偽史倭人伝 ~ Carnea Historia

march madness の次が April Foolなんて小粋ぢゃないか。

星ひとみのからくり

2023年07月17日 23時26分23秒 | ◎ツッコミ思案neo
 すごい能力があると言い張る人のウソを見抜くには、正面からではなく周りから攻めたほうが容易でわかりやすい場合が往々にしてある。

 例えば以前とりあげた、20年間無敗を誇ったという伝説の雀鬼・桜井章一という人の場合は透視能力と予知能力をあわせたような超能力の真偽以前に、一人勝ちを許す社会は存在しえないだろう(裏社会なら尚)とか、「代打ち」などというユニークな職業が実在するならBBCワシントンポストあたりが取材に来てるだろうさとか、非メインだが、存在の可能性にかかわるところにも突っ込みどころは満載だった。
 桜井さんはどうやらその後、「自白」したらしいが、この人もいわゆる「ギョーカイ人気」のあったひとりなので盛り上げた芸人その他の皆さまの罪は大きい。

 星ひとみさんの場合はもはやトリックですらないのだが、そんなのを信じてる人がいるとしたら普通のウソより厄介だ。

 メディアで人気を博する占い師の方々の特徴として、キャッチーなことばの発明がある。たとえばゲッターズ飯田氏は「心はまだ中学生(又は高校生)」などというキラーワードがあったが、これはいわゆるコールドリーディングのバリエーションだ。つまり万人に当てはまることを言っているだけという。現代人のほとんどは自分が子供のころに見た大人のようにはなれていないと感じている。
 二面性というワードも占い師の得意技だが、これも芸能人相手ではさらに便利なワードだ。完全な「陽キャ」と自負しているひとなど一般人でも芸能人でも1割いるかどうかという程度だが、そうなると芸能人の場合はまがりなりにも人前に姿をさらす職業なので必然的に「二面性」ということばが当てはまってしまう。実際には多くの一般人に対してもこの二面性はあてはまる。
 そして二面性は占われる人が欲しがるワードでもある。大雑把と思われがちだが繊細な面もある…とか。

 芸能人は晒されてる情報が多い上に、過去のインタビュー記事の内容がクイズのネタになってしまうくらい人の記憶というのは脆弱なものなので信じさせるにはチョロい存在といえる。

 さて、星ひとみさんは「~区の星」などというワードがなぜかヒットしてしまった。ただただ居住地を当てるという、もはやテクニックもくそもないワードなのだが。「そんなのもわかっちゃうの?」という芸能人の「受けワード」も演出に一役買ってしまっている。
 住居などというのは情報の中ではイージー中のイージーなものだが昨今の「インスタの投稿写真から特定する」とか、芸能人がタクシーを降りる時(運転手にバレないように)ずっと手前で降りるようにしてるなどのエピソードトークなどが影響してるのかもしてか、なぜか秘密情報のようなニュアンスを帯びてしまっている。
 なにかしら起きたときにマスコミがあっという間に芸能人宅前に全員集合できてることを考えればそこらへんのコトはわかりそうなものだが。

 星さんはもともとタレント(今も?)だったので、そこらへんの情報についてはいくらでもネットワークはありそうだし、金持ちとなった今なら、興信所など独自調査もできるし、なによりテレビ局もグルだということは以前、あの自称・霊能者の江原啓之氏がまだご存命の方の霊と会話してしまった事件からもわかるだろう。

 そもそも居住地なんて方角以外占いに使い道のない情報だったからこそいままであえて言及する人がいなかったということだし、ストレートに「●●に住んでたでしょ」などといおうものなら、ただただヤバい人になってしまうところに、「●●区の星」などという加工表現を生み出して、わたしになんでもわかってるとマウントをとるツールにまで昇格させたのはうまくやったものだ。

 さて、その星ひとみという占い師が俳優の永山絢斗氏の逮捕を予言したとかザワついていたようだけど、時期的に考えればこれこそ単なる「情報」だったのだと思う。噂レベルでも当たれば儲けもの、ここは言っておけ。みたいな。
 税金で動いている警察は。相当情報が集まってからでないと、ましてや対象が有名人となれば尚更だが、捜査に着手はしないはずだから5カ月前から内偵調査がはじまっていた事実を考えれば、噂レベルではもっと出回っていたのだろう。もしくはたまたま聞こえてきたのを、これ幸い、使わない手はないと食いついたのかもしれない。

 マスコミにはを出せるほどの確度はなかったか、もしくは確度はあったもののフライングをして警察に怒られたくないのでうかつに記事にはできないという状況だったかもしれない。

「裁判の星」などと、星さえつければなんでもありの夢の錬金術を駆使したものの、多少は各方面に気を使って「来年」といったのかもしれない。そう、来年出会う女のせいで逮捕されると言ってるのだからほとんど当たってはいないのだ。

 たまたまゲットできた情報で、使わない手はないとぶっこんでしまったのではないかと疑われる例に「VITS発言」がある。
 気象予報士の木原実氏に対して「車はのれればいいと思ってるタイプ」などと言って、そこで終わっておけばいいものをVITSなどと車種まであげてしまう。
 よくあるコメディ映画でなりすまし野郎がついつい悪乗りしてしまいカンニングメモをまるごと読み上げてしまうみたいな場面といっしょだろこれ。
映画なら笑いどころだ。

 これが突っ込みどころではなく、星さんすげぇとかなってるのだとしたらこの国もいよいよやばいと想う。

 芸能人たるものは催眠術にかかってなくてもかかったふりをするものらしい。デヴィ夫人でさえそういっていた。
ましてやこの占い番組のゲストは9割がた番宣目的だから従順にもなるはずだ。

占いの精度以前の大問題として、テレビはかなりの部分がやらせだということだ。

以前、TBSラジオの番組でカンニング竹山氏が芸人がかけられるドッキリの多くはしかけに気づいた上で演技をしているのだと言い放ち、それを演じ切るのも芸のうちだ何が悪い?くらいの勢いで強弁していたのに対して、 外山惠理アナウンサーが釈善としないというような受け答えをしていたのが印象的だったが、多分それがすべてなのだ。

「ドッキリGP」ではドッキリにかかった新人アイドルが「これドッキリGPですか?出たかったんですぅ」という下りが何度もあったが、もし番組のファンだというのなら定番的なやつには途中で気が付いてたはず。

まとめると
「ドッキリ」と「催眠術」と「占い」はタレントの「受け」あってのプロレスだということだ。
 スーパー占い師や霊能力とちがい、催眠術というものは確かに存在するし、かからない人というのも存在するということはおそらくは世間も知るところなので、正直に対応したところで非難される筋合いはないはずなのだが、それでもタレントが付き合ってしまうのは、むしろタレントの保身なのだろう。

 以前、「笑っていいとも」でゲッターズ飯田氏が毎日来てテレフォンショッキングのゲストを占うという期間があったのだが、そこでは露骨な否定こそなかったが、あまりタレントさんが積極的にプロレスに付き合ってくれてない感じだった。そういう無加工バージョンを見てしまうと「なんでわかるんですかぁ」などという定番的な反応は100%演技なんだなと思う。

 占いはエンタメなのだから信憑性を議論するのはそもそも違うという意見もあるかもしれないが、このご時世、不思議な鑑定力が存在するかのような錯覚を起こさせ、その価値観を広めるのは、カルトのようなものをアシストすることにもなる。

本当に占いだけで、居住地や車種が特定できるなら警察に協力しろよってハナシだ。
 




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