樹木希林さんによせて

2018年9月15日（75歳没）
狂気の人がまたひとり泉下に旅だった。

彼女は自分の中の狂気をいたわり慈しみながら
天然を装い何事もないように逝った。

内田裕也氏が云う「見事な人」というのがしっくりくる。
彼が求めて求めてやまないモノを希林さんは持っていた。
そんな気がする。

この二人はあの世に行っても切れない縁(えにし)
希求と拒絶を繰り返す赤い糸。

ある意味うらやましい。
希林さんは誰と結婚しても夫婦生活は破綻するだろうし、
男と女の情愛よりも魂の絆を選ぶ人、
自分と同等かそれ以上の人が内田裕也氏だったのか。

齢をかさね見る影もないロック亭主を爆弾と称し笑いを誘い、
かつ、美しい魂の片鱗を持つ人と言い切れる彼女が好きだ。

物事を見据える希林さんは怖い人
そして魅力的
いいときにこの世を去った
お見事
深い哀悼を捧ぐ。