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東京サンフィッシュ

落語ときものとマンガとマンボウを愛するコピーライター(こやま淳子)のブログ。

夏の小説。

2011年07月11日 02時54分39秒 | 最近読んだ本
悲しみよこんにちは (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社


最近また小説をよむようになりました。

夏の名作といえば、私にとっては、サガンの「悲しみよ こんにちは」。

17歳の主人公の気持ちが、不思議なことに、いまのほうがよくわかる。

本当は、父親の恋人になるアンヌの年齢に近いんだけども。


それにしても暑い夏がはじまりました。

夏になると名作文庫がよみたくなるのは、夏休みの宿題の記憶のせいでしょうか。

それとも出版社のキャンペーンのせいでしょうか。

後者だろうな。

拝金。

2010年07月31日 09時35分31秒 | 最近読んだ本
拝金
堀江 貴文
徳間書店

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これ、おもしろかった。

あのホリエモンが書いた、ノンフィクションのようなフィクション。

これはあの事件のことね、と思うようなエピソードがたくさん出てくるし、

あの頃ヒルズ族と呼ばれた人たちの、

えげつないくらいに華やかな金持ちライフを疑似体験することもできる。

なによりも、それを見つめる主人公の視線がどこか冷めていて、

その語り口が心地いい。

この人はこんなに文章がうまかったのか。

それでいて、ビジネス脳みたいなものも刺激される。

どこまでが本当で、どこからがフィクションなのか想像しながら、

するすると読めてしまう。でも読み終わりたくない。

そんなジレンマのなか、この小説に浸っていた時間は、本当に楽しかった。

ウェブはバカと暇人のもの

2010年07月05日 16時30分55秒 | 最近読んだ本
ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)
中川淳一郎
光文社

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この時代に広告をやっていると、飽きるほど言われるこのセリフ。

「ネットでなにかおもしろいこと出来ないっすかね?」

「テレビの時代はもう終わりだねー」

しかし…ネットのプロモーションで、テレビCMほど効いた試しって、

いままでそんなにあったっけ?

あったとしても、たいていテレビとの合わせ技じゃなかったっけ?

実際、じぶんが携わって、そこそこ成功したと言えるネットキャンペーンでも、

一般の人の認知率が、あまりにも低いことにがっかりすることがたまにあります。

「あんなにPV(ページビュー)あったのに」「あんなにクライアントには褒められたのに」

しかし商品は特に売れない。

そして自分の親や友達は、まったく知らない。

一方、特に褒められもしない普通のCMのほうは、かなり商品を売り上げて、

そこそこ知られていたりもするのに。

そんなモヤモヤを、スカッとさせてくれる本に出会いました。

「ウェブはバカと暇人のもの」

タイトルは過激ですが、とってもマトモでうなずける内容の連続。

過度なネットへの期待や幻想を打ち砕き、

ネットはテレビの敵ではなく、むしろ親和性の強いものだということを説いています。

そして、ネットユーザーが、

別に「多様化した個人」でも「賢い消費者」でもないことも。

これを、自称「ネット小作農」という、ネットのプロが書いているからおもしろい。

かといって、WEBプロモーションを全否定するわけでは無論なく、

正しく理解して、本当に効果的な使い方をしましょう、ということなのです。


広告代理店やメディア関係者はもちろん、

本文冒頭のセリフを、日常的に言ったり聞いたりしている人なら、

ぜひとも読むべきオススメ本です。

Twitter社会論

2010年06月26日 16時05分49秒 | 最近読んだ本
Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)
津田 大介
洋泉社

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メディアジャーナリストの津田大介さん。

ワセジョ(早稲田の女子)支持論を展開されていると聞いて、

にわかに興味を持ち(笑)、本を読んでみた。

(※つまり私はワセジョなんですが…ワセジョが賛美されることなんて通常ありえないことなのです)



いままで断片的にしか知らなかったツイッターの歴史や知識が整理され、

ツイッターならではの特徴がよくわかる。

特に、企業単位とか仕事でツイッターを使おうというときには

読んでおいたほうがいい本だと思う。

ホームページとか他の広告メディアと同じ感覚でツイッターを使おうとすると失敗するのは、

ツイッターが多分に属人的なメディアであるから。

ゆえに「会社内でいちばん『人間力』の高い社員をツイッター担当にしろ」

というのは、とりわけ納得した部分だった。



じつは先日、津田さんとお会いしてお話しする機会があったのだが、

頭がよく、声もよく、難しいことをおもしろくしゃべれるし、

きっと誰に対しても好印象。しかも金髪でイケメン。

もうすでにいろんなメディアに出てはいるけれど、

きっと太田総理(笑)とかに出たらすごく人気が出るんじゃないだろうか。

と思うような方で、すっかりファンになってしまった。

これからも応援していきます。

(ワセジョ本出してくださいw)

「告白」原作読了。

2010年06月19日 13時11分04秒 | 最近読んだ本
告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)
湊 かなえ
双葉社

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映画を見たあとにすぐ買って、一気に読んでしまった。

やはりおもしろかった。

これは自分の娘を殺された女教師が、犯人である少年AとBに、

ある復讐をした、と告白するところからはじまるサイコミステリー。

被害者は加害者に、加害者は被害者にと入り組んでいく、真っ黒な物語なのである。


小説のほうは、ひとりひとりの告白ごとに章が分かれているので、

章が進むごとに違った「真実」が浮かび上がってくるという構造が、

よりくっきりとしている。

もしかしたら有吉佐和子の「悪女について」や、映画「羅生門」のように、

「人の主観の頼りなさ」を裏テーマにしていたのかもしれないが、

でもここには、そこまで事件そのものに対する認識の違いがあるわけではない。

ひとりひとりがどのように追い詰められ、どのようにその「行為」に至ったかを、

それぞれの登場人物なりの手法で「告白」するという流れのなかで、

それぞれの人物のキャラクターや心理状態が、次第にくっきりと見えてくる。

教師の森口と、少年Aである渡辺修哉の告白は、とても論理的で淡々としているのに比べ、

少年Bとその母親の告白は、どんどんくずれていき、支離滅裂になっていく。

まるで狂っていく人間の脳内観察をしているかのようだ。

つまり、そのしつこいほど緻密なモノローグの応酬が、

エンターテイメント(こういう小説にこの言葉を使うのは勇気がいるけど)になっているのだ。

どんな犯罪にも、どんな狂気にも、その人なりの理由がある。

人には人それぞれの真実があって、それはかくも自分勝手で残酷で、

そんな無限の真実がぶつかりあいながら社会は動いている。

いじめをする子供たちには、いじめる側の「真実」が、

殺人者には殺人者なりの「真実」が。

そして、こういう種類の物語には、大抵あるべき「正義」や「救い」が、ここにはない。

教訓めいた結論も、倫理的なテーマの提示もなく、ただ残酷なまでに物語はばっさりと終わる。

(映画にはオリジナルの一言が付け加えられている。これに関しては、また後日書こうと思う)

それによって読者は、ここになんらかの意味付けやテーマ設定を、自分でせざるを得なくなるのだ。

これが、この物語の最大の魅力であり、

そして一部の人にとっては、どうしても受け入れられない理由になっていると思う。

つまりこれは、読む人の気持ちや状況によって、すこしずつ書き換えられる、

読者参加型ストーリーなのである。

映画でもその性質は受け継がれ、むしろ監督の意図によって増幅させられている。


映画の話をしてたとき、私の友人は、

木村佳乃演じるモンスターペアレントのことを

「かわいそうに。一生懸命、子供を愛してるだけなのに」

と言っていた。

私にとっては、あの母親があのなかではいちばん共感しがたく、最低最悪の登場人物だったので、

ものの見方というのは人によってこうも違うものかと愕然とした。

比較的気の合う映画友達でさえ、そうである。

(補足すると、彼は最近、子供が生まれたばかりなのだ。)



さらにひとつ思うことは、あまりこれを深くとらえると迷宮にはまるかもしれない。

作者は、少年犯罪に対して思うことはあるのだろうが、

どこまで強い正義感でこの物語を書いたかどうかは、あやしいものがある。

前述したように、これは、さまざまな人間の脳内を緻密に書き分けたエンターテイメントであり、

答えがどこかにあると思ってはいけない。答えは自分のなかにしかない。

それが、原作を読んでやっとわかった私なりの「告白」のとらえかたである。



そんなわけで、「告白」ハマっています。

映画のことも、そのうちもういちど書こうと思います。

パタリロ師匠の落語入門

2010年03月31日 08時52分47秒 | 最近読んだ本
パタリロ師匠の落語入門 (花とゆめCOMICS)
魔夜 峰央
白泉社

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パタリロって落語ネタ多いなと思っていたし、魔夜先生の落語好きは有名です。

でも、まさかここまで落語がちりばめられていたなんて…。

この本、落語の基礎知識を、わりときちんと解説したもので、

それだけでもけっこう楽しめるのですが。

欄外で、「落語ネタinパタリロ」が細かく解説されていて、

それを見ると、え、あのギャグも落語だったんだ!と、びっくりするほど、

パタリロには落語ネタが多いことがわかるのです。

いや、むしろパタリロの笑いは、落語をベースに成り立っているのでは?と思うくらい。

子供の頃読んで、思わず吹き出したことを、いまでもはっきり覚えているギャグ、

弁護士(ある宝石を指差して)「これがなんだかわかりますか?」

パタリロ「人差し指」

弁護士「いや、指の先にあるものです」

パタリロ「爪だろう」

は、「二人旅」や「七度狐」。


パタリロ「はじめの方がわからない」

バンコラン「中ほどはどうだ」

パタリロ「中ほどは難解だ」

バンコラン「おわりは」

パタリロ「おわりはさっぱり」

バンコラン「ぜんぜんわかっとらんのじゃないか!」

は、「牛ほめ」や「金明竹」。


そうか。落語を聞いているとき、ときおり既視感(既聴感?)があったのは、

そのせいだったのか…。

もちろん魔夜先生なりにアレンジされていたりはするものの、

あのギャグのリズム感や根底に流れる精神は、

落語抜きには生まれなかったものなのではないでしょうか。

つまり、子供の頃からパタリロを読み親しんできた私たちには、

肌身に落語の感性がしみこんでいるとも言えるのです。

ううむ。これは、ハマるのも仕方があるまい。

よみものmarisol

2009年10月10日 16時18分49秒 | 最近読んだ本
よみものmarisol(マリソル) 2009年 11月号 [雑誌]

集英社

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よみものmarisol、なんだかとてもおもしろかった。

上野千鶴子と集英社っていう取り合わせが、

私にはかなり意外な気がしたんだけど、

それくらい「おひとりさま」っていう概念が

社会現象になってるってことなんだろうか。

で、その上野さんの巻頭特集が本当によかった。

結婚という選択を否定しているのではなくて、

結婚したからってすべてが一転するっていう甘い考えは捨てて、

もっと地に足つけて女性の老後を考えようよ、っていうこと。

結婚しても、夫に先立たれたり、子供が巣立ったりすれば、

それはみんな「おひとりさま」なんだっていうこと。

で、おひとりさま(自分主体)の人生を充実させるために、

いまできることってなんだろう?ってことが、

明るく力強く伝わってくる。

そうだよね。

甘えてちゃいけないけど、そんなに悲観することもないんだよね。


はたらきたい。

2008年03月23日 17時28分55秒 | 最近読んだ本
今日は仕事をだらだらやりながら、

本を読んだり、餃子つくったり。

ほぼ日から出た「はたらきたい。」という本が

なかなかおもしろいです。

会社にいても、フリーのような気分で、仕事している人がおもしろい。

みたいなことを糸井サンが言っていて、

よくわかる気がしました。

私はでも、仕事に身が入ってない日曜日。

ま、たまにはいいか…。

(たまになのか、本当に?)



企画の教科書

2008年02月24日 12時01分38秒 | 最近読んだ本
風つよいですねえ。

今日は友達と約束があるんだけど、外出たくないな…。

企画の教科書 (おちまさとプロデュース)
「おちまさとプロデュース企画の教科書」をつくる会
日本放送出版協会

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最近、読んだ本です。

文庫化してて、第二弾、第三弾と出ているから、

ずいぶん前に出たものなのかな。知らなかったけど。

TV業界の話だと思って参考程度に読んでみましたが、

かなり広告業界にも通じることが多くて、とても勉強になりました。

いや、たぶん「企画」という仕事をしている人なら、

少なからずあてはまる本なのではないかと思われます。

いちばん身にしみたのは、「初期設定に戻る」という項目。

企画してると、だんだんいろんな事情やまわりの意見に流されて、

当初やりたかったことと全く違う方向へ流れてしまうことがしばしば。

そのたびに「初期設定に戻る」ことが必要だと。

「頭の回転のいい人ほど注意」とあったけど、

たしかに器用なクリエイターほど陥りがちなことかもしれません。

おちまさとは、「自分プロデュース術」も読んだけど、

それもおもしろかったな。

ある業界で極めた人の話は、分野が違っても勉強になるのね。