ぼちぼち スウェーデン

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Volvo社長の退職金

2010-12-09 | 人々のくらし

 

ボルボ社は、バス、大型トラックなどを製造する大企業である。スウェーデン国内では3万5000人の従業員がいるが、地球規模では10万人である。

自動車産業は世界的に不況であり、ボルボ社も例外ではなかったが、最近、景気が回復している。それで、来年の夏、社長レイフ・ヨワンソン(Leif Johansson)は60歳を迎えるので、退陣の好機会と判断したらしい。

ヨーワンソンは、退職の時点で、ボルボの社長を14年間努めたことになる。退職の際、彼がゲットする退職金は、100,000,000クローナ弱であるそうだ。日本円だと、今日の交換レートが1クローナ=12.82円なので、ざっと13倍するとよい。なんがか、庶民には天文学的で実感がうすい金額だ。

通常、一般勤労者には、退職金は出ないシステムであるが、財界のトップ陣には、退職金だけではなく、毎年、巨額なボーナスが支払われる。それらの条件は役員会(取締役会?)で、決定されるので、一見、民主主義の基本に基づく体裁が整っているようにみえる。

しかし、大企業のトップ陣は、お互いの企業の役員を受け持ちあっているので、実情は、仲間たちがお手盛りで、自分たちの取り分を決めていることになる。

詳細は覚えていないが、ある製造会社の社長の年間収入は、工場労働者200人とかの年収分相当であったので、一時は随分騒がれた。

一部の都市銀行のお手盛りも派手で、支店を閉鎖して大量の従業員を解雇するような経営が思わしくない年でも、トップ陣はちゃんと巨額のボーナスを手にしている。

 

  超要職にあるのだから、超報酬は当たり前?

スウェーデンは、アメリカ等とは対照的に、労働収入の最高と最低の差額が小さい政策をとり続けてきた。平等政策の一環である。しかし、民間企業のトップ陣は例外となっている。「責任のあるポストは、それに見合った待遇をしないと、人材は海外に流出」というのが、正当な理由となっている。

スウェーデン人は、これまで平等・連帯の精神と、それに基づく国政をよしとしてきた。それなのに、遠くに見える星のように巨額な金額を聞いて、ふつうの勤労者はどう思うか?

「アホらしい!」だろう。しこしこ働くのが馬鹿々々しくなるのが、ふつうの反応だと思う。

そして、庶民もそれなりに、自分のできる範囲で、取り分を多くする努力をするのが人情だろう。自分さえよければよいという姿勢を、ボスたちが見本を示しているのだから・・。当然、勤労者のモラールにも悪影響を与えるだろう。

庶民は、財界トップ陣に比べて、微々たる自分の収入から、さらに税金を「とられる」のが納得しにくくなる。とくに普遍的な福祉社会を維持するのに自分の稼ぎを使われるのを、アホらしいとふつうの勤労者が思うのは当然の成り行きだと思う。

一部の人間が得る巨額な報酬は、連帯精神の上にたつ福祉社会に、じわじわとひびを入れていく。