「無防備地域」宣言 国防協力を拒否? 21自治体、条例化へ署名運動
ジュネーブ条約で有事の際に攻撃が禁じられている「無防備地域」の宣言をするよう地方自治体に求める運動が全国に広がりをみせている。これまでに宣言条例が成立した例はないが、確認されただけで二十一区市町で署名活動などが進められている。国の責任で行う防衛行動を自治体が制約することには疑問があるほか、国民や自治体に協力を定めた国民保護法、武力事態対処法に正面から反する問題点も指摘されている。
運動が展開されているのは、札幌市、苫小牧市、東京都国立市、神奈川県藤沢市など二十一区市町(判明分)。「宣言すれば平和を確保できる」「武力攻撃を免れることが可能」などの合言葉で戦争不参加や反戦を呼びかけ、自治体に「無防備地域」宣言の条例制定を請求するため署名運動などが進められている。
すでに全国規模の連絡組織もできており、署名が法定数に達した大阪市、大阪府枚方(ひらかた)市、兵庫県西宮市などでは市議会に条例が提出されている。
ジュネーブ条約追加第一議定書は「紛争当事国が無防備地域を攻撃することは手段のいかんを問わず禁止する」と規定。敵国の占領や攻撃に対し、抵抗も武装もしない地域を無防備地域とし、敵の無血占領を認め、無条件降伏を宣言することで、消耗戦や敵の不必要な攻撃をやめさせ、住民の無用の犠牲を防ぐのが本来の狙いだ。
ただし、地域に指定されるには、(1)すべての戦闘員や移動兵器、移動軍用施設が撤去されている(2)固定された軍用施設や営造物が敵対目的に使われていない(3)当局や住民による敵対行為がない(4)軍事行動を支援する活動がない-などが必要条件。宣言してもこうした条件を満たせない場合は背信行為とみなされる。
しかし、自衛隊の施設などの管轄権は自衛隊法で内閣総理大臣にあると規定され、地方自治体には与えられていない。政府や自衛隊などと合意なしに戦闘員や軍事施設の撤去などを地方自治体が実行することは非現実的だ。
国民保護法なども自治体に国の方針に基づく協力義務を定めており、自治体が条例でこうした条件を確保する規定を勝手に盛り込む行為は、国防への協力拒否を意味するだけでなく、仮に条例が制定されても法律違反として無効とみなされる可能性が高い。
ジュネーブ条約はこれまでも守られないケースが多々あり、「条約に依拠して宣言したところで地域住民の安全は守れない」といった声も出ている。
これまでに、条例を可決した自治体はないものの、運動自体は次々と別の地域で展開される状況が続いている。
(産経新聞) - 11月21日2時52分更新
さて、記事をしっかり読んでくれればわかることなのですが…
>敵の無血占領を認め、無条件降伏を宣言することで
と言う感じで、無防備地域は敵方に占領される事が前提です。
占領されれば、当然、占領した国の統治下におかれるので、これまでの生活が保証されることはありえないと考えるのが普通でしょう。
反政府活動(レジスタンス)の活動資金になることを恐れる占領国が何らかの法を制定して財産の没収を命じる可能性も想定されるケースです。
さらには…
>ジュネーブ条約はこれまでも守られないケースが多々あり
とまぁ、条約なんてこんなもんだったりします。
そもそも、条約違反した場合、戦犯として名指しされますが、罰則規定はありません。
無防備地域については、ジュネーブ条約追加第1議定書59条に定められています。
この条文を読むと。
1.紛争当事国が無防備地域を攻撃することは,手段のいかんを問わず禁止する。
2.紛争当事国の適当な当局は,軍隊が接触している地帯の付近またはその中にある居住地で,敵対する紛争当事国による占領のために開放されているものを無防備地域と宣言することができる。無防備地域は,次のすべての条件を満たさなければならない。
a.すべての戦闘員ならびに移動兵器及び移動軍用設備が撤去されていること。
b.固定した軍用の施設または営造物が敵対的目的に使用されていないこと。
c.当局または住民により敵対行為が行われていないこと。
d.軍事行動を支援する活動が行われていないこと。
さて、ここで重要なのは2項。
降伏と占領が前提なのは既に言った通り。
そしてさらに問題なのが…
>紛争当事国の適当な当局
これは日本の場合、日本政府が該当します。
そして政府は公式に、「国において行われるべきものであり、地方公共団体がこの条約の「無防備地域」の宣言を行うことはできません。 」と言う見解を述べています。
>軍隊が接触している地帯の付近またはその中にある居住地
これは要するに、今まさに敵が押し寄せようとしている状態なわけで、軍隊が地域と接触していなければなんの意味もない。
これが何を意味するかと言うと、空爆・テロ・ゲリラ戦においては無防備地域宣言など何の意味もないと言うことになります。
抵抗する手段が無ければ無防備地域では無いと言うわけです。
さて、上記を踏まえて、無防備地域宣言運動をしている団体のHPを見てみると。
無防備地域宣言運動全国ネットワーク
「(平時から)戦争不参加の意思を表明し…、そのために地域の非軍事化に努め…、戦争の危機が迫った場合には自治体が無防備地域を宣言して戦争から離脱し、あくまで地域住民の生命財産を戦果から守る運動」(林茂夫氏)といえる。
無防備地域宣言は、条文に「紛争当事国」とあるように戦争の状態でなければならないことが書かれていません。
大嘘が書かれていますね。
その他の団体HPには、「戦争の被害者にも加害者にもならないように出来る。」などとあります。
攻撃をしなければ加害者になることはありませんが、被害者にならないと言う保証は何処にもありません。
戦争でしばしば起こる虐殺と言う、無意味な大量殺戮の対象となるのは無防備な人々ですからね。
それに、そもそもジュネーブ条約において非戦闘員に対しての非人道的行為を禁じていますが、それが守られていない事など、イラクなどの紛争地域を見ればわかることです。
よく、「軍隊があるから」とか「軍隊が無ければ」などと言う言葉を聞きますが、結論を言えば、あろうが無かろうが、常に戦争に巻き込まれる危険があります。
歴史を振り返れば、平時こそ有事に備えなければならないのです。
そして、個人的に問いたいのは、
「あなたにとって、この国は守るに値しませんか?」
「自分が無事なら、他人の死は厭わないですか?」
是非、よく考えてみてください。
尚、その参考として「それでもなお平穏な日々」と言うblogの考察記事を読んでいただきたい。
ジュネーブ条約で有事の際に攻撃が禁じられている「無防備地域」の宣言をするよう地方自治体に求める運動が全国に広がりをみせている。これまでに宣言条例が成立した例はないが、確認されただけで二十一区市町で署名活動などが進められている。国の責任で行う防衛行動を自治体が制約することには疑問があるほか、国民や自治体に協力を定めた国民保護法、武力事態対処法に正面から反する問題点も指摘されている。
運動が展開されているのは、札幌市、苫小牧市、東京都国立市、神奈川県藤沢市など二十一区市町(判明分)。「宣言すれば平和を確保できる」「武力攻撃を免れることが可能」などの合言葉で戦争不参加や反戦を呼びかけ、自治体に「無防備地域」宣言の条例制定を請求するため署名運動などが進められている。
すでに全国規模の連絡組織もできており、署名が法定数に達した大阪市、大阪府枚方(ひらかた)市、兵庫県西宮市などでは市議会に条例が提出されている。
ジュネーブ条約追加第一議定書は「紛争当事国が無防備地域を攻撃することは手段のいかんを問わず禁止する」と規定。敵国の占領や攻撃に対し、抵抗も武装もしない地域を無防備地域とし、敵の無血占領を認め、無条件降伏を宣言することで、消耗戦や敵の不必要な攻撃をやめさせ、住民の無用の犠牲を防ぐのが本来の狙いだ。
ただし、地域に指定されるには、(1)すべての戦闘員や移動兵器、移動軍用施設が撤去されている(2)固定された軍用施設や営造物が敵対目的に使われていない(3)当局や住民による敵対行為がない(4)軍事行動を支援する活動がない-などが必要条件。宣言してもこうした条件を満たせない場合は背信行為とみなされる。
しかし、自衛隊の施設などの管轄権は自衛隊法で内閣総理大臣にあると規定され、地方自治体には与えられていない。政府や自衛隊などと合意なしに戦闘員や軍事施設の撤去などを地方自治体が実行することは非現実的だ。
国民保護法なども自治体に国の方針に基づく協力義務を定めており、自治体が条例でこうした条件を確保する規定を勝手に盛り込む行為は、国防への協力拒否を意味するだけでなく、仮に条例が制定されても法律違反として無効とみなされる可能性が高い。
ジュネーブ条約はこれまでも守られないケースが多々あり、「条約に依拠して宣言したところで地域住民の安全は守れない」といった声も出ている。
これまでに、条例を可決した自治体はないものの、運動自体は次々と別の地域で展開される状況が続いている。
(産経新聞) - 11月21日2時52分更新
さて、記事をしっかり読んでくれればわかることなのですが…
>敵の無血占領を認め、無条件降伏を宣言することで
と言う感じで、無防備地域は敵方に占領される事が前提です。
占領されれば、当然、占領した国の統治下におかれるので、これまでの生活が保証されることはありえないと考えるのが普通でしょう。
反政府活動(レジスタンス)の活動資金になることを恐れる占領国が何らかの法を制定して財産の没収を命じる可能性も想定されるケースです。
さらには…
>ジュネーブ条約はこれまでも守られないケースが多々あり
とまぁ、条約なんてこんなもんだったりします。
そもそも、条約違反した場合、戦犯として名指しされますが、罰則規定はありません。
無防備地域については、ジュネーブ条約追加第1議定書59条に定められています。
この条文を読むと。
1.紛争当事国が無防備地域を攻撃することは,手段のいかんを問わず禁止する。
2.紛争当事国の適当な当局は,軍隊が接触している地帯の付近またはその中にある居住地で,敵対する紛争当事国による占領のために開放されているものを無防備地域と宣言することができる。無防備地域は,次のすべての条件を満たさなければならない。
a.すべての戦闘員ならびに移動兵器及び移動軍用設備が撤去されていること。
b.固定した軍用の施設または営造物が敵対的目的に使用されていないこと。
c.当局または住民により敵対行為が行われていないこと。
d.軍事行動を支援する活動が行われていないこと。
さて、ここで重要なのは2項。
降伏と占領が前提なのは既に言った通り。
そしてさらに問題なのが…
>紛争当事国の適当な当局
これは日本の場合、日本政府が該当します。
そして政府は公式に、「国において行われるべきものであり、地方公共団体がこの条約の「無防備地域」の宣言を行うことはできません。 」と言う見解を述べています。
>軍隊が接触している地帯の付近またはその中にある居住地
これは要するに、今まさに敵が押し寄せようとしている状態なわけで、軍隊が地域と接触していなければなんの意味もない。
これが何を意味するかと言うと、空爆・テロ・ゲリラ戦においては無防備地域宣言など何の意味もないと言うことになります。
抵抗する手段が無ければ無防備地域では無いと言うわけです。
さて、上記を踏まえて、無防備地域宣言運動をしている団体のHPを見てみると。
無防備地域宣言運動全国ネットワーク
「(平時から)戦争不参加の意思を表明し…、そのために地域の非軍事化に努め…、戦争の危機が迫った場合には自治体が無防備地域を宣言して戦争から離脱し、あくまで地域住民の生命財産を戦果から守る運動」(林茂夫氏)といえる。
無防備地域宣言は、条文に「紛争当事国」とあるように戦争の状態でなければならないことが書かれていません。
大嘘が書かれていますね。
その他の団体HPには、「戦争の被害者にも加害者にもならないように出来る。」などとあります。
攻撃をしなければ加害者になることはありませんが、被害者にならないと言う保証は何処にもありません。
戦争でしばしば起こる虐殺と言う、無意味な大量殺戮の対象となるのは無防備な人々ですからね。
それに、そもそもジュネーブ条約において非戦闘員に対しての非人道的行為を禁じていますが、それが守られていない事など、イラクなどの紛争地域を見ればわかることです。
よく、「軍隊があるから」とか「軍隊が無ければ」などと言う言葉を聞きますが、結論を言えば、あろうが無かろうが、常に戦争に巻き込まれる危険があります。
歴史を振り返れば、平時こそ有事に備えなければならないのです。
そして、個人的に問いたいのは、
「あなたにとって、この国は守るに値しませんか?」
「自分が無事なら、他人の死は厭わないですか?」
是非、よく考えてみてください。
尚、その参考として「それでもなお平穏な日々」と言うblogの考察記事を読んでいただきたい。
自分に嫌気がさしているなら無人島に住んで下さい。
多くの方に支えられて僕は生きていると思います。
その感謝の気持ちを大事にして下さい。ありがとう!