「凍」 沢木耕太郎
お薦め度:☆☆☆☆☆
この本は凄い。
帶にはかう記されてゐる。
「もはや、フィクション、ノンフィクションの區別に意味はない。
ここに壓倒的物語が存在する。それがすべてだ。」
この言葉に僞はりはない。
まさに「壓倒的な物語」である。
それも事實に基いた・・・。
山野井泰史と山野井妙子の夫婦がヒマラヤのギャチュンカン(7952m)に挑んだ。
この山は8000mにわづかに足りないために知名度は低いが、標高差2000mにも及ぶ北壁は登攀困難で、クライマーを寄せ附けない。
その北壁をこの夫婦はアルパイン・スタイルで登らうとしたのだ。
登攀は困難を極めた。
7000mを越える高度でのビヴァーク、それも2晩。
それだけでも奇跡のやうな話である。
この夫婦は7000m以上のところで、酸素もなしに6日間も生死を賭けた死鬪を繰り廣げたのである。
ヒマラヤといふ大自然を相手に・・・
雪崩に直撃され、宙吊りになつた状況からの生還は、まさに奇跡のドラマとしか言ひやうがない。
人間はここまで強くなれるのか!
そして、お互ひを信頼しきれる夫婦の素晴らしさ!
讀み了へて、この感動を言葉にするのが難しい。
山の知識があつたはうがイメージしやすいとは思ふが、なくても充分にその凄さは想像できると思ふ。
登山に興味のある人はもちろん、さうでない人にも是非讀んで頂きたい一册である。
2006年2月5日讀了
<追記>
ちなみに、山野井泰史さんは、NHK土曜ドラマ「氷壁」で登攀シーンを監修されてゐる。
あの登攀シーンに不自然なところが少ない理由がよくわかつた。
(もちろん全くないわけではないが、それは俳優さんでは出來ないからだらう)
お薦め度:☆☆☆☆☆
この本は凄い。
帶にはかう記されてゐる。
「もはや、フィクション、ノンフィクションの區別に意味はない。
ここに壓倒的物語が存在する。それがすべてだ。」
この言葉に僞はりはない。
まさに「壓倒的な物語」である。
それも事實に基いた・・・。
山野井泰史と山野井妙子の夫婦がヒマラヤのギャチュンカン(7952m)に挑んだ。
この山は8000mにわづかに足りないために知名度は低いが、標高差2000mにも及ぶ北壁は登攀困難で、クライマーを寄せ附けない。
その北壁をこの夫婦はアルパイン・スタイルで登らうとしたのだ。
登攀は困難を極めた。
7000mを越える高度でのビヴァーク、それも2晩。
それだけでも奇跡のやうな話である。
この夫婦は7000m以上のところで、酸素もなしに6日間も生死を賭けた死鬪を繰り廣げたのである。
ヒマラヤといふ大自然を相手に・・・
雪崩に直撃され、宙吊りになつた状況からの生還は、まさに奇跡のドラマとしか言ひやうがない。
人間はここまで強くなれるのか!
そして、お互ひを信頼しきれる夫婦の素晴らしさ!
讀み了へて、この感動を言葉にするのが難しい。
山の知識があつたはうがイメージしやすいとは思ふが、なくても充分にその凄さは想像できると思ふ。
登山に興味のある人はもちろん、さうでない人にも是非讀んで頂きたい一册である。
2006年2月5日讀了
<追記>
ちなみに、山野井泰史さんは、NHK土曜ドラマ「氷壁」で登攀シーンを監修されてゐる。
あの登攀シーンに不自然なところが少ない理由がよくわかつた。
(もちろん全くないわけではないが、それは俳優さんでは出來ないからだらう)
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トラックバック有り難うございました。
「凍」が凄いということでは一致しましたね。私は登山が趣味ではありませんが、無我夢中で読み終えました。沢木耕太郎の事実経過を淡々と記述しながらここまでの迫力を感じさせる力に圧倒されました。モデルの凄い体験と作者の凄い力が相乗効果を出したように思います。
ついでに、カテゴリーの「クラシック」を覗かせていただきました。私はバッハの鍵盤音楽では「フランス組曲」が一番好きですが、その次は「平均律」です。私が持っているCDも仙丈亭さんと同じリヒテル盤です。
コメントありがたうございます。
この本は母が讀み終つたのを貸してくれたのですが、
讀み了へてから心の底から母に感謝しました。
かういふ本に出會へたことに感謝です。
平均率はリヒテルが好きです。
グールドはどうも即物的過ぎて・・・
むしろグルダのはうがグールドよりは好きです。
フランス組曲も拔萃版になりますが、リヒテル版を聽いてゐます。
本当、山野井夫婦の”信頼”という絆の深さを感じた本でした。お互いの力を知り尽くし、お互いに素晴らしい実力を持ち合わせているからこそ、この壮絶な登攀成し遂げることができたのだと思います。
すごい、の一言に尽きてしまいます。
コメントありがたうございます。
あのお二人は、強い信頼の絆で結ばれてゐますね!
奧樣の妙子さんには感心してしまひました。
あの、物事に動じない勁さ!
ああいふ二人だからこそ出來た偉業ですね。
コメントありがたうございます。
私は本が好きです。
特に、この本のやうな・・・
自分ではたうてい出來ないことなのですが、本を讀んでゐるとまるで自分がその場にゐて體驗してゐるやうな氣がします。
こころ豐かになれますね。
『凍』のストーリーは山野井さんの自著も含めて何度も読んで知っているのに引き込まれて一気に読んでしまいました。沢木氏の筆力に脱帽です。
今後ともよろしくお願いします。
コメントありがたうございます。
それから、そちらの記事での<追記>も!
實は私は沢木耕太郎さんの本を讀んだのはこれが初めてでした。
よほど念入りに取材をしたのでせうね。
登攀シーンなどはまるで自分がその場にゐるやうな臨場感がありました。
素晴らしい筆力ですね。
かういふ本を讀むと、山の懷にもぐりこみたくなります。
もう自分では登れないでせうが・・・
これを読んでからは山岳小説にハマってます。
だけど、ノンフィクションの本作に勝るものは
今のところ無いですね。
何かお薦めがありましたら、
是非教えて下さい。
ではでは。
コメントありがたうございます。
山岳小説といふと、まづ頭に浮ぶのは新田次郎です。
彼の山岳小説はみな素晴らしいと思ひますが、私の一番好きなのは「孤高の人」です。
不世出の單獨行者と云はれた加藤文太郎を主人公にしてゐます。
もしまだ讀んでをられないやうであればお薦めします。
あと、冒險ものになりますが、 笹本稜平の『天空への囘廊』は面白かつたですよ~