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東京サンフィッシュ

落語ときものとマンガとマンボウを愛するコピーライター(こやま淳子)のブログ。

9/8 下北沢B&Bで岡本さんナイト。

2012年08月31日 08時54分34秒 | 最近の仕事
来週9月8日、下北沢の本屋さんB&Bで、
尊敬するコピーライター岡本欣也さんトークショーの
お相手をさせていただきます。

岡本さんはJTの喫煙マナー広告や年賀状キャンペーン、おとなグリコなど
数々の名コピーを書いている、いま最もいけてるコピーライターの一人。

私は話し相手になればいいと言われてるだけで気楽にのぞむ姿勢なのですが…(笑)
それはもう岡本さんなので!きっとおもしろいと思います。

CACやSPBSの生徒さん、コピー好きな方はぜひ。

9月8日(土)20:00~
岡本欣也×こやま淳子
名キャッチコピーからみる「売り言葉・買い言葉」
http://bookandbeer.com/blog/event/20120908_catchphrase/


ちなみにB&Bは、
博報堂ケトルの嶋浩一郎さんとブックディレクターの内沼晋太郎さんが
今年立ち上げたばかりの「あたらしい街の本屋」さんで、
ビール飲みながら本を探せるという素敵な場所です。
私もよくトークショー聞きにいってビール飲んでたりします。
ここに来るだけでも、ちょっとおもしろいですよ。



桐島、部活やめるってよ。(ネタバレ)

2012年08月24日 09時16分04秒 | 映画日記



あまりにも観たくて、仕事の合間に観に行ってしまった。

おもしろかった。笑って泣いた。めちゃくちゃ好きだ。すべての人がわかる映画ではないと思うけれど。

桐島が、最後まで一度も登場しないという設定は、名作「ゴドーを待ちながら」のオマージュらしい。

「タランティーノの映画で何が好き?」というセリフも出てくるが、同じシーンを別視点で何度もくりかえす手法などは

タランティーノの『レザボア・ドックス』をなぞっている。(さらにそのレザボアはキューブリックへのオマージュらしい)

たぶん映画マニアなら、もっと気づくところがいろいろあるんだろう。

ゾンビ映画はよく知らないのでそのへんのくだりはわからなかったが、

クライマックスで映画部の神木龍之介が叫ぶ「ロメロだよ!それくらい観とけ!」

というセリフは、しびれるほどにかっこよかった。


桐島とはいったいなんなのか。

バレー部のエースであり、学校のスター。

その友人や彼女の様子を見る限り、相当なイケメンでリーダー的存在に違いない。

その高校は、どこの高校にもあるであろう見えない階級が存在し、

上位は、桐島をはじめとするイケてる男女や運動部。

最下層は、神木隆之介演じるオタク高校生・前田などが所属する映画部。

映画部員によるセリフ「大丈夫。あいつ(吹奏楽部ブチョー沢島亜矢)は同じ文化部だ」「あいつ、映画部より吹奏楽部の方が絶対エラいと思ってるよな!」

からすると、吹奏楽部はその中間あたり?と思われる。

彼らは桐島が部活をやめるという、ただそれだけのニュースにかき乱され、

連絡の途絶えた桐島を、イライラしながらも待っている。

中森明夫氏が、「桐島とはキリスト」説を展開しているが、

なるほど、ゴドー=GOD(神)という説があることを考えると、それは当然行き着く解釈かもしれない。

高校生たちは、桐島が戻ってくるのを、祈るように待っている。


では部活とは何か?

進路決定を控えた高校生にとって、じつは「いま向き合うべき夢の象徴」なのだと思う。

野球部の先輩に「試合だけでも来て」と熱望されながら、幽霊部員で桐島と遊んでばかりいる宏樹。

学校一の美女であり、桐島の彼女である梨紗。梨紗の友人で宏樹とつきあう沙奈。

彼女のいる宏樹に恋してしまったせいで吹奏楽部の練習に集中できずにいる亜矢。

本当は部活が大好きだということを仲間の沙奈たちに言えず、もんもんとした思いを抱えるバトミントン部の美果。

桐島と同じポジションでありながら桐島を尊敬し、補欠に甘んじているバレー部員・風助。

彼らはみんな桐島がいなくなったことによって、イケてると思っていた学園生活が、じつは空虚なものだったと気づいてしまう。

あるいは自分自身の実力の限界に気づいてしまう。

いや気づきたくない一心で、桐島を執拗に何度も何度も求めるのだろう。


クライマックスの屋上シーンでは、帰宅部のリア充女子も、桐島を取り巻いていたイケメン男子も、

ちゃちな映画を撮っている映画部のオタクたちに負けそうになる。

いや一瞬負けそうになるだけで、実際には負けないのだけれど、

少なくとも前田の8ミリビデオを通した主観のなかでは、彼らはリアルなゾンビたちに見事に食らわれてしまう。

それは前田が、自分の安っぽい部活映画と、憧れのロメロ(夢)がつながる瞬間を見たシーンでもある。


そしてラストシーンで、宏樹はその前田と話して、誰よりもいろんなものを持っているように見える自分が、

じつは何も持っていないことに絶望する。(と、思われるような泣き顔になる)

途中、ちょっとムダなセリフやおもしろいだけのエピソードが多いようにも思えたが、

すべてが布石だったことがここでわかってゾクゾクした。


大人になるとわかってくるけど、中学・高校時代のカーストなんて、

その先の人生では、容易にひっくり返ってしまう。

この映画は、まだ狭い世界にいながらも、そのことに少し気づいてしまう高校生たちの心の動きを描いているのかもしれない。

少なくとも映画部オタク男子たちは、学校中にバカにされてはいるのだけれど、

誰よりも部活に夢中になっていて、桐島(=神)の「救い」など、全く必要としていないのだった。


余談だけど、この映画の広告が数日前新聞に出ていて、

「ハリウッドよ、これが日本映画だ。」

というコピーがついていた。

これは上演中のヒーロー映画『アベンジャーズ』が

「日本よ、これが映画だ。」というコピーで展開していることに対するパロディで、

ユーモア効いてるなあ。と思っていたが、実際見てみたら、まさにあのコピーを言うのにふさわしい映画だった。

あれは「テルマエロマエ」でも「ヘルタースケルター」でもなく、「桐島」だからこそ言えたコピーだったと思う。

夏の衝動買い。

2012年08月15日 10時39分44秒 | きもの日記
また衝動買いしてしまいました。

金魚の浴衣に、金魚の帯留め。





この綿絽の浴衣は、京都の呉服屋さんが大正時代の型を復刻させて染めたもので…。

この帯留めは、型に流すのではなく削りだして形をつくったもので…。

そんなトークに私は弱い。

この浴衣を着るために、また遊びにいく算段をしています。


其礼成(それなり)心中。

2012年08月12日 22時33分48秒 | マンボウ日記
曾根崎心中にハマるあまり、これも見てきた。



三谷幸喜が文楽に初挑戦して描いた「曾根崎心中のその後」。

もちろん三谷幸喜だから、そんなにマトモな文楽は期待してなかったのだが、

いやもう、かなりめちゃくちゃ。時代考証完全無視。

笑いあり。ツッコミあり。なんでもあり。

ミラーボールやネイリストまで出てきたし。

しかし一方で、曾根崎心中が大ヒットしたせいで心中ブームが起こったという

歴史的事実をもとにしていたり、

近松門左衛門が出てきて作品論を語ったり、

ちゃんと文楽好きな人も楽しめるつくりになっていたのである。

ああ、あの人形は、こんなギャグっぽい動きもできたのか、とか、

あのかけあい、一人の太夫さんが演じ分けてるとは思えない、とか、

ふだんの文楽では「そういうもの」としてあまり考えないような、

太夫さんや人形遣いの方々のスゴさにまで意識が及ぶ。

現代人のテンポに合うストーリーと文楽の組み合わせが新鮮で、

演じる側もとってもイキイキして見えた。

まあ、文楽通の人はどう思うのかわからないけれど、

なによりも三谷幸喜の「文楽への愛」が感じられてよかったと思う。

そんなわけで、曾根崎心中にハマった夏。

そろそろ終盤に入ります。

らくこのらくご

2012年08月09日 20時46分01秒 | 落語日記
日曜日は博報堂主催の女子限定落語会「らくこのらくご」に行ってきました。

女子限定といっても、それは客席だけの話。

春風亭ぴっかりちゃんをレギュラーに、

いま旬な落語家さんたちがゲストで来るというシステム。

1回目は談笑さん、白酒さんでしたが、今回は。


お菊の皿 春風亭ぴっかり

お見立て 三遊亭兼好

中入り&質問コーナー

豊志賀ちゃん 三遊亭白鳥


「女ってコワイのお話」というテーマだったので、ぴっかりちゃんは怪談噺を基調にした古典落語、

兼好さんは吉原の芸者に騙される田舎侍の噺、

そして白鳥さんは、落語界にたむろす真打ちになれないお姐さま方にスポットをあてた新作落語(笑)。

私は女子友達4人を連れて浴衣で行きました。

ぴっかりちゃんはカワイかったし、兼好さんはサエサエでおもしろかった。

白鳥さんはいつもにましてめちゃくちゃでした…(笑)。

らくこのらくご、これからも続いていくみたいです。たのしみ。


曾根崎心中。

2012年08月07日 04時08分24秒 | マンボウ日記
曾根崎心中
クリエーター情報なし
リトル・モア


先週末、大阪の国立文楽劇場で、曾根崎心中を見てきた。

文楽は、人に誘われるままに何度か見ていたが、

そしてそれなりに楽しんでいるつもりではあったのだが、

この曾根崎を見て、ああ、こんなにおもしろいものだったのか。

と、はじめて文楽の魅力がわかった気がした。

最後の心中シーン、三味線だけになる場面が本当に色っぽく、

人の死をこんなにエロく描いた江戸の芸能って、やっぱりとてつもないと思ったのだった。


じつはこれを見る前に、予習として、角田光代の小説「曾根崎心中」を読んでいったのである。

もしかしてそれは同族嫌悪的な何かなのかもしれないが、

角田光代って、女っぽくてちょっと苦手だなあと思っていた。

でもこの「曾根崎心中」は、よかった。

その女っぽさが、この世界にはぞくぞくするほどハマっていた。


「心配おまへん。まちごうたときはすぐにわかる。その恋がうまくいかなんだら、すぐわかるんや。

あてらが不安になる恋、苛々する恋、信じられへん恋、会えん恋、すれちがう恋、

ぜえんぶ、まちがいなんや。運命の人やったら、何ごともすんなりいくもんやで」


これを読んで見る人形浄瑠璃は、たぶん100倍おもしろかったような気がする。

ちなみに会場は、橋下さん文楽批判発言の影響か、かなりにぎわっていました(笑)。