映画制作裏話ブログ

映画制作裏話をかき集め作品ごとに整理したブログです。mixi「独身社会人映画ファンコミニティ」のログ集!

脚本レビュー「マッチポイント」

2006年10月31日 | 映画原作 映画製作裏話 独身社会人
2005年第58回カンヌ国際映画祭で、
コンペティションの作品を押さえマスコミの話題をさらった作品です。
生まれ育ったニューヨークを舞台にした作品づくりにこだわり続けてきたアレンが、
36作目にして初めて舞台をロンドンに移し撮影した意欲作でもあります。
2006年第63回ゴールデン・グローブ賞4部門ノミネート、
2006年第78回アカデミー賞脚本賞ノミネート。

クリス役のジョナサン・リス・メイヤーズの略歴を調べてびっくり。
“幼い頃に両親に捨てられたため孤児院で育つ。
院を出た16歳の時にプールバーでたむろしているところを
タレント・エージェントに見出される。
しかし「草原とボタン」のオーディションには落ち、
「マン・オブ・ノー・インポータンス」のほんの小さな役が映画デビューとなった。
だが「マイケル・コリンズ」で主人公を暗殺する少年役を獲得、
一気に注目され、アメリカにも進出。
「ベルベット・ゴールドマイン」では歌声も披露し実力をアピールした。“
この通りなら、まさにクリスを地で行く人生を歩いてきたことになります。
計画的に事を運んでいるようでいて、ひどく捨てばちに見えたり、
計算高いようでいて、馬鹿丸出しなところがあったりと、
クリスと言う男はとらまえどころの無い人物で、
そのとらまえどころの無さが彼の魅力と言うことでしたら、
ジョナサン・リス・メイヤーズはこの上ない適役であったといえるでしょう。

今回ウディ・アレンは、旧知のスタッフの協力を得ると同時に、
そのスタッフのほとんどを優秀な英国在住スタッフで固めています。
衣装には『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』のジル・テイラー、
撮影は『エリザベス』『アバウト・ア・ボーイ』のレミ・アデファラシン、
美術は『アバウト・ア・ボーイ』のジム・クレイ。
ロンドンスタッフの活躍により、深みある映像を作り出すことに成功しています。

クロエ・ヒューイット・ウィルトンには当初はケイト・ウィンスレット
(『エターナル・サンシャイン(2004) 』『タイタニック (1997)』)が配役されていたが、家族と過ごす時間を増やしたいという理由で降板しています。
ノラに食われる役なのであんまり魅力を感じなかったんでしょうね。

ウディ・アレン映画と言えば
スクリーンいっぱいに響き渡るジャズやスタンダード・ナンバーの調べ。
しかし本作を魅力的に飾り付けたのは、オペラの名曲たちでした。
伝説のテノール歌手、エンリコ・カルーソーの演奏を中心とした、
ヴェルディやロッシーニなど時代を超えて愛されるオペラのスタンダード・ナンバーを …

以下はネタバレになるので、この続きはhttp://mixi.jp/view_bbs.pl?id=11922041&comm_id=1299114にて脚本レビューの頁をご覧下さい。


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制作裏話「ゆれる」

2006年10月23日 | 映画原作 映画製作裏話 独身社会人
監督は、『蛇イチゴ』の西川美和。
『誰も知らない』の是枝裕和監督の支援で映画監督としてデビューした人で、
「ゆれる」自体、カンヌ映画祭の監督週間で披露され、好評だったそうです。
カメラは必要以上に自己主張すべきではない、
というのが西川監督の演出倫理のようです。
これはこれで理解できるし、
ゆれる、橋の上の見せ方が、
奇をてらってはいないのだけど映画以外の何物でもないし、
留置場の面会室の対話の粘り強い芝居と演出力はたいしたものです。
法廷場面も面白かったなあ。

オダギリジョーは、公開舞台挨拶で「正直、(監督と)同世代の者として、(その才能に)嫉妬しましたね。20代の締めくくりになるちゃんとした作品だと思って、20代をかけて撮りました。」と答えています。
西川美和監督は「兄弟という血の繋がりというだけで結ばれている関係は、お互いの存在から逃れられない。人間同志の関係性―希薄さ、危うさ―。兄弟をモチーフにしていますが、人間が関わっていくことで可能性をみつけることができるのか?ということを描けたら、と。」と作品の狙いをのべています。

撮影は、富士吉田市の市立病院、民家、ガソリンスタンドなどが使われたほか、
市議会議所を法廷に見立てての撮影横町バイパスや市道中央通り線なども使用されました。
この地での撮影期間は、2005年10月中の延べ16日間行われ、これに渓谷のシーンや
都内の場面などが追加されて完成しています。お金…かかってないですね。 爆

いったい監督はこの話をどんなところから発想したのか、
インタビューでは「夢から」と答えています。
「夢の中で友達が人を殺して、私が唯一の目撃者だったんです。
私は友達をかばおうと努力するけれど、
一方では殺人者の友達を持つことになった自分を心配していました。
目を覚ました時はがっかりした気分で、自分の中の違う姿を見た思いでした」
普段は気づくことのない自分の中の闇、
自分では分からない自分の姿を改めて刻むことのできる作品にしたかったという。
また、作品を通じて特定のメッセージを伝えるというよりも、
人間というものを暴きたかったのだと話しています。

…だけどやりたいテーマだけを漠然と描いていると、
観客は飽きてしまったり、ついてこれなくなるだろうと感じ、
途中まではサスペンスフルな作品しようと、構成にしこたま時間をかけ、
脚本の推敲、実に20稿!
 そしてひとつ書き換える毎に、読み込みに付き合わされた是枝監督。
「“あなたが言ったから直したのに、最終的には第1稿になってる”っていうこともあって。忘れていくんですよね、…

以下はネタバレになるので、この続きはhttp://mixi.jp/view_bbs.pl?id=11073434&comm_id=1299114にて脚本レビューの頁をご覧下さい。


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原作と映画比較「夜のピクニック」

2006年10月10日 | 映画原作 映画製作裏話 独身社会人
原作は「歩行祭」当日の朝、登校してくる主人公達の姿からはじまっていますが、
映画は一年前の「歩行祭」、その夜の休憩時間中に、
路肩の草原で星を見上げて寝転ぶ、
甲田貴子(多部未華子)、美和子(西原亜希)、杏奈(加藤ローサ)の姿から、
始まっています。
原作を先に読んだ時、1番気になったのが、この杏奈の扱いです。
原作はほとんど現在の話だけですすむので、
杏奈本人は重要人物でありながらほとんど出番がありません。
途中の回想で出てくるかと思いきや、冒頭からとは思ってもみませんでした。

映画の宣伝コピーにもなっている
「みんな歩くただそれだけなのに、どうしてこんなに特別なんだろう」
というセリフはここで杏奈がしゃべっています。
良く出来ているなと感心したのが、
このあとカメラが少し高さのあるアングルに移動して、
休息中の生徒の行列を映すところ。
生徒達の姿はほとんどカメラは捕らえていなくて、
彼らの手にした懐中電灯の明かりだけが銀河の星のように帯を作っています。
原作を読んでいないことはそれが懐中電灯の光だとは、
気が付かないかもしれません。
後でこの場面はもう一度出て来て、それで一年前の「歩行祭」だと気がつかせる
仕組みです。
懐中電灯の光の帯が空の星の天の川に被さり、メインタイトル「夜のピクニック」。

そして当日の朝を迎えるのですが、
原作では西脇融(石田卓也)の方が先に登場するのですが、
映画では貴子の方が先です。
この作品は同じ学校の高校生達がぞろぞろ登場し、同じ白いジャージで同じコースを
ひたすら歩く群像劇ですので、
ともすれば誰が主人公か掴みにくくなります。
群像劇といっても、登場人物がみんな主人公というスタイルではなく、
あくまで主人公は貴子です。
都合の悪いことに。彼女は悩み事を抱えていて自ら積極的に振舞うことが出来ません。
ですから冒頭から彼女の視線を通じて舞台をみせることで誰が主人公か
観客に知らせるという方法がとられているのだろうと思います。
いま、視線を通じて、と書きましたが、
モノローグはほとんど使われていません。
モノローグは便利な映画手法ですが、このような作品の場合、
全編モノローグだらけになりかねないので、
それを避けて見せるほうがベターです。…

以下はネタバレになるので、この続きは
http://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/pro-yorupic.html
にて原作と映画比較レビューの頁をご覧下さい。


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製作裏話「あずみ」

2006年10月08日 | 映画原作 映画製作裏話 独身社会人
映画は「太陽を盗んだ男」の山本又一郎氏がプロデュースしてます。
もともと「あずみ」のアイディアは、
山本又一郎が漫画家小山ゆうに
「戦国時代を舞台に、信長を敵と狙う少年が、忍者となって闘う」という話を
持ち込んだところから原作が始まっています。
ふたりはさいとうたかおプロダクションにいた仲間です。
又一郎さんは、ゆうさんのデビュー作「俺は直角」にもアイディアを出してます。
以上は「あずみ」が小学館漫画賞と文化庁メディア芸術漫画優秀賞をとったときの
記念対談で読んだ記事です。
主人公が男から女に、忍者が剣士になって「あずみ」誕生。
たしかコミックのあずみは青い目のハーフだったですよね。
八百万部を売ってじゃんじゃん賞をとりまくつた原作です。
テレビ化、映画化の話は
降るほどあった。
巨匠監督や有名プロデューサー等が次々名乗りをあげましたが、
結局、企画原案の山本又一郎が
「あずみ製作委員会」を組織して資金を集め、製作開始。
具体的なプランとして、北村龍平を監督にして、上戸彩主演でゴーサインが出た。

北村龍平監督というひとは、日本映画にはついぞないタイプの演出家です。
ドラマの演出が下手なんですわ。
「あずみ」もセリフをしゃべるシーンがすごくだめだめで見てらんない。
ところがアクションシーンになると、途端にスクリーンが輝きだす。
とてつもなく演出のバランスが悪いです。
で、つまらないかと言うと確信犯的でおもろかったです。
ビデオなんかの世界にはこういう自分の映像美にしか興味の無いような演出家という
のは、
いるかもしれませんが。
北村龍平氏は国内では無名でしたが、
オーストラリアのスクール・オブ・ヴィジュア ルアーツ出身。
帰国後、仲間6人で製作したアクションホラー「ダウン・トゥ・ヘル」で第1回イン
ディーズムービーフェスティバル・グランプリを受賞。
長編第一作「VERSUS-ヴァーサス-」(01公開)が海外映画祭で評価を得て山本プロデ
ューサーの目にとまり、抜擢されました。
演出プランについて監督は
“「マッドマックス」のような奴らが、「ウォーターワールド」のような宿場町で、
「マカロニウェスタン」のように闘う“。とのたまわった。
この人ナニ言ってんだと、思っていたら、
まさしく映画「あずみ」は「マッドマツクス」で「ウォーターワールド」で
「マカロ ニウェスタン」でした。


5人の忍者が飛びあがってあずみに斬りかかり、
着地する前にあずみが全員切り倒すのをワンショットで見せていますが、
切る前、斬殺音、斬ったあと、でカメラスピードを変えています。
デジタル編集の力技ですが、飛び散る鮮血などCGで書き込みをしているのでは
ないでしょうか。
それでいて完全に上戸彩のアイドル映画になってます。
たまに静かなシーンがあるかと思えば、彩ちゃんのどアップで、カメラ目線でガン飛
ばしてる。とにかく上戸彩をかわいく撮る事にカメラはこだわってます。
オダギリジョーがキレてます。
美女丸という敵役ですが、純白の着物のおひきずりさ
んで、薔薇の花をくわえて(マジです。)、
「ひょひょひょひょっ」とか叫びながら人殺し
まくってます。敵も味方もありゃしない。興奮して手当たり次第です。
劇場公開時には劇場内でオダギリジョー・ファンらしい女の子達が爆笑してました。
あれは確かに笑える。
後半、猿飛(松本実)がらみのシーンで、…

以下はネタバレになるので、この続きは
http://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/Pic-azu.html
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原作と映画比較「レッド・ドラゴン」

2006年10月07日 | 映画原作 映画製作裏話 独身社会人
映画はコンサートホールでクラッシックに耳を傾けるレクター博士
(アンソニー・ホプキンス)の姿から始まっています。
1980年、「羊たちの沈黙」より前の時代、
まだ博士が精神科の医師として現役だった頃の話です。

フルート奏者の演奏ミスに顔をしかめる博士。
かわってレクター博士の住まいでの晩餐会の場面になります。
演奏関係者を含むクラッシック愛好者の集まりでの語らいです。
フルート奏者が行方不明になっていることと、
ディナーの肉の正体について「言えない」と
レクター博士がしれっとして言う場面出てきます。
会食が済んで客が帰った後、
ウイル・グレアム(エドワード・ノートン「スコア」)が一人訪ねて来ます。

当時、FBI捜査官だったグレアムは、
レクター博士より精神科医師の立場からの助言を貰って
幾つかの事件を解決しており、
ホームズとワトソンの関係であったことがふたりの会話から判ります。

 グレアムは、当時取組んでいた連続惨殺事件について、
容疑者の取り違えをしていたのではないかと指摘しに来ました。
「犯人を医学生か、医学大学の落第生と思っていたのは間違いだ。
犯人はさばいた遺体を保存などしておらず、食べたんだ」
レクター博士に背後から刃物で切りつけられてグレアムは倒れますが、
書斎にあった弓矢の束でレクター博士のわき腹を刺し、
さらに銃弾を浴びせて逮捕に導きます。

ここまでがアバンタイトルです。
「レッドドラゴン」とメインタイトル、
そしてスタッフ・キャストの字幕が続くのですが、
背後の画面には、レクター博士の逮捕からグレアムの引退、
裁判の経緯が出ているスクラップブックが登場します。

これは実はドラゴン自身がスクラップしたもので、
映画の後半に再登場します。
彼はレクター博士のファンなのです。

風光明媚な士地フロリダ州マラソンに自宅を構えるグレアムのもとに、
かつての上司ジャック・クロフォード(ハーヴェイ・カイテル)が訪れます。
映画のグレアムの現在の職業に付いては何も触れられていません。
原作では彼は造船所に工員として勤めていることになっています。
映画の方がずっと裕福に見えます。
原作はこの訪問の方から始まっており、
レクター博士の逮捕についてはもっと後ろの方で登場します。
ご存知の方も多いと思いますが、
原作ではレクター博士は脇役ですので登場場面は映画より少なくなっています。
プロファイルに優れ、
FBIのトップ捜査官だったグレアムに、
クロフオードは最近起きた連続殺人事件の協力を求めます。

何のつながりもないバーミングハムとアトランタの家族が
同じ残忍なやり口で全員殺害されました。
そこには常識を超えた犯人がいると踏んで、
彼の協力が不可欠だと力説します。

 グレアムはハンニバル・レクター博士を命懸けで逮捕したものの、
精魂尽き果ててFBIを辞めた過去がありました。
しかしクロフォードの懇願に負けて現場を再検証することを承諾した彼は、
妻のモリー(メアリー・ルイーズ・パーカー)と
息子ジョシュ(タイラー・パトリック・ジョーンズ「マイノリティ・リポート」)の
心配をよそに、凄惨な大量殺人事件の現場であるアトランタへ…

http://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/pro-ldor.html
にて原作映画比較レビューの頁をご覧下さい。

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