稚内駅は、記憶していた駅と大きく異なっていました。
そもそも線路が一線しかなく、ホームも一つしかありません。
稚内駅に到着した列車が発車するまで、他の列車は駅に入れないことになります。
多分、札幌から来た特急列車は折り返し時間が来るまで、隣の南稚内に待機するのでしょうが、初めてホームに降り立った時はちょっとビックリしました。
この駅の構造は、稚内駅に入る列車本数が、その程度のものと見定めていることになります。
改札口に近づくと、「日本最北端の駅 北緯45度25分03秒」 の表示が目に入りました。
改札口を出ると
再北端の線路 最南端から北へ繋がる線路はここが終点です。
指宿枕崎線 西大山駅 昭和35年3.22開駅
宗谷本線 稚内駅 昭和3.12.26開駅
の掲示がガラス窓越しに見えました。
駅舎全体がすっかり変わり、駅舎の外に、多分稚内埠頭へ伸びていた線路が保存されていました。
ところで、私が旭川へ戻る列車の発車時間は18時4分です。
それまでの約6時間を稚内でどう過ごすかを考えていました。
始めて稚内へ来た人であれば、バスやレンタカーで宗谷岬などを訪ねれば、程良い時間が過ごせますが、私は何度もこの地に来ていますので、今更宗谷岬を訪ねる気にはなれません。
そこで、稚内市北方植物園を訪ねて植物を観察し、残り時間を市内散策に充てることにしました。
稚内市北方植物園は日本最北端の植物園の一つで、平成19年以降、NPO法人稚内山野草同好会によって維持管理がなされています。
礼文島に礼文町高山植物園があり、日本で植物園と名が付く施設で最北端に位置するのは、多分礼文町高山植物園(2020年に訪ねることができました)ですが、グーグルマップ等で確認してもその差は僅かです。
稚内市北方植物園は植物を愛しむ稚内市民の熱意を感じさせます。
以前から状況を気にしていたので、今回も再優先で訪ねることにしました。
稚内市北方植物園は稚内市街を見下ろす丘に設けられた、稚内公園内の開基百年記念塔の付属施設です。
稚内市北方植物園を訪ねるときは、百年記念塔を目印として、稚内公園への道を登ります。
稚内市北方植物園の開園期間は4月下旬から11月上旬ごろまで、入園無料で、出入り自由です。
今回は時間がたっぷりありますから、駅から徒歩で植物園を目指すことにしました。
多くの場合はタクシー利用で、稚内駅から約10分、料金は1200円程度のようです。
駅から40分程かけて百年記念塔が建つ丘に登り、稚内港の要に建つ白いサフィールホテル(旧ANAホテル)をアクセントに、日本最北端の大海原の景色を楽しみました。
サフィールホテルの右下辺りに稚内駅が見えていました。
視線を東へ移すと南稚内の市街が広がり、晴れた日であれば、北にサハリンが望めますので、初めて稚内を訪ねたならば、稚内公園に足を運ばなければ悔いを残すことになります。
稚内市北方植物園内の散策路を巡りました。
利尻礼文の庭にごろごろとした岩が並べられていました。
この植物園の岩は、今は持ち出し禁止となった、利尻島の貴重な火山岩で、利尻島や礼文島固有種の生育に適した環境を整ます。
既に花を終えたレブンウスユキソウが薄緑色の葉を茂らせていました。
初めて見る花が咲いていました。
シュムシュノコギリソウは千島、利尻、礼文などの寒冷地に育ち、7月~8月に花を咲かせます。
シュムシュノコギリソウは千島列島南端の占守(シュムシュ)島で発見された多年草です。
白く咲く花に気品を感じさせます。
シコタンハコベは本州中部~北海道の亜高山、高山に分布しますが、北方領土の色丹(シコタン)で最初に発見されたことが名の由来です。
カタオカソウは千島列島固有種のオキナグサの一種で、花が咲くまでに数年かかると言われます。
カメラが安価なコンパクトデジカメなので、ピントが合っていないのが悔やまれます。
ヒマラヤトラノオは中国雲南省からヒマラヤにかけて分布する高山植物で、日本では限られた施設でしか目にすることができない植物です。
などなどですが、既に今回は花の季節が終わりかけていますので、今度は7月上旬ごろに、利尻礼文を含め、花の最盛期に再訪したいと願っています。
そして私はこの夜、稚内発の普通列車を名寄で乗り継ぎ、23時39分に旭川駅に降り立ち、宗谷本線の長い旅の一日を終えました。
「青春18きっぷ」花の旅 北海道 indexをご利用下さい。
全ての「花の旅」はこちら → 「花の旅」 総合目次
筆者のホームページ 「PAPYRUS」