(1)きのうのコレクション『マルクス経済学レキシコン』の編者・久留間鮫造先生のようでありたい、あるべし、そう思っています。ことマルクスの著作を読むに於てはそうです。
しかし、これは「盲信」ということではありません。わからないことはわかったふりをしない、勝手な判断や読み込みをしない、ということです。
(2)おもしろいことに、たとえばマルクスの代表作である『資本論』について、今年になってある哲学者?が自著で示した解釈について新聞に登場していました。それから、昨年もなにかの賞を取ったという若い人が本を書いていました。そこでいろいろなことが言われていました。でも、私には、その人がそう思っているだけとか、そういうのは「勝手」くらいにしか思えませんでした。
(3)マルクスはもう100年も前の時代の人です。そもそも無謬ではないでしょうし、時代の限界もあり得ます。その批判はありえます。しかし、気をつけなければならないのは、マルクスに対する自分の無理解を常に警戒することです。
たとえば、「マルクスが言っていることが自分の感覚と合わないのは、マルクスが、ではなく、自分が理解できていないからではないか、いや自分が間違っているからではないか」ようにです。私から見て、この精神が久留間先生の基本だと思います。
(4)通常、半可通の人ほど、マルクスが云々といいます。
いまテレビに物知り顔で出ている人がいますが、この人は、『資本論』について解説して、「もっと簡単に言える」といいました。そうなら、「それでやって見せてくれ、現代を解明してみせてくれ」と言いたいところです。こいうように、これまでマルクスに凭〔もた〕れてマルクスの批判をいうのが普通にありました。
そもそも、学生であった私が『資本論』全3巻を「通読」するだけのために、かれこれ2年かかりました。これは内容理解とは別です。ゼミで1巻を読み通すのでさえ1年では大変です。そういう『資本論』を、解説本でなく、そのものをぜひ読んでほしいものですが、実際は読み通すことさえたいへん膨大な本です。
(5)その本のどこかを読んだ人が、半可通のままなにか主張すると、他の半可通がこれを批判し、するとまた第3の半可通がこれを批判するというように「議論」が活発化します。すると、ああでもない、こうでもない、いややっぱりこうだと主張しあった人々が本を書き、やがてその分野の有名人ができるというのがとかくの構図です。
まあ、「わかんない人」が書いた本を、入門者とか「わかんない人」がわかりたいと思って読むけど、やはりわかんない・・・。これがこれまで見てきた論争です。
(6)そうなれば、当人は有名人になり、出版社は儲かります。その一方で、読者はいい面の皮・・・。
ある時、出版社って武器の世界の「死の商人」みたいなところがある、と思ったことがあります。つまり、あおって儲ける・・・。結局は紙くずばかり・・・。新聞広告を見ているとそう見えませんか?
嗚呼。

赤い花 先客あり
【コレクション 202 レオナルド・ダ・ヴィンチ】
レオナルド・ダ・ヴィンチの全作品・素描集です。
このパンフの大きさは、A4判4㌻です。A3判の用紙を二つ折り急いてできています。
きょうこれを見てふと思ったのは、ホキ美術館の収集作品などで話題になっている細密画との違いです。
最近の細密画は、感覚的・印象的に捉えられた日常のある場面を精緻に描こうとするものです。ざっくり言って、写真と見まがうほどに精緻に描いて観客を圧倒することに主眼があります。精緻だということそのことで話題性が呼び起こされればよいのだと思います。ですから、描く対象やテーマは、腕前を証明・発揮できる対象ならば、とりあえずは構わないわけです。描く場面に時代性とか、自分が絵を描く葛藤が意識されているわけではないともいえそうです。
これに対して、ダ・ビンチの作品も細密ですが、その精緻さには彼の思想・問い・時代性が込められていて、それが観る側の感情・感興を奮い立たせ、作品の中に引き込みます・・・。ダ・ビンチの描いている精緻さは、単なる現実のある場面の正確描写ではなく、彼の思想・問いがそこに表わされたものといえばよいでしょうか。
というようなことで、今日は、ああでもない、こうでもないと遊んでしまいました。
全体は、
1㌻ 下に掲載
2㌻ 装丁見本 刊行案内 696㌻ 26,250円
内容紹介 第1部:手紙・契約書・日記・書類
第2部:全絵画作品紹介
第3部:素描・ドローイング・スケッチ
著者紹介:フランク・ツォルナー 1956年生。1996年よりライプチヒ大学教授。
専門は中世・ルネサンス美術史。
ほか略。
3㌻ 本文見本 下に掲載
4㌻ レオナルド・ダ・ヴィンチの肖像 短評
発行元:タッシェン・ジャパン 1998年
1㌻

3㌻

それから、もう一つ。
【コレクション 203 レオナルド・ダ・ヴィンチ展】
こちらは、六本木ヒルズでのレオナルド・ダ・ヴィンチ展の1枚もののチラシです。上のパンフと一緒に保存してありましたから、載せておきます。もう説明はいらないでしょう。
表側

裏側

以上です。
今日はここで。

黄砂に霞む多摩川の春 (27日15時)