Sonic Diary -Jazz-

Forward the way you believe

7/7 最後の1席・緊張の3分間

2008-07-07 16:44:26 | Weblog
子母神夏市。今年も綿流しの季節がやってきました。↑
「圭一はボクの奉納演舞、見ててくれましたですか?」





岐阜までのアクセスに定期ながらを使う予定でしたが、
27日のコンパートメント席(しかも進行方向と逆向き)しか
とれていませんでした。

ですが最近みどりの窓口の自動券売機。あれ進化しましたよね。
指定席券購入時、空席状況が表示される際
号車ごとの座席表が表示される仕様となり
どの席が空いているのかが一目でわかりやすくなりました。
果ては18きっぷそのものまで購入できちゃったり。

ですから概ね窓口の係員に頼らずとも希望の席がゲットできるわけです。
窓口と比べてほとんど人並ばないので気軽に空席照会ができ、
気長に空席待ちができます。



そしてこの日僕もずっと粘って空席待ちをしていたところでした。
目標としては1日早い26日の指定席。
何度照会しても普通席・コ席ともに赤い×印(満席)。




1時間近く経った20時頃、10回目の空席照会(トライ)。
まあ、まず空かんやろうなぁ・・・




















「23:10 ムーンライトながら 普通車禁煙席:
「23:10 ムーンライトながら(コ) 普通車禁煙席:×」







!?
キャンセル出とう!掘れ掘れ!!(







「窓側A席(海側)×」「通路側B席×」「通路側C席×」「窓側D席(山側)




あー窓側か!!(※夜行列車は長時間停車駅付近での買出しに便利な
通路側のほうが都合がいい)しゃーない!とにかく
乗車変更手続きを急ぐのが先決!!





・・・






運命の「変更」のボタンを押す・・・






音声「発券しています・・・」








いけるか!?















音声「切符をおとり下さい」













無事回収



何席キャンセルが出たのかが気になって後でもう一度照会してみたら
「23:10 ムーンライトながら 普通車禁煙席:×」
「23:10 ムーンライトながら(コ) 普通車禁煙席:×」


満席。つまり空きはたった1席だったようです。
運良く乗り移れました。







なるほど。
これが奇跡というものか






<列車乗車記録>
調布1258【京王線特急新宿行き0020】→京王線新宿1314(定刻)
【8101(8001F)】

新宿1318【JR山手線外回り池袋・上野方面1307G】→池袋1327(定刻)
【クハE231-538(東トウ538・東芝「ecoスタイル」ラッピング)】

池袋2211【JR山手線内回り新宿・渋谷方面2170G】→新宿2119(定刻)
【クハE231-510(東トウ510・brother「リビング複合機 MyMio」ラッピング)】

京王線新宿2241【京王線・京王相模原線急行橋本行き1743】
→調布2304(定刻)【6298(6048F)】

【怪談】呪われた自転車

2008-07-07 10:22:02 | Weblog
今日は怪談を一つ。。。











都心から少し離れたとある郊外の町で夏の日に起こった出来事。


中学2年生の広西拓人(ひろにしたくと)は週に3日、自宅から3キロ離れた
学習塾に通っていました。その際にはいつも、どこにでもあるような
紺色のシティサイクルを使っていました。最近両親がリサイクルショップで
唯一売れ残っていたその一見古そうな自転車を格安で買ったものでした。

「ごっそさん!行ってきまーす!」

「忙しない子ね。ハンカチ持った?」

「へいへい。ラジオ体操のカードも忘れずにってか」

「あんまりとばし過ぎると危ないし何より体が持たないわよ!
車に気を付けなさい」



拓人はいつも活発で明るい性格。
小学生の頃から夏休みの宿題はゼッタイ最初のうちに片付けて後半
思いっきり遊ぶと宣誓するほど普段勉強好きな彼は成績も好く、
夏休みに入ってからも朝から補習に張り切って学習塾へ自転車を走らせる
日々が続きました。


ある日の夕方の帰り道、拓人は前輪に違和感を感じて思わず
ブレーキをかけて止まりました。チューブにひびが入り、そこから
タイヤの空気が大きく抜けていました。


「藤野」

「広西ここ教えて!!」

「お前子供みたいな美しい目で開口一番それかよ・・・修理頼むよ」

「何?パンク?あんた普段どんな運転してんのよ」

「こいつと一緒なら風になれるんだよ♪あ、おじさんこんちはー」

「おう、いらっしゃい!そろそろウチで新しい自転車買う気にならないかい?
安くしとくよ」


「いやぁ、今月はホントギリギリで・・・もうしばらくっすね、たはは」

「風にって・・・結構とばすの?もう少しは控えなさいよ」


同級生の藤野祐希(ふじのゆうき)は父親が経営するたばこ屋を兼ねた
自転車屋で、部活から早く帰ってきた日はいつも手伝いをしています。
夏休みに入ってからも、部活のない日は朝から店の手伝いに熱心に
励んでいました。


「ちょっとくらい教えてくれたっていいじゃないの、ケチ!
せっかく友達のよしみでディスカウントしてあげるって言ってるのに」


「だーからヒントやったろ。今俺とにかく腹減ってんだ、あー早く食いてー」

「何よ、あたしよりメシの方が恋しいっての?
ちぇー覚えてろ、後で泣いてすがっても知らないから」



祐希の母親が馳走を勧めたが拓人は晩御飯が大好きなカレーである事を
述べた上で丁重に断りました。


「じゃ、修理代ちゃんと用意しとくから、またな」

「あーもーやっとくー!!つれない奴ー!!」









2日後。自転車のタイヤは新品に交換されていて朝、拓人の元に戻りました。


「じゃ、この足で俺塾行かなくちゃ。ありがとな」

「・・・あのさ、」

「ん?」

「おとといも言ったけどスピード落として走りなよ」

「見た目はボロっちいけど結構軽快だぜ、これ。滑り出しは抜群にいいし、
それに変速機付きだとつい速く走っちまうんだよな」


「だから心配してるんでしょ。なんかこのギヤも外側が錆びてるみたいだし
もしもの事があったらマジで危ないよ、一応潤滑油(オイル)は
さしておいたけど・・・あたしの腕じゃまだギヤ周りの交換までできないし・・・
でも明日になったら父さんがやってる原付の修理が一段落するからウチで
換えといた方がいいと思うんだけどな」


「しょーがねーだろ、塾まで遠いのに預けてる間の徒歩はもうゴメンだぜ。
おまけに今回の修理費で小遣いすっからかんだもん。
ギヤとチェーンってセットだと結構高いんだろ?
夏休みの宿題と部活ダブルで忙しいところ迷惑だろうし」


「っ、ちがうよ!迷惑だなんて誰も言ってないでしょ・・・その・・・」

「何だよ??」


祐希は一呼吸おいて、


「自分の体大事にしろって意味!!」


と真剣な面持ちで言いました。
しかし、拓人は溜め息をつくなり


「わーってるよ、じゃ今日はなるべく歩道走るから大丈夫だって!
塾遅れるから、じゃな」



「ちょっ・・・!広西」


これが最後通告となってしまうなんて誰が予想したでしょうか。


夕刻。塾の補習を終え、家路を急いで自転車を走らせていた拓人。
自宅に戻る途中には緩やかな右カーブがあります。
拓人は自動車の交通量の少ない右側の車道を走っていて、
その長い緩やかなカーブを曲がり終えようとした時でした。
前方から微かにヘッドライトの光が見えました。向かい側から
オートバイが走って来たことを察知して早めに歩道に自転車を移しました。
オートバイは余裕で避ける事ができました。


そしてもう一度加速するために一段軽いギヤに下げようとしたその時








「ギチ」







・・・ペダルが!?ギヤが回らない!!




さらにその直後、緩やかに右へ曲がりながら走っていたはずの自転車は
急にとてつもなく強い力で左側45度、車道の方へ向いていました。
あっと思う間もなく拓人は自転車の倒れるけたたましい音とともに
車道に投げ出され・・・












彼は気がつくまでさほど時間を要した気がしませんでした。
「その時」の記憶がなかったから。しかしながら時は確実に過ぎていました。
日も暮れた頃、気がついた時にはなぜか歩道の端にある側溝で
倒れていました。


『変だな、ついさっきまでは少し明るかったよな・・・?』


不思議な事に彼はかすり傷一つ負っていませんでした。そして肝心の
乗っていたはずの自転車がどこにも見当たりません。
気を失っている間に盗まれたのかと思い、母親に相談すべくそのまま
歩いて帰宅しました。ところが両親の姿も見当たりません。
家の玄関の鍵はかかっておらず、明かりが付いているにも関わらず
両親を何度呼んでも応答がないのです。彼は少し不審に思いました。


『出かけてるのか・・・?』








「」
「やだわあたしったら・・・慌てて電気も付けっ放しで鍵もかけずに
出て行ったから・・・一日中うっ・・・ううっ」



一日中?何で知らない間に一晩経ってるんだ!?


母さんなんで泣いてるの、一体・・・








「それでは失礼します」
「失礼します」


何か重たそうな物を持つ見知らぬ男性達の声。


続いて玄関先に現れたのは・・・











棺に入った拓人の亡骸でした。









対向車に衝突した際の強打の痕と傷だらけで冷たくなった
自分の遺体が目に入るなり愕然とし、「自分の体を大切に」という
半ば真面目な祐希の声を思い出した時その場で泣き崩れました。
悲しい事にその泣き声は両親の耳には届きません。
床の上には誰のものでもない涙の滴が落ちていたことも、
誰一人知る由もありませんでした。







数日後・・・警察の現場検証の結果が出ました。事故原因は
左側のペダルにあった傷と、道路脇の街路樹の根元に放置されていた
のぼりのスタンドからペダルと同じプラスチックの成分が検出され、
傷の位置も高さが一致した事から、何らかの理由でペダルがのぼりの
スタンドに引っ掛かって車体があらぬ方向へ向いてしまった。
当時街路樹の根元には茂みとは別に沢山の雑草がはえていてそれに
隠れていたのでしょう、とっさには避けられないほど識別は困難だったと
推測されました。

また、何よりも悔やまれたのが変速機の動作不良でした。
フジノサイクルでも聴取があり、父親はその経緯を説明しました。
祐希は友達の突然の死に悲しくて悲しくて一晩中泣き続けました。
悔やんでも悔やんでも悔やみ切れませんでした。
自分があの時確かな腕があってちゃんと整備できていれば
事故は防ぐ事ができた。ツケでもいいから無理にでも換えてあげれば良かった。
でも言いそびれてしまった。それがダメでもあの自転車の事情を知り、
使うのを何とかしてやめさせていれば・・・。
偶然が重なって尊い命を落とすことはなかったはず・・・。






その後の調べで自転車の方は過去にも5回の転倒事故歴があった事が
明らかになりました。最初の事故では右折車を避けようとしたスクーターが、
同じ自転車を引き継いだ男性に後方から接触。転倒した際に頭部を強打し、
搬送先の病院で間もなく死亡しました。

翌年の事故では前かごに沢山の荷物を載せており、
発進時にハンドルがおぼつかず、そこへ横風が吹いて乗車していた女性は
不運にも車道側に倒れてしまいました。後方から来たワゴン車と衝突し、
かなり悲惨な事故だったと言われています。



その後も似たような事故が繰り返し起こっていました。そしてこれらの事故は
毎年夏の同じ日に起こっていたのです。



そして自転車の鑑定写真には、
スポーク、サドル、フレーム等
いたるところに事故死した持ち主たちの
霊が写っていました。










その後・・・



その自転車を見た者はおろか、それが何処へ渡ったかも
知る者は誰一人いません。