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安倍首相と加計理事長、共通する鉄面皮 国民はもう辟易
“腹心の友”がようやく出てきたと思ったら、疑惑払拭には程遠い、国民を愚弄するばかりの記者会見だった。
加計学園の加計孝太郎理事長が19日、一連の問題について初めて公の場で口を開いたのだが、愛媛県文書の核心である2015年2月25日の安倍首相との面会については、「もう3年も前のことなので記憶にも記録にもない」と否定。2月25日前後に首相と電話やメールで接触した可能性についても、「ございません」と強調した。だが、首相と面会していないのであれば2月25日当日、何をしていたのか。自身の詳しい日程など一切の根拠を示すことなく全面否定されても、納得などできるものではない。
首相と獣医学部の話を初めてしたのはいつか、という質問では、「計画が決まってからではないか」と言いながらも「覚えていない」と答えた。それなのに、首相が加計学園の計画を知った17年1月20日以降か、と問われると「そういうことだと思う」と言うのだからメチャクチャだ。
すべては理事長と首相との面会を“勝手に”捏造した渡辺良人事務局長の責任。で、「減給10%・6カ月」の処分を下し、理事長自らも監督責任として給与10%を1年間返納でチョンということらしい。
事務局長の捏造には、「あくまで(計画を)前に進めるためだったと聞いている」「申し訳なかった」と言うだけ。そうしたことが起こる学園のガバナンスについては「これから気をつけます」。軽すぎる口先だけの反省の弁を残し、予定の30分を5分早く切り上げ、理事長は逃げるように会見場を去った。
「記憶にも記録にもない」という言い回しや、記憶にないくせに安倍との関わりについてだけは「ない」と断言するところは、いかにも安倍政権の常套手段を彷彿させる。文言を含め、官邸との連携プレーなのか。そんな疑惑まで浮上する会見だった。
コラムニストの小田嶋隆氏はこう言う。
「大阪の震災の直後のうえ、サッカーW杯の日本戦当日という誰もニュースを見ないだろうというタイミング。『理事長はなぜ説明しない』という批判をかわすための“アリバイ会見”にしか見えません。タイミングといい、『記憶にも記録にもない』という発言といい、政権と打ち合わせがあったのではないかと疑ってしまいます。そもそも『部下が嘘をついた』という説明自体、卑怯なストーリーだと呆れていましたが、加計理事長は人前に出ても平気で同じ言い訳をする。『卑怯者』という泥をかぶってでも安倍首相をかばわなければならない、ということがよく分かりました」
首相の名を語って、国家戦略特区の認可を勝ち取っても、政権から訴えられることもなければ、「これから気をつける」で済んでしまう。今後、同じような詐欺が増えるんじゃないか。このフザケた会見に、さすがに与党からも「自分が野党なら、ますます疑惑は深まったと言うだろう」(公明党幹部)という声が上がっている。
■ 安倍政権が続く限り、内部告発も続
森友問題でも決定的な新事実が出てきた。18日の参院決算委員会で共産党が示した国交省の内部文書は、これまでの政府答弁を完全に覆すものだ。
森友学園が小学校用地として国有地の賃貸契約を結んでいた時期に、安倍昭恵夫人付職員だった谷査恵子氏が財務省に照会していた一件。これまで安倍も佐川宣寿前理財局長もみな「制度に関する事務的な問い合わせ」とトボケてきた。ところが、大阪航空局の担当者の名前が記された内部文書には、2015年11月12日に財務省の近畿財務局から谷氏の照会に関する報告を受けたとして、次のように書かれているのだ。
〈貸付料の減免、土壌汚染対策工事中の免除等はできないのか〉
どう見てもこれは、“値下げ交渉”だろう。財務省が〈森友に対しては、現行制度上で最大の配慮を行っている〉と回答したという記述もある。とても「制度に関する事務的な問い合わせ」とは読めない。さらにこの内部文書には、ご丁寧に〈安倍総理夫人は、森友学園が開校を計画している「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長に就任しています〉と手書きで“注意喚起”までしてあるのだ。
このやりとりの翌年、学園は賃貸から売買への転換を申し出て、鑑定価格の9割引きという破格の売買契約が結ばれた。籠池前理事長は、「神風が吹いた」と言ったが、夫人の関与はあった。まさにそういうことなのだろう。
同じ決算委で共産党は別の新事実も暴露している。これも国交省のものとみられる内部文書で、ナント、大阪地検の森友捜査に官邸が介入したことをうかがわせるものなのだ。
文書では、財務省の調査報告書の公表が刑事処分の時期に依存しているとして、〈官邸も早くということで、法務省に何度も巻きを入れている〉と生々しい。やはり検察はこうした官邸の圧力に屈して佐川らを不起訴にしたのか。
安倍は不意打ちのような新事実の連打に動揺したのか、答弁がシドロモドロ。文書の真偽が不明だとして「架空の状況だから答えようがない」と逃げの一手だった。
上智大教授の中野晃一氏(政治学)はこう言う。
「文書は内部告発でしょう。モリカケ問題に対する政府の対応はおかしいと思っている人がさまざまな組織にいる。安倍首相一人をかばうために日本全体が腐っていく。そんなことを許してはいけないという怒りだと思います。安倍首相やその周辺が嘘に嘘を重ねていることを、多くの国民は分かっているし、官僚だってそうでしょう。この政権が続く限り、モリカケ問題は終わりませんよ」
■ 日本の政治を嘘まみれにした悪辣と大罪
愛媛県文書に書かれた安倍首相と加計理事長の面会話は、もとをただせば、官邸で愛媛県や今治市の職員と会ったのかどうかを問われた柳瀬唯夫元首相秘書官が「会った記憶はない」と言い張ったことに端を発する。結局、柳瀬の答弁は真っ赤な嘘だったのだが、この柳瀬といい、佐川といい、そして19日の加計理事長といい、3人に共通するのは、ノラリクラリと曖昧な発言を繰り返すくせに、「安倍夫妻の関与」につながることだけは「ない」と言い切ることだ。アベ様だけは守るという異常性とそのためなら国民など欺いてもへっちゃらという鉄面皮。そんな異様な景色が見える。
安倍は自分の保身のためなら、親友だろうがなんだろうが、なりふり構わず嘘を言わせる疫病神だ。そこに国民は不信感を覚える。前出の中野晃一氏は、「あまりのモラルの欠如に、国民はげんなりしています」と言ったが、だから、メディアの直近の世論調査で内閣支持率こそ若干上向いても、森友問題は「決着がついていない」という人や、加計問題での安倍や学園の説明に「納得できない」という人が8割近くにも上るのである。
「モリカケ問題を、よくある政治家の利益誘導と言う人がいます。確かに、昔から力のある政治家は身内びいきをしがちです。しかし私は、モリカケ問題は、そうした利益誘導よりとんでもなく悪辣だと思う。安倍首相が自らの過ちを絶対に認めないために、何十人も巻き込んで嘘をつかせ、日本の政治を嘘まみれにしてしまったのですから」(小田嶋隆氏=前出)
国民の信用を失ったデタラメ政権に、まともな震災対応などできるはずがない。実際、安倍は地震発生の18日夜、自民党の岸田政調会長と高級料理店でメシを食っている。総裁3選への協力で念押ししたのだろう。国民の生命財産より自分の延命が大事。そんな私物化政権には、一日も早く退陣してもらわねばならない。
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