トーマス・マン“魔の山”
(2) 二つの極のはざまで
主人公ハンスに大きな影響を与えるのは、進歩的啓蒙主義者のロドヴィーコ・セテムブリーニと
ロシア人女性クラウディア・ショーシャ夫人。
市民社会的倫理を体現するセテムブリーニは、平地に戻るようハンスを諭し続けるが、
退廃的な香りを身にまとったショーシャ夫人に強烈に惹きつけられるハンスは、
あたかも彼女に誘惑されるかのごとくこの施設に魅了される。
やがて自らの中にも結核の徴候を見出されたハンス。
「生の力」と「死の力」に引き裂かれ続けた彼は、ついに「死と病の空間」に閉じ込められていく。
第2回は、セテムブリーニとショーシャ夫人に象徴される「生の力」「死の力」の葛藤を読み解き、
私たち現代人は、「生と死」の問題にどう向き合っていけばよいかを考える。
HAUSER - Intermezzo from Cavalleria Rusticana
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