの共感が広がっていく。

 しきりに「コミュ力」が強調される時代に、与党と野党の競争は、人びとが思っているほどフェアではない。感じのよさ(「好感度」)をめぐる競争にあって、政権与党であるプレミアムはあまりに大きく、野党であることのハンディキャップはあまりに重い。


 野党がなくなったらどうなるのか

 そもそも、政党の役割とはなんだろうか。

 実は、古代からの党派・政党へのコメントを集めてみれば、そのほとんどが否定的なものである。一部の人が徒党を組んで「全体」の利益を損ない、足の引っ張り合いをし、憎悪の感情をぶつけあう。いい感情を抱くことの方が難しいかもしれない。

 こうした通説に対して、例外的に政党を評価したのが、「保守主義の祖」として名前が出ることが多いエドマンド・バーク(Edmund Burke, 1729-1797)だった。

 民衆の感覚から遊離して「宮廷の私的恩寵にもとづいて君臨する」権力に対しては、「公共的人間が広範な民衆の熱烈な支持を背景としてこの集団に対抗して固く団結する以外には断じてこれを封じる手段が存在しない」と、彼は主張する(「現代の不満の原因を論ず」『バーク政治経済論集』法政大学出版局、2000年、85頁)。

 権力者とその取り巻きが私利私欲に走らないようにするには、民衆の不満を吸い上げ、民衆に支持される、対抗する党派が必要である。彼はこうして政党政治を擁護する。

 ある個人に権力が集中し、それが「お友達」のために使われる。こうした「一強」と我田引水が過ぎれば、対抗勢力は人びとからの支持をより多く受けることになる。そうなれば権力者はそれまでの「おごり」を反省せざるをえなくなるし、場合によっては民意を味方につけた対抗勢力によって打倒されるということにもなる。

 しかし、今日の日本では、政権党/野党というコードに基づいた緊張関係のロジックはまったく働いていない。

 森友・加計学園問題で政権への不満や批判はそれなりに高いレベルに達している。しかしそれにもかかわらず、「野党」への支持は広がっていかない。それどころか逆に、そうした問題を指摘し、追及すればするほど、「野党」叩きの方が高まっていく状況にある。


 「アクティブ・ラーニング」と野党ぎらい

 野党があまりに「だらしない」から、野党の支持が低迷しているという説明が見落としていることがある。野党という存在やそれがそうせざるをえない振舞い方が嫌われているので、野党が何を言っても、何をしても嘲笑されるという連関である。

 そしてこの「野党ぎらい」はコミュニケーションを過剰に重視する風潮と無関係ではない。「コミュ力」が高いとされるのは「野党」にならないように振舞うことができる人のことであり、会話の中で地雷を踏むことにビクビクしている人は「野党」の役回りに追い込まれることを全力で避けようとする。

 近年、教員の一方的な知識提供ではなく、学生の主体的な学びを重視する「アクティブ・ラーニング」が広がっている。基本的には肯定的に捉えてよいだろう。しかし、ここで行われるグループ・ワークは、メンバーの顔色、そしてその後ろにいる教員の顔色をうかがうことを強いる同調的なコミュニケーションを促進しているのではないかと思うこともある。

 政党政治のロジックは、皆で仲良く建設的に「会話」することと同じではない。現在の「政治教育」では、「野党」の意義はむしろますます見えにくくなる。

 政治家の感覚が庶民感覚からズレていることを問題にすることも、ときには大切である。しかし政治を身近なことに引きつけて「わかりやすく」論じようとするがあまり、自分たちのコミュニケーション・スタイルの基準でしか政治を論じられなくなっているとすれば、それも政党政治を閉塞させる。

 「コミュ力」が賞賛される世界では、野党が野党であることで評価してもらえる可能性はない。

 違いや軋轢を避けたり、笑いにしたりするのではなく、その対抗性をそれなりに真面目に引き受けること。相手の批判に腹を立てても、それなりにそれと向き合うこと。こうした可能性の乏しいコミュニケーションは同調過剰になり、表層的になり、深まらず、退屈で、そして疲れる。

 いまの政局の行詰まり感は、「コミュ力」のユートピアが政党政治の世界に投影された結果の成れの果てではないか。
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日本は「首相が誰と会ったかわからない国」から卒業できるか

2018-07-14 | いろいろ

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日本は「首相が誰と会ったかわからない国」から卒業できるか

これは、どう見ても異常事態だ

NPO法人情報公開クリアリングハウス理事長 三木 由希子



 首相の活動が確認できない

加計学園問題では、安倍首相が加計理事長といつ会ったかを、新聞の首相動静とFacebookで確認したと答弁。官邸の入館記録は1日保存で廃棄しているので、誰がいつ面会に来たかわからない。

柳瀬秘書官(当時)は、加計学園側との面会を愛媛県職員作成文書の存在が明らかになるまで、記憶にないと言い通した。首相や官邸幹部が何をしているのかは、行政文書で確認できないことがさも当たり前かのようになっている。

「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向」と書かれた文科省文書が明らかになって以来、加計学園問題において、文書に書かれていることが言った言わないが問題になり、書かれていることは相手が勝手に書いたり言ったりした虚偽になり、会ったか否かは文書で確認できなければなかったことになるということを繰り返してきた。

国家戦略特区による獣医学部新設をめぐり、便宜供与があったか否かが争点の政治問題だ。そのため、記録がないことより、それを埋める文科省文書や愛媛県文書、今治市文書などに注目が集まる。

しかし、首相をはじめ官邸幹部の持つ権力と反比例して、その活動が行政文書として確認できないことは、明らかに異常な状況だ。

そして、首相をはじめ官邸側にはその活動を行政文書に記録し、説明責任を果たすという権力としての基本的な作法がない一方で、それを棚に上げて公文書管理の徹底を各行政機関に求めるというのは、完全なダブルスタンダードだろう。

首相をはじめ政権幹部の活動記録は、残されないのが当然なのだろうか?

以前に、「『佐川氏の日程は1日で廃棄』情報公開請求でわかった衝撃の実態」で、日本の実態とアメリカの状況を紹介した。

今回はさらに、アメリカで大統領をはじめ幹部職員や政府活動の記録がどう残されているのかを見ていきたい。


 米大統領の日程表

米大統領は、任期中の公務の記録を保全し、国立公文書館記録管理局(National Archives and Records Administration; NARA)に保管され、それぞれが大統領図書館を建設して最終的にはそこで保管、公開される。

各大統領図書館はNARAによって運営されるが、運営は寄付金などでまかなわれ、建設から運営まで公費を使わない仕組みになっている。

各大統領図書館のウェブサイトを見ると、大統領任期中のスケジュールが公開されている。全部公開されずに、部分的に非公開になっているところもあるが、それでも、1日のスケジュールが克明に記録されていることがわかる。

2001年に就任したブッシュ大統領の2005年9月14日のスケジュールは、全部で12ページ。ここでは最初の一枚のみ掲載しているが、注目してほしいのは、AM7:05からとAM9:05からの部分。Pとあるが、これは大統領が電話をかけたということ。誰にいつ電話をしたのかまで記録されている。【1】

  

白抜きになっていて(b)(6)などと記載されている部分は、非公開部分とその非公開理由の条文番号だ。

一日のスケジュールには、出席した会合の出席者名簿、この日はヘリでの移動があったので搭乗者リストなどもついている。

このような記録が、任期中、ずっと作成されている。

もう一つは、ニクソン大統領の1969年6月1日の日程表だ。

日曜日だが、一日のスケジュールが始まった場所、公務に係る電話は市内、長距離の別にわけて、電話をかけたことを示すPと、電話がかかってきたことを示すRに区分されて記録されている。この日はヘリの移動があったため、乗客リストもこのスケジュールのあとについている。【2】

  

また、幹部職員のスケジュールももちろん作成され、廃棄されずにNARAに移管して永久保存されている。現在の行政管理予算局長のスケジュールが、情報公開請求により一部公開されている。【3】

  

スケジュールを見ていくと、大統領(POTUS)とロバーツ上院議員と電話とか、この時間にこの人から職務用の携帯に電話がかかってくる予定なども記入されている。

他の日のスケジュールを見ると、この時間にこの人に電話をする、というものもあったりする。

佐川前国税庁長官の日程表がスカスカでしかも1日保存だったのとは大違いだ。

判断や決定をする立場である権力や権限のある者が、いつ誰と会い、誰と話し、どこに行ったのか、どのような会議や打ち合わせなどに出ていたのかは、政府活動そのもの。

記録することで、不適切な接触や影響力の行使が監視されるという、権力に対する適切な抑止を働かせることにもなる。

日本では、昨年12月の行政文書管理ガイドラインで日程表をわざわざ保存期間1年未満と明示したので、首相の日程表があったとしても、短期間で廃棄することは法的に何の問題もない。このガイドラインの徹底を今、政府と与党は推進している。

結果的に、首相を筆頭に官邸幹部、政務三役、幹部職員などは、記録がない、あるいは短期で廃棄することで、何をしていても行政文書で確認ができない、監視が及びにくい環境にあり、たがが外れやすい状況にあると言えるだろう。


 入館記録やミーティング記録

加計学園問題では、日程表だけでなく官邸の入館記録を1日保存で廃棄しているため、誰がいつ官邸を訪れたのかが、行政文書として残っていないことが明らかになった。

新聞等の首相動静を見れば、だれが首相に会いに来たのかはある程度わかるが、だからよいとはならない。行政文書として残っていないことが、そもそもおかしい。

官邸に入館するには「訪問予約届」が事前に出されているが、これが一日で廃棄されている。筆者は、2018年1月中の10日間分、訪問予約届を情報公開請求して入手して整理してみた。【4】

  

公開された予約届からわかったことは、ほとんどが各省庁から出されたものだったということだ。訪問先は、首相だけでなく、副官房長官、秘書官、補佐官などさまざま。ときどきどこから予約届が提出されたのかを不開示にしているものがある。

これらが、各省庁や自治体など以外から出されたもので、一部が報道関係で記者会見出席のため、それ以外は表敬的な訪問と思われる。

首相動静に出てくるような国会議員や自民党関係者などは出てこないので、予約届がすべての官邸訪問者で作成されているわけではない。事前届け出がないと入館できない場合、不要な場合がどこで線引きされているのかは不明だ。

いずれもしても、まともに入館者の記録が残される仕組みになっていない。

一方、アメリカの大統領府の入館記録は、訪問者記録として電子データで残っている。

オバマ政権では大統領府の入館記録が公表されていたが、トランプ政権になってすべて削除され、非公開方針となっていたところ、情報公開訴訟で争われ、再び公開されるようになった。

現在公開されている入館記録の一つが、大統領府の行政管理予算局への訪問者記録だ。【5】

  

記録されている項目には、訪問者の氏名や人数はもちろんのこと、誰を訪問するのか、いつ予定が入れられ、開始時間、終了予定時間、面会の場所などがある。面会等のログにもなっている。

ミーティングのログは別に作られ、大統領府の科学技術政策局のものが一部情報公開請求で公開されている。【6】

  

一覧表になっているログには、用件、ミーティングの設定者、参加者、日付、開始と終了時間などが記録されている。

重要なのは用件も記録されているところで、一覧表は、ちょうど科学技術政策局長候補者の面接が行われていた時期のもので、実際に面接を行っていたことがわかる。候補者氏名は不開示になっている。局長は今でも決まっていない。

実際に何が話されたのかは、別に記録が作成されていなければわからないが、訪問者記録とミーティング記録があれば、官邸だけでなく各行政機関でもいつ誰が来たのかわからない、などということは起こらないだろう。


 議員からの問い合わせ、働きかけの記録

何を記録すべきかということで言えば、政官接触の記録作成問題がある。

先日も、名古屋市の中学校で行われた前文科事務次官の前川氏の授業について、自民党衆議院議員の指摘を受けて文科省が授業内容を報告するよう名古屋市教委に求めた問題に関連して、自民党議員からの接触記録を文科省が作成していなかったことが報道された(毎日新聞「文科省 前川氏授業照会 政官接触記録作らず 『不当要求でない』」2018年6月17日)

国家公務員制度改革基本法は、政官接触の記録の作成について必要な措置を講ずることを定めているが、実際の運用は不当な政官接触の記録だけを作成するとされている。

自民党議員からの政官接触は不当なものではなかったので、記録の作成義務はないというのが文科省の説明だ。

この仕組みでは、国会議員などからの接触を記録することによって、行政として接触を「不当なもの」と認定したことになる。記録すること自体が特別な意味を持ってしまうため、よほど悪質なものでなければ記録が作成されない。

国会議員などは選挙で選ばれている公職者として、行政職員とは異なる立場にあるので、国会議員やその関係者からの接触は、それ自体が影響力の行使にあたる。

それがすべて問題なのではなく、不当や違法な影響力の行使が問題になるので、前述のような記録作成基準が出来上がっている。

しかし、本来は影響力の行使に当たる政官接触はすべて記録して、それを公開して不当か否か、国会議員等の活動が適当か否かは有権者が判断し、選挙によって当否を決めればよい、というのが本筋だろう。

そうすれば、記録を作成するときに不当か否かを判断する必要もなくなる。

これも、アメリカでは連邦議員から政府機関への問い合わせ記録が作成されていた。一つが、FBIに対して連邦議員やそのスタッフが問い合わせ等を行った記録だ。【7】

  

いつ、誰が誰(あるいはどこ)に対して問い合わせ等をしたのか、用件は何であったかという問い合わせ概要がログとして記録されている。一番上は、コミーFBI長官にあてたものであることがわかる。

また、CIAからも同じような記録が公開されている。いつ、どの議員からどのような要件で問い合わせがあったのかが記録されている。【8】

  

これらはあくまでも概要やログなので、個別の案件についてさらに詳しく記録を残す必要があれば、別途作成されることになるのだろう。


 なぜ記録が残るのか

 日米を比較すると、何を公的な記録として残すのかということの違いだけでなく、記録そのものの作り方が違うこともわかる。

 これを、やはりアメリカは違う、記録を大事にする、それに引き換え、と日本の状況を嘆いてしまうと、話は先に進まない。

 なぜ記録は残るのかをかみ砕いて考えてみれば、一つは、権力や権限へのアクセス、影響力の行使を記録することで、政府が説明責任を果たし、政治的正当性を確保することになるという合意があること。もう一つは、その合意に基づき、記録の仕方を決めているということだ。

 政治的なレベルの活動の何をどう記録するのかを、その都度個別に行政職員が判断することは、非常に負担が大きい。

 一方、こういう場合はこう記録していくと決めていれば、記録を残すことは「作業」になる。この日常作業にしておくことが、ポイントだろう。

 翻って日本はどうかと言えば、そもそも政治レベルの活動を行政文書に記録して残すことの合意そのものが、政治的にあるとは言えないだろう。

 政治レベルの活動の説明責任が果たされる実態がないまま、政治的リーダーシップが発揮されている。このことがもたらす問題が、今、私たちが目の当たりにしている政治の姿だ。

 公文書管理の問題がさまざま議論されているが、まずはこの問題を解決する必要がある。
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三選の狙いは国家改造 この政権では「防災」は二の次だ

2018-07-13 | いろいろ

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三選の狙いは国家改造 この政権では「防災」は二の次だ

 市民生活への影響が長期化するのは避けられない見通しだ。広島や岡山など西日本を中心に175人もの死者を出した「平成30年7月豪雨」。自衛隊や警察、消防などは、11日も、気温30度を超える酷暑の中、80人近くに上る行方不明者の捜索活動を行った。

 被災した多くの自治体では、河川近くにあった水道施設が被害を受けたために断水が続き、いまだに復旧のメドが立たない状況。記録的な豪雨によって地盤が緩んでいる場所も少なくなく、引き続き土砂災害や河川の氾濫といった二次災害に対する警戒が欠かせないという。厳しい避難生活を余儀なくされる被災者の負担を思うと、やり切れないが、それにしても酷いのが未曽有の豪雨災害に対して明らかに後手後手に回っている政府のデタラメ対応だろう。

 「非常に激しい雨が断続的に数日間降り続き、記録的な大雨となる恐れがある」。経緯を振り返ると、気象庁が異例の緊急会見を開いて豪雨への警戒を呼びかけたのは5日の午後2時。これを受け、2週間余り前に最大震度6弱を観測した「大阪北部地震」の直撃を受けた大阪や京都、兵庫では、大雨による土砂災害を懸念して計約16万人に避難勧告が出された。

 さらに気象庁は翌6~7日に「数十年に一度レベルの非常事態」として、大雨特別警報を発令したのだが、安倍首相が関係閣僚会議を開いたのは、メディアで〈中国地方で多数の行方不明者が出ている〉などと報じられ始めた7日午前。政府が「非常災害対策本部」を設置したのは、気象庁の緊急会見から60時間以上も経った8日だ。

■ 初動対応に批判が出た韓国「セウォル号沈没事故」より酷い

 官邸で開かれた対策本部の初会合で、安倍は「救命救助、避難は時間との戦い」なんてもっともらしく言っていたが、それならなぜ、もっと早く対策本部を立ち上げなかったのか。政府が主導し、各自治体が住民避難やライフラインの確保を強く呼び掛けていれば、少なくとも今より被害は抑えられていたはずだ。

 中四国地方を豪雨が襲った5~8日の首相動静を確認すると、安倍が公邸に宿泊したのは1日だけで、あとは都内の自宅でノホホンと過ごしていたから、危機意識ゼロ。2014年4月に韓国南西部の珍島沖で起きた「旅客船セウォル号沈没事故」では、救助活動の初動対応の遅れが問題視され、当時の朴槿恵大統領の「空白の7時間」に批判が殺到したが、今回の豪雨災害に対する安倍の鈍くささはそれ以上と言っていい。多数の死者、行方不明者が明らかになり、ようやく「平成最悪の豪雨災害」に気付いた安倍は、慌てて欧州や中東など4カ国の外遊中止を決定。11日は岡山・倉敷市の避難所を訪問して被災者の手を握り、「体に気を付けて」なんて声を掛けていたが、初動対応の遅れに対する世論批判をかわすためのパフォーマンスだったのは明々白々だ。

 政治評論家の本澤二郎氏がこう言う。

 「現地視察で初動対応の遅れを謝罪するどころか、開き直りの態度を見せてふんぞり返っている。全く理解に苦しみます。被災者に寄り添う姿勢を見せながら、一方ではカジノ法や参院定数増などの国会審議を強引に継続し、好き勝手やっている。これほど悪辣な政府、与党はありません」

 被災者もはらわたが煮えくり返っているに違いない。

  

 麻原死刑囚を信じたオウム信者と安倍政権の支持者の思想は共通する

 〈災害から国民の生命と財産を守るため、これまでの災害から得た貴重な経験、教訓をしっかりと踏まえて、防災対策を不断に見直していくことが重要〉〈災害に際し、一人でも多くの人が被害から免れ生命が救われるよう、私が先頭に立って、ソフトとハードの対策を適切に組み合わせた総合的な防災対策に政府一丸となって取り組んでまいりたい〉

 昨年1月の衆院予算委。近年、日本各地で多発している大地震や豪雨災害に対する政府の姿勢を問われた安倍はこう答弁していたが、今回の対応を見る限り、この言葉が詭弁、大ウソだったことがハッキリした。

 仮に政府一丸となって防災対策に取り組んでいたのであれば、気象庁が異例の豪雨警報を出した当日夜に、首相出席の宴席が開かれることはなかっただろうし、国交相が「(河川氾濫は)ニュースで知った」なんて仰天発言するハズはない。今の国会審議もいったんストップさせて復旧、支援に取り組むのがスジだが、そんな話は一切ない。要するに安倍政権の「防災・減災」なんて口先だけで、本気で取り組む気はサラサラないのだ。

 そもそもこの5年半、安倍が「先頭に立って」やってきたことといえば、特定秘密保護法の強行成立から始まり、武器輸出を認める「防衛装備移転3原則」の閣議決定や、集団的自衛権の行使容認など、米国と一緒に戦争するための国家改造だ。そのための手段として北朝鮮の脅威を煽り、防衛予算の拡大に血道を上げてきた。

 6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針2018」では、「防衛力を大幅に強化する」と明記され、慢性的な赤字財政でも防衛費だけは特別扱いする方針が示された。防衛費(当初予算)は第2次安倍政権発足後の13年度から6年連続で増加。今年度は約4兆9388億円で、来年度は概算要求で過去最大の5兆円超になる見通しだ。

 これに対し、急場の措置とはいうものの、安倍政権が「平成30年7月豪雨」の被災地支援のために支出を決めた金額はたった20億円。「武器」と「防災」のどちらを重視しているのかは一目瞭然ではないか。

■ 国民の生命、財産よりも軍拡優先の安倍政権はナチスと同じ

〈権力の座に就こうとする、あるいは一部就いた右翼やポピュリストたちは、民衆の不安や憎悪を煽り立てます。かつてのナチスで言えば、ユダヤ人がドイツ民族の脅威だと喧伝した〉〈ワイマール共和国からナチスへと移行した事実が示すように、民主主義から独裁への流れは皆知っているはずですが、今はその危険な流れへの過渡期にある気がします。小さな手順が踏まれていき、その先に何があるかを考える必要がある。私たちが権力をコントロールするという、民主主義本来の姿を取り返さないといけない〉〈あれよあれよという間に独裁体制が築かれ、気付いた時には誰も反対の声をあげられなかった。だからこそ立ち上がる時が大切なのです〉

 月刊誌「世界」(岩波書店)の8月号。映画「ゲッベルスと私」の監督らが、ナチスと共通する現代の右傾化の要素について答えていたが、これは今の安倍政権の姿にも当てはまる。何せ国民の生命や財産よりも軍拡最優先なのだ。

 戦前の日本も「国難だ」「非常時だ」という大義名分で陸海軍予算を肥大化させた揚げ句、軍事力の過信から自滅的な戦争を始めた。安倍が9月の党総裁選で3選したら、今以上に日本のナチ化が進むだろう。

 戦前思想を復活させるために教育現場に不当介入し、原発もどんどん再稼働させる。それこそ、やりたい放題になるのだ。政治評論家の森田実氏がこう言う。

 「頭の中にあるのは国民の生命、財産ではなく自分が3選することだけ。安倍首相という男は一体、何のために政治家になったのでしょうか。中国に『利して利する勿れ』(政治家は人民の利益だけを考え、自分の利益を図ってはいけない)ということわざがありますが、安倍首相は権力=利益の維持に汲々としている。国民はこんな政治を許してはなりません」

 「なぜ、麻原のような男を(他の死刑囚は)信じたのか」。オウム真理教元代表の麻原彰晃(松本智津夫)死刑囚ら7人の死刑執行を報じた民放テレビのキャスターはこう嘆いていたが、恐らく良識ある国民は安倍の支持者にも同じ疑問を抱いているに違いない。最悪の事態を招く前に権力の座から早く引きずり降ろすべきだ。
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拡大する西日本大豪雨被害 鮮明になってきた政治の責任

2018-07-12 | いろいろ

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拡大する西日本大豪雨被害 鮮明になってきた政治の責任

 9日、安倍首相が11日から予定していた欧州・中東への外遊を中止すると発表した。西日本を中心とする豪雨被害の全容もまだ分からない状況では、当然のことだ。なぜ、もっと早く中止を決めなかったのか。

 豪雨による被害者の数は増え続け、10日時点で死者132人、行方不明者は70人を超えている。豪雨と土砂に沈んだ町が手つかずの衝撃。ようやく救助や捜索が始まった地域もある。生存率が著しく下がるとされる「発生から72時間の壁」を迎える中、安倍政権の豪雨災害対応があまりにヒドイと、批判は広がる一方だ。

 気象庁は5日の午後2時には、臨時会見で記録的大雨の恐れがあるとし厳重警戒を呼び掛けていた。すでに住民への避難指示も出ていたその日の夜、安倍が議員宿舎で開かれた自民党議員との懇談会に参加し、酒盛りに興じていたことに怒りの声が上がっている。参加議員がSNSに投稿した写真には、笑顔で乾杯する安倍や小野寺防衛相、上川法相らの姿がある。豪雨災害の危険が強まり、翌日には元オウム真理教幹部7人の死刑を控えている政権の面々とは、とても思えない。

 批判が拡大していることを受け、自身も会合に参加していた竹下総務会長は、9日になって「どのような非難もお受けする」とか言っていたが、毎度のことで、こんなのポーズだけ。会合を延期するという常識的な判断すらできない政権に、マトモな災害対応ができるものか。この間の対応を見れば、今頃になって安倍が「全力であたってもらいたい」と指示したところで、鼻白むだけなのである。

■ 災害対応より総裁選が大事か

 「議員宿舎で自民党の若手議員が閣僚や党幹部と懇談する『赤坂自民亭』は15年4月に始まり、今回が27回目だったそうですが、安倍首相の出席は初めて。9月の総裁選に向けた選挙活動の一環でしょう。3選が確実になってきた総裁選と外遊の準備で浮かれ、災害対応にはまったく思いが至らなかったのではないか。8日にようやく非常災害対策本部を設置して、『先手先手で被災者支援にあたって欲しい』などと言っていましたが、その時点ですでに後手後手で、危機管理能力の欠如を露呈しています。安倍首相は何かにつけて民主党政権の東日本大震災への対応を批判してきましたが、安倍政権のお粗末な災害対応は、民主党を批判できるようなレベルではありません」(ジャーナリスト・横田一氏)

 安倍は9日も、公邸に自民党の静岡県議を招いて会食。総裁選での地方票固めの一環だ。会食では静岡名産のメロンが話題に上り、安倍は「静岡のメロンは非常においしい」と言って、TPPで静岡の農産物を海外に広めることを提案したという。

 未曽有の災害で、食べるものにも困っている被災者がいるというのに、メロンか。

 この非常時に選挙対策とは、やはり安倍は被災地のことなんて興味がないのだろう。

 北朝鮮がミサイルを飛ばせば、すぐさまJアラートで国民を叩き起こすくせに、平成最悪の豪雨被害はまるで他人事。この初動の遅さ、鈍さはいったい何なのか。

 さすがに、いま自衛隊を革命記念日の軍事パレードに参加させるためにパリに連れて行くわけにいかず断念したようだが、外遊もギリギリまで可能性を探っていた。災害対応より、総裁選や自己アピールの方が大事とみられても仕方ない。


 自然災害への対策よりミサイル防衛にかまける愚

 それにしても、日本では豪雨による水害や土砂災害が年々、ひどくなっているのではないか。

 今回も甚大な被害が出ている広島県では、99年6月の集中豪雨でも新興住宅地などで土砂災害が発生し、32人が犠牲になった。14年8月にも豪雨の影響で土石流が住宅地を襲い、70人以上が犠牲になった。

 「自然災害の被害が拡大しやすくなったのは、政権の危機意識だけの問題ではない。歴代自民党政権による“人災”の側面が大きいのです。社会環境学者で治水政策に詳しい滋賀県の嘉田由紀子前知事も言っていますが、倉敷市などで町が水没してしまったのは、治水で最も重要な堤防補強がおろそかにされ、ゼネコンが儲かるダム建設を自民党政権が優先してきたことが原因です。また、古くからの地主は経験的に水害リスクの高いところを知っているのに、黙って宅地開発業者などに土地を売って儲けてきた。そういう土地に新興住宅地や福祉施設が建てられてきました。地主側は地価が下がるのを嫌って、ハザードマップの公開には反対の立場です。そういう地主に支えられ、富裕層の代弁をしてきたのが自民党であり、庶民はリスクを知らされないまま、ローンを組んで買ったマイホームが水没してしまう。災害は自然現象であると同時に社会現象でもあるのです」(横田一氏=前出)

 自民党政権が農家を切り捨て、公共事業をバラまき続けてきたことも地方を弱体化させた。農業の担い手はいなくなり、過疎化が進んだ集落は孤立化する。

 災害に弱い町がそこらじゅうに増えてしまった。 

 「山間部の水田は自然のダムの役割を果たしていました。それが耕作放棄地と化し、山を間伐して管理する人もいなくなって、“緑のダム”としての森林の機能も失われてしまった。林業が衰退したのは、昭和30年代に木材の関税をゼロにして自由化を進めたせいで、材木の値段が下がってしまったからです。それで山が崩壊し、水が止まらなくなってしまった。無理に宅地化すれば、土砂崩れも起きやすくなります。二酸化炭素の自然循環で環境を守ってきた農業や林業が廃れ、温室効果ガスが大気中に広がったことも、各地の豪雨に影響しています。政治の責任は大きい。今回の豪雨や土砂災害は、そういう意味では人災なのです」(東大教授・鈴木宣弘氏=農政)

■ 森林環境税でハゲ山を増やすのか

 過疎化を推し進め、山を守らなかった自民党政治が被害を拡大させた。そんな地方にトドメを刺そうとしているのが安倍だ。

 新自由主義に突き進み、経済格差を広げ、総仕上げのTPPで地方と日本の農業を殺そうとしている。

 「安倍首相はよく『国民の生命と財産を守る』と言いますが、上っ面の言葉だけなのです。国土や国民の安全よりも、常にオトモダチ企業の利益を優先してきた。今年度の税制改革で森林環境税が創設されることになりましたが、これだって、森林を守るためではなく、ハゲ山をつくるのに使われるのです。自民党は、手入れがされていない山は許可なく伐採していいことにし、来年からは国有林も、企業が勝手に切っていいことにするという。大企業はバイオマス発電のために自由に森林を伐採し、利益を得ます。その木を切る費用を森林環境税で補填しようとしているのです。今回の西日本の豪雨も、たまたま広範囲で甚大な被害が起きたわけではない。『今だけ、カネだけ、自分だけ』で目先の利益を追求してきた安倍政治のツケなのです。ここで反省しないと、取り返しがつかないことになる。秋の総裁選で安倍首相を延命させたら、この国はボロボロになり、自然災害のたびに、もっとひどい被害が出るでしょう」(鈴木宣弘氏=前出)

 この国では毎年、台風や集中豪雨で犠牲者が出る。地震も頻発している。ミサイルより、自然災害に見舞われる確率の方が断然、高いのだ。しかし、ミサイル防衛にはカネを惜しまない安倍が、災害対応には無関心で、豪雨被害の拡大が懸念される最中に能天気に酒を食らっていたという事実。西日本の有権者は、こんな目に遭っても自民党の安倍政権でいいのか。

 今こそ本気で怒らないと、いつまた同じことが起きるか分からない。犠牲になるのは、いつだって庶民なのだ。
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西日本豪雨被害拡大 政府はこの間、何をやっていたのか

2018-07-11 | いろいろ

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西日本豪雨被害拡大 政府はこの間、何をやっていたのか

 死者・行方不明者が140人を超えた平成史上最悪の豪雨被害を目の当たりにし、SNS上では「遅すぎる」と非難囂々だ。安倍政権が8日午前9時、西日本を中心とした豪雨被害を受け、ようやく災害対策基本法に基づく非常災害対策本部を設置。初会合で安倍首相は「救命救助、避難は時間との戦い。引き続き全力で当たって欲しい」と語ったが、一体どの口が言うのか。

 気象庁が緊急会見を開き、「非常に激しい雨が断続的に数日間降り続き、記録的な大雨となる恐れがある」と最大級の警戒を呼びかけたのは、5日午後2時。この日から西日本と東日本の広い範囲で大雨となり、各地で土砂災害、河川の氾濫が続発。「救命救助、避難は時間との戦い」のはずなのに、安倍政権は何もしなかった。

 やっと重い腰を上げたのは7日午前10時。気象庁の緊急会見から44時間後に官邸で大雨に関する関係閣僚会議を開いたものの、安倍は正午前には東京・富ケ谷の私邸にサッサと引き揚げ、あとはこもりきり。8日の非常災害対策本部の初会合も所要時間はたった20分。その後、来日中のポンペオ米国務長官と韓国の康京和外相の表敬訪問を受けると、安倍は午後2時半には私邸に帰った。

 死者・行方不明者の数は刻々と増え続け、20府県の避難所に計3万人以上も身を寄せていたのに、安倍にとっては、まるで他人事。多くの人々が豪雨にのまれようが、「知らんこっちゃない」という態度なのである。

 この冷血首相にとって、国民の生命以上に大事なのは自らの保身だ。5~7日の首相動静を確かめると、安倍がかまけていたのは9月の自民党総裁選対策の飲み会や地方回り、政権延命の目くらましばかりだ。

 気象庁が最大級の警戒を呼びかけた5日。前日に総裁選の地方票掘り起こしのため、国会会期中なのに埼玉県内を行脚した安倍は、この日もお昼に自民党の群馬県議らと会食。夜には東京・赤坂の議員宿舎で開かれた自民党議員との懇親会に出席し、岸田文雄政調会長、竹下亘総務会長、小野寺五典防衛相、上川陽子法相、吉野正芳復興相ら40人超と酒を酌み交わして、親睦を深めた。

 宴会終了から約4時間後、京都府知事が最初の自衛隊出動要請を出したが、安倍も小野寺もシラフで対応できたのか。

 翌6日は朝から、麻原彰晃死刑囚ら元オウム真理教幹部7人の死刑を執行。この日はカジノ法案と参院合区の自民議員救済の公選法改正の参院審議がスタート。麻原らの死刑執行は、不人気法案から国民の目をそらす狙いがミエミエで、おかげで報道はオウム一色に染まり、避難指示など肝心な大雨情報がかすんでしまったのだ。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。

「他の先進国なら、豪雨被害の深刻さが強まる中、国のトップの宴会参加が判明した時点で、クビが飛んでもおかしくありません。非常災害対策本部を設置しても、安倍首相は本部長の小此木八郎防災相に任せきりで、私邸にこもるなど当事者意識ゼロ。少なくとも官邸に詰め、歴史的な豪雨対策の陣頭指揮に当たり、救命救助の現場にげきを飛ばすべきです。W杯以降の“パンとサーカス”の熱狂に首相自身が身を委ね、“次はオウムだ”と浮かれていたとしか思えません」

 未曽有の災害に、完全に緩みきったリーダーしか持たない国民はあまりにも不幸だ。

 緩んでいるのは、安倍一人だけではない。西村康稔官房副長官は、自身も参加した5日の飲み会の様子を、赤ら顔の安倍の写真付きでツイッターに投稿。〈今夜は恒例の自民亭。(中略)和気あいあいの中、若手議員も気さくな写真を取り放題!正に自由民主党党(原文まま)〉〈多くの議員は「(安倍総理が差し入れた)獺祭と(岸田政調会長が差し入れた)賀茂鶴とどっちを飲むんだ??」と聞かれ、一瞬戸惑いながらも、結局両方飲んでました。(中略)笑笑 いいなあ自民党〉と書き込んだ。

 避難者が眠れぬ夜を過ごす中、宴会写真を“拡散”させ、〈笑笑 いいなあ自民党〉はないだろう。当然〈政権与党がこの日に宴会はいけません〉〈自民党の皆さんは気楽でいいですね〉などと批判のリツイートが殺到。翌6日午後の菅官房長官の定例会見で、政治ジャーナリストの安積明子氏もこう追及した。

「昨晩、『自民亭』と言って宿舎で宴会が行われ、総理が参加した。副官房長官がツイッターで皆さん満面の笑みの写真を上げた。豪雨被害に遭った西日本の国民から見ると、政権には危機感を持ってやってもらいたい。国民から見ると、非常に不安を感じる」

 すると、菅は「官邸でもしっかり対応している。大きな、やるべきことをやっていれば問題ない」と一蹴。完全に開き直ったのだ。改めて安積氏に話を聞いた。

「飲み会をするなとまでは言いませんが、気象庁が異例の会見を開いてまで警戒を呼びかけた後に、総理や自民党幹部などがにこやかな表情で楽しんでいる写真を、わざわざ公開する神経は理解できません。ましてや西村氏は政府の要人である官房副長官ですよ。安倍政権は事あるごとに『安全保障』を振りかざし、『国民の生命と財産を守る』と言ってきましたが、あんな緩み切った状態で本当に国民を守れるのでしょうか。ただの奇麗事だったのかと国民を不安にさせるばかりです」

 この政権に大事な生命と財産を預けるのは、非常に危険である。

 トップの安倍以下、官邸の危機感がゆるゆるだから、豪雨被害の対応は後手後手だ。気象庁が高知、愛媛両県に数十年に一度の重大な災害が予想される「大雨特別警報」を発令したのは、8日午前5時50分。すでに甚大な被害に見舞われた後で、愛媛県内の死亡者数は広島県に次ぎ、2番目に多い。

 気象庁は「大雨特別警報が遅すぎる」と批判を浴びているが、政権トップが弛緩しきっている悪影響は末端にも及ぶ。安倍が寝ずの番で気象庁に「しっかりやれ」とハッパをかけていれば、対応も変わっていたはずだ。

 全ての対応が後手後手で被害が拡大。かくも犠牲者が増えたのは、豪雨災害に無関心だった政権による人災の側面も色濃くにじむのだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。

「安倍政権は北朝鮮危機をあおり、5年連続で防衛予算を増やしてきましたが、過去最大5兆円超に膨らんだうち、わずかでも防災・減災に回していれば、豪雨被害はここまで拡大しなかったはずです。北朝鮮危機では一人も犠牲者は出ていませんが、ここ数年、立て続いた豪雨被害では多くの方が命を落としてきました。結局、首相にとっての『危機』とは政権維持と支持率向上に役立つものだけ。ゆがんだ危機意識によって、常日頃からの災害への備えが手薄となっているのです。『国民の生命を守り抜く』という掛け声も口先だけ。歴史的な災害には、歴史的にも万全な対策を講じるべきなのに、安倍政権の後手後手対応はそれこそ歴史に汚点を残す最悪なものです」

 安倍には14年8月の広島豪雨で土砂崩れを知りながら、2時間もゴルフを続けた前科もある。これ以上、口先保身政権に災害対応を任せるのは危うい。
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米国こそならず者国家

2018-07-10 | いろいろ

賀茂川耕助氏の「耕助のブログ」より耕助

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米国こそならず者国家

 イスラエル建国70年の5月14日、米国は在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移転した。

 エルサレムはユダヤ教、イスラム教、キリスト教の「聖地」でもある。70年前、そこにはイスラム教徒のパレスチナ人が住んでおり、彼らにとってイスラエル建国の日は悲劇の日でもあった。多くのパレスチナ人が殺され、約70万人のパレスチナ人は難民としてヨルダンやレバノンに逃れたが、イスラエル建国により故郷に戻れなくなり、イスラエル地域内でも数万人が家や村を失い移住を強いられた。米国がこの日に大使館をエルサレムに移転したのはイスラム世界からみれば挑発以外の何ものでもない。

 トランプ大統領は選挙中からエルサレムへの大使館移転を公約していたが、移転そのものは1995年、クリントン政権が決定したことである。クリントン氏、ブッシュ氏、オバマ氏と、歴代大統領が延期を繰り返してきた大使館移転を実行に移したのがトランプ大統領だったというわけである。

 移転に先立ち、パレスチナのガザ地区では3月30日からパレスチナ難民の帰還を求めるデモ行進が始まっており、アラブ系メディアのアルジャジーラによれば、イスラエル軍の射撃によって1万3千人以上のパレスチナ人死傷者が出ているという。イスラエルの暴力に対し欧州諸国から非難の声が上がっており、イスラム諸国を代表してクウェートはパレスチナ人の保護を目指す決議案を提案したが、常任理事国の米国が拒否権を発動するとみられ採択は危ぶまれている。

 米国の行動はイスラエルによるアラブ人の殺傷を認め、歴史的な場所における紛争を扇動している。これまでのパレスチナ・イスラエル和平を無視し、イスラエルによるパレスチナ人虐殺を容認する、これがトランプ政権の中東政策なのである。さらにイラン核合意を破棄したことも含めると、米国は中東に戦争を起こそうとしているとしか思えない。

 子どもを含む、武器を持っていないパレスチナ人を殺害したイスラエル軍の行為は、多くの国から非難されている。それにもかかわらず米国のメディアはこれをイスラエルとパレスチナの「衝突」という言葉を使って報じている。イスラエルの土地を盗んだパレスチナ人たちを追い出して建国したのに、またその土地を取り返そうとしているというのがイスラエルの言い分であり、米国はそれを強力に支援しているのだ。

 欧米、特に米国は、政府や富裕層にイスラエルとの二重国籍を持つユダヤ系米国人が数多くいる。こうした支配者層がイスラエルを支持し、直接支援として米国政府は毎年数十億ドルの軍事援助をイスラエルに提供している。米国が支援する国は、虐殺を含めあらゆることが許されるということだ。さらにイランとの核合意離脱はイランと米国の関係悪化を意味する。かつてブッシュ政権はイラン、イラク、北朝鮮をならず者国家と呼んだが、今、米国こそが世界のならず者国家と呼ぶにふさわしい。
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小泉と小沢…二人の重鎮が一気に仕掛ける「夏の大政局」

2018-07-09 | いろいろ

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小泉と小沢…二人の重鎮が一気に仕掛ける「夏の大政局」

世紀のタッグの狙いは?
現代ビジネス編集部



 世紀のタッグ

 小泉純一郎元首相(76)と小沢一郎自由党代表(76)。激動の平成政治を賑わせた2人の大物が恩讐を越え、四半世紀ぶりに連携を模索している。

 小沢事務所関係者が明かす。

 「小沢代表が主宰する政治家養成塾『小沢一郎政治塾』のセミナーが7月中旬に都内で開かれ、その講師として小泉氏を招く予定です。15日午後に2時間近く、原発ゼロ実現に向けた政治のあり方を語っていただくことになっています」


 小泉政権が続いた2000年代前半、党首討論などで激しく火花を散らした2人が一堂に会すのは、小泉氏が政界引退した09年夏以降では初めてとなる。

 今年6月上旬、小沢氏側がある民間人を介して小泉氏側に講演を打診。数日後、元首相自ら受話器を握り、小沢氏側近の川島智太郎元衆院議員(現自由党事務総長)に「快諾」の返事をした。

 小沢氏の元秘書である石川知裕元衆院議員は、小沢事務所内部の動きを7月1日に配信した自身のメルマガで詳細に明かしている。


 小泉氏の快諾後、両事務所は「極秘」で動き、厳重な箝口令を敷いていた。この手の話は早くに漏れると破談になりかねないし、国会の動き次第では「世紀のタッグ」の誕生が、他のニュースで埋没してしまうことを警戒したためでもある。

 小沢氏側では小沢塾の生徒にセミナーの案内状を出すタイミングを開催直前の〈7月5日〉に設定。報道陣への発表も、同じ頃に行う予定で準備を進めていた。

 ところが、6月27日、朝日新聞の記者数人が小泉氏に接触。「極秘情報」を事前にキャッチした政治部記者らが真偽を確認したところ、小泉氏が事実を認めた。


 意外な共通点

 〈小泉氏・小沢氏、30年ぶり協調 原発ゼロ目指し訴え〉

 6月29日付の朝日新聞朝刊でこんな見出しが大きく掲載された。小沢氏側は急きょ同日夕方に記者団の取材に応じ、次のように説明した。

 「小泉さんは原発ゼロ、脱原発ということを最近ずっと言い続けています。その点について、私も共有できる考え方ですので、政治塾に来てもらって講演で話していただくのは結構なことだと思いました。(中略)小泉さんは全国的にも講演しているようだし、新潟県知事選でも(県内に別件で)講演に来た時、わざわざ(野党系)候補者に会って激励してくれた。

 私自身も国民の生活と生命にかかわることなので、原発については新しいエネルギーに転換していくために原発ゼロを国策として決定し、推進していかなくてはいけないだろうと思っている」

 新聞では「ライバル」と報じられてきた小泉氏と小沢氏だが、実は共通点が少なくない。同じ1942年に生まれ、ともに自民党藤山派に属した父を持ち、慶大経済学部で学んでいる。さらに、20代で父の死を受け、69年の衆院選に初出馬した――という共通項もあるが、同じ「弔い合戦」の状況でありながら、小沢氏は当選し、小泉氏は落選した。

 その後、小泉氏は72年の衆院選で初当選。小沢氏は田中派、小泉氏は福田派に分かれ、角福戦争の最中には両陣営のホープとして、水面下で鍔迫り合いを演じた。

 そんな2人が急接近したのは89年。小沢氏が47歳の若さで自民党幹事長に抜擢された際、1期後輩の小泉氏は党全国組織委員長に就任。上司と部下のような関係になり、二人三脚で地方組織を回った当時を、小泉氏は今年2月に出した回想録にこう綴っている。



 激震が起こる可能性

 2人を取材してきたノンフィクションライターの常井健一氏はこう解説する。

 「小泉氏の『決断のとき』には、竹下内閣時代に小泉氏が国対筆頭副委員長、小沢氏が内閣官房副長官として連携し、消費税法案を可決させるに至った思い出や、93年に小沢氏が自民党を飛び出し、細川護熙氏を首相に担ぐ直前に小泉氏も『細川首班』で自民党をまとめようとした秘話なども描かれています。小泉氏の『筆』には一貫して〈小沢氏に対するリスペクト〉が込められていました。

 今回、小沢氏からの突然のオファーに対し、小泉氏が決断したのは6月11日。つまり、新潟県知事選で原発ゼロを訴えた野党系候補が惜敗した翌日でした。週末の投開票日をはさみ、開票結果などを踏まえた上で小沢塾への登場を決めたということです。

 以前、私が原発ゼロ運動における〈小沢氏との連携〉について尋ねると、小泉氏は『別々にやったほうがいい。私の支持者には小沢アレルギーがある。小沢を支持する人には小泉アレルギーがある。プラスになるとは限らない』と語り、『自民党を変えるほうが早い』と話していました。

 ところが、原発推進を掲げる安倍晋三首相への説得を諦めた小泉氏は今年に入り、原発ゼロ法案の草案を作成し、野党と連携する戦術にシフトしています。

 今年1月には、同法案にかんする意見交換を求めてきた共産党の志位和夫委員長と小池晃書記局長を行きつけのお店に招いて会食しながら懇談。5月には福島県の会津若松で開かれた渡部恒三・元衆院副議長の誕生会で講演するなど、原発ゼロを訴える機会があれば、かつての政敵であっても厭わずに接触を続けています」


 政界ではこの動きはどうみられているのか。ある野党幹部はこのように語る。

 「近年の小沢氏は自由党に山本太郎氏を抱え、共産党や社民党に秋波を送り、立憲民主党の枝野幸男代表と接触を重ねるなど、リベラルにウイングを広げる一方、保守系が多い国民民主党や岡田克也氏が率いる『無所属の会』との距離が生まれている。小沢氏がかつてのような剛腕を発揮し、野党再編の接着剤となるような流れはありえないでしょう。

 小泉氏も4月にテレビカメラを前に『安倍三選はない』と公言した上、新潟県知事選でも敗れた野党陣営に肩入れしすぎたため、安倍氏が9月の自民党総裁選で三選となれば、自民党内でも急速に影響力を失うに違いありません」

 しかし、こうも続けた。

 「ただ、小泉氏の決断次第では政界に激震が起こるでしょう」

 小沢氏も前掲の記者会見で、小泉氏についてこう語った。

 「小泉さんが我々と歩みをともにしてくれるかどうかは、小泉さん自身の判断に関わることだから、今後どういう展開になるかは小泉さんにお聞きしなければならない」

 朝日新聞が第一報を「抜いた」ためか、後追い取材を嫌うマスコミ各社の反応はイマイチで、続報は意外に少ない。だが、「世紀のタッグ」が報じられた直後、2人の周辺には自民党を含む実力者からのエールが相次いだ。

 小泉氏は周囲に「講演当日まで小沢氏には会わない」と語っているが、かつて大政局を仕掛けた2人の行動からは目が離せない。小泉氏の「決断のとき」は、まもなくやってくる。




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安倍事務所が暴力団に通じる人物に選挙妨害を依頼していた決定的証拠!

2018-07-08 | いろいろ

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安倍事務所が暴力団に通じる人物に選挙妨害を依頼していた決定的証拠! 「安倍代議士に選挙妨害を報告」の記述も


 嘘と開き直りでモリカケ問題に蓋をして、厚顔にも3選を狙っている安倍首相。しかし、そのダーティな本質はいくら隠しても隠しおおせるものではない。ここにきて、とんでもないスキャンダルが新たに浮上した。それは、リテラでも何度か記事にしてきた安倍首相の地元・下関の自宅が18年前、工藤会系暴力団組長らに放火された事件に関するものだ。

 実はこの放火事件には、安倍首相の事務所がこの暴力団組長らと通じ、一緒に逮捕された前科8犯のブローカーに対立候補の選挙妨害を依頼。ところが、安倍サイドが見返りの約束を破ったため怒ったブローカーが暴力団を使って、犯行に及んだという裏があった。

 これだけでも大問題のはずだが、根拠が証言にとどまっていたためか、この一件は、休刊した月刊「噂の真相」などごく一部のメディアしか報じていなかった。

 ところが、今回、その決定的な物証が出てきたのだ。

 決定的な物証とは、当時、安倍事務所とこのブローカーが交わしていた3通の文書。そこには、安倍事務所が選挙妨害工作を依頼していた事実はもちろん、安倍首相自身がこのブローカーと会い、選挙妨害工作の見返りについて密談していたことを示す記述もあった。

 つまり、選挙妨害という犯罪をめぐる裏交渉に安倍首相自身が直接、関与していたというわけだ。しかも、相手は暴力団と深いつながりのある人物である。

 この文書の存在をスクープしたのは、ジャーナリスト・山岡俊介氏。安倍事務所による選挙妨害事件は、前述したように、休刊した月刊誌「噂の真相」が最初に報じたのだが、そのとき、現地で取材を担当したのが山岡氏だった。山岡氏は「噂の真相」休刊後も、この問題を追い続け、最近になって、出所してきたこのブローカーに直接取材。自らが主宰するウェブメディア
「アクセスジャーナル」で報じたのだ。

 リテラでは今回、安倍首相の犯罪関与の決定的証拠であるこの文書を公開するとともに(右写真)、改めて山岡氏に疑惑の全貌をレポートしてもらった。
(編集部)


● 安倍首相宅を放火した工藤会系暴力団と「安倍先生の支援者」を名乗る男

 筆者は、この問題を15年にわたり、取材してきた。そして、この6月、安倍事務所から選挙妨害の依頼を受け実行に及ぶも、裏切られて放火未遂事件を引き起こした主犯、小山佐市に2回にわたりインタビューすることに成功。安倍首相自身が選挙妨害という犯罪に直接関与している物証をつかんだ。

 その具体的な内容を紹介する前に、まず事件の背景を説明しておこう。問題の発端は2003年、当時、自民党幹事長だった安倍晋三の地元・下関で、6人の男が福岡県警・山口県警の合同捜査本部に逮捕されたことだった。容疑は、下関にある安倍の自宅に火炎瓶を投げ込み、車庫の車3台を全半焼させたという「放火未遂」容疑。逮捕されたのは、特定危険指定暴力団「工藤会」系暴力団組長と組員、そして、前述の元建設会社社長でブローカーの小山佐市だった。

 しかし、この逮捕劇は不可解なことだらけだった。事件が起きたのは3年も前。発生当初から地元では事件が噂になっており、安倍の北朝鮮に対する強行姿勢から北朝鮮関係者の犯行ではないかというデマも流れたが、なぜか当の安倍事務所や山口県警は一切沈黙。新聞やテレビもまったく報じていなかった。

 ところが、それから3年経って、いきなり容疑者として暴力団関係者が逮捕されたのだ。しかも、主犯と目される元建設会社社長・小山は前科8犯、地元では公共工事や土地買い占めに暗躍して手数料を稼ぐブローカーとして有名で、「わしは安倍先生の熱心な支援者」と公言している人物だった。

 筆者は、事件発覚後、すぐに「噂の真相」編集部の依頼で、下関に入ったのだが、ほどなくとんでもない裏があることがわかった。逮捕前に小山と接触していた地元関係者に取材することができたのだが、この地元関係者が、小山から直接、「あれ(安倍宅への放火事件のこと)はわしが工藤会にやらせた」「選挙妨害を頼んでおきながら、安倍事務所が約束を守らんかったからや」と聞かされていたことを証言したのだ。


 安倍事務所が子飼い市長を当選させるため依頼した選挙妨害と見返りの約束

 小山の言っていた「選挙妨害」とは、1999年の下関市長選でのことだった。この市長選では現職市長の江島潔(現・参院議員)と元市長の亀田博(現・下関市市議会副議長)、元国会議員で野党系の古賀敬章(のちに衆院議員、引退)が立候補していた。

 このうち、現職市長の江島は父親の代から清和会や安倍家との関係が深く、その後、安倍のバックアップで参院議員になった典型的な子飼い市長。この市長選でも、安倍の秘書が選対本部長をつとめるなど、安倍事務所あげて支援していた。しかし、今回の市長選は野党系の古賀が追い上げており、結果はどう転ぶかわからないといわれていた。

 そこで、安倍事務所は工藤会系組長らとともに逮捕された小山に、市長選の対抗馬である古賀を攻撃する怪文書工作を依頼したというのだ。

 小山は前述したように、ブローカー的な仕事をしていたうえ、前科8犯で暴力団にも通じている。こんな人物に大物国会議員の事務所が選挙妨害を依頼していたとは信じがたいが、この地元関係者によると、小山は自分にの古賀の選挙妨害を依頼してきた「佐伯」という安倍事務所の秘書の名前も口にしていた。実際、筆者が調べたところ、当時安倍の事務所に佐伯伸之という秘書は実在しており(後に下関市議に、昨年死去)、小山と頻繁に会っていたことが確認された。

 そして、市長選では、選挙の半年前、と選挙期間中の2回、古賀を攻撃する怪文書が大量にまかれていたこともわかった。ひとつは、週刊誌に掲載された古賀の女性スキャンダルのコピー、もうひとつは、古賀が市長になったら、下関は朝鮮支配の街になる、など、在日差別、いまでいうヘイトスピーチそのものの内容だった(しかも、古賀は在日でもないし、新井と親戚でもなく、完全なデマだった)。

 さらに、別の建設業者への取材で、小山の語っていた「小山と安倍事務所の約束」の中身も明らかになった。下関市では当時、川中地区というところで土地計画整理事業計画が進んでいたのだが、小山は市に大型ショッピングセンターのジャスコを誘致しようとしていた。安倍事務所はこの小山の利権参入計画に協力する約束をしていたのだ。

 ところが、小山が逮捕前、地元関係者に語っていたように、市長選で江島市長が当選したというのに、安倍事務所は一向に約束を果たそうとしなかった。小山は依頼してきた佐伯秘書の上司である安倍事務所・筆頭秘書の竹田力にまで直接掛け合い、念書まで取っていたというが、それでも安倍事務所はのらりくらりと小山の要求をかわし続け、挙句は裏切りの姿勢まで見せたという。

 そこで、怒った小山は知己の工藤会系暴力団組長に依頼し、安倍の自宅に放火させたのだった。安倍首相の自宅以外も、事務所を含め計5度、関連施設に火炎瓶を投げ込ませた。これが筆者がつかんだ、放火事件の全貌だった。


 「これがあるかぎり絶対に捕まらん」とブローカーが口にしていた念書の存在

 放火事件の裏には、安倍事務所のとんでもないスキャンダルが隠されていたわけだが、さらに警察関係者に取材を進めると、この事件は、当初、闇に葬り去られるはずだったことも明らかになった。実際、放火された時点で、安倍サイドは小山が犯人であることは察しがついていたはずだが、警察に捜査を依頼せず、山口県警も地元の名士である安倍を忖度して動こうとしなかった。その結果、小山は3年もつかまらなかった。

 それは、おそらく、小山が前述の竹田筆頭秘書がサインしたとする念書をもっていたためだろう。もし事件化して小山が取り調べや法廷で念書を持ち出したら、安倍事務所の選挙妨害が明るみに出かねない、そう考えたのではないか。

 実際、小山は前出の地元関係者にこの念書をちらっと見せ、こううそぶいていたという。

 「これがあるかぎり絶対に捕まらん」

 事件から3年経って、小山や実行犯の工藤会系組長らがいきなり逮捕されることになったのも、安倍の地元の山口県警でなく、福岡県警が暴力団・工藤会の一斉摘発をしている過程で、この事実をつかんだためだった。政治家とは関係のうすい暴力団担当の部署が捜査していたため、しぶる山口県警を押し切って、事件化に踏み切ることができたのだ。一応、メンツを立てるために山口県警と合同捜査ということにしていたが、実質は福岡県警が捜査を仕切っていたという。

 だが、経緯はどうあれ、福岡県警が捜査に動いたことで、闇に葬り去られるはずだった安倍宅放火事件は明るみに出た。そして、筆者の取材をもとに、「噂の真相」がトップ特集で、この事件の裏に安倍事務所の選挙妨害依頼があったことを記事化し、大きな話題を呼んだ。

 おそらくこれで一気に火がついて、週刊誌はもちろん、新聞やテレビも安倍のことを徹底的に追及するだろう。筆者も「噂の真相」編集部もそう考えていた。

 しかし、現実は逆だった。どこのメディアもこの記事を後追いしなかったのである。筆者や編集部には、新聞や週刊誌の問い合わせが何件もきたが、結局、報道したマスコミは皆無だった。

 当時、「なぜ記事にしなかったのか」とメディア関係者を問い詰めると、必ず返ってきたのが、「当事者の小山が収監されていて、証言が取れないから」「物証である念書があれば」という答えだった。しかし、他の政治家のケースでは、当事者証言のないまま、記事にしているケースはいくらでもある。実際は、飛ぶ鳥落とす勢いだった安倍晋三に腰が引けたというのが真相だろう。

 実際、2006年10月、安倍第1次政権が誕生したタイミングで、「共同通信」がこの件を記事にしようとしたことがあった。共同通信は拘留中の小山氏に面会し証言を取っていたというが、上層部の判断で結局、記事は潰されてしまった。記事がつぶされたいきさつは月刊『現代』(06年12月号)で元共同記者の魚住昭、青木理のふたりが「共同通信が握りつぶした安倍スキャンダル」と題してレポートしている。

 しかし、そうはいっても、もっと決定的な証拠を提示しなければ、マスコミが動かないのも事実だった。鍵になるのは、小山自身が「これがあるからワシはつかまらん」といっていた念書の存在だった。念書の現物があれば、マスコミも動くだろう、そう考えた筆者はその後もしつこく取材を続けた。

 3年前には、念書にサインしたとされる筆頭秘書の竹田の自宅を2日続けて直撃したこともある。竹田は念書の存在は認めたが、内容は読まなかったとシラを切った。さらに取材を繰り返すつもりだったが、竹田は一昨年に死去し、取材は叶わなくなった。

 拘留中の小山にもアプローチしたが、反応はなかった。小山は裁判でも一切、念書のことは持ち出さなかった。そして、懲役13年の実刑判決を受け、刑務所に収監されたため、その後、小山とは連絡を取れなくなってしまった。


 安倍宅放火未遂事件の”主犯”小山佐市への6時間の取材、提示された3通の文書

 もはや万策尽きたか、と絶望に打ちひしがれていたが、今年5月、奇跡としか思えないことが起きた。小山から突然、連絡がきたのである。小山は今年2月、13年の刑期を終えて満期出所。以前からアプローチしていた筆者に「真相を話したい」と連絡があったのだ。

 さっそく小山に会って2回にわたり計6時間以上に及ぶ取材を行った。小山はすでに80歳だが、かくしゃくとして、記憶にはよどみがなかった。取材してみて改めて認識したのは、筆者のこれまでの取材内容、「噂の真相」の記事が間違っていなかったことだ。当時、安倍事務所の佐伯秘書から古賀の選挙妨害工作の依頼を受けていたこと、安倍事務所が見返りの約束を反故にしたこと、その約束を書いた念書が存在していることなど、主要な疑惑をすべて認めたのである。

 また、怪文書については、「ゴム手袋して何万部もコピーして、自分も部下と車で回って各家に投函した。佐伯秘書も手伝ったことがあった」と語るなど、当事者しか知りえないディテールも語っていた。

 ただし、小山がまいたのは、女性スキャンダルのほうだけで、「北朝鮮出身」と差別デマ攻撃を行った怪文書については、「あれはワシやない」と否定した。だが、一方で小山はこうも言っていた。

 「とにかく、安倍事務所の佐伯秘書が『古賀は朝鮮人で、当選させたら下関は朝鮮に支配される』としきりにいっていた。だからワシも協力したんや」

 ようするに、安倍事務所の秘書が怪文書と同じ差別デマ、ヘイトを口にしていたというのだ。

 しかも、この悪質な選挙妨害は最初から、佐伯秘書の個人的な裁量によるものでなく、安倍事務所や安倍首相も納得ずくのことだったと、小山は言う。

 「佐伯に選挙妨害の依頼を受けた時、佐伯では信用できないから(上司で筆頭秘書の)竹田に電話して確認した。その時、竹田は“この件は安倍さんも含め安倍事務所全員の総意”と言うたんよ」

 もちろん、小山の言うことをすべてうのみにすることはできないし、その証言だけでは、これまでの繰り返しで、マスコミは絶対に記事しないだろう。しかし、今回、小山は、筆者がどうしても現物を入手したかった安倍事務所と小山の間でかわした、小山が「これがあるからわしはつかまらん」と言っていたという「念書」を出してきた。

 小山が出してきた文書は計3通。正確には、「念書」ではなく、1通目が「確認書」、2通目は「願書」、3通目はもう一度「確認書」と銘打たれているが、そのすべてに、安倍事務所の筆頭秘書だった竹田力の署名と捺印があった。

 小山は筆者が取材していた通り、下関市長選で安倍事務所の推す江島市長が当選したにもかかわらず、一向に「見返りの約束」を果たそうとしないことに業を煮やし、筆頭秘書の竹田にねじ込み、安倍と直接面会して、見返り条件について秘密会談を行っていた。

 3通の文書はその過程で決まったことを書面にし、署名捺印したもので、市長選挙から4カ月後の平成11年6月17日、6月22日、7月13日の日付が入っている。

 そして、特筆すべきなのは、3通すべてに、安倍首相がこの問題に直接、関与していることを示す記述があったことだ。

 たとえば、冒頭に掲載した画像は1通目の文書だが、そこには〈古賀潰しの件(佐伯氏よりの依頼)も安倍代議士に報告し、代議士含め小山会長とお話をさせて頂きたいと思っておりますと言われた事〉との記述があった。これは、古賀潰し=選挙妨害を安倍首相が知っていたというと明らかな証拠だろう。

 この文書は他にも様々な疑惑をが裏付ける事実が書かれていた。さらに、2通目、3通目の文書にも、衝撃的な記述がある。その具体的な内容については、後編でお届けしたい。また、興味にある向きは、筆者が主宰している「アクセスジャーナル」も読んでいただければ、幸いだ。
(後編に続く/文中敬称略)

(山岡俊介)
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これも安倍首相への忖度?田中均氏の苦言を黙殺のメディア

2018-07-07 | いろいろ

より

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これも安倍首相への忖度?田中均氏の苦言を黙殺のメディア

 「記者会見をするのはこれが最後かなとも思うので、思いの丈を述べさせていただきたい」

 発言の主は元外務審議官の田中均氏。北朝鮮の「ミスターX」と秘密交渉を重ね、2002年の小泉訪朝や拉致被害者帰国の道筋を作った人物だ。3日に日本記者クラブで行われた講演でこう切り出すと、“拉致の安倍”“外交の安倍”を金看板に掲げながら、北朝鮮情勢の蚊帳の外に置かれた安倍首相のやり方を痛烈に批判した。

 「安倍首相という人は北朝鮮に対する強い姿勢を前面にかざして首相への階段を上っていった。北朝鮮が脅威であるということを前面にかざして選挙に勝った。国内政治としては分かる。でも、国内に威勢のいいことを言うのが外交じゃない。国益にかなう結果を作ることだ。今の日本は外交をやっていない」

 安倍は小泉訪朝に官房副長官として同行したことを追い風に首相の座を射止め、北朝鮮を「国難」と呼んでモリカケ疑惑隠しの解散・総選挙を断行。局面に立つと、必ずといっていいほど北朝鮮を利用してきた。

 講演の現場にはテレビや新聞各社が軒並み顔を揃えていた。にもかかわらず、田中氏の発言を報じたのは朝日新聞と時事通信だけ。それもベタ記事扱い。北朝鮮を最も知る男が口にした蛮勇の苦言を、大マスコミは黙殺したのである。

 政治ジャーナリストの泉宏氏はこう言う。

 「05年に退官するまで対北窓口の役割を担った田中氏は、日朝交渉のすべてを知っている人物です。外交戦略は非常に筋が通っていた。史上初の米朝首脳会談を受けて日朝首脳会談の実現が浮上する中、拉致問題に関する世論の関心は高い。それなのに、メディアはなぜキーマンの進言を報じないのか。田中氏に外交を批判された安倍首相がブチ切れ、〈彼に外交を語る資格はない〉とフェイスブックで噛みついた経緯もあることなどから、官邸を刺激して反感を買うのを避けたのでしょう」

 経験に裏打ちされた田中氏の数々の指摘は、圧力一辺倒で北朝鮮情勢の転換に気付かず、国際社会で置き去りにされた安倍にとっては、耳が痛いものばかりだろう。持病の潰瘍性大腸炎はストレスが大敵である。


■ 米中にバカにされるアベ外交

 田中氏は安倍が最重要課題に掲げる拉致問題の解決に向けて「平壌に連絡事務所設置」「日朝合同調査による拉致被害者の実情把握」などを提案。「日朝首脳会談をして突然、信頼関係ができるなんてことはない。コミュニケーションのチャンネルを作り、もう少し地道に外交をやってもらいたい」と求め、米国はCIA、韓国は国家情報院が交渉窓口となり、北朝鮮情報当局の統一戦線部と折衝している可能性を指摘。「日本も権力中枢にルートを作る必要がある。それは、核や拉致問題で発言権を持たない外務省ではないし、外務省が管轄する北京の大使館でも朝鮮総連でもない」「戦略を持って見識を示さないと米中にバカにされる」とクギを刺した。

 これまで安倍がやってきたことは何か。平昌五輪のレセプションで北朝鮮の金永南最高人民会議常任委員長に近寄り、唐突に拉致問題解決を要求。文在寅大統領に南北首脳会談での働きかけを頼み込み、「北京ルート」と呼ばれる在中国大使館を通じた接触を迫り、トランプ大統領には米朝首脳会談で口利きを懇願。今頃になって外務省で朝鮮半島全体を担当していたアジア大洋州局北東アジア課を分離し、北朝鮮専門の北東アジア2課を新設した。

 「8月、9月にも米朝首脳会談が実現」という観測を流し、北朝鮮の反応をひたすら待っているだけである。

 北朝鮮が「ポスト安倍」をサジェスチョンか

 サッカーW杯のお祭り騒ぎの最中に実施されたマスコミ各社の世論調査では、何の得点も挙げていないのに内閣支持率が軒並み上昇。日経新聞とテレビ東京の調査では前月比10ポイント増の52%まで上がり、日経は〈安倍首相の外交手腕に期待が高まったとみられる〉と解説。

 目鼻もついていない日朝首脳会談実現への期待で支持率上昇などというトンチンカンな報道にも驚かされたが、拉致問題のエキスパートの正論を見事に無視したアベ様メディアの異様な忖度には言葉を失う。

 拉致問題に詳しい国際ジャーナリストの太刀川正樹氏は言う。

 「安倍首相が田中氏に対して異常なほど敵意をムキ出しにするのは、北朝鮮事情にはるかに通じているからです。田中氏は日朝交渉の全容を把握し、拉致被害者に関する機微な情報にも接しているでしょう。北朝鮮から直接的、間接的にアプローチされている可能性もある。安倍首相が居座る限り、北朝鮮は交渉には応じない。このところの一連の発言からは、そうしたサジェスチョンを受けた印象を抱きます」

 だとしたら、安倍がなりふり構わず突き進む自民党総裁3選は赤信号だ。親密メディアが田中氏の発言をガン無視するわけである。

 そうして今、溢れ返っているのが、北朝鮮の非核化を巡る不信報道だ。

 核・ミサイル実験は停止したものの核兵器用の濃縮ウランを増産、専門家による衛星写真の分析でミサイル製造工場の拡張を確認、米国防情報局(DIA)が金正恩朝鮮労働党委員長には現時点で「完全な非核化」に取り組む意思はないと分析――米メディアの記事などを引用し、北朝鮮の非核化の意思を疑問視するニュースが相次いでいる。

■ 河野外相「トランプ軍事力行使」に言及

 タイミングを見計らったかのように、小野寺防衛相は陸上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の必要性を強調。配備予定地の山口県宇部市で、「北朝鮮は日本に届く弾道ミサイルをまだひとつも壊していないし、核弾頭もひとつも引き渡していない。何も前に進んでいない」「防衛装備を揃えるには時間がかかるが、北朝鮮が〈やっぱり対話をやめた〉と言うのは一瞬だ」と講演。河野外相も米朝協議が行き詰まり、米国が軍事力行使に踏み切る可能性に言及。外交努力で解決を図る現状の「プランA」から「相当な破壊を伴うプランZ」まであると仮定した場合、「トランプ氏なら最後にプランZを選択する可能性はゼロではない」と言ってのけた。まるで、米朝破談を心待ちにしているかのようである。

 「悲願である憲法9条改正で、名実共に米国と一緒に戦争ができる国を目指す安倍首相は、北朝鮮をトコトン利用してきましたが、親密メディアの無分別も目を覆うばかりです。安倍首相に傷を負わせるような情報には目をつむり、政権浮揚につながる都合のいい情報は盛んに発信する。あからさまな世論の誘導です」(立正大名誉教授の金子勝氏=憲法)

 なるほど、これでは6年連続増加している防衛予算の削減なんて夢のまた夢だ。アベ3選に向け、北朝鮮との緊張を維持したい大本営マスコミの正体に、マトモな識者は戦慄している。


■ 朝日新聞 田中均氏、安倍外交に苦言「拉致問題で結果出ているか」  2018年7月4日00時49分
  
 2002年の初の日朝首脳会談への交渉を担った田中均・元外務審議官が3日、日本記者クラブで講演し、「安倍(晋三)首相は北朝鮮への強い姿勢をかざし首相への階段を上ったが、国内に威勢のいいことを言うのが外交じゃない。拉致問題で結果が出ているか」と指摘した。

 田中氏は、北朝鮮と米韓中の対話が動く中で日本外交も「圧力から局面を変える最大の好機だ」と主張。「突然の日朝首脳会談より地道に外交を」「朝鮮半島問題で日本の戦略を示さないと米中からばかにされる」と苦言を重ねた。

 拉致問題については「徹底的な調査をせず、生きているに違いないとか死んでいるとか言うのは無責任」とし、解決へ「平壌に日本政府の連絡事務所を作るべきだ」と提言。北朝鮮から説明を受けた02年の日本政府調査団とは違い、北朝鮮に「合同調査団を作り協力する」よう求め、その調整に政府連絡事務所があたるべきだと述べた。(藤田直央)



■ 【田中均氏】日本記者クラブで講演 強硬姿勢を誇示し、外交で何一つ成果がない安倍政権



■ 【田中均氏】日本記者クラブで講演 

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安倍昭恵夫人と怪しい新興宗教

2018-07-06 | いろいろ

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安倍昭恵夫人と怪しい新興宗教

 首相夫人の安倍昭恵氏(56)が発起人の「世界こどもサミット」に、新興宗教が深くかかわっていることが「週刊文春」の取材でわかった。

「こどもサミット」とは、“G7サミットのこども版”と称し、第2回の東京大会が今年5月に有楽町で開催されたばかりだ。司会はキングコングの西野亮廣が務めた。

「東京大会が開催された時期は、昭恵氏は森友問題で“謹慎中”でした。それでも『言いだしっぺだから行きます』とわざわざ姿を見せたのです」(現役スタッフ)

 実は、昭恵氏と共に発起人を務める菅沼奏香氏は三重県伊勢市で新興宗教の教祖のような存在なのだという。

「菅沼氏は昨年4月、元旅館を購入し『コミュニティ館 湊』を立ち上げた。そこで福島史織という70代の女性と共同生活を送り、一心同体で新興宗教のグループを主宰しています」(同前)


 この新興宗教とは、縄文時代の生き方を理想とする「KAMIスタイル」。そのテキストには「病気の原因である負の思いを取り除くことで、一生病気にならない生き方を伝える」とある。昭恵氏は伊勢にも足を運び、彼らに「神の存在に近い」崇められているという。


 問題は、「コミュニティ館 湊」で集団生活を送る中で洗脳されてしまった人がいたり、施術を習得するのに300万円もの受講料を取っており、返金を巡るトラブルも生じていることだ。


 昭恵氏が深入りする怪しい新興宗教――主宰する2人がメディアを騒がした過去や、返金を求めている元信者の証言などについて、7月5日(木)発売の「週刊文春」が詳しく報じる。また、「週刊文春デジタル」では、「こどもサミット」に関する音声を含む関連動画の完全版を同日5時より公開する。


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加計学園・加計孝太郎氏は減給処分などどうでもいいから補助金を返すべき

2018-07-05 | いろいろ

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加計学園・加計孝太郎氏は減給処分などどうでもいいから補助金を返すべき
ジャーナリスト 菅野完氏


おい、加計! 補助金返せ!

 こすっからくて、肝っ玉が小さいくせに、目端が利くのだけが能で、仕事を人間関係の処理だと勘違いしており、キャリアや人生においてなんの付加価値も生まないにもかかわらず、ただただ偉そうで常にふんぞりかえっている。

――本稿読者層のサラリーマン各位にもそんなふうな男に職場や取引先で遭遇することが一度や二度はあっただろう。この種の連中は、まともな会社であれば出世しない。仕事ができないことをすぐに見抜かれ、その横柄さから鼻摘まみ者にされ、すぐに閑職に追いやられるからだ。

 だが、この男はそうならなかった。それはなにもこの男に才覚があったからではない。単に家業を引き継いだという筋目の良さから、無能さやそれに伴う傲岸さなどを生まれながらにして不問に付される立場に立っていたからにすぎない。運も実力のうちだというのならば、それもこの男の実力なのだろう。

 しかし、加計孝太郎が開いたあの記者会見をみて、「あ、この男、仕事できないな」と気づいた人は多かったはずだ。なにせ鷹揚に構えているように見せてはいるものの、終始目が泳いでいる。恐らく内心は戦々恐々としていたのだろう。あれは仕事を頼める男の顔ではない。天性の小物だ。

 思えば、あの記者会見で加計孝太郎が見せつけた「仕事のできなさ」に今一番手を焼いているのは、他ならぬ官邸サイドかもしれない。

 なるほど確かに加計孝太郎は会見で「総理と会って獣医学部の話をしたことはない」と繰り返し言明した。だがそこからが問題。加計孝太郎は口をすべらせ、彼自身のみならず加計学園関係者の誰も、安倍晋三とも官邸関係者とも会ってもいなければ、国家戦略特区に関わる話をしていないと言ってしまった。

 これは加計の大チョンボ。なにせ5月の終わりに開かれた国会参考人招致で、柳瀬唯夫首相秘書官(当時)が「加計学園関係者と面談したことは、一貫して記憶にある」と言明してしまっているではないか。加計孝太郎には大阪の地震、サッカーW杯と、話題目白押しのタイミングで会見を開き注目度を下げようなどという田舎芝居を打つ能はあっても、基本的な事実関係を整理し理解する能力はないらしい。

 我々の社会は、この種の小ざかしい馬鹿者どもに舐められているのだ。加計孝太郎をはじめとする、安倍晋三周辺の小人物たちに、「どうせ忘れる、どうせ気づかない」と、手玉にとられているのだ。

 しかしもうそろそろいいだろう。この種の小ざかしい無能どもに、きっちりと怒りをぶつけ、社会から退場してもらわねば、この国の底が抜けてしまう。

【菅野完】
  1974年、奈良県生まれ。サラリーマンのかたわら、執筆活動を開始。2015年に退職し、「ハーバービジネスオンライン」にて日本会議の淵源を探る「草の根保守の蠢動」を連載。同連載をまとめた『日本会議の研究』(扶桑社新書)が第1回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞を受賞。最近、どこよりも早く森友問題の情報を提供するメルマガが話題(https://sugano.shop/)

― なんでこんなにアホなのか ―
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古賀茂明「自民党“魔の3回生”の暴言でわかったたばこ利権に弱い安倍政権とマスコミ」

2018-07-04 | いろいろ

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古賀茂明「自民党“魔の3回生”の暴言でわかったたばこ利権に弱い安倍政権とマスコミ」

「働き方改革法」が、ついに成立した。

 安倍総理が一番こだわった「高度プロフェッショナル制度」については、野党の追及に国会論戦でボロボロになったが、結局は数の力で押し切った。この制度が、働く者の要望ではなく、経団連の要望であることを総理自らが認めてしまうなど、この法案は、経営者の立場に立って「働かせ放題」を目指すものだという野党の批判が当たっていたということが鮮明になる中での採決だった。

 この法案に限らず、今国会での議論を見て感じるのは、安倍内閣の基本姿勢が、「人よりも企業」という、古い途上国型利権国家のものだということだ。

 私は、先進国の条件には、単に経済的にある一定の水準(例えば1人当たりGDP)を超えるということの他に、数字では表せないが、欠かせないものが三つあると考えている。

1.人を大切にする
2.自然・環境を大切にする
3.公正なルールが厳格に執行される

 この三つだ。詳しい解説は別の機会にするが、社会が発展し、成熟することでこれらの要請が国民の間に強まり、また、経済発展がその実現を可能とする。一方、このいずれの条件から見ても、日本は残念ながら先進国になれないまま、経済的に後退し始めているというのが、私の見立てだ。

 今国会で成立しそうな法案の中に、「健康増進法改正案」がある。受動喫煙対策を定める法律だ。受動喫煙対策については、このコラムでもすでに何回も取り上げた。他にも重要なテーマがある中で、何故この問題を繰り返し取り上げるのかというと、それは、構造的にこの問題には日が当たりにくくなっていて、国民の生命、健康に直結する問題なのに、十分な議論がないまま、非常に大きな欠陥がある法律が通ってしまいそうだからだ。この法案はすでに衆議院を通過しているのだが、なぜか、テレビなどで大きく取り上げられることはない。したがって、国民の多くも、今何が起きているのかほとんど知らないというのが実情だ。

■先進国なら当然のことができない安倍政権

 受動喫煙が人の健康に深刻な被害を与えていることは、もう議論の余地のないことだ。自分が喫煙していないのに、人のたばこの煙で健康被害を受けるということについては、ほとんどの人が知っている。ただ、多くの場合、知られているのは、「たばこの煙でがんになるリスクが高まる」ということくらいだ。確かに、肺がんのリスクは受動喫煙で1.3倍になるが、この他にも、虚血性心疾患で1.2倍、脳卒中で1.3倍、さらに、乳幼児の突然死のリスクは、何と4.7倍にもなるのだが、いまだに、知らない人も多いようだ。

 さらに、受動喫煙で亡くなる人が毎年1万5千人、医療費の増加が年3000億円と聞けば、普通の感覚なら、直ちに受動喫煙をゼロにしろということになる。先進国なら、なおさらだ。

 しかし、そこには深い利権の闇が横たわり、利権への弱さが顕著な安倍政権には、とても手が付けられないのが実情だ。今国会に安倍政権が提出した法案は、ほとんどザル法と言っても良いだろう。最大の焦点である、飲食店への規制では、中小企業が営業している客席面積100平方メートル以下の店を屋内禁煙の規制対象外としてしまったからだ。全国の飲食店の55%が例外となる。普通、原則と例外と言えば、原則の方が多いに決まっているが、安倍法案では、「原則屋内禁煙」と言いながら、喫煙可の例外の方が多いという「なんちゃって」規制となっているのだ。これでは完全に看板に偽りあり、本当は「原則屋内喫煙可」だと言うべきではないだろうか。

 どうしてこんなことになるのか。そして、どうして、それが大きな問題にならないのか。それを理解するために、ここに利権の構造を簡単な図にしたので見ていただきたい。

 濃いグレーが利権の中心プレーヤーだ。葉タバコ農家、JT(日本たばこ産業株式会社)、財務省、たばこ販売店、飲食店・娯楽産業など、そして、自民の族議員と公明党議員が主たるプレーヤーだ。JTは農家が生産した葉タバコを全量買い上げる。財務省はJTの株を3分の1保有する大株主で、JTは最優良天下りポストとして会長職を財務省に差し出す代わりに、国内での製造の独占を認めてもらう。さらにJTからはたばこ税と配当が政府(財務省)に入る。たばこ販売店(コンビニも大きい)や飲食店・娯楽産業(パチンコ、雀荘)は、自民党の有力な支持層である。公明党にとっても中小商店や飲食店は大事な顧客である。これらの利害関係者からは、与党の族議員に対して政治献金と選挙での支援が行われる。

 この他にも薄いグレーで示した利権プレーヤーがいる。まず、自治体には、地域ごとのたばこの売り上げに比例した交付金が財務省から交付されるので、やはり、売り上げを減らすことはしたくないという事情がある。

 さらに、野党議員も、地元の飲食店などに嫌われたくないという意識が強く、規制強化を声高に唱えることはしにくいという事情がある。それを最も端的に表したのが、国民民主党の対応だ。同党は、安倍政権の案では不十分だとして、喫煙可とする対象を客席面積30平方メートル以下に限定する独自の対案を提出した。自民党の100平方メートルに比べればかなり厳しい。「対案路線」を掲げる同党の対応は、称賛されて良いものだった。しかし、衆議院の委員会採決の段階で、国民民主党は、同党案の成立のめどがないとして、いきなり、安倍法案に賛成してしまった。これは、とりあえず、一般世論向けに、厳しい姿勢を示した上で、採決では与党案に賛成して、支持層の中小飲食店の人気取りをしたということだろう。あまりに節操のない対応には驚くばかりであるが、あらためて、この利権構造の強固さを知らしめることとなった。

■マスコミが隠す「たばこ」問題

 この利権構造を語るうえで、忘れてはならないことがある。それは、JTがマスコミに対する大スポンサーだということだ。JTの2016年度決算資料では、広告宣伝費は261億円にも上る(この他に販売促進費1248億円があり、ここにも事実上の広告宣伝費用が入っている可能性がある)。このため、たばこ批判は、テレビ・新聞・雑誌では非常にやりにくい。例えば、JTがスポンサーになっている番組では、たばこ批判の放送をすることができなかったり、トーンを弱めなければならないということが起きる。雑誌でも、JTの広告が掲載される号では、たばこ批判の記事は書かないということもある。筆者もあちこちで、そういう事例を目撃してきた。今回の受動喫煙に関する記事も本来は、連日大きく報道されてもおかしくないのだが、記事の掲載回数も少なく、しかも、政府法案批判のトーンは、働き方改革法案やカジノ法案など他の法案に比べて著しく弱い。

■穴見議員の暴言騒動も東京都条例の報道も極めて抑制的

 自民党の魔の3回生、衆議院議員の穴見陽一氏が、6月15日の厚生労働委員会で、参考人として肺がん患者が意見を述べている際に「いい加減にしろ」とヤジを飛ばす事件があった。この暴言は言語道断のものだが、穴見議員は、ファミレス「ジョイフル」の創業者の長男で、今も代表取締役を務めている。まさに、利権の構造の中心にいるような人物だ。この暴言は、本来であれば、大きな問題になりそうなものだが、テレビでのこの扱いは通常のスキャンダルに比べて非常に小さなものだった。

 また、6月26日には、希望の党と日本維新の会が規制対象の例外を施設面積30平方メートル以下の既存のバーやスナック、居酒屋などに限るなどとする対案を参議院に提出した時も、新聞の報道は、極めて小さく、テレビではほとんど放送されなかった。

 さらに、東京都は、6月27日に安倍法案をはるかに上回る厳しい規制を導入する条例を可決・成立させたが、その報道も非常に抑制的だった。東京都の条例は、規制対象の例外条件から面積要件を外したのが特色だ。このため、どんなに小さい店でも例外にはならない。唯一例外を認めるのは、従業員が一人もいない店ということになっている。これは、人に着目した基準であり、従業員という弱い立場にある者を守るという考え方だから、「人にやさしい」「先進国」に一歩近づく考え方である。実は、維新・希望の法案でも、従業員がいる場合は、その従業員全員の同意を例外の要件としている。これも企業目線ではなく人に着目した姿勢として評価できる。

 これに対して、安倍法案は、あくまでも、中小企業は大変だからという「企業の論理」で例外を決めているので、「人より企業」という古い途上国体質が残された法案だと言える。

■野党は「完全禁煙」を提案して国民の信頼を取り戻せ

 ところで、日本では禁煙規制の例外をどこまで認めるかという点に議論が集中しているが、これは、世界標準から見ると周回遅れの議論であることもあまり報道されていない。政府法案も東京都条例も維新・希望案もいずれも、かりに規制対象になったとしても、屋内に喫煙室を設ければ、そこでの喫煙が可能だ。屋内での完全禁煙は、最初から実行不可能という前提で議論の対象から外されているのだ。

 WHOの調査では、屋内に喫煙室を設けても受動喫煙を完全に防止することはできないと科学的データによって立証されている。屋内禁煙と言えば、喫煙室も認めないというのが世界の常識になっているのだ。したがって、屋内に喫煙室を設ければ「屋内禁煙」と言えるという日本の考え方は、世界標準から見れば周回遅れなのだ。

 安倍法案は、その周回遅れの規制さえ骨抜きにして、過半の飲食店を喫煙し放題にする。しかも、この法案でも、規制対象となる飲食店すべてが禁煙対策を実施できるかというと、はなはだ疑問だ。19年のラグビーワールドカップまで1年、20年のオリパラまででも2年しかない。多くの規制対象の飲食店が未対応のまま、世界のスポーツの祭典に臨むことになり、開催国である日本は、このままでは、世界に恥をさらすことになるだろう。

 こうした状況から、とにかく安倍法案でも仕方ないので、早く決めて対策を講じる方が大事だという声もある。これ以上議論して規制を強化してもどうせ実施できないから意味がないというのだ。

 しかし、非常に簡単な、「起死回生の一打」が残されている。

 それは、「例外なく屋内全面禁煙」とすることだ。全面禁煙なら、現在喫煙全面可の店でも、やるべきことはただ一つ。店内の灰皿を撤去すればよい。あとは、禁煙の標識を貼って、客に周知すればそれで対策完了だ。喫煙室の設置など必要ないから、対策費用もいらない。店の大きさや売り上げや資本金などの格差も関係なく平等に実施できる。明日からでもOK。いいことずくめだ。

 しかし、この案には根強い反対がある。喫煙者が飲食店に来なくなるというのだ。しかし、よく考えてほしい。今や日本の喫煙者の割合は20%を切っている。共働き世帯も増えて、家族連れで外食する機会も増加傾向だ。最近は、居酒屋で家族連れの客も増えているそうだ。確かに、郊外の居酒屋ではそうした例をよく見かける。子供がいる時は、やはり、禁煙の店を選ぶという人も多いだろう。現に、産業医科大学の調査では、全席禁煙としたファミリーレストランの収入が増加したという報道もある。禁煙にしたことで家族連れの客が増えたということだ。常識的な結果ではないだろうか。

 よく考えてみれば、すべての店が禁煙になったとき、喫煙者が外での飲食を大きく減らして家に閉じこもると考えるのは現実的な仮定ではない。完全禁煙で客が増える効果と多少減るかもしれない効果とはほぼ相殺されるだろうと考える方が、はるかに「常識的」なのではないだろうか。

 飲食店への経済的影響については、WHOの国際がん研究機関がすでに分析をしている。その調査の大多数では、売り上げは減っていなかった。日本の研究は遅れているが、前述した産業医科大の調査の他にも、愛知県の2011年の調査では、自主的に全面禁煙にした9店舗中8店舗で売り上げは減少しなかったという結果が出ている。もちろん、すべての店が禁煙になれば、なおさら売り上げ減のリスクはないということだ。

 今からでも遅くはない。「例外なき屋内完全禁煙」の受動喫煙防止法案を野党が共同で提出し、街宣活動などでPRすれば、国民の大多数は支持するだろう。利権と癒着する自公安倍法案と子供、妊婦、がん患者、心臓の持病を抱える人、従業員など、社会の弱い立場にある人々や80%の非喫煙者に寄り添う野党案のどちらに賛成するのか。それを国民に問いかければ、終盤国会での与野党対決法案となることは確実だ。国民のための「対案を出す野党」「政策を議論する国会」をアピールする機会にもなり、今、一番大事な、政治への信頼を取り戻すことにもつながるはずだ。また、この法案なら、維新や希望もむしろ積極的に共闘に参加できるだろう。最近、軍事優先主義か平和主義かという対立軸の陰にかすんでしまった感のあるもう一つの対立軸、「既得権に取り込まれた守旧派」自公対「既得権と闘う改革派」野党という図式が復活し、野党がもう一度安倍政権と闘う新たな「土俵」を作る道になると思うのだが、いかがだろうか。
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拉致問題で蓮池薫氏 「安倍首相は言葉だけでなく結果を」

2018-07-03 | いろいろ

より

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拉致問題で蓮池薫氏 「安倍首相は言葉だけでなく結果を」

 史上初の米朝首脳会談を受け、安倍首相も金正恩朝鮮労働党委員長とのトップ会談に意欲を見せている。2004年の小泉再訪朝以降、1ミリも進展しない拉致問題は解決に向かうのか。北朝鮮事情を肌で知る、拉致被害者で新潟産業大准教授の蓮池薫氏に聞いた。


■ 融和で非核化は進まざるを得なくなる

  ――米朝会談では両トップが「朝鮮半島における完全な非核化に向けてともに努力する」とした共同声明に署名。しかし、CVID(完全で検証可能かつ不可逆的な廃棄)まで踏み込まず、ICBM(大陸間弾道ミサイル)をはじめとするミサイルに触れなかったことなどから、評価が分かれています。

 判断は時期尚早だと思います。完全な非核化に向け、ある程度の形をつくるには時間を要するでしょうし、1回や2回の協議では終わらないでしょう。「完全な」という文言が入っただけでも、スタートラインに立てたとはいえる。私は北に連れて行かれ、長いこと向こうで暮らしましたが、米朝対立は非常に根が深い。今日明日で変えられるようなものではない。家族や親戚を含めれば、朝鮮戦争(1950~53年)で被害を受けていない人は南北双方ほとんどおらず、70年近くにわたってだまし合い、陥れるような状態が続いてきた。長く続いた不信の時代を経ての非核化ですから、信頼感が醸成され、「今回は大丈夫だろう」という手応えがあって進む部分が大きいと思います。

  ――北朝鮮国内ではどう受け止められているのでしょうか。

 米朝会談はおおむね事実に基づいて報じられ、米国に対する批判的な内容はほとんどありません。約40分の記録映画を見て、信じられない思いでした。トランプ大統領にも敬称をつけ、「おふたりは何々をされた」と敬語を用いて紹介していた。国民は今までとは随分違うという印象を持ったと思います。戦争の対立構図の象徴だった米国と北の国旗が色鮮やかに並び、友好や平和のシンボルとして描き出されていた。対米イメージを国民レベルからも変えていく。これも今後の交渉ではプラスになるでしょう。この融和的環境は、北が逆に非核化で進まざるを得なくする要素にもなる、という思いを抱きました。

  ――北朝鮮の軟化は口先だけではないと。

 北が望む体制保証、米朝国交正常化、経済制裁の解除と支援が実現するメドが立てば、非核化を進めると思います。完全な非核化には技術的な検証などさまざまな段階を踏む必要があり、その過程で摩擦が生じることも当然あるでしょうが、北は非核化の意思がないまま交渉入りしたわけではないとみています。

  ――安倍首相も日朝首脳会談の実現を模索しています。

 日本はかなり積極的で、金正恩委員長も否定的ではないという感触がある。ただ、日本にとって問題なのは拉致問題が進展し、日本が望むレベルの回答を得られるかどうか。北の出方を見極め、水面下の交渉を進めて解決の確約をほぼ得た上で、首脳会談で決着をつける形が望ましいと思います。

  ――北朝鮮は党機関紙や国営メディアを通じて「拉致問題は解決済み」と繰り返しています。

 4月末の南北首脳会談以降、党機関紙「労働新聞」の論評などで「既に解決された問題を騒ぐ前に過去の罪悪を謝罪し、賠償するのが筋だ」という趣旨の主張をしていますが、これは微妙な言い回しです。彼らが言いたいのは、「拉致問題を持ち出す前」に「戦後賠償をやれ」ということ。拉致問題は過去の清算を済ませてから、という論調なのです。拉致問題の交渉を否定しているわけではありません。論評はすべて個人名の署名記事で、のちのち問題になったら「個人的な見解だ」と言い逃れができる余地がある。安倍首相が日朝首脳会談に意欲を見せて間もなく、国営ラジオの平壌放送も「日本は既に解決された拉致問題を引き続き持ち出し、自分たちの利益を得ようと画策している」と主張しましたが、平壌放送は国内では流れない。対外向けの放送です。拘束力のある外務省談話、外務省声明のような形式では一切言及していません。

  ――国家として拉致問題の交渉を拒んでいるわけではない。

 日朝対話が始まれば、拉致問題は必ず話し合われます。間違いない。北は交渉に応じてきます。問題は北がどういう形で回答を出し、どのレベルで解決しようとするか。あるいはごまかそうとするか。安倍首相は国会で「何をもって拉致問題を解決したと言うのかという問いが度々ある」「誰を拉致したかを知っているのは北朝鮮だ」「知っていることを全て話し、全ての拉致被害者を帰国させてほしい」と答弁していました。何人を拉致し、誰がどこにいるのかを北は把握しているのだから、被害者全員の情報を出してくるだろうというニュアンスで話をされた。北の情報を日本が検証し、「正直に出してきた」となれば解決に至るのだと私は受け止めました。ただし、その判断には日本独自の情報力が必要です。


 政府は確証ある生存者情報を持っている

  ――日本政府の情報収集力を疑問視する声があります。

 拉致問題対策本部が09年に設立されて以来、情報収集のための国家予算がそれなりに計上されています。民主党政権時代の拉致問題担当相が退任後、(北朝鮮に拉致された可能性のある)特定失踪者に関する複数の生存者情報を出したこともあった。おそらく、政府が情報収集した結果でしょう。安倍首相は米朝会談を前にしたトランプ大統領に対し、金正恩委員長が「拉致問題は解決済み」と主張しても、受け入れないよう要請したと報じられている。国家のトップがあやふやな情報をもとに、他国のトップに掛け合うとは思えない。確証のある生存者情報があってのことでしょう。そうした状況からいって、政府はかなりの生存者情報を把握しているのではないか。北が誠意を持って対応せず、出し渋るようだったら、日本独自の情報を活用して前に進めなければなりません。

  ――14年のストックホルム合意に基づく再調査は頓挫したままですが、展望は開けるのでしょうか。

 当時とは状況が違います。あの時も北は外交的に追い込まれてはいました。韓国と中国が接近し、朴槿恵大統領に訪中で先を越され、習近平国家主席も慣例を破って北朝鮮の頭越しに訪韓した。日本に少し近づけば、孤立状態を緩和できると考えたと聞きます。北が特別調査委員会を立ち上げ、活動を始めると宣言し、日本は独自制裁の一部を解除した。北は初期段階の成果は得ましたが、本来の目的である日朝平壌宣言に基づく国交正常化と、1兆円ともいわれる戦後賠償にはたどり着けそうになかった。国際社会が求める核・ミサイル問題を棚上げしたまま拉致問題を解決しても、日本から経済協力を得られる状況になかったからです。だから、拉致カードは使わなかったのです。


■ これまでは局面打開の努力が足りなかった

  ――核・ミサイル問題解決の道筋が見え、国際社会による経済支援が現実味を帯び、日本に拉致カードを切る可能性が高まった。

 拉致問題の解決を前提に、安倍首相も平壌宣言の実現に言及しています。日本が経済協力として提示するのは中国や韓国によるものとは異なり、北にとって有利な内容だと強調する必要があると思います。対中貿易が9割を占める北は、中国の経済的属国になりかねないという危機感を強めている。経済的にバランスを取ろうとすれば、支援に積極的な韓国が浮上しますが、政治的変動が起こり得ます。文在寅大統領を支える革新政権から保守政権に交代すればギャップが大きく、先が見通せなくなる。その点、日本の経済協力は「過去の清算」という性格のものなので、北の求めに応じる形にならざるを得ない。これは北にとって非常に使い勝手がいいものになるでしょう。


  ――第2次安倍政権発足以降の5年半、拉致問題は進展しませんでした。安倍首相の本気度を疑う声も上がっています。

 北が核・ミサイル開発を進め、日本に打つ手がほとんどない中でも、何とかして局面を打開し、北をその気にさせてやろうという努力は足りなかったように思う。安倍首相もそうですし、加藤拉致問題担当相にも言えます。しかし、核・ミサイル問題が動く可能性が出てきた。内政での政治的目的もあるかもしれませんが、結果さえ出してくれればいいと思う。「やります」という言葉で世論を誘導するだけではなく、これだけ環境が整ってきているのですから、今回は本気で取り組んで結果を出してほしい。安倍首相も「今度こそ」という思いを強く持っていると信じたいです。

(聞き手=本紙・坂本千晶)

 ▽はすいけ・かおる 1957年、新潟県柏崎市生まれ。中大法学部在学中の78年、郷里の海岸で北朝鮮工作員に拉致される。02年に帰国後、中大に復学して卒業。05年、初の翻訳書「孤将」(金薫著)を刊行、執筆や翻訳に携わる。09年、「半島へ、ふたたび」で新潮ドキュメント賞受賞。新潟産業大准教授として教壇に立つ。専門は韓国語、朝鮮・韓国文化。
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過労死法案採決の狡猾 日本代表の試合の日は気をつけろ!

2018-07-02 | いろいろ

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過労死法案採決の狡猾 日本代表の試合の日は気をつけろ!

 28日は朝から深夜まで、テレビを中心にサッカーW杯の日本代表戦で一色、決勝トーナメントに進出できるのかどうかで日本中がヤキモキだったが、その裏で国会では、またもや強行採決のデタラメが繰り広げられた。別名“過労死促進法”の「働き方改革法案」が、野党の反対を押し切って参院の厚生労働委員会で採決され、可決されたのだ。これで29日にも、労働者を奴隷化する危険な悪法が成立してしまう。

 28日の厚労委では、法案の採決を阻止するため、立憲民主党、共産党、自由党、社民党の野党4党が厚労委員長の解任決議案を提出。しかし、参院の野党第1党である国民民主党がこれに同調せず、法案採決を認めたため、与党は解任決議案を棚ざらしにして、本会議には上程しなかった。つまり、通常なら先決して最優先に採決される解任決議案を無視するという横暴の末、過労死促進法案は可決されたのだった。

 与党は「審議を尽くした」と主張する。審議時間が衆院33時間30分に対し、参院はそれを上回ったからだというが、問題は時間じゃない。法案の中身がメチャクチャ過ぎるのだ。

 厚生労働省によるデータの捏造がバレ、裁量労働制の拡大こそ引っ込めたものの、高年収の専門職の残業代をゼロにする「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)は残されたままだ。この高プロにしても、データはインチキの極み。必要性を把握するためのヒアリングは法案要綱の作成後に行われた上、たった12人にしか調査していなかったのだから、「労働者のニーズ」なんてウソ八百に決まっている。

 “高年収”というのも口先だけだ。政府は高プロの対象は「年収1075万円以上」と喧伝してきたが、条文にそんな数字はなく、「平均年収の3倍を上回る水準」とあるだけ。前の厚労大臣が「小さく産んで大きく育てる」とホンネを口走ったように、法案さえ成立してしまえば、政府と経済界がタッグを組んで、対象者を広げていくだろうことは目に見えている。

■ W杯に気を取られてるうちに…

 高プロを提唱した産業競争力会議の委員で、高プロの“旗振り役”でもある人材派遣会社パソナの竹中平蔵会長は、東京新聞のインタビューで高プロの必要性を説きながら、こう言っていた。

 「時間内に仕事を終えられない、生産性の低い人に残業代という補助金を出すのも一般論としておかしい」

 これには、残業しなければ終わらないほど仕事が多すぎるという発想はない。それだけでも労働者のための法案ではないというのは明白で、廃案にして一からヒアリング調査をやり直し、法案を作り直すのが筋なのである。成立したら、サラリーマンは息の根を止められてしまう。

 労働法制に詳しい法大名誉教授の五十嵐仁氏がこう言う。 

 「労働法制は人の生き死にがかかる重要な政策です。過労死を容認するような中身で、多くの問題点が明らかになっているのですから、強行して成立させるような法案ではありません。政府も当初こそ『労働者のため』と言っていましたが、ここへきて経営者の利益が優先されていることも見えてきました。正々堂々と議論できないから、『国民がW杯に気を取られているうちに……』『サーカスに惑わされているうちに……』という姑息なやり方で法案を成立させようとするのでしょう」


■ 5年の長期にわたって「ナチスの手口」を実行

 「パンとサーカス」は安倍ペテン政権の常套手段だ。2年前のリオ五輪。国民がメダルラッシュに沸く中、閉会式に安倍首相が「スーパーマリオ」に扮して登場。これだけで世論調査の内閣支持率がハネ上がり、それまで「反対」が多かった「総裁任期の延長」についても「賛成」が増えた。

 安倍は今回のW杯も、トコトン利用する気なのだろう。日本代表がコロンビアと戦った初戦の19日、“腹心の友”がアリバイ作りの記者会見を開いたが、W杯のドサクサに紛れてモリカケ問題の幕引きを狙った官邸との打ち合わせがあっただろうことは想像に難くない。

 日本代表のまさかのコロンビア戦勝利で、日本中がW杯に熱狂し始めると、テレビはどこも、国会のことなんてほとんど報じない。第3戦のポーランド戦があった28日も、現地・ボルゴグラードからの生中継や日本代表のスタメン予想、30度を超える酷暑への不安など一日中、W杯情報にたっぷり時間を割いていた。

 こうなれば国民に気づかれないように、安倍政権はやりたい放題を加速させる。

 「国会で与党が難しい法案を通そうとする時は、1本でやらないで、いろんな懸案の法案を組み合わせて出して、核心の1本を目立たなくさせるものです。国民の関心がW杯に向かっているところで、働き方法案を成立させようというのも、そうした手法の延長線上にある。W杯によってメディアの国会報道が減るだろうというタイミングを政権は狙ってきているのです。こうした政権の思惑に対し、メディアはきちんと強行採決のことを伝えるのかどうか。メディアが試されています」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)

 28日は働き方法案だけでなく、野党の抵抗むなしく、米国を除く「TPP11」関連法案も参院内閣委で可決している。こちらも、29日成立の運びだ。延長した32日間の会期は与党のためだけにあると言わんばかりに、与野党対決法案が次々、ベルトコンベヤーに載せられて自動成立していく。緊張感のない消化試合――。これが今の茶番国会の姿なのである。

■ バラバラ野党が政権をツケ上がらせる

 野党もどうしようもない。働き方法案が参院の委員会であっさり可決したのは、国民民主党が野党共闘から離脱して、採決を容認したからである。参院の野党第1党が、厚労委員長の解任決議案に乗らなかったので、与党は平然と決議案を無視する強行に出ることができた。与党の国対筋は「野党間の溝が顕在化して助かる」と漏らしていたという。

 そういえば、国民民主の応援団の連合も27日、事務局長が自民党の岸田政調会長を党本部に訪ね、来年度予算編成に向け、長時間労働是正など重点政策の要望書を渡していた。毎年恒例のことだとはいうが、自分たちが反対する高プロの含まれる働き方法案が成立しそうなタイミングに、なぜわざわざ与党にスリ寄るのか。野党がバラバラ、チグハグで、与党は楽チン。安倍政権をますますツケ上がらせるばかりである。

 「支持率1%に低迷したままの国民民主は立憲民主とは違うことをして独自性を示したいのでしょうが、与党を利するだけです。『野党の足並みが乱れている』とメディアに報じられ、有権者にも『党利党略』と思われ、結果的に国民民主にとってプラスにならない。支持率も上がりませんよ。どうしてそういうことが分からないのでしょう」(五十嵐仁氏=前出)

 パンとサーカスを与えることで、民衆を支配するのがうまかったのはヒトラーのナチスだった。安倍政権も5年の長期にわたって、「ナチスの手口」を実行に移してきている。決勝トーナメント進出を決めた日本代表の次の試合は7月2日。狡猾政権は今度は何を仕掛けてくるのか。国民は浮かれていないで、注視しなければならない。
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いつまでも続くわけがない 安倍“目くらまし”政治の限界

2018-07-02 | いろいろ

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いつまでも続くわけがない 安倍“目くらまし”政治の限界
  

 「政治は結果だ」「選挙に勝てば何でも許される」という安倍1強政治に支配された今の日本を物語る試合展開だった。

 サッカーW杯の1次リーグ最終試合のポーランド戦。西野ジャパンは1点リードを許しながら、最後は10分近いボール回しの時間稼ぎで、辛くも決勝トーナメント進出を決めた。

 明らかな敗退行為に欧米メディアは「日本はサッカーとW杯への敬意を失った」(米ESPN)、「試合は理解しがたい茶番でW杯を汚すもの」(英BBC)などと酷評の嵐だが、日本のメディアは「奇跡の決勝T進出」と大ハシャギ。「世界が酷評も逃げ恥上等!!」と西野采配を称賛する夕刊紙もあるほどだ。

 今から26年前の1992年夏の甲子園2回戦で、明徳義塾は対戦相手の星稜の主砲・松井秀喜を5打席連続敬遠。松井がバットを一度も振ることなく敗れると、明徳ナインにはスタンドから「勝てばいいのか」と罵声が飛んだものだ。

 むろん、アマの学生野球とプロが世界最高峰を競い合うW杯の違いはあるが、「正々堂々」をよしとした日本はどこへ消えたのか。ひと昔前なら、世界中に恥をさらしてまで決勝T進出に固執した西野ジャパンには批判こそすれ、称賛ははばかられたはずだ。

 試合後に長谷部誠主将は「見ている方にはもどかしいけど、これが勝負の世界」と釈明したが、アベ政治の5年間で日本人の美徳は薄れてしまったのか。

 圧倒的な議席数を背景に「勝てば官軍」「数こそ正義」で何をやっても許されると思い上がった政治の弊害によって、「勝つためなら何でもアリ」の風潮がはびこっているのではないか。W杯決勝T進出に酔いしれる日本の現状を見て、そんな不安に駆られる人も多いことだろう。

■ 幕引きの悪だくみに総スポーツ紙化で加担

 どんなに後味が悪くとも、日本代表の2大会ぶりの決勝T進出で、W杯の狂騒は当分続く。メディアも朝から晩まで“侍ブルー”一色に染まり、安倍政権もほくそ笑んでいるはずだ。

 何しろ安倍政権は熱狂に紛れて、デタラメの限りだ。19日午前には日本代表の初戦を夜に控え、安倍首相の“腹心の友”の加計孝太郎理事長が初めて記者会見。加計問題の幕引きを狙ったアリバイづくりの薄汚さは、コロンビア戦のまさかの勝利でカキ消された。

 1次リーグ最終戦のポーランドとの試合当日(28日)には、過労死法こと「働き方改革法案」を参院厚生労働委で採決。サラリーマンの息の根を止める悪法は29日、参院本会議で可決・成立したが、“奇跡”の決勝T進出ですっかり埋没してしまった。

 W杯に浮かれているうちに、安倍政権はやりたい放題。ローマ時代の「パンとサーカス」のごとく、モリカケ問題もデタラメ法案もサッサと片づけ、逃げ切るハラだ。

 「W杯のドサクサに紛れて、あらゆる問題の幕引きを図る安倍政権は卑劣極まりないですが、こんな見え透いた手口は承知の上で、批判すらしないメディアもどうかしています。W杯報道は系列のスポーツ紙に任せればいいのに、今や“総スポーツ紙化”。世の中全員がW杯に夢中なはずもないのに、熱狂をあおって政権の『パンとサーカス』の目くらましに進んで協力する。だから、政権側も『メディアはそんなモノ』と完全に見下し、好き勝手を加速させる悪循環です」(ジャーナリスト・斎藤貴男氏)

 この5年間で、メディアは安倍政権の「反知性主義」に感染してしまったようだ。


 真実ゆがめ幻想振りまく鉄壁のチームワーク

 安倍政権は、自分が欲するようにしか世界を理解できない「反知性主義」だと、日本の知識層は警鐘を鳴らしてきたが、この批判は今のメディアにも当てはまる。

 日本代表が決勝T初戦でぶつかるベルギーは、FIFAランク3位の強豪だ。サッカー大国が居並ぶ欧州予選を無敗で勝ち抜いた今大会の優勝候補の一角。同61位の日本との実力差は歴然である。どう逆立ちしたってかなわない相手なのに、メディアは必勝ムードをあおり続ける。「韓国だってFIFAランク1位のドイツに勝った」とヘリクツをこね、勝利を信じない日本人は「非国民」であるかのような精神論を振りかざす。

 まさに反知性主義そのものの論調で、パンとサーカスの曲芸政治に手を貸している。なるほど、メディアの体たらくのおかげで、常に目くらまし政権が、ここまで生き延びてこられたわけだ。

 この5年間、安倍は国政面ではアベノミクスの成果を強調。外交面では中国の海洋進出と北朝鮮の核・ミサイル開発という脅威を喧伝し、政権浮揚に結びつけてきた。

 ところが、異次元緩和に踏み切って以降、2%の物価上昇目標の達成時期は6度も先送り。とうとう、今年4月には達成見通し時期の例示を取りやめた。朝鮮半島の非核化を巡っても圧力一辺倒路線がアダとなり、日本だけが蚊帳の外だ。

 要はアベノミクスも北の脅威も幻想に過ぎなかったのだが、それでも安倍は懲りていない。今度はデキもしない日朝首脳会談に意欲マンマンのポーズを演出し、メディアも「北も日本の経済援助を欲しがっている」などと、さも拉致交渉が実現するかのようにアシストする。実に鉄壁のチームワークなのである。

■ もはや「パン」すら与えない冷血政治

 安倍は拉致解決を政権の最重要課題に掲げながら、この5年間の成果はゼロ。同じく最重要課題のデフレ脱却も全く進展なし。この政権はいつも口先だけの大嘘つきで無為無策。冷静に見れば、今や内憂外患を抱え、八方塞がりに陥っている。政治評論家の森田実氏はこう言った。

 「論語には『巧言令色、鮮し仁』との格言があります。言葉巧みに人から好かれようとする者には誠実な人間が少なく、人として最も大事な『仁』の心が欠けているという意味ですが、まさに安倍首相を言い当てています。『女性が輝く社会』や『1億総活躍』などと、真実を貴ぶ人間は恥と感じる歯の浮くようなスローガンを平然と並べ立て、嘘に嘘を重ねても平気の平左。嘘つき政治が続いたせいで、官僚機構も嘘つき集団と成り下がり、腐臭が漂っています。政権の嘘に国民も感づいていますが、メディアが政権維持に協力しているから、真実がゆがめられてしまう。実にもどかしさが募ります」

 結局、安倍政権が残した“実績”といえるのは、集団的自衛権容認の安保法制をはじめ、特定秘密保護法や共謀罪法など違憲が疑われる“戦争準備法”の数々。さらに今回の過労死法や給与控除の削減など国民イジメのみ。前出の斎藤貴男氏が、「『パンとサーカス』のうち、もはや『パン』すら国民に与えようとしない血も涙もない政権です」と言う通りの驚くべき実態なのだ。

 W杯で日本代表は、相手が10人のハンディ付きで何とかしのいだコロンビア戦以外、1勝もしていない。実力にそぐわない“快進撃”の空騒ぎも、恐らく次の試合で終わるだろう。

 次戦のキックオフは日本時間7月3日の午前3時から。日本中が夢から覚めた頃には、延長国会の会期はまだ20日近く残っている。ちょうど、有権者の約7割が成立を望まないカジノ法案を参院で審議している最中だ。国民が政権の腐敗に気づくには、もってこいのタイミングである。

 「嘘つき政権が長続きすれば、この国の健全なモラルも崩れる。その兆候はW杯日本代表の戦い方にも表れています。国民も目を覚まし、目くらまし政治は一刻も早く、終わりにさせなければいけません」(森田実氏=前出)

 パンとサーカスの曲芸政治を、いつまでも続けさせるわけにはいかないのだ。
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