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ものづくり・工場改善 人材採用・人材教育 / ザ・町工場 諏訪貴子

2019年11月17日 | ものづくり・工場改善 人材育成・人材教育

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
   
第401回(2019年11月18日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定  
 ものづくり・工場改善 人材採用・人材教育 / ザ・町工場 諏訪貴子

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はじめに
人材採用・人材教育の3冊目の本になります。この本も金属加工業関係になります。社員数は30名程度、社長の眼が届く状態です。
その点から参考になるように思いますが、特記したいことは、著者は女性であり、女性特有の独特の視点があり、独特のコミュニケーション論(230pからの女将のコミュニケーション論を参照)を展開されています。
このことから、経営については失敗の共通点はあるが、共通の成功ポイントは無いと思えてきます。

著者の紹介

諏訪貴子先生は、2冊の本を出版され、これらの本をベースにしたドラマがNHKで放送されたこともあり、ご存知の方も多いかと思います。工学部出身で、お父さんの経営されていた会社に2度入社して2度リストラされています。その後、急な事業継承を経て、会社の経営を立て直し、2013ウーマン・オブ・ザ・イヤー大賞を受賞されています。

目次

序章  未来が描ける町工場に
第1章 「応募者ゼロ」からの大逆転
第2章 ”見守り”で新入社員を育てる
第3章 「人材マップ」で若手を育てる
第4章 「頼むね」の刷り込みで幹部を育てる
第5章 ベテランを「最高の教官」に
第6章 「女将」のコミュニケーション論

ポイント

本の構成について敢えて言えば、第1章が人材採用、第2章が人材育成、第3章が能力開発でしょうか。ちなみに第4章は幹部育成、第5章はベテラン活用になるかと思います。
①人材採用
・採用するためにはまず採用試験を受けたいと思ってもらわないといけないので、技術のアピールより社風のアピール、そして、アピールの対象は本人もあるが親にもアピールすることが大切とのことです。(38p)
・ハローワークへの求人票の出し方が大変興味を引きました。求人票を出したが、殆ど応募が無いため、実際にハローワークに行かれて調査されました。機械で「キーワード」「給料」「地域」といった項目を検索する仕組みになっていたので早速試したが、「ゲージ」「治工具」のキーワードはまず検索する人がいない。それで、キーワードを「自動車部品向けゲージ」「自動車部品向け治工具」に変更して、「自動車」で検索した場合に引っかかるようにしたそうです。実際に試してみることが大切ですね。ただし、現在は検索の方法が変わっているそうです。(41p)
・経験者ほど挫折することが多いので、募集範囲を未経験者まで拡大されました。理由は、即戦力が欲しいので製造現場の経験者に限定していたが、いざ採用してみると、「今までの経験が生かせない」「前の職場とやり方が違う」などの不満が高じてくるためです。未経験者をゼロから育てることを考えてみることも大切です。(43p)
・採用のポイントとしては、ヒューマンスキルについて「家族のように付き合える人柄」であること(50p)、しかし、何らかの”引っ掛かり”を感じたら不採用にする(60p)が大切とのことです。
②人材育成
・会社に入ったばかりの社員には辞めたいと思う「危険なタイミング」があるそうです。それは、1カ月後、3カ月後、1年後という節目。それぞれの節目に生じる不安や不満を解消し、次のステップに進むことを目的とした「人材育成プログラム」を作成されたそうです。
・たとえば、1カ月後対策としては、「若手生活相談係」を付けることになります(74p)。中小企業では同期の新人は少ないかいないので、身近にいて気軽に何でも相談できる存在が必要だからです。
・また、入社1カ月間は新入社員と社長の「交換日誌」を行っていたそうです。この交換日誌で心の揺れをケアするそうです(88p)。この交換日記で、新入社員さんの性格などが正確にわかるそうです。ただし、1カ月ですっぱりと交換日記はやめるそうです。
・3カ月対策としては、常に次の目標を示し近い将来の自分の姿を見せるようにすることです。具体的には年2回の評価査定のための面接で明確な目標設定を行います。
・1年対策は成功事例で自信を付けさせることです。この時期は「自分は評価されているのか」など周囲の評価が気になるので、発表の場を与えて、必ず成功させることで、自信を付けさせます。
③能力開発
・能力開発のポイントは3つあります。1つ目は人材マップをつくること、2つ目は成長するように追い込むこと、3つ目が仕事と人の相性があるので、能力が伸びないなら思い切って配置転換することです。
・人材マップは各社で作られていることも多いいのではないかと思います。(ただ、個人の意見として言わせていただくと、有効に活用できている会社・部門は少ないように思われます。)
・追い込むことはハシゴを外すことです。具体的には、入社から2~3年が経過して経験と実績を蓄積しつつある若手に対し、特定の機械の使用をフォローする社員が誰もいないとにかく1人でやるしかない状態をつくることです(138p)。(ちょっと荒っぽいかもしれませんね。)
・人の性格等については「交換日記」で把握されています。適性は機械の稼働時間や製造個数で判断が出来るそうです(141p)。(具体的な数値ですので明確で良いですね。)

おわりに
本を読み終わって、内容を整理してみると、実に(女性であるが故の)独特の感性の上にコミュニケーション論があって、会社の経営・運営論が展開されていると思います。
一読されるとこんな考え方もあるんだということに気が付かれると思います。一読をお勧めします。


データ

著者  :諏訪貴子
サブタイトル:”女将”がつくる最強の職人集団
出版社 :日経BP社
出版年 :2016年
ページ数:261p
定価  :1600円+税
表紙

井上直久

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