辞書引く日々

辞書が好きなのだ。辞書を引くのだ。

ストリーキング

2005年08月24日 | 言葉
もう何十年(?)も昔のことである。ストリーキングというものが逸ったことがある。裸で街路を駆け回るのである。私はそのころ小学生であった。そして、目立つためなら何でもしようという健全な精神をまだ持っていた。(むなしさというのは、大人の持っている最悪の感情である。たぶんこれは見栄よりもずっと後ろ向きなものだ。)

しかしながら、校内でストリーキング試みる気にはならなかった。校内でそれを行うのは、真のストリーキングではない――と思ったのかどうかは覚えていない。今考えるに、校門を一歩入れば、そこは保護された空間であり、その中で羽目を外して満足するのは、少々卑怯のように思える。

クラスメイトの誕生会に招かれたときに、機会はやってきた。このクラスメイトの家は、住宅地の中にある一戸建ての住宅であった。部屋の中でさんざん騒いだあげく、私は服を脱ぎ、玄関から表に走り出た。服を着ていないということによる無防備な感覚と、不思議な開放感を今でも思い出すことができる。私と行動をともにした者がもう一人いたと思うが、誰だったのか、思い出すことができぬ。

走り回ったのはそう長い時間ではなかったはずだ。私は玄関のドアを開けようとした。が、それは鍵がかかっていた。しばらくドアを叩いて、なんとか中に入ることができた。裸で走っているうちは、裸の人間の勝ちだが、いざ戻ろうとすると、服を着た人間の勝ちなのだ。(これは覚えておくべき教訓だ。)もちろん、その家にはその後二度と招待されなかった。

ちなみに、ストリーキングというのは、streaking と綴る。(私はずっとストリ-トのキングだからストリーキングだと思っていたが、ぜんぜん違うのだ)。streak という名詞・動詞もある。streak は、もともと「細く長い印」「人の性格の特徴的なところ」という名詞や、「たいへん速く動く」という動詞があり、20 世紀になってから「裸またはトップレスで公衆の面前を走る」という意味になったらしい。POD(9版) には、so as to shock or amuse つまり、ショックを与えたり楽しみのためにやる、とつけ加えられている。

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