西郷隆盛『南洲翁遺訓』
第3回 文明は普遍的
「このままでは日本は商法支配所になりさがる」。
私利私欲に走り、そろばん勘定だけを政策決定の基準にしようとしているかにみえる藩閥政治に対して、西郷は鋭い論陣を展開する。
刑法のあり方、財政のあり方など具体的な指針も交えながら、西欧列強と対峙しうる国家のアイデンティティとは何かを追求し続ける西郷。
だがその基本姿勢は偏狭な国粋主義と一線を画す。
彼の思想は、西欧に学ぶべきところは学ぶが、途上国に対する非道さや経済的な打算による威信の軽視を鋭く批判するという文明史的視点に貫かれているのだ。
第三回は、西郷が思い描いた文明のあり方、国家のあり方の奥深さに迫っていく。
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西郷隆盛『南洲翁遺訓』第4回 時代を映す「古典」
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