
原作者・矢沢先生は映画の製作にはノータッチですが、唯一、テーマソングの作詞をしています。
エンディングのタイトロールのバックにでも流れるものと決め付けていたそうで、
NANAの世界観全体を抽象的に語った内容を描いたとインタビューに答えていますが、
実際にはライブシーンで歌われています。
大谷健太郎監督は「約三十の嘘」を見ています。
インディーズ系の秀作ですが、NANAのような作品は、
さぞや嫌々引き受けさせられたか、あるいはメジャー進出の野望に燃えて挑戦したか、
どちらかに違いないと思っていたら、意外や原作のファンだったようです。
テレビのインタビューでパンクルックに身を固め、
「今日はレンで決めてみました」とのたもうた。笑
ただやっぱり映画専門誌などに対しては、「ひとつのチャンスとしてオファーを受け取った」と
“密かな野望系”を標榜しています。
どの地点(時点)からは分からないが、
ナナとハチがそれぞれ一人の女性として冷静に過去の自分を見ている“覆水盆に返らず”の話。
その胸を締め付けられるような切なさが丁寧に描かれている。
その原作の残酷で容赦ないテイストを大切にしようと思いました。
と原作と向き合うスタンツを明らかにしています。
構成としては、ナナとレンの回想からはじめて、レンが東京に行くまでのナナの話しと、
ナナとハチが出会ってからの話が平行して走らせる。
そうすることでそれぞれの思いがぶつかり合ってドラマチックな効果が出る、と計算したようです。
それを踏まえて、東京のナナとハチの生活の中にナナの過去の話を散りばめられているわけです。
二次元のコミックを映画という三次元にしていく時、どんなやっかいが起きるか?
公式ガイドブックや写真集など露出の多い映画NANAですが、その中で面白かったのが、
テーブルと707号室の記事。
ナナとハチの住まいは多摩川沿いの2DKのマンションです。
映画の外観は北海道のニッカの工場の建屋を多摩川沿いの景観にデジタル合成したもので、
部屋の中はセットです。
映画の前半のクライマックス、
ナナがテーブルに飛び乗りノブとともに即興で歌う場面がありますが、
この場面からテーブルの面積が決まり、
(ナナが拾った廃材でハチに協力させて自作しているのがドラマでも出てきますから、
既製品のサイズではないのです。)
両側に椅子が置かれてナナとハチが対話する場面などからテーブル周りのダイニングの広さが確定。
反対側にある玄関のドアや天井の高さなどが決まり、
振り分け式でDKの両袖につくそれぞれの寝室のおおきさを決めたそうです。
台所の流しが普通のステンでなくてボールを二個繋いだような形状なのは、
コミックのとおりで美術の制作ですが、
画面に出ているレトロな冷蔵庫、トースターなどは実際に使えるのだそうです。
古い建物という設定なので、
廊下の電気メーター類は埃が被って見えるよう“汚し”の塗装がされています。
ハチの寝室の不思議な形状のベッドヘッドは美術の製作ですが、
原作では花柄になっている寝室の壁紙は映画では白無地です。
これはコミックがモノクロで描かれているのに対し、
映画はカラーの為、全部に色柄を付けてしまうと映像的にくどくなる為です。
壁については、「トラネス」のポスターを貼る貼らないでナナとハチが対話する場面などがあり、
クローズアップがあるため観客の目線がポスターに集中できるよう変更されたという事情もあります。
映画の住まいの美術で笑ったのが、レンの倉庫の住まい。
原作ではベッドとお風呂しか出てこんという、とんでもない部屋ですが、
それでは人間の住む場所に見えない為、
ワンルームでありながら床の高さを違えた階段状の内装で、
各コーナーを使い分けているような雰囲気にしてあります。
倉庫の大型の天窓を内側から塞ぐような遮光の壁などもあり、
セットの割りに凝ってます。
ナナとレン、そしてパンクバンド「ブラスト」のふるさとは、
北海道の余市にあるニッカの蒸留所でロケされています。
(具体的にはレンの住む家、クリスマスの飾りつけのある通り等。
707号室のマンションの外観も敷地内の建屋のひとつが使われている。)
東京ドーム三個分の広大な敷地に石造りの工場が立ち並ぶ不思議な空間で、
そこに雪が降ると幻想的でさえあったそうです。
町でないものを町に見立ててロケーションを行うというのは邦画では
あまり無い発想です。監督が自らロケハンで見つけたのだそうですが、
なるほどセンスの良い人です。
中島美嘉のナナは、…
以下はネタバレになるので、この続きはhttp://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/Pic-nana.htmlにて脚本レビューの頁をご覧下さい。
エンディングのタイトロールのバックにでも流れるものと決め付けていたそうで、
NANAの世界観全体を抽象的に語った内容を描いたとインタビューに答えていますが、
実際にはライブシーンで歌われています。
大谷健太郎監督は「約三十の嘘」を見ています。
インディーズ系の秀作ですが、NANAのような作品は、
さぞや嫌々引き受けさせられたか、あるいはメジャー進出の野望に燃えて挑戦したか、
どちらかに違いないと思っていたら、意外や原作のファンだったようです。
テレビのインタビューでパンクルックに身を固め、
「今日はレンで決めてみました」とのたもうた。笑
ただやっぱり映画専門誌などに対しては、「ひとつのチャンスとしてオファーを受け取った」と
“密かな野望系”を標榜しています。
どの地点(時点)からは分からないが、
ナナとハチがそれぞれ一人の女性として冷静に過去の自分を見ている“覆水盆に返らず”の話。
その胸を締め付けられるような切なさが丁寧に描かれている。
その原作の残酷で容赦ないテイストを大切にしようと思いました。
と原作と向き合うスタンツを明らかにしています。
構成としては、ナナとレンの回想からはじめて、レンが東京に行くまでのナナの話しと、
ナナとハチが出会ってからの話が平行して走らせる。
そうすることでそれぞれの思いがぶつかり合ってドラマチックな効果が出る、と計算したようです。
それを踏まえて、東京のナナとハチの生活の中にナナの過去の話を散りばめられているわけです。
二次元のコミックを映画という三次元にしていく時、どんなやっかいが起きるか?
公式ガイドブックや写真集など露出の多い映画NANAですが、その中で面白かったのが、
テーブルと707号室の記事。
ナナとハチの住まいは多摩川沿いの2DKのマンションです。
映画の外観は北海道のニッカの工場の建屋を多摩川沿いの景観にデジタル合成したもので、
部屋の中はセットです。
映画の前半のクライマックス、
ナナがテーブルに飛び乗りノブとともに即興で歌う場面がありますが、
この場面からテーブルの面積が決まり、
(ナナが拾った廃材でハチに協力させて自作しているのがドラマでも出てきますから、
既製品のサイズではないのです。)
両側に椅子が置かれてナナとハチが対話する場面などからテーブル周りのダイニングの広さが確定。
反対側にある玄関のドアや天井の高さなどが決まり、
振り分け式でDKの両袖につくそれぞれの寝室のおおきさを決めたそうです。
台所の流しが普通のステンでなくてボールを二個繋いだような形状なのは、
コミックのとおりで美術の制作ですが、
画面に出ているレトロな冷蔵庫、トースターなどは実際に使えるのだそうです。
古い建物という設定なので、
廊下の電気メーター類は埃が被って見えるよう“汚し”の塗装がされています。
ハチの寝室の不思議な形状のベッドヘッドは美術の製作ですが、
原作では花柄になっている寝室の壁紙は映画では白無地です。
これはコミックがモノクロで描かれているのに対し、
映画はカラーの為、全部に色柄を付けてしまうと映像的にくどくなる為です。
壁については、「トラネス」のポスターを貼る貼らないでナナとハチが対話する場面などがあり、
クローズアップがあるため観客の目線がポスターに集中できるよう変更されたという事情もあります。
映画の住まいの美術で笑ったのが、レンの倉庫の住まい。
原作ではベッドとお風呂しか出てこんという、とんでもない部屋ですが、
それでは人間の住む場所に見えない為、
ワンルームでありながら床の高さを違えた階段状の内装で、
各コーナーを使い分けているような雰囲気にしてあります。
倉庫の大型の天窓を内側から塞ぐような遮光の壁などもあり、
セットの割りに凝ってます。
ナナとレン、そしてパンクバンド「ブラスト」のふるさとは、
北海道の余市にあるニッカの蒸留所でロケされています。
(具体的にはレンの住む家、クリスマスの飾りつけのある通り等。
707号室のマンションの外観も敷地内の建屋のひとつが使われている。)
東京ドーム三個分の広大な敷地に石造りの工場が立ち並ぶ不思議な空間で、
そこに雪が降ると幻想的でさえあったそうです。
町でないものを町に見立ててロケーションを行うというのは邦画では
あまり無い発想です。監督が自らロケハンで見つけたのだそうですが、
なるほどセンスの良い人です。
中島美嘉のナナは、…
以下はネタバレになるので、この続きはhttp://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/Pic-nana.htmlにて脚本レビューの頁をご覧下さい。

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