難関大学・数学の発想のしかた(さくら教育研究所)(SKREDU)

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逆手流とはいったいどのような考え方なのか(さくら教育研究所)

2020-10-27 | 日記

今回は逆手流という活用範囲が広い手法について解説します。
とくに、関数の値域を求める問題や軌跡・領域の問題などで効果があり、解法の方針が立てやすくなるというのが最大のメリットです。
ということで、「逆手流とはいったいどのような考え方なのか」から説明していきたいと思います。

 まずは言葉の説明から。
関数 y = f(x) において、xを独立変数(インプット)、yを従属変数(アウトプット)といいます。このとき、yのとり得る値を求めたいとしましょう。
ふつうは独立変数のもとで従属変数のとり得る値を考えます(これを自然流もしくは順像法といいます)が、
逆手流では独立変数と従属変数を逆に捉えようという考え方をします。
わかりやすく言えば、xを動かすのではなく、yを動かすということです。

 では、簡単な例題で逆手流の使い方を具体的に解説していきます。


【例題1】 -1 ≦ x ≦ 2 のとき, y = x - 2 の値域を求めよ.

例えば、
y = 1 となり得るでしょうか? このとき、x = 3 であり -1 ≦ x ≦ 2 を満たさないので、y = 1 とはなり得ないことがわかります。
y = 0 となり得るでしょうか? このとき、x = 2 であり -1 ≦ x ≦ 2 を満たすので、y = 0 となり得ることがわかります。
y = -5 となり得るでしょうか? このとき、x = -3 であり -1 ≦ x ≦ 2 を満たさないので、y = -5 とはなり得ないことがわかります。

このように、y = k となり得るかと従属変数yを独立変数として捉えます。
つまり、y = k となり得るとはどういうときかと考えて同値変形を施します。

y = k となり得るとする → x = k + 2 → -1 ≦ k + 2 ≦ 2 を満たせばよい と考えて 

-3 ≦ k ≦ 0

∴-3 ≦ y ≦ 0


【例題2】 xがすべての実数値をとって変化するとき, y = x2 + 2x - 3 の値域を求めよ.

y = k となり得るとする → x2 + 2x - (3 + k) = 0 が実数解を持てばよい と考えて

判別式 D/4 = 1 + (3 + k) = 4 + k ≧ 0 ⇔ k ≧ -4

∴y ≧ -4

※xに範囲が付いている場合でも同様に考えて、2次方程式の解の配置の問題として捉えればOKですね。


【例題3】 xがすべての実数値をとって変化するとき, y = (x2 - 3x + 4)/(x2 + 3x + 4) の値域を求めよ.

y = k となり得るとする → (k-1)x2 + 3(k + 1)x + 4(k - 1) = 0 が実数解を持てばよい と考えて

k = 1 と k ≠ 1 で場合分けします。

() k = 1 のとき 6x = 0 より x = 0(実数) ∴y = 1 となり得る。

() k ≠ 1 のとき 判別式 D = 9(k + 1)2 - 16(k - 1)2 ≧ 0 ∴1/7 ≦ k ≦ 7

()()より 1/7 ≦ k ≦ 7

∴1/7 ≦ y ≦ 7

※微分(数Ⅲ)を用いて分数関数のグラフは描けますが、逆手流だとグラフを描かずとも求めることができます。


【例題4】 実数x, yが x2 + y2 = 1 を満たすとき, x + y の取り得る値の範囲を求めよ.

x + y = k となり得るとする → y = k - x → x2 + (k - x)2 = 1 → 2x2 - 2kx + (k2 - 1) = 0 が実数解を持てばよい と考えて

判別式 D/4 = k2 - 2(k2 - 1) ≧ 0 ⇔ -√2 ≦ k ≦ √2

∴-√2 ≦ x + y ≦ √2



【例題5】 0 ≦ x ≦ 1, 0 ≦ y ≦ 1 のとき, 点P(x + y, x - y)の動く領域を図示せよ.

点P(X, Y)が領域内の点とする → X = x + y, Y = x - y → x = (X + Y)/2, y = (X - Y)/2 → 0 ≦ (X + Y)/2 ≦ 1, 0 ≦ (X - Y)/2 ≦ 1 を満たせばよい と考えて

0 ≦ (X + Y)/2 ≦ 1 ⇔ 0 ≦ X + Y ≦ 2 ⇔ Y ≧ -X …①, Y ≦ -X + 2 …②

0 ≦ (X - Y)/2 ≦ 1 ⇔ 0 ≦ X - Y ≦ 2 ⇔ Y ≦ X …③, Y ≧ X - 2 …④

点P(X, Y)は①~④を同時に満たせばよい。


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