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福祉マネジメント&デザイン

SocialWelfare Management&Design
〜福祉サービスに経営と創造を〜

スケールメリットを生かした事業戦略を描くために

2017年09月23日 | 経営戦略
社会福祉法人の中には一法人一施設のところも少なくありません。
一方、高齢者・障害者・児童などの多様な社会福祉ニーズに応えようと、施設系・在宅系のサービスを積極的に展開してきた法人もあります。
規模の大きい法人では、一定のスケールメリットが働き、経営が安定する反面、内部統制が取りにくく、法人としての統一感が維持しにくくなるという負の側面もあります。

規模の大きい法人においては、事業所・施設ごとの独立採算は必須事項であり、経営理念の理解や事業計画の実行を通して、理念を実現するために自施設が「何をしなければならないか」ということがきちんと経営層、中堅層、一般職層まで浸透させられるようなマネジメント機能(リーダーシップや育成制度などを含む)が求められます(独立採算が確立していなくても、規模の大きい法人では補完することが出来ます)。
「砂上の楼閣」という諺がある通り、組織としては立派であるが、基礎がしっかりしていないために一気に法人経営が傾き、転覆する可能性をもはらんでいます。

先日、訪問した法人も規模が大きく、施設系・在宅系のサービスを複数展開していました。
しかし、①同じサービス事業所を複数展開していること、②サービス提供を行っている地域が限定されていること、特定事業所集中減算の対象事業所もあり、同じサービス事業所間で利用者の奪い合いが生じているとのこと。
また、在宅系の事業所が多いため、非常勤職員が多く、組織としての理念の共有や意識統が図りにくいという状況がありました。
要するに、せっかくのスケールメリットを十分生かしきれていない状態に陥っていたのです。

では、スケールメリットを生かした事業戦略を描くためには、どうすれば良いでしょうか?
法人規模が大きいということは、施設や事業所数が多く、「選択することが出来る」ということの裏返しです。
例えば、誰かと交友関係を築きながら日中楽しい時間を過ごしたいと希望する利用者Aさんには、デイサービスを提案できます。
こうしたニーズを持っているAさんに訪問介護を提案しても、フィットすることはないでしょう。
しかし、デイサービスを3箇所展開していると仮定し、全てレスパイト型の長時間のサービスを提供していたとすると、見学をしたAさんは「もっと違う雰囲気のデイサービスを見学してみたい」と感想を残して、あなたは契約機会を逃してしまうことになるでしょう。

このように、せっかく同じサービス事業所を複数展開しているのに、サービス提供エリアが異なるだけで、金太郎飴のようにどの事業所も同じサービスを提供していては、営業所を複数持っているにすぎません。
特に社会福祉法人が経営している施設や事業所では民間の他施設で利用を断られてしまうような重度の方や医療依存度の高い方などの受け入れも積極的に行っていると思います。
だからこそ金太郎飴のようなサービス提供に陥りがちですが、そこに差別化・差質化の方向性があるということです。
自施設・自事業所の利用者像を明確にし、フィットする利用者に選んでもらえるよう特徴を明確に打ち出す必要があります。
当たり前のように聞こえますが、実は明確に戦略として位置付けられていない施設・事業所が少なくありません(偶発的に地域の中での役割や機能の位置付けが確立されており、意図した位置付けから乖離してしまうこともしばしばです)。
施設・事業所の立ち位置を客観的に把握するためにも、SWOT分析を行い、内部(強み・弱み)・外部(機会・脅威)環境を分析し、立ち位置を明確にした上で事業戦略を練りましょう。

また、この法人ではサービス提供が特定の地域内で完結されています。
いわゆる”抱え込み”を行うには地域(商圏)が極端に狭く、さらなるニーズの発掘が喫緊の課題となっています。
地域のケアマネジャーと顔の見える関係性を築いたり、地域公益的な取り組みを行いながら、地域住民にも足を運んでもらえる施設・事業所づくりに着手する必要があります。
しかし前掲したように、特徴を打ち出すための現状分析をきちんと行った上で、施設・事業所に関する情報を落とし込んだリーフレットやチラシなどのツールを作成する必要があります。
いかに興味を持ってもらえるか、他事業所との差別化・差質化されていることは何かを是非吟味して、情報を落とし込んでください。

そしてスケールメリットを最大限に生かすには、利用者、家族、ケアマネジャーに介護保険サービスを利用し始めてから終末期を迎えるまでの一連のサービス内容を提案できるストーリーを描き、発信することです(いわば利用者、家族の状態や状況に応じた、ケアマネジメントに必要な介護サービスの総合商社であることをいかにアピールするかです)。
例えば、デイサービスの事例を取り上げます。

【デイサービスA】
・対象者:要支援1・2、要介護1・2相当の方(必ずしも、表記の要支援・要介護度の方のみを対象とはしていません)
・日中の趣味活動を楽しみたい方、交友関係を築きたい方の利用を想定

【デイサービスB】
・対象者:要介護1〜4相当の利用者(必ずしも、表記の要支援・要介護度の方のみを対象とはしていません)
・日中の趣味活動のほか、リハビリや入浴を希望の方で、のんびり一日を過ごしたい方の利用を想定

【デイサービスC】
・対象者:要介護3〜5相当の利用者(必ずしも、表記の要支援・要介護度の方のみを対象とはしていません)
・日中の趣味活動のほか、リハビリや入浴を希望の方で、のんびり一日を過ごしたい方の利用を想定
・コーナーごとの少人数制を導入し、落ち着いて過ごしてもらえる環境設定をしています

といったように、ADLの低下や認知症状の進行などによるレベルダウンが見受けられても、同一法人のデイサービスを継続して利用できるメリットは利用者、家族、ケアマネジャーの安心に繋がることは承知の事実だと思います。
デイサービスに組み合わせて、訪問介護や訪問看護、ショートステイなどの在宅系サービス、グループホームや特養、サービス付き高齢者住宅、有料老人ホームなどの施設系サービスを組み合わせて、家族の介護力などにより、いくつかケースを紹介し、サービスの組み合わイメージを持ってもらうことが重要です(ケアマネジャーからのケアマネジメントだけでは施設・事業所の思惑通りにはなりにくいからです)。

また、ショートステイでも日中活動の内容を利用者の状態に応じて、個別機能訓練→日常生活リハビリ(作業療法的内容)→のんびり過ごしてもらうといった、選択できるようにして差別化・差質化することで、レスパイトのためだけの利用から新たなニーズの発掘につながる可能性を秘めています。

来年の報酬改定を控え、リハビリ特化型デイの実態を疑問視する声も挙がっています。
介護施設・事業所の機能分化や機能の明確化が求められているからこそ、今一度、自法人の立ち位置をきちんと見極めた事業戦略を描きましょう。

管理人

最低賃金の答申出揃う、東京都・神奈川県は時給1,000円目前

2017年08月18日 | 経営戦略
今日の日経新聞に”最低賃金25円上昇 800円以上15都道府県”という記事がありました。
2017年度の都道府県別最低賃金の改定額の答申が出揃ったという記事です。

それによると、東京都958円(26円)、神奈川県956円(26円)、埼玉県871円(26円)、千葉県868円(26円)、愛知県871円(26円)、大阪府909円(26円)と首都圏・大都市部は軒並み26円増額となっています。
全国平均は現在より25円高い848円ですから、上記の都府県の賃金の高さが際立っています。

安倍内閣が掲げた「時給1,000円」が現実味を帯びてきました。
全国平均の引き上げ率は2年連続で3%を超え、福祉施設の経営に与える影響は小さくありません。
10月をめどに改定されることと思いますので、来年の報酬改定と合わせて、早いタイミングで収支シミュレーションを行い、経営状況の確認をしてください。

管理人

「地域共生社会」の実現に向けたCSV(共有価値の創造)戦略を

2017年07月06日 | 経営戦略
厚生労働省の「「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部」から、本年の介護保険制度の見直し、平成30年度の介護・障害福祉の報酬改定、さらには、平成30年度に予定される生活困窮者自立支援制度の見直しなどを踏まえ、新たなキーワードとして示された「地域共生社会」が注目されています。
以前、”介護保険制度の2018年度改正案から動向を考える”で取り上げた「共生型サービスの創設」の内容を、深掘りしたいと思います。




詳しくは、”「地域共生社会」の実現に向けて(当面の改革工程)”をご参照ください。

一言で言えば、福祉サービスの効率化・合理化を「丸ごと(縦割りから種別横断的に)」「我が事(主体性を持って)」という表現で推し進めようというものです(地域包括ケアシステムが高齢福祉に特化したものであれば、「地域共生社会」はさらに上の概念といえます)。

ここで注意していただきたいのが、社会福祉法人に明確に求められるようになった「地域における公益的な取組」との線引きです。
誤解のないように、「地域公益事業」と「地域における公益的な取組」との関係について、厚労省は以下のように整理しています。

「地域における公益的な取組」は、あくまでも法人や施設が有する社会資源や専門性を地域福祉のために還元することを指しています。
一方で、「地域共生社会」は地域に存在する社会資源(社会福祉法人やNPOなどのサードセクターを含む)やそれらが有する専門性を横断的に地域住民に提供し、地域が抱える問題を解決するために活用してもらえる社会を構築していくことを指しています。

言い換えるならば、”CSR(Corporate Social Responsibility:企業における社会的責任)”から”CSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)”へ向けた大きな変革といえます。
自法人で高齢者・障害者・保育園の複合施設を有し、サービスを提供することが「地域における公益的な取組:CSV」であれば、他法人と連携し、高齢者・障害者・保育園を面展開し、地域の福祉ニーズに応えていくことが「地域共生社会:CSV」ということ、と解釈できそうです。

東京都大田区では、サービス種別ごとの連絡会だけでなく、サービス種別の垣根を超えた”大田区社会福祉法人協議会”を開催し、社会福祉法人同士の相互連携強化に取り組んでいます。
社会資源を有機的に結びつけ、効率化・合理化を図ることで、共助・公助頼みの取り組みを、自助・互助で補うことができれば、社会保障費の抑制にも効果を発揮しそうです。

しかし、地域包括ケアシステムも道半ばですが、また新たな概念が出てきて、果たしてすべてを具現化できるかどうか…、私自身も「我が事」として「地域共生社会」を捉え、クライアントに「丸ごと」を推進していかなければならないでしょうか?
ぜひ、皆様の捉え方も教えていただけると幸いです。

フレームワークを活用した経営戦略②

2017年06月11日 | 経営戦略
前回に続き、今回は現場で活用できるフレームワークについてご紹介します。

【業務の構造化】
一言で言うと、業務内容のフロー(流れ)です。
例えば、服薬に関する事故が増えている施設があるとします。
会議などの場で、服薬事故を削減させていくためには、何しなければならないか討議が行われています。

しかし、漠然とした「服薬事故の削減」という目標では、服薬事故を減らすためにどこを改善すればよいか明確ではありません。
「服薬事故の削減」という大きな塊を相手にしていては、手も足も出ないということはありませんか。

そこで、課題を明確にし、効果的な処方箋(改善策)を打つためには、業務内容を細分化する必要があります。
皆様の施設マニュアルや手順書(手引き)などは、業務内容がフロー図のように整理されているものをお使いでしょうか。
この「業務の構造化」とは、まさに業務内容をフロー図のように細分化し、業務内容・手順を見直すポイントを明確にすることが出来ます。

落薬事故を減らすためには、「飲み込み確認」という業務内容を現在の服薬手順のどこに追加すればよいでしょうか。
また、誤薬事故を減らすためには、「利用者の顔と名前の呼称確認」や「複数名確認」といった手順をどこに追加すればよいでしょうか。

「服薬事故の削減」という大きな塊をより小さく細分化することで、処方箋(改善策)も具体的なものとなり、業務改善やサービスの質の向上に繋げやすくなります。
現場の職員の多くは、大きな塊の状態をなんとかしようと考え始めてしまう傾向が強いように思います(じっくり課題分析などを行っている時間が確保できないことが要因として考えられます)。
しかし結局、問題の本質にたどり着けず、なんとなくやってはいるものの、思っていた結果を残すことが出来ないといった状況に陥ってしまいがちです。

利用者のケアプランを想像してみてください。
ケアプランには利用者の生活課題を整理するため、アセスメントシートでADLなどの身体・精神状態などを把握していませんか。
モニタリングシートを用いて、プラン内容の進捗状況を確認していませんか。
そのようにして利用者を取り巻く生活課題を明確にしてから、ケアプランを作成しているのではないでしょうか。

組織が抱える課題に対しても、同様の手順でアプローチしていかなければ、いつまでも大きな塊のままですし、そのうち、新たに小さな塊がまた出来始め、さらに大きな塊に成長してしまう可能性もあります(負のスパイラルに陥ってしまいます)。

「業務の構造化」は特に手順やフロー(流れ)に沿って、整理するときに効果を発揮するフレームワークです。
BSC(バランスト・スコア・カード)の4つの視点で課題を分類すると、利用者満足度を引き出すための「業務プロセスの視点」で「業務の構造化」が使えそうですが、それ以外の視点でも可能です。

「成長と学習の視点」において、「人材不足」→(により)「現場を回すことでいっぱい」→(のため)「内外部研修へ職員を派遣できない」→(ので)「サービス水準を向上させられない」といった法人や施設は少なくないのではないでしょうか。

現場はよく分かりますが、上記の負のスパイラルに完全に陥っています。
「人材不足」を解消しなければ、それ以降が改善できないのでは、いつまでたっても「サービス水準の向上」は図れません。
この構造化では、「サービス水準の向上」が目標となっていますから、「内外部研修へ職員を派遣できない」といった状況を改善する必要があります。
例えば、内部研修会の開催数を複数回に増やす、研修を動画に撮って、休憩時間などを用いて視聴し、レポート提出を課すといったことが出来れば、少しずつでも前進することが出来るのではないでしょうか。

また、「現場を回すことでいっぱい」といった状況を改善するためには、フロー図で示されたマニュアルによる業務内容の習熟度を促進させたり、標準化を図るといったことを検討してはいかがでしょうか。

課題解決とはポジティブなメッセージですが、時にネガティブメッセージを引き出す引き金になりかねません。
大きな塊で討議するのではなく、フレームワークを用いて細分化し、扱いやすい状態でポジティブな発想で取り組んでもらいたいものです。

管理人

フレームワークを活用した経営戦略①

2017年05月22日 | 経営戦略
前回から更新が滞ってしまいました。
楽しみにしていただいている読者の皆様、申し訳ございません。

さて、前回に引き続き、「フレームワーク」について取り上げます。
今回は実践編として、いかに活用していくかを考えていきたいと思います。

【SWOT分析】
皆さんに一番馴染みのあるフレームワークの一つがこのSWOT分析ではないでしょうか。
ご承知の通り、強み(Strengths)・弱み(Weekness)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) 」のマトリクスで整理し、重点目標やアクションプラン(行動計画)を策定する際に用いられているのではないでしょうか。

職員研修などでは、このフレームのまず「強み」と「弱み」だけでも考えてもらうようなワークを行うようにしています。
法人や施設の「強み」「弱み」を突然尋ねられても、日頃からそういった意識を持っている職員でないとなかなか書き出せません。
法人や施設を客観的に捉える意識を醸成するトレーニングにも最適です。

また、「機会」「脅威」の2要素については、現場レベルの職員にはあまり馴染みのないものです。
なぜならば、「機会」「脅威」は様々な情報やデータから導き出す必要があります(給付費分科会や介護実調などの動向にも注意を払う必要があります)。
職員から出た「強み」「弱み」に、経営層による「機会」「脅威」を加筆することも有効でしょう(主任やリーダクラスでは逆に「機会」「脅威」の概念を理解する必要があります)。

さらに、そこから戦略を打ち立てるためには、それぞれの要素を掛け合わせることが必要です。
「強み×機会」「強み×脅威」「弱み×機会」「弱み×脅威」といったように、どこに成長できる余地が残されているか、また何を縮小(廃止)しなければならないかを、客観的に把握することができます。

「強み×機会」:強みを生かして機会を勝ち取る
「強み×脅威」:強みを生かして脅威を機会に変える差別化
「弱み×機会」:弱みを克服し、機会を作る
「弱み×脅威」:弱みから最悪の状態に陥ることを避ける

と、それぞれ戦略の方向性を探ることが出来ます。
ぜひ、各要素の整理だけで終わってしまっているのであれば、掛け合わせるところまで挑戦してみてください。

【ロジックツリー】
いわゆる「なぜなぜ分析」と呼ばれるものです。
「なぜ」を繰り返すことで、物事の本質を探る(整理する)ためのフレームワークです。
トヨタ自動車ではこの「なぜ」を5回繰り返すというのは有名な話です。

「なぜなぜ分析」を行う上で注意していただきたい点は、「なぜ」の中身です。
例えば、「利用率が上がらない」→(なぜ)「生活相談員が営業に行けていない」→(なぜ)「営業に行きたくなさそうだ(主観的観察)」といった「なぜ」では、導き出された結果が属人的な結果となってしまい、誰々が悪いといった解しか出てきません。
「生活相談員が営業に行けていない」→(なぜ)「日々のルーチン業務が滞っていて、時間を確保できない」→(なぜ)「ルーチン業務がデジタル化されていない、現場職員が不足している(客観的観察)」といった課題整理をしていく必要があります。
問題解決を促すためには、物事の本質をいかに掘り下げていけるかがポイントです。

また、物事を”因数分解(細分化)”する際にも、有効なフレームワークです。
例えば、人件費。
人件費は「職員の人数(上段)」と「賃金水準(下段)」の掛け算で導き出されます。
さらに「職員の人数」は「正規職員」と「非正規職員」に分けられます(その後、適正な職員配置かどうか、正規・非正規職員のバランスがどうかなどを分析していきます)。

一方、「賃金水準」は「基本給」と「手当」に分けられます。
さらに「手当」はより細かく分類されるでしょう(そして、それぞれの金額が適正かどうかなどを分析していきます)。

このように、物事を細分化し、本質を捉え、改善活動につなげることを可能とします。
漠然とどこから手を付けて良いかわからないといった経営課題を抱えている場合、まずはこの2つのフレームワークを活用して、現状分析に取り組んでみましょう。

続く

管理人

フレームワークを用いて、組織の課題や方向性について可視化する

2017年05月10日 | 経営戦略
以前、フレームワークの事例として、”バランスト・スコア・カード”を紹介しました。
そのほかにも、”SWOT分析”や”PDCAサイクル”なども「フレームワーク」と呼ばれるものです。

「フレームワーク(FrameWork)」とは、「枠組み」や「構造」などと訳され、分析ルールや思考の枠組みとして、経営戦略を立案する際や業務改善などを行う際の基本的な考え方(視点)です。
ケアマネジメントを行う上では”PDCAサイクル”は一般的なフレームワークとして認知されていると思います。
「Plan(計画:プラン作成)→Do(実行:ケア)→Check(評価:モニタリング・アセスメント)→Action(確認:見直し)」という4つの視点で、モノゴトの進捗管理・目標達成を図るフレームワークです(カッコ内はケアマネジメントの内容です)。

また、事業計画書を作成する上では"SWOT分析"で「強み(Strengths)・弱み(Weekness)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) 」のマトリクスで整理し、重点目標やアクションプラン(行動計画)を検討されているのではないでしょうか。


(参考:ロジックツリー)

フレームワークを用いることで、漠然としていた問題が整理され課題が明確になったり(ロジックツリー)、法人内の事業所の現状分析を通して資源配分の合理化を図り差別化・差質化を図ったり(ビジネススクリーン)、モヤモヤっとしたことを可視化するために活用することができます。
私のようなコンサルタントはこのフレームワークを活用して、法人・施設などの現状分析を行い、課題抽出をしたり、月次管理の進捗管理を行います。
私自身、文字量の多い資料などをみてもさっぱり頭に入ってきませんが、フレームワークや図(パワーポイントのSmartArt)でイメージ化された資料の方が頭に入りやすいと思っています(当ブログは文字ばかりで申し訳ありません)。
さらに、イメージ化されるメリットとして、職員にも説明しやすい、理解を得られやすいという効果もあります。


次回はフレームワークを活用した福祉マネジメントにおける戦略(ストラテジー)について考えていきたいと思います。


管理人

「or」思考ではなく「and」思考で新しいモノゴトを受け入れる

2017年04月22日 | 経営戦略
AIのケアプラン、来年度から提供開始へ 自立支援に軸足 セントケアHDら新会社(JOINTより)”というニュースをご覧になられた方もいらっしゃると思います。

高齢福祉にもAIの波がついに押し寄せようとしています。
賛否両論あると思いますが、私はどちらかというと建設的に受け止めている賛成派です。
その理由として、ケアプラン作成のすべてをAIが担うのではなく、最後はきちんとケアマネジャーが関わるこプロセスがあるためです。
AIにこれまでの利用者や家族の状況、それを踏まえたケアプランの膨大なデータを学習させ、いわゆるパターン化された画一的なケアプランに止まることなく、きちんとケアマネジャーが適正化を図る仕組みを想定しています。

記事の中でも、『岡本CEOは会見で、「要介護度やADLの改善だけが自立ではない。AIを使って何を目指していくのか、そこを誤れば最大のリスクになる。自立という概念を立体的に議論し、価値観を間違わないようにしていきたい」』と述べられています。

定型文化されることは想定されます。
例えば、新規利用者の初回ケアプランをAIを活用することにより7〜9割程度が完成し、最終的にケアマネジャーがブラッシュアップするという仕組みが出来れば、ゼロから作成するより断然効率的ですし、ケアマネジャーの経験やスキルによる作成スピードの偏り、表現レベルで頭を悩ますことは少なくなると考えられます。
ケアプラン作成における効率化・合理化という点においては、優れものといえます。
空いた時間で利用者や家族との相談援助や潜在的なニーズの掘り起こし、モニタリングを通して、2回目以降は見直していくことで、「ケアマネジャー」としての本来業務の強化につながることでしょう。

ここで大事な視点として、「or」思考ではなく「and」思考でモノゴトを考える習慣を付けることです。
私自身もAIの導入というニュースを初めに聞いたときは反対派でした。
皆様と同じように、ケアプランは利用者ごとに画一的なものではなく…といった感情が強かったと思います。
それは、「AIを導入することに賛成 or 反対」という視点だけでモノゴトを捉えていたからです(その時点での限られた情報から判断することになると、「反対」という感情がより強くなる傾向があります)。

しかし、初回ケアプラン作成のAI活用の事例を考えてみましたが、「AIを活用することで、初回ケアプランの作成の効率化 and 相談援助の時間を確保することができ、ケアマネジャーの本来業務の強化が図れる」という理に適った状況を作ることが出来ます。
少子高齢化が進み人口減少社会が加速するなか、属人的な業務で終わらせるのではなく、良い意味でデジタル化による「効率化」や「合理化」という流れを受け入れていくことが必要です(デジタル化の波は避けて通れません)。
新しいモノゴトに対して、「賛成 or 反対」ではなく、いかに「and」で受け入れていくかが求められます。

管理人

介護保険制度の2018年度改正案から動向を考える

2017年04月15日 | 経営戦略
次年度の介護保険制度の改正案(地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案)が厚生労働委員会で強行採決されました。
新聞やニュースでご覧になられた方もいらっしゃると思います。
我々が生業にしている社会保障制度の動向がこんな形で方向付けられているとなると、憤りすら感じられた方もいらっしゃったのではないでしょうか。

さて、この改正案の焦点になっているキーワードをいくつか取り上げます。

【利用者負担の2割から3割へ見直し】
2割負担の利用者の内、特に所得の高い層の負担割合を3割に引き上げるというもの。
介護保険制度の持続可能性の確保のためには、いわゆる現役世代との痛み分けが必要という方針を加速させた形となります。
3割負担となる対象者は12万人。
それと合わせ、2017年8月より高額介護サービス費の月額上限も37,200円から44,400円(7,200円引き上げ)となります。
3割負担となりますが、高額介護サービス費の月額上限があるので、実質7,200円増となります。
しかし、保険給付を抑制させる国の方針から推察すると、月額上限は今後も引き上げられる可能性が高いと考えられます。
例として、要介護3(26,931単位)の方の1割負担額(地域係数10で算出)は26,931円、2割負担53,862円(44,400円に対して+9,462円)、3割負担80,793円(44,400円に対して+36,393円)となります。
今後、1〜3割の自己負担額に応じた月額上限設定など、応能負担のさらなる拡充を図る可能性が高いことは、容易に想像することが出来るでしょう。


【介護医療院の創設】
介護療養型医療施設(介護療養病床)は2017年度末で廃止(ただし6年間の経過措置)され、新たに「介護医療院」が創設されます。
これまでの経過措置のあいだに、介護療養病床が老健へ移行する施設もありましたが、施設基準や職員配置基準を緩和した新たな入所系サービスという位置づけとなるようです。

待機者の減少傾向が加速する中で、介護と医療が一体となった「介護医療院」は、特養や老健との住み分けをいかに明確にしていくかが重要だと考えます。
近年、施設に求めらる役割や機能が時代とともに変化する風潮が強いように思います(救護施設が精神障害者の受け皿としての役割を担っていたり、グループホームで看取りを行うことが求められるなど)。
サービスを選ぶ利用者のや家族にもその違いが分からず、結局、ケアマネジャーの言う通りになってしまうでは、自己選択・自己決定の理念に反してしまいます。
利用者や家族が介護保険サービスをきちんと納得して利用できるよう、きちんと役割や機能を整理しながら、地域包括ケアシステムで提唱している面による社会福祉の展開が必要だと思います。


【共生型サービスの創設】
介護と障害が一体となってサービス提供を可能とする「共生型サービス」の創設も法人の事業戦略を大きく左右する内容といえます。
共生型サービスのモデルとなっているのが、”富山型デイサービス”です。
将来の利用者との関係性を築くために」でも触れましたが、この”富山型デイサービス”では利用者(要介護・要支援者だけと限定していない)が互いに交流できる居場所となっています。
地域住民の通い慣れた場所という認知から、将来の利用者(互いに支える関係)へと結びつくと思います。
制度化される「共生型サービス」が”富山型デイサービス”のように定義されるかは分かりませんが、介護サービスのさらなる拡充・展開が期待されるといえます。

以上、【利用者負担の2割から3割へ見直し】【介護医療院の創設】【共生型サービスの創設】の3つのキーワードを取り上げました。
今後、介護保険制度や報酬改定についての情報も随時、取り上げていきたいと思います。

管理人

組織の弱体化を打ち破るためには古い慣習を捨てる

2017年04月09日 | 経営戦略
2000年から始まった介護保険制度も早17年目を迎えました。
それまでの高齢福祉サービスは措置制度に守られた形でサービスが提供され、運営していたわけですが、一夜にして「経営」を求められるようになりました。
多くの施設は旧態依然の制度(賃金制度や考課制度、昇進・昇給制度などの人事関連)や習慣などをそのまま引きずっている法人・施設が少なくありません。
さらに、民間介護事業所による競合他社の急増や度重なる介護報酬のマイナス改正の影響、人材不足のあおりを受け、ますます福祉施設・事業所の経営の厳しさは増しています。

その中でも法人・施設独自に経営改革や体制強化(本部機能強化や重要業績評価指標:KPI指標の導入)に取り組んでいるところも増えています。
うまくいっている法人様もあれば、途中で頓挫してしまい、我々のようなコンサルタントに依頼する法人様など様々です。
うまくいっている法人様の傾向として、しっかりと理念に沿った経営改革の計画を示し、丁寧な合意形成(職員への説明など)を図り、経営層だけではなく、職員一人ひとりが「変革(イノベーション)していくんだ」という志を持てている組織が挙げられます。
経営層だけで進めるのではなく、良い意味で職員全員を巻き込み(参画させて)、役割を持たせ、帰属意識を高めることが成功の鍵と言えます。

さて、そのように経営改革や体制強化を進める中で度々ぶつかるのが、古くから受け継がれている慣習です。
例えば、記録のデジタル化。
これまでずっと記録は手書きだった現場で、記録類をパソコン入力し、事務作業の効率化・合理化を図ろうとする際、決まって職員から聞こえてくるのが「パソコンができない人はどうするんですか?」という質問です。
皆さんの中にもこのような質問があり、挙げ句の果てに、「パソコンで記録を書くことができないので辞めます」みたいな話も聞きます。

そのような意見を職員が平気で言え、経営判断に大きな影響を及ぼせてしまう業界だから、世間で福祉職の地位が低くみられてしまうのではないか、と不安に思うことがあります。
民間企業では、職員自身でなんとかする(パソコン教室に通うなど)、会社主催のパソコン研修などに参加して学ぶ、といったところでしょうか。
「辞めるっていう人が出るなら、記録のデジタル化は止めるか」といった堂々巡りを繰り返し、いつまでたっても効率化・合理化が図れないお客様も少なくありません(経営改革が頓挫してしまう法人様の多くは、こう言った発言による経営判断の鈍化による影響が主な要因といえます)。

しかし冒頭で触れたように、特に高齢福祉はますます効率化・合理化が求められ、ますますサービス業としての淘汰が加速することが容易に想定されます。
経営体力の弱い法人は医療法人に吸収されてしまう、社会福祉法人のホールディング化(共同における力関係の優劣)などで経営理念を捨てざる終えない状況に陥ってしまう可能性もあります。

古い慣習を引きずることで組織の活性化が図れず、ひいては組織の弱体化を招き、衰退する。
「運営」から「経営」が求められるようになった高齢福祉サービスでは、”柔軟な組織づくりのためには確認する・見直しすることの習慣化が必要”で言及したように、組織の活性化を通した”柔軟性”を高めることが重要です。
従来通り行っている介護方法(食事、口腔ケア、排泄、入浴など)、日中活動(レクリエーション)、家族対応や家族会の内容などに慣習になっていることがあれば、「〜ぱなし」になっている証拠です。
古い慣習を捨てて、今こそ変革(イノベーション)を起こす時です。

管理人

柔軟な組織づくりのためには確認する・見直しすることの習慣化が必要

2017年03月26日 | 経営戦略
4月から介護職員処遇改善加算のキャリアパス要件Ⅲが追加されるのをきっかけに、改めてキャリアパスや考課制度を見直したいとご相談いただく法人様が増えています。

特に「キャリアパスと実際の職員像がかけ離れている」「人事考課の自己評価をしても、皆オールB評価をつけてくる(人事考課が育成の目的を果たしていない)」といった、過去の記事でも取り上げ内容の状態に陥っています。

介護保険制度が始まった2000年から17年が過ぎ、時代も変わりました。
法人・事業所を取り巻く内部・外部環境も大きく変わりましたので、処遇改善交付金の際に作ったキャリアパスでは、今の時代にはマッチしなくて当然です。
だからこそ、その時代時代に合わせてメンテナンスが必要です。

人間で言えば健康診断、車で言えば車検と行ったところでしょうか?
PDCAサイクルでいう「C(Check:確認)」です。
キャリアパスや人事考課制度だけでなく、「月次会議を価値ある情報を共有し、経営判断する場へ(OODAループ)」の中では、事業計画書の進捗確認を取り上げました。

マニュアルや手順書も業務の標準化を図るためには重要なツールですが、作りっぱなしで、見直しされず使用していませんか?

ケアマネジメントでも、ケアプランの作成し(Plan)、半年または一年間という期間を区切ってアセスメント・モニタリングを行い(Check)、プランの見直し(Action)を行います。
このプロセスも、ケアプランを作りっぱなしにするのではなく、利用者の状態などを踏まえ、プランの内容をより良いものにしていると思います。

このように、「〜ぱなし」にするのではなく、随時または定期的に確認する・見直すことにより、最適化することが、柔軟な組織づくりには必要です。
裏を返すと、このように何事も確認する・見直しすることが習慣化している職員がいる組織は、その時流に乗ることができ、結果として「柔軟な組織」となっていきます。
「現場は人材不足で確認したり、見直しするどころではない」という声は上がってきそうですが、「〜ぱなし」にしたままのリスクがどの程度かをきちんと見極めた上で、優先順位をつけて、計画的に取り組んでいきましょう。

管理人

現状を把握するために客観的に組織やサービスを振り返る習慣をつける

2017年02月26日 | 経営戦略
組織改革やサービスの質の向上を図るためには、まずは自法人・施設の立ち位置を客観的に把握する必要があります。

例えば、施設で提供しているサービスは良いと思っているが、他施設と比べるとどうか?
福祉サービスによくありがちな「井の中の蛙」状態になっていると、現状に満足してしまい、組織が硬直化し、サービスの質の向上もなかなか進みません。

そうならないようにするため、”福祉サービス第三者評価”や”介護サービス情報公表制度”がありますが、みなさんの施設では活用できていますか?
特に福祉サービス第三者評価は、都道府県ごとに取り組み状況にばらつきがありますが、私が評価者をしている”東京都”では、施設に対する都の補助金との絡みもあり、第三者評価の受審率は年々増加しています。
ただし、高齢福祉では在宅系(居宅やデイ、訪問介護など)は都の補助金とは関係ないため、受審率は伸び悩んでいます。
結局のところ、都の補助金目当てに受審しているという理由もありますが、お客様の多くは、客観的に組織やサービスを評価してもらえる機会、また施設内の業務の棚卸の機会とし位置付け、サービスの質の向上に活用している施設も少なくありません。

福祉サービス第三者評価では、施設の現状を客観的に捉えるため、
①利用者を対象とした利用者調査
②職員を対象とした事業評価(組織の取組みに対する自己評価)
の双方から施設の現状を「組織(全サービス種別共通)」と「サービス(参考として”特養”の標準項目を紹介)」の両面から把握していきます。
都で定められている「標準項目」という共通スケールに沿って、私のような評価者が経営層にインタビューを行う訪問調査を経て、評価結果報告書を作成します。
この標準項目はサービス種別ごとに共通となっていますので、特養であれば、どの特養も同じ標準項目で評価をしているため、単純に比較することが出来ます。


(東京都福祉サービス第三者評価ホームページより)

組織の成熟度やサービス水準などを他施設の評価結果報告書を参考にしながら、自施設と比較して確認することも効果的です。
また、東京都以外の施設であれば、職員を対象とした事業評価(自己評価)で「標準項目」の取組みを確認したり、どこに課題があるのかを把握することも可能です。
振り返る取組みとしては、人事考課制度における考課表に基づいた自己評価の機会や施設長との個別面談も含まれますし、職場満足度調査なども組織の状態を把握するための定点観察としても有効です。

経営理念の実現に向けて組織づくりやサービスの質の向上について方向性が誤っていないか、客観的に確認する習慣を組織で持つことで、常に軌道修正できる組織を作っていきましょう。

管理人

将来の利用者との関係性を築くために

2017年02月11日 | 経営戦略
一時期52万人にのぼる特別養護老人ホームの待機者が、軽度利用者の入所制限(原則、要介護度3以上)や利用者負担の引き上げなどによる国の制度見直しにより、急減している実態が明るみになったニュースが報じされて久しいが、皆様の施設で管理している待機者数の実態はいかがでしょうか。

様々な地域のお客様からのお声を聞く限りだと、やはり待機者は減少しており、地域によっては2桁台といったところもあります。
東京都内の待機者に関する調査結果でも、八王子や多摩地域の待機者はほぼいない状況であり、結果的に厳しい経営を強いられる状況にあることがわかっています。

住み慣れた地域で暮らし続けるための”地域包括ケアシステム”の考え方に向けて、各関係機関が右往左往しながら、うまくいっている地域やそうでない地域と様々です。
特別養護老人ホームにおいても、地域福祉を支える重要な役割や在宅介護保険サービスの提供など、高齢福祉の多機能性を兼ね備えています。
待機者がいなくなってしまうことで、自法人や自施設の役割(役目)が終わってしまう、法人解散、施設の廃止という話には到底なりません(なってはいけません)。



だからこそ、今からいかに将来の利用者となりえる地域住民の方々との関係性を構築できるかが、今後の待機者問題の影響を左右する大きな要因といえます。
具体的には、下記の3段階を経て、地域住民との関係性を築き上げていく必要があると考えられます。

STEP1:知ってもらう段階
介護相談や家族介護者教室へ参加してもらい、自法人・自施設を知ってもらう機会を作る
(居宅介護支援事業所、地域包括支援センターなど)

STEP2:相互に関係性を構築する段階
ボランティア活動への参加や施設行事への参加(協力)を呼びかける
(特養、デイサービスなど)

STEP3:選ばれる段階
自法人で提供している介護サービスなどを提供する
(居宅介護支援事業所、デイサービス、訪問介護など→特養で最期を迎えたいと思ってもらえる)

毎年行っている夏祭りなど、地域住民を招いたイベントは、もちろん地域公益的活動としての側面もありますが、「地域住民の方々に、この地域にこの法人、施設があってよかった、いてくれてよかったと思ってもらえるような関係性を築くために行っているんだ」という職員一人ひとりの気持ちが大事になります。
このような価値観を共有するためには、ある程度の理念の浸透が必要になるのは、いうまでもありません。

また、STEP2のように、ボランティアを積極的に受け入れていたり、家族の面会が多い施設では、定期的に外部の目が入ることもあり、地域の方々との関係性が非常に良好なケースが多いです。
職員一人ひとりが対利用者だけではなく、地域の方や家族をきちんと意識できているか否かは、日々の関わり方にも無意識のうちに出てくるものです。
地域住民との関わりは居宅介護支援事業所や地域包括支援センターのケアマネジャーだけでいいよね、地域に出ない特養職員の我々には関係ないよね、では済まされません。

どのような場で、どのような方と、どのような関わりをするかは分かりません。
しかし、ある日・ある時に関わったあなたの印象が最悪で、STEP2で良い関係性を築けていても、STEP3に至らなかったら、将来の利用者候補の方を失っている、機会損失に他なりません。
地域の中から法人・施設のファンが一人でも増えるよう、自法人・自施設が「選ばれる」関係性の構築を始めましょう。

月次会議を価値ある情報を共有し、経営判断する場へ(OODAループ)

2017年02月10日 | 経営戦略
毎月、複数のお客様の月次会議に参加をさせていただき、事業計画書の進捗確認や業績改善の目標管理のご支援をさせていただいています。

皆様の法人や施設でも、毎月定例の会議を行っていらっしゃると思いますが、開催する目的は明確に定められているでしょうか。
なんとなく、毎月1回を目安に担当者(特に経営層)が顔を合わせて報告・連絡する場のような位置づけで会議を招集されているのであれば、きっと参加者の多くは退屈で、別に時間を割いて集まらなくてもよいのではないか、とさえ思っている方もいることでしょう。
結果的に司会者だけが話をして、他は誰も発言せずに終わってしまう、そんな会議が果たして必要でしょうか。

忙しい時間を割いて、経営層がわざわざ集まる場ですから、今後の法人・施設経営についてきちんと討議する場として機能させる必要があります。
事前に議事次第を作成し、どんなことを討議するかを事前に職員に知らせておくことで、意見をきちんと準備してから臨む習慣をつけたり、司会を輪番制で行うなど、様々な工夫を行っている法人・施設も少なくありません。

特に会議の中で取り上げてもらいたい議案の一つとして、冒頭に触れた月次目標の管理が挙げられます。
利用率や人件費率などの経営指標を基に、毎月の経営状況を把握、必要な対策などの検討に結びつけていると思います。
毎月の月次会議でこれらの経営指標について達成・未達成についての報告はなされます。
しかし、「今月は入院者が多かったため、目標利用率94%を達成できませんでした」と言ったように、未達成の場合は、その理由を述べるにとどまっていませんか。
未達成の理由(ここでいう入院者が多かった)まで把握しているのであれば、必ず来月はその課題を改善(解決)し、目標達成を目指しなさいと、ここまで出かかっていますが、職員の心情などを考えるとなかなか言えないなんて話をよく耳にします。

さらに追求するならば、入院者が多いという状況は、月次会議を待たずして分かっていることです。
毎日の業務日誌や提供表などをみれば、入院者の状況から今月の利用率の着地点がどういう水準になるかは十分把握できるはずです。
日々の月次目標の管理が、会議で報告するためだけの情報になっていては、情報を取っている意味が半分無駄となっています。

このような情報を経営判断に必要な情報に昇華し、意思決定のスピードを上げるマネジメントシステムに”OODAループ(ウーダループ)”という考え方があります。
”OODAループ”とは、観察する(Observation)、方向付け(Orientation)、決定(Decision)、行動(Action)の頭文字をとったものです(より詳しく”OODAループ”について知りたい方は、インターネットで検索してみてください)。

私から”OODAループ”を伝える意図は、PDCAサイクルを補完する考え方として知っていただきたいと思ったからです。
毎月の月次会議は、PDCAサイクルの”Check(確認)”の場です。
しかし、月1回(しかも月末)の”Check(確認)”では、先ほどの入院者の増加の例のように、いつまでたっても達成することは出来ないでしょう。
だからこそ、”OODAループ”の考え方を用いて、よりスピーディーな経営判断に繋げられるよう、利用率などは毎日情報共有し、目標達成のために、不足分を空床ショートステイで補完できないか、また入院者を予防するための抜本的な対策を講じられないかなど、日々管理している情報を基に観察し(Observation)、いかに優位な状況を作れるかを考える必要があります。
そこから意思決定のために価値ある情報に変換し(Orientation)、実行に移す決定(Decision)を下し、行動を起こす(Action)の流れが”OODAループ”の基本的な考え方です。

今後ますます高齢福祉分野の経営は複雑化すると考えられます。
そのような状況下では、数少ない情報からいかに自法人・自施設が生き残れるかは、情報をいかに活用できるかにかかっていると言っても過言ではありません。
その情報から、外部・内部環境の変化に応えられる柔軟な組織を作っていくためには、情報を正しく管理し、方向付けをしていくことができる会議の実施が求められます。

管理人

利用者一人当たりサービス活動収益

2016年11月13日 | 経営戦略
”生産性”を示す経営指標として、「利用者一人当たりサービス活動収益」を取り上げます。
この経営指標は、サービス活動収益を年間利用者延べ人数で割って算出します(式で示すと、「サービス活動収益/年間利用者延べ人数」です)。
要するに、利用者一人当たりの単価ということになります。

ここで重要なのが、決算書などの財務データ以外に、”年間利用者延べ人数”という非財務データが必要になります。
日々の利用者管理から導き出される数値なので、数値の精度を高めるためには月次管理を徹底することが求められます。
従来型特養であれば12,000円台、ユニット型特養であれば14,000円前後が目安となります。
数字が極端に高かったり、低かったりする場合は、利用者延べ人数を再度確認しましょう。

また、目安と書いたのは、基本報酬に、さまざまな加算を上乗せした介護報酬合計になるので、加算を取りこぼさずしっかり算定していれば、一人当たりの単価は高くなりますし、日常生活継続支援加算などの算定必須加算を取りこぼしている場合は、その分金額が低くなります。
同じ業務をしても、加算に有無で全然単価が変わって来る場合もあります。
単価を上げているということと、レベルの高いサービスを提供しているということが、大変な思いをして加算を取っている理由でもあります。
職員にはしっかりと労をねぎらうとともに、質の高いサービスを提供しているという事実を伝えていきましょう。

管理人

稼働率について

2016年11月05日 | 経営戦略
前回の”人件費率”と合わせてみていただきたい指標として、”稼働率(利用率)”を取り上げます。
もっとも現場職員の方にも馴染み深い経営指標のひとつが、この”稼働率”といっても過言ではないと思います。

”稼働率”の算出式は、「年間利用者延べ人数/定員数/営業日数」となります。
仮に、定員100名の特養が、365日、空床なく稼働できれば、年間利用者延べ人数は36,500名となります。
36,500名/100名/365日=1(100%) となります。
ですので、稼働率を高めるためには、「年間利用者延べ人数/定員数」で導き出される”1日あたり利用者数”をいかに確保できるかということが重要です。

施設では、長期入院者の居室確保や次入所される方待ち(ベッドコントロール)など、”1日あたり利用者数”が減ってしまう要因がいくつもあります。
また、特に特養においては、以前のようにショートステイで空床を埋めるということが難しい状況の中、いかに本入所の稼働率を下げないかが施設経営において重点要素となっています。

まずは入院させないようなサービス提供に力を注いでみてはいかがでしょうか。
入院者の多くは、転倒・骨折や誤嚥性肺炎が主な原因です。
ある施設では、誤嚥性肺炎予防のため、口腔ケアに重点的に取り組み、入院者を激減させた好事例もあります。
バランストスコアカード(BSC)の時に戦略マップとして取り上げましたが、なぜ口腔ケアに重点的に取り組むか、それが安定経営につながるという目的を職員全体で共有し、同じ方向性を向いて取り組むことが大切です。

特に”稼働率”という経営指標は、現場職員の方にも馴染みのある経営指標です。
だからこそ、経営感覚を持ってもらうために活用しない手はありません。
また、”稼働率”というと拒否反応を起こす職員もいることから、もっと馴染みのある”空床率”という呼び方に変えて、意識づけを図ったという事例もありました。
うまく経営指標を活用して、経営感覚を根付かせてみましょう。

管理人