「恵理っちが好きなのって、もしかして前田!?」
「えー、違うよー。」
本当に幸せな時間、大切な人、かけがえのない空気。
でも、それはそのときは気づかない。
後になって分かるもの。
だからこそ、最高のたからもの。
夕空、海、雲、道路脇の何気ない景色。
思い入れが強すぎて、なかなか描く気になれません。
いくら描いても満足できないので。
私のやりかたとしては破格のレイヤー28枚と言う枚数がその . . . 本文を読む
「お姉さんは魔女なの?」
ひるむことも、畏れることもなく素直にその言葉を口にした少年に、女はひと呼吸置いてからこう答えた。
「そう呼ぶ人もいますね。」
普通なら眉をひそめるようなその答えにも、少年は「ふーん」と一言つぶやいただけで、とくに気にする様子も見せずに次の質問に移った。
「で、お姉さんはここで何をしているの?」
「人を待っているのです。」
「待ち合わせをしているの?」
「いいえ、約束など . . . 本文を読む