このお話は、ルルーシュが女の子で、ブリタニア帝国も日本に侵略していない状態で、普通に日本は存在しています。
ただ、ブリタニア帝国の一部の人などは日本に引っ越してきたりなどしており、ブリタニア人と日本が通う学校としてアッシュフォード学園も日本にあります。
昔昔、日本とブリタニア王国の友好の証と交流のために、皇女であるルルーシュとその妹のナナリーは、幼い頃に日本の総理大臣の家の枢木家に預けられました。
枢木家にはルルーシュと同じ歳の男の子がおり、ルルーシュとスザクはすぐに仲良しになりました。
ルルーシュは優しいスザクがすぐ大好きになり、スザクも女の子なのに男の子のように振り舞うルルーシュが可愛くて、そしてちょっと意地っ張りだけど本当は心優しいルルーシュが大好きになり、二人は将来大きくなったら結婚しようと可愛い約束もしていました。
ルルーシュは可愛い娘たちに会うために日本に来日にしてきていた父にこう言いました。
『僕、僕、結婚したい人が出来ました!』
そして、相手がスザクだと告げると、それを聞いたルルーシュ父は大激怒。
親馬鹿である父は、子供たちの幼い約束にも本気にしてしまい、日本とブリタニアが戦争直前までいってしまいました。
その後戦争は何とか回避され、ルルーシュは本国に連れ戻されました。
スザクに会いたい一心で何とか彼に会いに行こうとルルーシュは頑張りますが、どうにも頑固な父親はルルーシュのスザクへ会いたい気持ちをわかってくれません。
そこで勉強のためなら何も言えないだろうと、日本に留学したいと言い出したのです。
姉やら兄、妹たちにも家族全体に溺愛されているルルーシュは、国から出て行かないでーと家族中から猛反対をされてしまいますが、どうしてもルルーシュが留学したいと言うと、最後には家族は折れました。
けれど、たった一つ家族から約束されたことがありました。
可愛い可愛いルルーシュに変な虫がつかないように、皇女だと言うことも秘密にして、男の子として日本に行く事を約束させられました。
そして、スザクが入学するらしいアッシュフォード学園に留学することとなりました。 ちなみに、ルルーシュの正体は、学園内での協力者であるアッシュフォード学園の理事長とその孫のミレイだけが、知っています。
「入学式の朝から失敗した…」
ルルーシュがアッシュフォード学園の新一年生として入るために、入学式の少し前からこの学園の寮に入っていたルルーシュだったが、学園での手続きなどが忙しく、疲れがたまっていたのか、彼女らしくなく入学式当日に少々寝過ごしてしまっていた。
学園内の寮住まいとは言え、寮と校舎などまでは少々距離があるので、遅刻しそうな時はやはり遅刻してしまうものだ。
そこで、遅刻しないように学内を駆けぬけ、ミレイから以前に教えてもらっていた近道を使って入学式会場に向かっていた。
校舎の角を曲がり、あと少しで入学式会場に近づくところと言ったところで、ルルーシュは何かにぶつかり弾かれた。
倒れる瞬間に見たのは、人の影。
その人物は、ルルーシュの体を抱き込むようにして、ルルーシュが頭を打たないように、その下に手を添えてくれる。
相手が瞬時に流れるような一連の早い動きなのは、よほど運動神経が良いのだろうか。
けれど、ルルーシュが頭を打たないようにかばってくれた人物も、ルルーシュもまったくこんな事態は考えてなかった。
抱き込まれた勢いで、まるでドラマであるような展開で、ルルーシュと相手の唇が触れ合ったのだ。
ルルーシュも相手も驚きの余り体がそのまま硬直してしまったまま。
ルルーシュは、一瞬何が起きているかわからなかったが、我を取り戻すと、相手を蹴り飛ばそうと足を動かした。
助けてくれようと何だろうと、スザク以外の人間とキスなんてしてたまるか、何してくれるんだ、と心の中で毒づきながら、今の真実を頭の中から抹消したくて仕方がなかった。
腹を蹴り飛ばそうとした瞬間、相手の人間が瞬時に避けて、ルルーシュから離れると、少し離れたところで膝をついて着地をする。
ルルーシュは相手がどうしても許せず、起き上がって、相手の顔を脳裏にしっかり刻み付けてやる勢いで、睨みつけようとすると、その顔が一気に驚きの表情へと変わる。
相手からも驚いているような問うような声で、ルルーシュの名前が零された。
「ルルーシュ、だよね?」
「やっぱり、もしかして…」
ルルーシュは、名前を呼ぶ相手に膝をずりずりと引きずりながら歩み寄る。
「スザク…か?」
マジマジと顔を近づけて見ると、やっぱり幼い頃に出会った大好きな人の顔に似ている。
深く優しい緑の瞳も、ふわふわの猫のような柔らかい髪も幼い頃に出会った大好きな人と同じもの。
相手は、ふわりと柔らかく優しく微笑んで、その暖かい空気でルルーシュを包み込み、相手が名乗らなくとも、ルルーシュには目の前の相手がスザクだとわかった。
「うん、そうだよ、僕はスザクだ。君はやっぱり、僕のルルーシュなんだね」
相手は、とても幸せそうに嬉しそうに高らかにルルーシュの名前を呼ぶと、彼女の細い腕を引き、その胸の中へと抱き込んだ。
会いたかった、会いたかった、と何度も何度も言葉を零し、ルルーシュの髪に頬を摺り寄せた。
「スザク…俺も、だ」
ぎゅうっと、相手の背中に腕を回すと、彼の背中は思い出のものよりも幾分も大きくなっていて、幼いあの頃より彼が成長したのだとわかった。
長い長い時間離れていて、自分も変わって、スザクも成長しているけれど。
大好きな人は変わらず自分を思っていてくれたようで、ルルーシュはとても幸せな夢を見ているのかもしれないと、今すぐ信じられなかった。
それくらい奇跡だと思えたから。
その後、入学式をすませ、二人は同じクラスだったことを喜び、新一年生のオリエンテーションなどもすませた。
その後落ち着くと、二人は誰も来ない学校の空き教室に移動し、ルルーシュはどうして自分がこの学園に来たか、男子制服を着ているかなどをスザクに説明した。
彼は驚いて目を丸くしたが、ルルーシュが男の子の格好をしてまで自分に会いに来てくれたことを知ると、すぐさまとても幸福そうに微笑み、全面的に協力してくれると約束をしてくれた。
女の子であるルルーシュが男の子して学園にいることに、スザクにも色々と悩みがないわけでもなかったが、何よりもスザクもルルーシュと一緒にいたかったのだ。
「僕から絶対先にルルに会いに行こうと思ってたのに、先を越されちゃったね」
幼い頃別れる時に、また会いたいと願ったスザクとルルーシュは、最後に約束をした。
スザクはルルーシュに会いにブリタニアへ行く。
ルルーシュはスザクに会いに日本へ戻ってくると。
どちらが先にお互いに会いに行けるか競争しよう、と約束したのだ。
「競争は俺の勝ちだったな」
「うん、男としてそれはちょっと悲しいけど…その分、早く会えたのは嬉しいかな」
「そっか」
「約束守ってくれて有難う」
「うん」
顔を見合わせてお互いに幸せそうに微笑み合う。
まるで、昔に戻ったみたいに。
「ところで、ルル」
「何だ?」
机に寄りかかっていたルルーシュは、スザクに名を呼ばれて体を起こす。
相手の返答を求めて、じっと瞳を見つめていると、スザクの指がすっと持ち上がり、ルルーシュの唇まで伸びると、そこを指の背で優しく撫でた。
「ん…スザ、ク?」
唇を触れられることに、気恥ずかしさでルルーシュの頬が段々と赤くなっていく。
言葉を続けようとしていたスザクだったが、ルルーシュの赤く染まっていく可愛らしさがたまらくなくて、相手の顎に手をかけると、唇に口付けた。
相手を驚かさないような、ふわりとふわりとした優しいキスだったが、一度だけでは我慢が出来なくて。
何度も触れるだけの優しいキスを。
「ご、ごめん、急に…」
「あ、いや…構わないが…」
「本当にごめん。今も、さっきもだけど、急にキスをしてまだちゃんと謝ってないなって思って。本当にごめん。さっきのは事故だったけど…、ルルは女の子だから、キスとかそういうのって大事にしたいだろ。ごめん」
生真面目なスザクは、頭を大きく下げる。
本当にごめん、と深く頭を下げたまま謝罪の言葉を零し、ルルーシュが何かを言わないとスザクは顔を上げるような気配がない。
「馬鹿っ、スザク」
ルルーシュは、頭を下げるスザクの頭に手を添えると、そのまま胸に引き寄せて。
引き寄せれたスザクは膝立ちになり、そのままルルーシュに抱き締められた。
優しいスザクは、真面目なスザクは、ルルーシュを気遣ってくれるが、鈍いせいで肝心なことがわかっていない。
確かにキスは大事なことで、スザクと再会した時の事故のキスは、相手がスザクだとわかるまでは蹴り飛ばそうと思っていた。
けれど、大事なキスは、大好きな人とだったら、構わないのに。
事故でも今みたいにキスをされるのでも、スザクだったら嬉しい。
ルルーシュの好きな人は、肝心なところがわかっていない。
小さな頃は、ここまで気にしないで普通にキスをしてきたのに…成長してそういう余分なところにまでスザクは気を回すようになってしまったのだろうか。
「俺はお前だったら構わないんだ。他の誰かと何て、吐き気がするほど嫌だが、お前だったら良いんだ。俺は、お前が好きなんだから。だから、謝るな」
胸に顔をうずめるスザクの顔をルルーシュは慈しむように、何度も何度も撫でる。
ずっとずっと好きだった人。
離れても忘れなかった人。
大好きな目の前の人からのキスだったら嬉しい。
「うん、有難う、ルル」
スザクは、ルルーシュに腕を緩めてくれるように告げると、立ち上がり、今度は自分がルルーシュを包み込むように抱きしめる。
「あと、まだ言ってないことがあった」
「ん?何だ?」
抱きしめられた暖かい胸に頬を摺り寄せて、ルルーシュはほんわかと幸せそうに返す。
「おかえり、ルル」
たった一言の、当たり前の言葉だったけれど。
その一言で、自分は本当にスザクの元へ帰ってこれたのだと、ルルーシュは幸せを噛み締める。
「ただいま、スザク」
それは嬉しそうに、幸せそうに、唇をゆるめたルルーシュから、言葉が零された。
その後、寮に帰ろうと言うことになり、スザクも学生寮に住んでいたので、二人は一緒に寮まで帰る。
寮までつくと、また後で落ち会おうと言うことで、部屋に帰ろうとすると、スザクもルルーシュも同じ道を進んで行く。
部屋が近いのかもしれないね、良かった、と二人で気楽に話しているところで、ルルーシュがここ俺の部屋なんだ、と話した途端、スザクはぴしりと言った効果音が聞こえてきそうなくらいに固まった。
「スザク、どうかしたか?」
「あ、いや…実は…僕も、この部屋だって言われてて…今日荷物が届けられるはずなんだけど…」
「え?俺は、ここに二人部屋だったけど、俺用に一人部屋になったって聞いたぞ」
ルルーシュが確認のために部屋の鍵を開けると、ルルーシュの知らないダンボールが部屋に何箱か置いてある。
ルルーシュの机には手紙が置いてあり、ミレイの名前が書いてあった。
封を急いで開け、中身を見ると、気を利かせてスザクと一緒の部屋にしたことなどがつらつらと書いてあった。
「会長が…気を利かせて、俺たちを一緒の部屋にしてくれたらしい…。俺がスザクに会いたくて、この学園に来たことも知ってるからな」
「な、何だって!僕たち、男女だよ!小さな頃からともかく、今は流石に同じ部屋はまずいよ!」
「どうしてだ?」
「だって、年頃だし」
「俺はスザクが好きだし、スザクも俺のことが好きなんだろ?じゃあ、別に良いじゃないか」
ルルーシュはまったく気にしている様子なく、けろりと言葉を零す。
無垢な瞳でスザクを不思議そうに見つめるルルーシュに、スザクは、わかってない…と心の中で呟く。
ルルーシュにしたら、大好きなスザクと一緒にいられると言うだけで、二人部屋になった事に対して嬉しいと思うだけで、後は考えていないのだろう。
スザクにしたらもう大変なことなので、情けないと思いつつも、項垂れてしまう。
だって、好きな女の子と一つ屋根の下だなんて、それはもう年頃のスザクにとっては大変だ。
「俺はスザクと一緒の部屋になれて嬉しいんだ。これから宜しくな」
ルルーシュは、弾む声でそう告げると、スザクの手をぎゅうっと握る。
その姿を見たスザクは、ルルーシュを悲しませないようにひたすら頑張ろうと、心の中で嬉しいような辛いような涙を流して耐えるしかなかった。
「あ、そう言えば、ベッドは俺の分しか運んでないから、一つのベッドを二人で使えって書いてあったな。だから、ちょっと広めのベッドなのか」
ルルーシュからぽつりと呟かれた一言に。
スザクは、ひたすら苦楽を伴う未来を見た気がした。
すみません、女の子ルル小説に加筆修正しちゃいました…。
とりあえず、男の子ルルはとても苦労してるので、こちらはひたすら幸せにしたくてこのようなお話になっています。
男の子ルルはスザクよりちょっと大きいみたいですが、こちらは女の子なので、スザクよりは小さいかな~と思われます。
でも女の子にしたら小さすぎることもなくて、たぶん160センチ代はあるかと…。
ただ、ブリタニア帝国の一部の人などは日本に引っ越してきたりなどしており、ブリタニア人と日本が通う学校としてアッシュフォード学園も日本にあります。
昔昔、日本とブリタニア王国の友好の証と交流のために、皇女であるルルーシュとその妹のナナリーは、幼い頃に日本の総理大臣の家の枢木家に預けられました。
枢木家にはルルーシュと同じ歳の男の子がおり、ルルーシュとスザクはすぐに仲良しになりました。
ルルーシュは優しいスザクがすぐ大好きになり、スザクも女の子なのに男の子のように振り舞うルルーシュが可愛くて、そしてちょっと意地っ張りだけど本当は心優しいルルーシュが大好きになり、二人は将来大きくなったら結婚しようと可愛い約束もしていました。
ルルーシュは可愛い娘たちに会うために日本に来日にしてきていた父にこう言いました。
『僕、僕、結婚したい人が出来ました!』
そして、相手がスザクだと告げると、それを聞いたルルーシュ父は大激怒。
親馬鹿である父は、子供たちの幼い約束にも本気にしてしまい、日本とブリタニアが戦争直前までいってしまいました。
その後戦争は何とか回避され、ルルーシュは本国に連れ戻されました。
スザクに会いたい一心で何とか彼に会いに行こうとルルーシュは頑張りますが、どうにも頑固な父親はルルーシュのスザクへ会いたい気持ちをわかってくれません。
そこで勉強のためなら何も言えないだろうと、日本に留学したいと言い出したのです。
姉やら兄、妹たちにも家族全体に溺愛されているルルーシュは、国から出て行かないでーと家族中から猛反対をされてしまいますが、どうしてもルルーシュが留学したいと言うと、最後には家族は折れました。
けれど、たった一つ家族から約束されたことがありました。
可愛い可愛いルルーシュに変な虫がつかないように、皇女だと言うことも秘密にして、男の子として日本に行く事を約束させられました。
そして、スザクが入学するらしいアッシュフォード学園に留学することとなりました。 ちなみに、ルルーシュの正体は、学園内での協力者であるアッシュフォード学園の理事長とその孫のミレイだけが、知っています。
「入学式の朝から失敗した…」
ルルーシュがアッシュフォード学園の新一年生として入るために、入学式の少し前からこの学園の寮に入っていたルルーシュだったが、学園での手続きなどが忙しく、疲れがたまっていたのか、彼女らしくなく入学式当日に少々寝過ごしてしまっていた。
学園内の寮住まいとは言え、寮と校舎などまでは少々距離があるので、遅刻しそうな時はやはり遅刻してしまうものだ。
そこで、遅刻しないように学内を駆けぬけ、ミレイから以前に教えてもらっていた近道を使って入学式会場に向かっていた。
校舎の角を曲がり、あと少しで入学式会場に近づくところと言ったところで、ルルーシュは何かにぶつかり弾かれた。
倒れる瞬間に見たのは、人の影。
その人物は、ルルーシュの体を抱き込むようにして、ルルーシュが頭を打たないように、その下に手を添えてくれる。
相手が瞬時に流れるような一連の早い動きなのは、よほど運動神経が良いのだろうか。
けれど、ルルーシュが頭を打たないようにかばってくれた人物も、ルルーシュもまったくこんな事態は考えてなかった。
抱き込まれた勢いで、まるでドラマであるような展開で、ルルーシュと相手の唇が触れ合ったのだ。
ルルーシュも相手も驚きの余り体がそのまま硬直してしまったまま。
ルルーシュは、一瞬何が起きているかわからなかったが、我を取り戻すと、相手を蹴り飛ばそうと足を動かした。
助けてくれようと何だろうと、スザク以外の人間とキスなんてしてたまるか、何してくれるんだ、と心の中で毒づきながら、今の真実を頭の中から抹消したくて仕方がなかった。
腹を蹴り飛ばそうとした瞬間、相手の人間が瞬時に避けて、ルルーシュから離れると、少し離れたところで膝をついて着地をする。
ルルーシュは相手がどうしても許せず、起き上がって、相手の顔を脳裏にしっかり刻み付けてやる勢いで、睨みつけようとすると、その顔が一気に驚きの表情へと変わる。
相手からも驚いているような問うような声で、ルルーシュの名前が零された。
「ルルーシュ、だよね?」
「やっぱり、もしかして…」
ルルーシュは、名前を呼ぶ相手に膝をずりずりと引きずりながら歩み寄る。
「スザク…か?」
マジマジと顔を近づけて見ると、やっぱり幼い頃に出会った大好きな人の顔に似ている。
深く優しい緑の瞳も、ふわふわの猫のような柔らかい髪も幼い頃に出会った大好きな人と同じもの。
相手は、ふわりと柔らかく優しく微笑んで、その暖かい空気でルルーシュを包み込み、相手が名乗らなくとも、ルルーシュには目の前の相手がスザクだとわかった。
「うん、そうだよ、僕はスザクだ。君はやっぱり、僕のルルーシュなんだね」
相手は、とても幸せそうに嬉しそうに高らかにルルーシュの名前を呼ぶと、彼女の細い腕を引き、その胸の中へと抱き込んだ。
会いたかった、会いたかった、と何度も何度も言葉を零し、ルルーシュの髪に頬を摺り寄せた。
「スザク…俺も、だ」
ぎゅうっと、相手の背中に腕を回すと、彼の背中は思い出のものよりも幾分も大きくなっていて、幼いあの頃より彼が成長したのだとわかった。
長い長い時間離れていて、自分も変わって、スザクも成長しているけれど。
大好きな人は変わらず自分を思っていてくれたようで、ルルーシュはとても幸せな夢を見ているのかもしれないと、今すぐ信じられなかった。
それくらい奇跡だと思えたから。
その後、入学式をすませ、二人は同じクラスだったことを喜び、新一年生のオリエンテーションなどもすませた。
その後落ち着くと、二人は誰も来ない学校の空き教室に移動し、ルルーシュはどうして自分がこの学園に来たか、男子制服を着ているかなどをスザクに説明した。
彼は驚いて目を丸くしたが、ルルーシュが男の子の格好をしてまで自分に会いに来てくれたことを知ると、すぐさまとても幸福そうに微笑み、全面的に協力してくれると約束をしてくれた。
女の子であるルルーシュが男の子して学園にいることに、スザクにも色々と悩みがないわけでもなかったが、何よりもスザクもルルーシュと一緒にいたかったのだ。
「僕から絶対先にルルに会いに行こうと思ってたのに、先を越されちゃったね」
幼い頃別れる時に、また会いたいと願ったスザクとルルーシュは、最後に約束をした。
スザクはルルーシュに会いにブリタニアへ行く。
ルルーシュはスザクに会いに日本へ戻ってくると。
どちらが先にお互いに会いに行けるか競争しよう、と約束したのだ。
「競争は俺の勝ちだったな」
「うん、男としてそれはちょっと悲しいけど…その分、早く会えたのは嬉しいかな」
「そっか」
「約束守ってくれて有難う」
「うん」
顔を見合わせてお互いに幸せそうに微笑み合う。
まるで、昔に戻ったみたいに。
「ところで、ルル」
「何だ?」
机に寄りかかっていたルルーシュは、スザクに名を呼ばれて体を起こす。
相手の返答を求めて、じっと瞳を見つめていると、スザクの指がすっと持ち上がり、ルルーシュの唇まで伸びると、そこを指の背で優しく撫でた。
「ん…スザ、ク?」
唇を触れられることに、気恥ずかしさでルルーシュの頬が段々と赤くなっていく。
言葉を続けようとしていたスザクだったが、ルルーシュの赤く染まっていく可愛らしさがたまらくなくて、相手の顎に手をかけると、唇に口付けた。
相手を驚かさないような、ふわりとふわりとした優しいキスだったが、一度だけでは我慢が出来なくて。
何度も触れるだけの優しいキスを。
「ご、ごめん、急に…」
「あ、いや…構わないが…」
「本当にごめん。今も、さっきもだけど、急にキスをしてまだちゃんと謝ってないなって思って。本当にごめん。さっきのは事故だったけど…、ルルは女の子だから、キスとかそういうのって大事にしたいだろ。ごめん」
生真面目なスザクは、頭を大きく下げる。
本当にごめん、と深く頭を下げたまま謝罪の言葉を零し、ルルーシュが何かを言わないとスザクは顔を上げるような気配がない。
「馬鹿っ、スザク」
ルルーシュは、頭を下げるスザクの頭に手を添えると、そのまま胸に引き寄せて。
引き寄せれたスザクは膝立ちになり、そのままルルーシュに抱き締められた。
優しいスザクは、真面目なスザクは、ルルーシュを気遣ってくれるが、鈍いせいで肝心なことがわかっていない。
確かにキスは大事なことで、スザクと再会した時の事故のキスは、相手がスザクだとわかるまでは蹴り飛ばそうと思っていた。
けれど、大事なキスは、大好きな人とだったら、構わないのに。
事故でも今みたいにキスをされるのでも、スザクだったら嬉しい。
ルルーシュの好きな人は、肝心なところがわかっていない。
小さな頃は、ここまで気にしないで普通にキスをしてきたのに…成長してそういう余分なところにまでスザクは気を回すようになってしまったのだろうか。
「俺はお前だったら構わないんだ。他の誰かと何て、吐き気がするほど嫌だが、お前だったら良いんだ。俺は、お前が好きなんだから。だから、謝るな」
胸に顔をうずめるスザクの顔をルルーシュは慈しむように、何度も何度も撫でる。
ずっとずっと好きだった人。
離れても忘れなかった人。
大好きな目の前の人からのキスだったら嬉しい。
「うん、有難う、ルル」
スザクは、ルルーシュに腕を緩めてくれるように告げると、立ち上がり、今度は自分がルルーシュを包み込むように抱きしめる。
「あと、まだ言ってないことがあった」
「ん?何だ?」
抱きしめられた暖かい胸に頬を摺り寄せて、ルルーシュはほんわかと幸せそうに返す。
「おかえり、ルル」
たった一言の、当たり前の言葉だったけれど。
その一言で、自分は本当にスザクの元へ帰ってこれたのだと、ルルーシュは幸せを噛み締める。
「ただいま、スザク」
それは嬉しそうに、幸せそうに、唇をゆるめたルルーシュから、言葉が零された。
その後、寮に帰ろうと言うことになり、スザクも学生寮に住んでいたので、二人は一緒に寮まで帰る。
寮までつくと、また後で落ち会おうと言うことで、部屋に帰ろうとすると、スザクもルルーシュも同じ道を進んで行く。
部屋が近いのかもしれないね、良かった、と二人で気楽に話しているところで、ルルーシュがここ俺の部屋なんだ、と話した途端、スザクはぴしりと言った効果音が聞こえてきそうなくらいに固まった。
「スザク、どうかしたか?」
「あ、いや…実は…僕も、この部屋だって言われてて…今日荷物が届けられるはずなんだけど…」
「え?俺は、ここに二人部屋だったけど、俺用に一人部屋になったって聞いたぞ」
ルルーシュが確認のために部屋の鍵を開けると、ルルーシュの知らないダンボールが部屋に何箱か置いてある。
ルルーシュの机には手紙が置いてあり、ミレイの名前が書いてあった。
封を急いで開け、中身を見ると、気を利かせてスザクと一緒の部屋にしたことなどがつらつらと書いてあった。
「会長が…気を利かせて、俺たちを一緒の部屋にしてくれたらしい…。俺がスザクに会いたくて、この学園に来たことも知ってるからな」
「な、何だって!僕たち、男女だよ!小さな頃からともかく、今は流石に同じ部屋はまずいよ!」
「どうしてだ?」
「だって、年頃だし」
「俺はスザクが好きだし、スザクも俺のことが好きなんだろ?じゃあ、別に良いじゃないか」
ルルーシュはまったく気にしている様子なく、けろりと言葉を零す。
無垢な瞳でスザクを不思議そうに見つめるルルーシュに、スザクは、わかってない…と心の中で呟く。
ルルーシュにしたら、大好きなスザクと一緒にいられると言うだけで、二人部屋になった事に対して嬉しいと思うだけで、後は考えていないのだろう。
スザクにしたらもう大変なことなので、情けないと思いつつも、項垂れてしまう。
だって、好きな女の子と一つ屋根の下だなんて、それはもう年頃のスザクにとっては大変だ。
「俺はスザクと一緒の部屋になれて嬉しいんだ。これから宜しくな」
ルルーシュは、弾む声でそう告げると、スザクの手をぎゅうっと握る。
その姿を見たスザクは、ルルーシュを悲しませないようにひたすら頑張ろうと、心の中で嬉しいような辛いような涙を流して耐えるしかなかった。
「あ、そう言えば、ベッドは俺の分しか運んでないから、一つのベッドを二人で使えって書いてあったな。だから、ちょっと広めのベッドなのか」
ルルーシュからぽつりと呟かれた一言に。
スザクは、ひたすら苦楽を伴う未来を見た気がした。
すみません、女の子ルル小説に加筆修正しちゃいました…。
とりあえず、男の子ルルはとても苦労してるので、こちらはひたすら幸せにしたくてこのようなお話になっています。
男の子ルルはスザクよりちょっと大きいみたいですが、こちらは女の子なので、スザクよりは小さいかな~と思われます。
でも女の子にしたら小さすぎることもなくて、たぶん160センチ代はあるかと…。