ファーストシーンが、
ユダヤ人のゲットーが当時のヴェニスに実在したことを説明する字幕です。
中世のキリスト教社会では、商業や金融は悪徳とされ、
キリスト教徒間による利子を伴う金貸しを禁止していたので、
非キリスト教徒であるユダヤ人が金融業を担っていたそうです。
中世初期、キリスト教徒とユダヤ教徒は、お互いの教義を補完し合った、
ギブ&テイクな関係で巧くいっていたのですが、
1096 年の十字軍の遠征で状況が変わってしまいます。
十字軍の遠征の結果、
イタリア商人が活躍し、ギルドといった同業者組合が発達し、
キリスト教徒の資本家が力をつけてくると、
ユダヤ人は貿易の中間業者といった商人や職人の世界から
締め出されることになっていきました。
そこでユダヤ人たちは、
担保物権と引き換えにお金を貸す消費者金融業に走ります。
消費者金融は主に貧困層を相手にした商売であり、
キリスト教徒の弱みに付け込む悪徳ユダヤ人というイメージを
固定化させることになってしまったのです。
アイアンズは英国有数のシェイクスピア俳優としても知られています。
一方、ファインズは、『恋におちたシェイクスピア』のシェイクスピア役で知られる
俳優です。
今回も持ち前の美貌をいかし、
軽薄だが純粋な心を持つ貴公子バッサーニオの魅力をいきいきと演じています。
アイアンズが演じているせいかアントーニオは妙に暗い男に見えましたが、
これは私の思い込みでなく、憂鬱な人物として戯曲にも書き込まれているようです。
アントーニオの憂鬱の原因はバッサーニオへの愛情のせいです。
これはどうやらシェイクスピア研究の先生方も認めている事柄のようです。
バッサーニオはアントーニオの無限の感情を最大限に利用します。
アントーニオは海外貿易で全財産を危険にさらしていたが、
潜在的に死を意味するにも拘らず、
シャイロックから借金するバッサーニオの保証人になることに合意しています。
多分体の付き合いのないバッサーニオとの報われない関係において、
アントーニオがすすんで自分の肉を一ポンド捧げるということは重要だそうで、
二人のパートナーが“一つの肉”となるところで、
グロテスクにも結婚の儀式をほのめかす結合を意味するらしい。
アントーニオのバッサーニオに対する感情の性質を示す証拠は、
劇中後半にも見られます。
全財産の没収とキリスト教徒への改宗という判決にシャイロックは愕然。
ユダヤ人にユダヤ教を捨てろと迫る改宗というのはずいぶん無茶な話だと思いますが
16 世紀の観客にとっては、
改宗によりシャイロックが地獄に落ちずに済むので、この要求は慈悲深いものだ、
という解釈のようです。
それが今回、原作どおりになってますね。
泣き面に蜂のシャイロックに観客の同情が集まる演出です。
ポーシャ役のリン・コリンズは抜擢された新人女優です。
リーヴ・シュライバーと共演した『ハムレット』のステージでオフィーリアを演じ、
批評家から絶賛を浴びたとか。
ハンサムなバッサーニオに一目惚れしてしまうロマンチックな女性であると同時に、
財産でも頭脳でも男性を遙かに上回るスーパー・ウーマンでもあるポーシャの役
はかなり難しい役柄ですが、上手いこと演じきっています。
コリンズは、本作品でジョセフ・ファインズと共に、
ゴールデン・サテライト賞の助演部門に…
以下はネタバレになるので、この続きはhttp://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/Pic-veniceshonin.htmlにて脚本レビューの頁をご覧下さい。
ユダヤ人のゲットーが当時のヴェニスに実在したことを説明する字幕です。
中世のキリスト教社会では、商業や金融は悪徳とされ、
キリスト教徒間による利子を伴う金貸しを禁止していたので、
非キリスト教徒であるユダヤ人が金融業を担っていたそうです。
中世初期、キリスト教徒とユダヤ教徒は、お互いの教義を補完し合った、
ギブ&テイクな関係で巧くいっていたのですが、
1096 年の十字軍の遠征で状況が変わってしまいます。
十字軍の遠征の結果、
イタリア商人が活躍し、ギルドといった同業者組合が発達し、
キリスト教徒の資本家が力をつけてくると、
ユダヤ人は貿易の中間業者といった商人や職人の世界から
締め出されることになっていきました。
そこでユダヤ人たちは、
担保物権と引き換えにお金を貸す消費者金融業に走ります。
消費者金融は主に貧困層を相手にした商売であり、
キリスト教徒の弱みに付け込む悪徳ユダヤ人というイメージを
固定化させることになってしまったのです。
アイアンズは英国有数のシェイクスピア俳優としても知られています。
一方、ファインズは、『恋におちたシェイクスピア』のシェイクスピア役で知られる
俳優です。
今回も持ち前の美貌をいかし、
軽薄だが純粋な心を持つ貴公子バッサーニオの魅力をいきいきと演じています。
アイアンズが演じているせいかアントーニオは妙に暗い男に見えましたが、
これは私の思い込みでなく、憂鬱な人物として戯曲にも書き込まれているようです。
アントーニオの憂鬱の原因はバッサーニオへの愛情のせいです。
これはどうやらシェイクスピア研究の先生方も認めている事柄のようです。
バッサーニオはアントーニオの無限の感情を最大限に利用します。
アントーニオは海外貿易で全財産を危険にさらしていたが、
潜在的に死を意味するにも拘らず、
シャイロックから借金するバッサーニオの保証人になることに合意しています。
多分体の付き合いのないバッサーニオとの報われない関係において、
アントーニオがすすんで自分の肉を一ポンド捧げるということは重要だそうで、
二人のパートナーが“一つの肉”となるところで、
グロテスクにも結婚の儀式をほのめかす結合を意味するらしい。
アントーニオのバッサーニオに対する感情の性質を示す証拠は、
劇中後半にも見られます。
全財産の没収とキリスト教徒への改宗という判決にシャイロックは愕然。
ユダヤ人にユダヤ教を捨てろと迫る改宗というのはずいぶん無茶な話だと思いますが
16 世紀の観客にとっては、
改宗によりシャイロックが地獄に落ちずに済むので、この要求は慈悲深いものだ、
という解釈のようです。
それが今回、原作どおりになってますね。
泣き面に蜂のシャイロックに観客の同情が集まる演出です。
ポーシャ役のリン・コリンズは抜擢された新人女優です。
リーヴ・シュライバーと共演した『ハムレット』のステージでオフィーリアを演じ、
批評家から絶賛を浴びたとか。
ハンサムなバッサーニオに一目惚れしてしまうロマンチックな女性であると同時に、
財産でも頭脳でも男性を遙かに上回るスーパー・ウーマンでもあるポーシャの役
はかなり難しい役柄ですが、上手いこと演じきっています。
コリンズは、本作品でジョセフ・ファインズと共に、
ゴールデン・サテライト賞の助演部門に…
以下はネタバレになるので、この続きはhttp://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/Pic-veniceshonin.htmlにて脚本レビューの頁をご覧下さい。