偽史倭人伝 ~ Carnea Historia

march madness の次が April Foolなんて小粋ぢゃないか。

ストックホルム症候群~ベストセラーから学ぶ英語と名言と~「チェリー」ニコ・ウォーカー その6~

2020年04月01日 17時21分54秒 | ◎海外スポーツ&ニュース見出しdeポン
「チェリー」で主人公が銀行に押し入って叫ぶセリフ「アッティカアッティカアッティカ」の元ネタは銀行強盗ムービーの歴史に燦然と輝く「狼たちの午後」の中でアル・パチーノが連呼するセリフといったが、翻訳モノの「ご存じの」さかげんが不親切と糾弾したくせに説明不足だった。
 これは当時、ニューヨークの刑務所で人種弾圧をきっかけにおきた暴動で鎮圧の名のもとに黒人が多数殺された事件について「アッティカを思いだせ、官憲はクソだよな」とギャラリーを煽っていたというわけ。ヤジうまのほうも共感するように拍手をしている姿が見てとれる。これ実話がもとだってよ。
 「チェリー」にもこのノリに通じる一文があったのを思い出したのでそれも追加
. I had a gun. It wasn't my gun. I forget who had given it to me. Funny thing about guns. If you're known to rob things people will just give you guns. It's kind of like sponsoring missionaries.
(俺は銃を持っている。俺のじやない。誰にもらったかは忘れた。変なもので、強盗をする奴だと知られていると、人が銃をくれる。宣教師へのカンパみたいなものだろう。)
 庶民を食い物にしたサブプライムショックで金融屋は嫌われ者だということを表現したブラックジョークだろうか。ほんとうの「あるある」だったら怖いが。
 ジェニファー・ロペスの「ハスラーズ」もサププライムショックの後ものうのうと仕事を続けている金融マンをストリッパーたちがハメるという映画だった。
 一方で「狼たちの午後」はストックホルム症候群というのが1つのモチーフになっていて、これは長時間の拘束で人質が犯人に共感を抱いてしまう心理現象のことなので銀行は必ずしも敵ではないが、外の野次馬の拍手の中には「銀行ざまぁ」も少しはあったのかも。

【ベストセラーから学ぶ英語と名言と】
「チェリー」その5+「拳銃使いの娘」

『チェリー』
ニコ・ウォーカー 黒原敏行
定価:本体1,950円+税
発売日:2020年02月20日
ジャンル:エンタメ・ミステリ
文藝春秋


Cherry
by Nico Walker
Hardcover, 336 pages
Published February 28th 2019 by Jonathan Cape


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