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GIMPでイラストを描いていくよ!

はじまりの樹

2006-01-03 | イラスト
「お姉さんは魔女なの?」
ひるむことも、畏れることもなく素直にその言葉を口にした少年に、女はひと呼吸置いてからこう答えた。
「そう呼ぶ人もいますね。」

普通なら眉をひそめるようなその答えにも、少年は「ふーん」と一言つぶやいただけで、とくに気にする様子も見せずに次の質問に移った。
「で、お姉さんはここで何をしているの?」
「人を待っているのです。」
「待ち合わせをしているの?」
「いいえ、約束などはしていません。」
「えー、なんで?」
口を尖らせた少年に、女は静かに笑ってみせた。

「分かっているからです。」
そして、静かに、しかし、よどむこと無く続けた。

「この世の全てのできごとは、例えばそこの大きな一本の木のひとつひとつの枝葉のようなものです。木がどこに向かって伸びているか、枝はどのように曲がっているかが分かれば、何がどこで起こるかはだいたい分かるのです。」

「そうなんだ。」
少年は何の疑問もないように返事をしてから一言付け足した。
「でも、いつか起こるかは分からないんだ。それも大変だね。」
「そうですね。でも、もう大変じゃありませんよ。待ち人には会えましたから。」
「へぇ、よかったね。」

「ええ、そうですね。私はいまとってもうれしいのですよ。ようやくあなたに会うことができたのですから。」


五十嵐大介さんの「魔女」という漫画や、漆原友紀さんの「蟲師」という漫画にはまっています。
五十嵐さんのスケールの大きなものを1つのコマで描き出す力にはとっても痺れます。
蟲師は不思議な世界の有り様を日常のように描かれているのが素晴らしいです。蟲師は現在アニメ化されていますが、原作のよさがそのまま引き出されていてとても素晴らしいです。

お二人の作品を見ていると、絵が人を引きつけるかどうかは「何を描きたいか」がどれだけ頭にしっかりとあるか、ということと、描きたい内容が他の人を引きつけるようなものになっているか、ということが重要なんだなと実感します。

ここ最近、自分の絵を振り返ってみると、そんな絵が思い描けていなかったなと反省してしまいます。見たら思わずストーリーが思い浮かぶような絵を描きたい。ひさしぶりにそんな思いで描いた絵です。

絵の登場人物がどこかで見たことがあるような気がしないでもないですが。


一目瞭然ですが、木にいちばん時間がかかっています。いつもながらレタッチの効果にはお世話になりっぱなしです。
作成日2006/01/02
下書き/着色/背景Gimp 2.2/Linux + タブレット(ArtPad II)

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1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (駄菓子)
2006-01-04 18:18:50
蟲師は知ってますが、魔女という漫画は知らなかったです。今度探してみます。



大木っていいですよね。どっしりとした存在感が。神格化したくなる気持ちが分からないでもないです。
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