偽史倭人伝 ~ Carnea Historia

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ギョーカイの語学力/誤訳を斬る~ベストセラーから学ぶ英語と名言と~「チェリー」ニコ・ウォーカー 番外編

2020年04月01日 21時22分06秒 | ◎海外スポーツ&ニュース見出しdeポン
前回、「狼たちの午後」についてウラ取り検索をしていて古い記憶が蘇ってきた。それはギョーカイの「違訳、誤訳、テキトー訳」についてだ。
 「狼たちの午後」の原題は「dog day afternoon」、なるほど「犬」を「狼」にアップグレードしたんだな、コロコロチキチキペッパーズのナダルの進化形ネタみたいなものかと受け入れてしまいそうになるけど、ツッコミしろは多々ある。
 そもそも「dog day」は慣用句で「暑い日」という意味だ。
 ちょっと前にヒットした「ダラスの熱い日」とかぶりたくなかったとでもいうのか。だとしてもなんでわざわざ「狼」にした?そっちでいくにしても「犬」のままのほうが底辺でもがく感じが出るというもの。ショーケンと水谷豊の「傷だらけの天使」のおかげでダサかっこいいオトコが一世を風靡していた時代だ。チラシとタイトルだけみると殺し屋とかマフィアのハナシかと思ってしまうぞ。
 誤訳プロセスの嫌疑がかかった映画タイトルというのはチョコチョコある。フィービー・ケイツ主演の「初体験リッジモンド・ハイ」という作品の原題は「Fast Times At Ridgemont High」だった。リッジモンド高校でのめまぐるしい生活といったところか。
 これも「first」と「fast」を間違ったんぢゃね?ともっぱらの噂だった。まあ童貞ターゲットのエッチな映画という意味なら「引き」はある。実際、ティーンアイドルのフィービー・ケイツちゃんがポロリしてるし。ネプチューンのホリケンも「フィービーケイツ」と叫んでいたことがあるほどで日本でもアイドルだった。未成年のヌードというと日本の宮沢りえと一緒で、いまならアウトなんぢゃないだろうか?

 アイドル映画といえばこれは翻訳でもなんでもないんだが田原俊彦主演で「ウィーン物語 ジェミニ・YとS」というのがあった。話はマーク・トウェインの「王子と乞食」のような他人のそら似入れ替わりドタバタもの。田原演じる若草俊一がウィーンの貴族ヨハネス・ローテンベルグ(二役)とうり二つという無理矢理な設定なんだがヨハネスだったらJohannes、「Y」じゃなくって「J」だろう。
 おすぎとピーコがラジオの映画評論コーナーで「おバカねー!」と狂喜していた。当時はアイドルって徹底的にバカにされていたのに、いまはクールジャパンの先鋒のような扱い。この手のひら返しぶりが恐ろしい。

 映画でも本でもないけどビートルズの「ノルウェーの森(norwegian wood)」は日本で一番ビッグな誤訳の例かもしれない。当時東芝EMIのプロデューサーだった高嶋ちさ子氏の父親がつけたらしいが「本当はノルウェー製の家具って意味なので誤訳」とちさ子氏があかしていた。家具など諸説あるが部屋の内装に使われたノルウェー製の木材というのがいちばんしっくりくる。北欧家具とか高級なイメージがあるが、ノルウェー製の木材はむしろ庶民の象徴らしい。
 キーポイントは「wood」と単数形になっている点だ。単複は日本人にとっての誤訳の落とし穴だ。またひとつ思いだしたんだが「パニックインスタジアム」という映画があった。全米ライフル協会でおなじみのチャールトン・ヘストン主演で全米最大のスポーツイベント、スーパーボウルの会場に狙撃犯が現れるというサスペンスアクション。その原題は「TWO MINUTE WARNING」。某映画雑誌の公開映画の紹介ページでは原題とその日本語訳も載せてくれていたのだけど「TWO MINUTE WARNING」の訳が「2分間の警告」になっていた。でもだとすれば「TWO MINUTES WARNING」と複数形になるはず。実はこれアメフト用語で前後半の終了2分前に1度時計がとまり両チームとも自動的にタイムアウト状態になるルール。巷ではこれはCMを入れるためのいかにもアメリカらしいルールという説があるけど、もともとはゲームクロックを主審しか持ってなかった時代に、正確な時計を見られない両チームが最後の攻防にちゃんと備えられるようにするための措置で、技術が進みスタジアムクロックがそのままゲームクロックとなってからは不要な措置となったが、CM入れたいからリーグとして残した…が正確な経緯のよう。そもそも2ミニッツオフェンスなど試合がエキサイティングになるルールでもある。
 パニック映画というジャンルが当時の流行りだったのだが、なんかB級感でちやってるよなぁと思ってたら、偶然みかけたスペイン語版のポスターでは「PANICO EN EL ESTADIO」となんと「パニックインスタジアム」そのまま。和製英語にすら見えたそのタイトルは意外とアメフトが普及していない国用にハリウッドの本社が用意したものだったのかも。これはこれで先入観だったかもと反省。

【ベストセラーから学ぶ英語と名言と】
「チェリー」その6


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