プロコフィエフの日本滞在日記

1918年、ロシアの若き天才作曲家が、大正期のニッポンで過ごした日々

徳川侯爵

1918-07-12 | 日本滞在記
1918年7月12日(旧暦6月29日)

 とあるイギリス人が、ベヒシュタインのピアノと空き部屋を提供してくれた。毎朝、弾きに行き始めた。ざっと書いたバイオリン・ソナタに目を通す。今までピアノで作曲することから遠ざかり、何もしていなかったが、このソナタはなかなかよくなりそうだ。第一楽章は最初から最後まで全部破棄。

 東京に行き、徳川侯爵のところで昼食をとった。若くて非常に面白い日本人で、西洋音楽にとても入れ込んでいる。日本の貴族とはどんなものか、興味をもって見たが、侯爵はまったくもってヨーロッパ的な人物で、じつに魅力的で飾り気がなく、東洋をまるで感じなかった。

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