映画制作裏話ブログ

映画制作裏話をかき集め作品ごとに整理したブログです。mixi「独身社会人映画ファンコミニティ」のログ集!

原作と映画比較「ゲド戦記」

2014年01月17日 | 映画原作 映画製作裏話 独身社会人
物語の舞台は、多島海世界”アースシー“。
映画は荒れる海の中をローリングしてくる一隻の帆船の甲板上から始まります。
船長は
風の司に海を鎮めるよう命じるのですが、
司は、どうしても海と風の真の名を思い出すことができません。
そして、突如、暗雲の中から二匹の竜が現れます。
二匹は共食いをはじめます。
西の果てに棲む竜が、人間の世界である東海域に現れ、
さらに食い合うなどあってはならぬことでした。
世界の均衡が崩れつつあったのです。

多島海世界というのは、原作小説では“アーキペラゴ”というルビが振られていますね。
これまで映画化された大作ファンタジー小説は、
「指輪物語」「ナルニア国物語」にせよ、ひとつの大陸が唯一の舞台で、
主人公は徒歩で移動し、軍勢が動く時に騎馬が出てくるものでしたが、
この作品については島々が舞台で移動手段は船です。
魔法使い達が高い社会地位を持っているのは一緒ですが、
「ゲド戦記」にきわめて特徴的なのはこの魔法使いの魔法のありようです。

ゲドというのは、主人公の真実の名前です。
彼にはハイタカという呼び名があります。
ここでいう呼び名というのは、普段使われている名ですが、
あだ名やニックネームといった、軽い意味での通称ではなくて、
通常、本名として通用する名の事で、
ゲドという真実の名は、生涯においてそう幾たびも呼ばれる事の無い、
秘密の本名です。
ゲドは幼い頃、ダニーという幼名があり、
いずれ真実の名が名づけられる事となっており、
かれに大魔法使いの素質を見出した恩師オジオンより命名された名前です。
この小説世界では、
真実の名を知れば、その名を通じて相手を支配する事が出来ると設定されていて、
魔法使いとは、多くの真実の名を知る人、
魔術というのは真実の名で相手に語りかける事という風に定義付けられています。
ですから、映画の冒頭で風の司、と呼ばれる魔法使いが、
風の真実の名を忘れてしまったがために術を掛けられないという展開になっています。

「陰陽師」「帝都物語」等では同様の設定があり、
安部清明や怪人・加藤は己の真実の名を隠して、
如何にして相手の名を知るかで攻防戦を繰り広げています。
陰陽道の思想は東洋のものとばかり思っていたのですが、
それがアメリカ人作家の原作者によって長編小説の基本設定に採用されるとは
不思議です。

また竜の位置づけは重要ですね。
「指輪物語」「ナルニア国物語」に出てくる様々なモンスターたちとは、
決定的に違っています。
最初筆者はもっと大きな力とカリスマ性を持った
ナウシカのオームのごとき存在ではないかと考えたのですが、
映画のこのあと、竜同士の共食いが報告されたエンラッド国の王宮で、
国王(小林薫)が述べている通り、
かつて人と竜はひとつのものであり、
自由を求めた竜は、空と火を手にいれ、
所有を求めた人は海と大地を所有し、
それぞれの領域に立ち入らぬようになって行った、という伝承が信じられています。
竜は力と古代魔術の象徴として大いに人間に恐れられていますが、
もとは同一のものであり、古代の神聖語により人と対話が可能ということになっています。

国王と側近達は王宮で、世界の秩序に異変が生じつつあることを報告しあい、
国王は情報収集と原因究明を命じ、席を立ちます。
退席した女官達が国王を取り囲んで、
王子が、昨夜から姿が見えないと訴えます。
現れた王妃(夏川結衣)は、王を煩わせるのではない、と女官達を追い払ってしまいます。
王妃と女官達が去り、ひとりとなった国王は物陰に潜んでいた若者に短剣で刺されます。
その若者こそ、王子アレン(岡田准一)…

以下はネタバレになるので、この続きは
http://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/#k
にて原作映画比較レビューの頁をご覧下さい。

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メイキング『ゼロ・グラビティ』

2014年01月16日 | 映画原作 映画製作裏話 独身社会人
映画『ゼロ・グラビティ』予告5【HD】 2013年12月13日公開

サンドラ・ブロック、インタビュー

■長年の夢、キュアロン監督とのタッグが実現

Q:なぜこの映画に出演したいと思ったのですか?

アルフォンソ(・キュアロン)よ。
『天国の口、終りの楽園。』を観たとき、あまりに素晴らしくて驚いたの。
このフィルムメーカーは、一体どうやってこのストーリーを作ったのかしらと思ったわ。
それ以来、脚本をもらうたびに「アルフォンソ・キュアロンがこれをやると思う?」と言うのが、わたしのジョークだったの(笑)。
この作品の話が急に来たとき、わたしは子どもとの静かな生活を楽しんでいて、仕事をしたいと思っていなかった。
それに、彼はわたしが最も恐ろしいと思っていることをやってくれと言ったの。「飛ぶ」ということをね。
でも、これは一生に一度の機会だって思ったの。

Q:どのようにしてあのリアルな映像は作られたのですか?

特別なワイヤーシステムやキューブ(撮影中サンドラが入っていた約3メートル四方の箱)を使って撮影したわ。
シーンの順番をばらばらに撮影しているから、それらを後でつないでいったの。250人のコンピューターの天才職人たちが作業をしてくれたのよ。

Q:キューブに入っての撮影はいかがでしたか?

アルフォンソは暗闇の中の人形使いみたいだったわ。
彼の言葉をイヤホンを通して聞くんだけど、完全に真っ暗なのよ。
「サンドラ、アルフォンソだ。どうしてる?」「わたしは大丈夫」って感じでね。彼は神のようで、セラピストみたいで、先生でもあったわ。

以下はネタバレとなるので

http://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/#day

にて「ゼロ・グラビティ」の頁をご覧下さい。




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映画と原作比較「「清須会議」

2014年01月14日 | 映画原作 映画製作裏話 独身社会人
映画『清須会議』予告編

時は天正10年(1582年)6月2日早朝、織田信長(篠井英介)が
自分の家臣である明智光秀(浅野和之)のクーデターにより
京都・本能寺で討たれます。

原作は、各人物のモノローグが繋がる構成になっています。

映画でもこの方法は取り入れ可能だろうと考えられますが、
6月23日(もしくは“一日目”の前日である6月22日?)
織田家家臣、前田玄以(でんでん)が
会議の舞台となる大広間に巻物を小脇に抱えて入ってくるどういう
オリジナルエピソードから始まります。

玄以が巻物をばっと床に投げ広がると、
そこには本能寺の変から、山崎の戦いまでを記した絵巻物。
その絵が動き出して実写と入れ替わり、
信長1人のモノローグで語られるプロローグが映像化されています。

原作より嫡男、織田信忠(中村勘九郎)や
光秀のエピソードにボリュームが増やされているのが
特徴。

それぞれ演出上の理由があるのですが、
特に信忠の妻、松姫(剛力彩芽)のキャラクターが原作より大きく…、
というより役回りそのものが変更されているので、
その変貌の要因である信忠との別れをしっかり描きこんでおく必要があったためです。


原作の信長の最後は、


以下はネタバレとなるので
http://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/#k
にて「清須会議」の頁をご覧下さい。

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制作裏話『 エターナル・サンシャイン』

2014年01月02日 | 映画原作 映画製作裏話 独身社会人
『 エターナル・サンシャイン』の原題は
『ETERNAL SUNSHINE OF THE SPOTLESS MIND』で直訳すれば
「潔白な精神の永遠の日光」。
それを邦題では簡略に『エターナル・サンシャイン(永遠の日光) 』としています。

『エターナル・サンシャイン』は
「マルコヴィッチの穴」のチャーリー・カウフマン原案です。
ハリウッドの若手俳優には男女を問わず人気のある人のようですが、
彼のようなコンセプトで映画を斬る人が居ないからでしょう。
「マルコヴィッチの穴」を見たとき、「藤子不二雄みたいな話だな」と思いましたが、
『エターナル・サンシャイン』もやっぱり藤子不二雄みたいでした。

『エターナル・サンシャイン・オブ・ザ・スポットレス・マインド』
という洒落のめしたタイトルは
アレクサンダー・ポープの書簡体の文学作品
「エロイーザからアベラールへ」から引用されている語句なのだ、
という解説がどこかの映画掲示板にありました。

コミカルな演技とマシンガントークがウリのジム・キャリーが、
ここでは内向的で控えめな性格の男を演じています。
「マジェスティック」の真面目人間ぶりは、
一生懸命演技している、という感じがありましたが、
ここでは彼の素はきっとこんな感じ、と思わしめるほど上手いです。

ケイト・ウィンスレットは「ネバーランド」の未亡人役も上手かったですが、
このクレメンタインという女の子の役も見事です。
シナリオ上ではかなり短期で身勝手、移り気ですが、
それを魅力的な女の子に見せてしまうというのですからやるものです。

脚本の推敲に3年を掛けたそうです。
後半、かなりしつこくて、いったいこの話のオチはどうなってしまうのだろうと、
心配するほどでしたが、落ちるべきところに落ちています。
記憶の除去場面は、
デジタル合成の人間を消したり、ミニチュアの家を崩したり、
氷の上を人間を滑らせたりと、
特定の方法に拘らず、絵コンテを切って面白そうな手段が
なんでもありで楽しめます。

『エターナル・サンシャイン』のアイデアは、いまから5年ほど前、
レストランでの何気ない会話がきっかけとなって生まれました。
ミシェル・ゴンドリーは、友人で芸術家のピエール・ビスマスから
奇妙なクイズを出されます
「郵便受けのなかに『あなたのガールフレンドは、あなたとの記憶を消去しました。
今後、彼女には一切接触しないでください』という通達を見つけたとする。
君なら、どうするかい?」
会話を楽しむためのお題が、ゴンドリーのイマジネーションに火をつけました。
沸き上がるアイデアに頭が混乱したゴンドリーは、
友人の映像作家スパイク・ジョーンズを通じて知り合った
チャーリー・カウフマンに脚本執筆を依頼します。

カウフマンが『エターナル・サンシャイン』の執筆に3年もの月日を要したのは、
スケジュールの都合だけではありませんでした。
あらすじでは素晴らしいストーリーも、じっさいに脚本執筆に取りかかると、
記憶の喪失という難しいテーマだけに、
ありとあらゆるパラドックスが露呈したといいます
ストーリーの考案者でもあるゴンドリーは相談相手となった。
ちょうどゴンドリーが『ヒューマンネイチュア』を監督していたため、
二人は話し合いの時間をたっぷりと設けることができたのです。

映画製作の初期段階からニューヨーク市が主要舞台となることが決まっていました。
必ずしもニューヨーク市で撮影される必要のない場面もあるのですが、
街そのもののエネルギーと感性が撮影にとって貴重なものであるとスタッフは
認識していたといいます。
主なシーンはニューヨーク市マンハッタン島の南部東側の
グランド・ストリート(ラクーナ社のシーン)、
ヨンカーズ(ジョエルのアパートのシーン)、
ウィリアムズバーグ(クレメンタインのアパートのシーン)、
グランド・セントラル駅などで撮影されています。
キャストとクルーはまた、ビーチの撮影のために1週間を
ロング・アイランドのモントークでも過ごしたそうです。
撮影は2003年1月13日に始まり、4月3日に完了しました。
いったん撮影を始めると、ずっと雪が降り続くという幸運に恵まれ、
チャールズ川の場面では、ニューヨーク州の北側にある湖が本当に凍り、
そこで撮影できたそうです。

NY郊外に住む独身男性ジョエル・バリッシュ
(ジム・キャリー『ブルース・オールマイティ (2003)』等)
は、ある朝、通勤電車から飛び降りるとニューヨーク州ロングアイランド東端
モントーク行きの電車に乗り換える。
乗り換え線のホームにいた女性クレメンタイン
(ケイト・ウィンスレット『タイタニック (1997)』「ネバーランド(2004)」)は、
同じモントーク行きの電車に乗るとジョエルに親しげに話しかけてきた。
クレメンタインは…

以下はネタバレになるので、
この続きはhttp://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/#dvd
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