古文書を読もう!「水前寺古文書の会」は熊本新老人の会のサークルとして開設、『東海道中膝栗毛』など版本を読んでいます。

これから古文書に挑戦したい方のための読み合わせ会です。また独学希望の方にはメール会員制度もあります。初心者向け教室です。

太祇句集 翻刻5 冬

2017-02-07 16:53:18 | 炭太祇

不夜菴太祇句集  冬

422  玄関にて御傘と申時雨かな

423  うくひすのしのひ歩行や夕時雨

424  濡にける的矢をしはくしくれ哉

425  しくるゝや筏の棹のさし急き

426  中窪き径わひ行落葉かな

427  米搗の所を替る落葉哉

428  盗人に鐘つく寺や冬木立

                       原画 早稲田大学古典籍

 

429  冬枯や雀のありく戸樋の中

430  炉開や世に遁たる夫婦合

431  川澄や落ち葉の上の水五寸

432  麦蒔や声て雁追ふ片手業

433  達磨忌や宗旨代々不信心

434  をとらせぬむすめ連行十夜哉

435  なまふだや十夜の路のあふれ者

436  夜歩行の子に門て逢ふ十夜かな

437  辻々に十夜籠りや遣リ手迄

438  あら笑止十夜に落る庵の根太

439  莟しハしらてゐにけり帰花

440  京の水遣ふてうれし冬こもり

441  身に添てさひ行壁や冬籠

442  冬こもり古き揚屋に訊れけり

443  なき妻の名にあふ下女や冬籠

444  尻重き業の秤やふゆこもり

                       原画 早稲田大学古典籍

 

445   僧にする子を膝もとやふゆこもり

446  いつまても女嫌ひそ冬籠

447  来て留守といはれし果や冬籠

448   それそれの星あらハるゝさむさ哉

449   帋子着てはるはる来たり寺林

450  紙子着しをとや夜舟の隅の方

451  わひしさや旅寝の蒲団歌をよむ

452  活僧の蒲団をたゝむ魔風哉

453  足か出て夢も短かき蒲団かな

454  旅の身に添や鋪寐の駕ふとん

455  夜明ぬとふとん剥けり旅の友

456  人こゝろ幾度河豚を洗ひけむ

457  死ぬやうにひとハ言也ふくと汁

458  鰒喰ふて酒吞下戸のおもひかな

459  鰒売に喰ふへき顔とミられけり

460  河豚喰し人の寝言の念仏かな

                       原画 早稲田大学古典籍

 

461  意趣のある狐見廻す枯野かな

     不夜庵に芭蕉翁を祭る

462  塀越の枯野やけふの魂祭

463  行々てこゝろ後るゝ枯野かな

464  行馬の人を身にする枯野かな

     分稲一周の忌となりぬ此叟のすゝめにて大原野吟行せし

     往時を思ひて

465  なつかしや枯野にひとり立心

466  鼠喰ふ鳶のゐにけり枯柳

467  目にそしむ頭巾着て寐る父の㒵

468  新尼の頭巾おかしや家の内

469  頭巾をく袂や老のひか覚へ

470  法体ヲミせて又着る頭巾かな

     庚寅冬十月亦例の一七日禁足して俳諧三昧に入に草の屋

         セはく浴も心にまかセねハやうやうかゝり湯いとなむに時雨

         さへ降かゝりいとゝ寒きを侘るゝに吞獅より居風呂ワかして

         男ともにさし荷セ来たり贈ものゝ珍しくうれしとやかてとひ入

         て心ゆく迄浴しつゝかく申侍る 

                         原画 早稲田大学古典籍

 

471  頭巾脱ていたたくやこのぬくい物

472  眼まてくる頭巾あくるや幾寐覚

473  帰来て夜をねぬ音や池の鴛

474  草の屋の行灯もとほす火桶哉

475  塩鱈や旅はるはるをよこれ面

476  手へしたむ髪のあふらや初氷

477  朝顔の朝にならへりはつ氷

478  勤行に起別たる湯婆かな

479  茶の花や風寒き野の葉の囲ミ

480  口切や花月さそふて大天狗

481  口きりやこゝろひそかに聟撰ミ

482  菊好や切らて枯行花の数

483  ちとり啼暁もとる女かな 

     炉に銚子かけて酒あたゝむる自在の竹に鬼女の面かけた

     るを人の仰ぎ居る図に賛をセよと田福より頼れて

484  吹きやす胸はしり火や卵酒 

                        原画 早稲田大学古典籍

 

 

485  鴨の毛を捨つるも元の流かな

486  胴切にしをせざりける海鼠かな

487  海鼠たゝミや有し形を忘れ顔

488  身を守る尖ともミへぬ海鼠哉

489  うくひすや月日覚へる親の側

490  大食のむかしかたりや鰤の前

491  剛の座は鰤大はえに見へにけり

492  立波に足ミせて行ちとりかな

493  茎漬や妻なく住を問ふおゝな

494  草の庵ワらへた炭を敲く也

495  水仙や胞衣出たる花の数

496  膳の時はつす遊女や納豆汁

497  曲輪にも納豆匂ふ斎日哉

498  僧と居て古ひ行気や納豆汁

599  御命講の華のあるしや女形

500  人の来て言ねはしらぬ猪子哉

                       原画 早稲田大学古典籍

 

     喜助を江戸へ下せしあくる日

501  初雪や旅へ遣たる従者か跡

502  はつ雪や酒の意趣ある人の妹

503  木からしの箱根に澄や伊豆の海

504  陰陽師歩にとられ行冬至哉

505  野の中に土御門家や冬至の日

506  雨水も赤くさひ行冬至かな

507  たのミなき若草生ふる冬田かな

508  木からしや柴負ふ老か後より

509  今更にワたせる霜や藤の棚

510  腰かける舟梁の霜や野のワたし

511  鶤の起けり霜のかすれ聲

512  苫ふねの霜や寝覚の鼻の先

513  行舟にこほるゝ霜や芦の音

514  恥かしやあたりゆかめし置火燵

515  埋火に猫背あらハれ玉ひけり

                       原画 早稲田大学古典籍

 

516  埋火にとめれハ留る我か友

517  あてやかにふりし女や敷炬燵

518  火を運ぶ旅の炬燵や夕嵐

519  淀舟やこたつの下の水の音

520  草の戸や炬燵の中も風の行

521  摂待へよらて過けり鉢たゝき

522  暁の一文銭やはちたゝき

523  はけしさや鳥もかれたる鷹の声

524  鷹の眼や鳥によせ行袖かくれ

525  雪やつむ障子の帋の音更ぬ

526  小盃雪に埋てかくしけり

     汲公と葎亭に宿してそのあした道にて別るとて

527  見返るやいまは互に雪の人

528  宿とりて山路の雪吹覗けり

529  空附の竹も庇も雪吹かな

                        原画 早稲田大学古典籍

 

530  うつくしき日和になりぬ雪のうへ

531  降遂ぬ雪におかしや簑と笠

532  御次男は馬か上手て雪見かな

533  足つめたし目におもしろし手にかゝむ

534  里へ出る鹿の背高し雪明り

535  長橋の行先かくす雪吹かな

536  交りハ葱の室に入にけり

537  寒垢離の耳の水ふる勢かな

538  寒月や我ひとり行橋の音

539  寒月の門へ火の飛フ鍛冶屋かな

540  寒月や留守頼れし奥の院

541  駕を出て寒月高し己か門

542  鍋捨る師走の隅やくすり喰

543  日比経て旨き顔なり薬くひ

544  枯草に立ては落る囹かな

545  氷つく芦分舟や寺の門

                        原画 早稲田大学古典籍

 

546   御手洗も御燈も氷る嵐かな

547  垣よりに若き小草や冬の雨

548  父と子によき榾くへしうれし顔

549  勤行に腕の胼やうす衣

     几圭師走廿三日の夜死せり節分の夜明なりけれハ

550  死ぬ年もひとつ取つたよ筆の跡

     梅幸へ言遣る

551  積物や我つむ年をかほ見せに

552  大名に酒の友あり年忘れ

553  夢殿の戸へなさはりそ煤拂

554  聲立る池の家鴨すゝ払

555  煤を掃く音せまり来ぬ市の中

556  剃こかす若衆のもめや年の暮

557  褌に二百くゝるや厄おとし

558  すゝ掃の埃かつくや奈良の鹿

559  怖す也年暮る夜をうしろから

                       原画 早稲田大学古典籍

 

560  年とるもワかきハおかし妹か許

561  寶ふね訳の聞へぬ寐言かな

562  聲よきも頼母しき也厄拂

563  年とりて内裏を出るや小烑灯

564  谷越i聲かけ合ふや年木樵

565  兼てよく㒵見られけり衣配

566  唐へ行屏風も画やとしの暮

     雅因を訪ふ

567  年の暮嵯峨の近道習ひけり

     年内立春

568  歳のうちの春やいさよふ月の前

                                        

                       原画 早稲田大学古典籍

 

 

  

 

  

  

 

 

 

 

    

 

  

        

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿