偽史倭人伝 ~ Carnea Historia

march madness の次が April Foolなんて小粋ぢゃないか。

人は死ぬとネットの世界へ行く~ベストセラーから学ぶ英語と名言と~「チェリー」ニコ・ウォーカー その1~

2020年03月28日 21時25分27秒 | ◎海外スポーツ&ニュース見出しdeポン

 日本でベストセラーなのかはしらんが、書評はあちこちのメジャーどころには載ってたし、原著はベストセラーで映画化も決まってるから、今のうちにチェックしといて損はないぜ。
 作者のニコ・ウォーカーは勲章も貰ったイラク帰還兵だったが、PTSDに苛まれ、ヤク中で銀行強盗にまで手を染めて現在服役囚。そんな境遇でよくも書き上げたなって感じ。
 そんなわけで、その中からいくつか取り上げてみようという企みの第一弾は、イラクに派兵された主人公たちが行方不明の仲間を探しに行き、情報を得ようと上官が現地の少年を拷問にかけてるという場面。
He hit the boy some more. The boy took it quietly. His legs buckled but the sergeant had him by the neck. No one said anything. The sergeant hit the kid some more. He had his mind made up to hit the kid for a while, so he did. And it was meaningless because we were looking for some dead men. They'd died and gone to the Internet. That's where people go when they die these days. At least when they die like that.
 また男の子を何度か突いた。男の子は黙ってそれを受けた。足がふらついてきたが、三等軍曹
は首をしっかりつかんでいた。誰も何も言わなかった。三等軍曹はさらに何度かあばら骨を突いた。しばらくのあいだ男の子のあばら骨を突きつづけてやろうと腹を決めて、そうしていた。それは無意味なことなのに。だって行方不明の連中はもう死んでいるのだから。彼らは死んでインターネットの世界に行ってしまった。いまの時代、人は死ぬとそこへ行くのだ。少なくとも彼らのような死に方をしたときには。

 「死んだらネットの世界に行く」というのは、ロマンチックにも不気味にも、或いは無機的にも、いろんな解釈ができる表現だ。
 1995年にサンドラ・ブロック主演の「ザ・インターネット」という映画があったが原題は「The Net」だった。アメリカじゃインターネットなんていわずに「ザ・ネット」というんだぜ、なんて説明してた人いたけど、そんなことねーぢゃんってハナシ。

 「インター」と言うコトバは日本人はわかってるようでわかってなかったりするが「相互の」という意味。「国家間」だからインターナショナルだし、「高校間」の大会だからインターハイスクール。インターハイスクールというネーミングのオンラインインターナショナルスクールがあったけど、世界を目指す子を育てるってのにそんな和製英語みたいなネーミングでだいじょうぶか?
 それはそうと、インターネットがなぜ「インター」かというと「ネットワークのネットワーク」という意味だから。これは語学というよりITの知識かもしらんが、とにかくその構造を理解するるためにも子供に教えるときはなるべく「インターネット」とフルネームで言ったほうがいいかもしれないぞ。ネットワーク同士がネットされてる入れ子構造。それを可能にしたのがWWW(World Wide Web)の技術。単に電線を長くしただけぢゃないのだよ。

 ちなみにタイトルのチェリーは童貞ではなく、新兵という意味らしいが、もっといえば戦地に初めて赴いた兵隊のことをいうらしい。


『チェリー』
ニコ・ウォーカー 黒原敏行
定価:本体1,950円+税
発売日:2020年02月20日
ジャンル:エンタメ・ミステリ
文藝春秋


Cherry
by Nico Walker
Hardcover, 336 pages
Published February 28th 2019 by Jonathan Cape


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