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sweet キャンディキャンディ

伝説のマンガ・アニメ「キャンディキャンディ」についてブログ主が満足するまで語りつくすためのブログ。海外二次小説の翻訳も。

小説キャンディキャンディFinal Story あのひと考察14 アンソニー

2011年07月01日 | FSあのひと考察

小説キャンディキャンディFinal Story上・下巻 名木田恵子 (著) 祥伝社 (2010/11/1) の考察です
注:物語に関するネタバレがあります

今回はキャンディのバラの王子様 アンソニーを取り上げてみたいと思います。


(C)水木杏子/いがらしゆみこ

ブログ主のあのひと考察では基本的に、キャンディのお相手/恋人/旦那は最終的にアルバートさんなのかテリィなのかという視点から検証しています。しかし、ここで思い出していただきたい…マンガの連載とアニメの放映当時、その対立の構図はアンソニーVSテリィだったはず。

少女たちの関心はアンソニーかテリィかであり、アルバートさんをキャンディの恋愛の相手とは見ていなかったのです。(「私は昔からアルバートさん一筋よ」というマニアの方もいるでしょうが、ここは一般的な話として聞き流してください…)

しかしです。突然最終巻になって何やらアルバートさんとキャンディが恋愛に発展する可能性があるようなないようなセリフをつぶやき始め、最後は両腕に飛び込んでいくというラストシーン。

そのラストを受けて、アルバートさんとキャンディの幸福という映像を自らの中に育て、そこに平安を見つけたファン、テリィとの真実の愛を求め続けてきたファンがそれぞれにFinalStoryを読めば、キャンディの最後のお相手(あのひと)についてそこにはきっと違う物語が見えてくるのでしょう。

しかし、ブログ主がここまでの考察で繰り返し述べてきたとおり、作者が想定し、物語の中に書き込んだキャンディの最終的な相手はテリィであると言わざるを得ないのです。そして、作者はマンガ連載終了後にアンソニーVSテリィがいつの間にかテリィVSアルバートさんに代わってしまった構図を、もう一度アンソニーVSテリィへと周到に修正しているようにも見えます。

FinalStoryにおいて、作者は丁寧にアンソニーにもう一度息を吹き込み、その存在を読者の中に呼び覚ましています。


レイクウッド時代の綿密な心理描写に始まり、大人のキャンディの独白ではアンソニーの死が当時のキャンディの心にどれほどの打撃を与えたのか、またアンソニーがキャンディの中で依然としてどれほど大きく存在しているのかが語られ、エピローグ最後のクライマックスの手紙もアンソニーに宛てたものとなっています。

小説を通してアンソニーは存在感を示し続けるのです。

レイクウッド時代のアンソニーとキャンディの初恋は、小説の中でそれはそれは美しく描写されているのですが、その描写が美しければ美しいほど、キャンディがアンソニーに対して抱いた恋心が強ければ強いほど、テリィとの熱愛の強烈さを印象付けるものとなっています。(あのひと考察4【3つの愛】もご参照ください)

また、キャンディは、アンソニーを大切に思いながらテリィに惹かれずにはいられない自分の気持ちに対して戸惑い、アンソニーに許しを請い、最終的にはその許しを得られたとも感じています。

アンソニー….生きるってどんなこと?死ぬってどんなことなの?アンソニー、あなたが死んでしまっても、わたしは生きつづけなくちゃいけないの?
(上巻P225)

----生きてるのね…テリィもわたしも。
(中略)
----そうだよ、キャンディ、ぼくはもう帰れない…忘れていいんだ。
アンソニーがほほ笑みながら光の中に溶けていくのが、わかった。

(下巻P32)

もしかしたらアンソニーがわたしにテリュースを会わせてくれたのかもしれない…そう思ったこともあった。
だとしたらあの苦しかった日々も何か意味があったのだ、と。

(下巻P269)

わたしは、あなたがすべてを赦してくれているのを知っています。
(下巻P328 アンソニーへの手紙より)


物語を通してアルバートさんがキャンディの人生の幸せを見守り見届ける役割ならば、アンソニーはキャンディの心の中に常に存在し、真実の愛へと導く存在です。キャンディの愛の守護天使とでも言えるでしょうか。

そして、死によってキャンディの愛の守護天使となったアンソニーと対になるのは、強烈な生を放つテリィしかいないのだと、ここでも改めて言わざるを得ないのです。


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