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sweet キャンディキャンディ

伝説のマンガ・アニメ「キャンディキャンディ」についてブログ主が満足するまで語りつくすためのブログ。海外二次小説の翻訳も。

小説キャンディキャンディFinal Story あのひと考察15 アンソニーVSテリィ

2011年07月02日 | FSあのひと考察

小説キャンディキャンディFinal Story上・下巻 名木田恵子 (著) 祥伝社 (2010/11/1) の考察です
注:物語に関するネタバレがあります

前回に引き続きアンソニー を取り上げていきます。

あのひと考察14アンソニーの記事で、ブログ主はFinalStoryの愛の物語はテリィVSアルバートさんではなく、アンソニーVSテリィの構図で成り立っているのだという考えを示しました。

キャンディキャンディファンであれば誰でも一度は、もしアンソニーが死んでいなければ、キャンディはアンソニーとテリィのどちらを選んだのだろう?と考えたことがあるのではないでしょうか?

ブログ主も、もちろん妄想してきましたよ。

自分の妄想とは別にして、物語としては一体どうなのだろうか?と以前はそれについてはっきりした答えを持てませんでした。しかし、FinalStoryの中に、やっとその答えを見つけることができたのです。

考察していきます。

アンソニーとテリィ、二人はどちらとも、キャンディへの愛を試される事件に同じように遭遇しています。

アンソニーの場合はキャンディがメキシコに送られてしまうと知った時。メキシコでは過酷な労働条件のために死者さえも出ているとアーチーが口にします。

テリィの場合はイライザの罠にはまり、自室謹慎になっていた時。キャンディが退学になり養女を解かれてしまえば行くところがなくなるとステアとアーチーから聞かされます。

この2つの事件には1年半弱の時間の隔たりがありますが、アンソニーもテリィも15歳前後(キャンディの登場人物はみんな早熟なのですよ)で経験している出来事です。

これら2つのエピソードはマンガとアニメでも出てきましたので何を今さらという感じですが、今回、作者は改めてこの2つのエピソードを完全な対比とすべく、言葉を選び書き込んでいるように見えるのです。

事件に対するアンソニーとテリィの反応を、それぞれ検証していきましょう。

アンソニー

(どうしようもないんだ、キャンディ…ぼくの…ぼくたちの力では何もできない)
アンソニーは苛立たしげに唇をかんだ。
キャンディーをどこにも行かせたくない----。

(上巻P164)


アンソニーはエルロイ大おばさまに対し、自分が罰せられてもいいからと懇願したけれど取り合ってもらえず、反抗的に横を向くような抵抗の仕方しかできませんでした。ウィリアム大おじさまに手紙を出し、キャンディは大おじさま(アルバートさん)が養女にしたことで、メキシコ行きが阻止されたのです。キャンディは大きな力に守られ、レイクウッドでの幸福の時間を手にしました。

テリィ

(幸せになってもらいたい?…おれは願わないぞ!おれは…幸せにしたいんだ!)
テリィは決心したように肩で大きく息をした。
「あいつのことは…心配しなくていい。おれが守る!」

(下巻P121)


この後テリィはシスターグレーに正面から向き合い、キャンディの身代わりに貴族の名を捨て、退学となり、一人アメリカへ旅立ちました。そのテリィの行動にキャンディは触発され、テリィに再び会うために、会った時に恥ずかしくない自分になるために、自らも学院を退学し、アメリカへ旅立ち己の道を歩き始めます。

アンソニーが力や後ろ盾を頼りにしたのに比べ、テリィはその力となる身分を捨て生身の一個人としてキャンディを守りました。

アンソニーの"自らが罰せられてもいい"という思いはステアやアーチーよりも強い愛だったけれど、その思いは自らの犠牲と引き換えにキャンディを守ったテリィには敵わなかったことが、こうして言葉を並べてみることではっきりしてくるのです。

追記
アルバートさんに関しては…ブログ主の考察では、作者にとってキャンディの恋愛対象ではないのでこの勝負には入ってもいません。アルバートさんは自分の生き方を探しているキャラクターなので、キャンディへの愛のために自らが犠牲になるとか、試練に向き合うようなエピソードは必要ないわけです。アルバートさんが、この愛の物語の'あのひと'ではないという理由の一つです。




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