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マイクロ波による生体の加温 2


マイクロ波による生体の加温 2


生体物理刺激と生体反応

大森 豊明 OHT技術士事務所 所長
(株)フジ・テクノシステム

URL : http://yaplog.jp/sibahara/archive/380


第3編 応用

第10章 マイクロ波の医療への応用

 P 516 ~ 517 より


  第1節 マイクロ波による生体の加温

  3.生体モデルにおける加温


  生体の深部方向の加温を評価するのに、図4に示すような、皮膚と脂肪、筋肉の3層からなるモデルが用いられる4)。各組織の電気的特性は一様(均質な媒体)で、無限の広さであると仮定する。


図4 生体モデル(H. P. .Schwan , 1956 4) )



















  これに平面波を垂直に照射すると、一部は皮膚表面で反射し、残りは生体に吸収される。図5は、図4のモデルにおける電磁波の吸収の様子を示す4)。


図5 脂肪層の厚さと電力吸収率(H. P. .Schwan , 1956 4) )






















電磁波の周波数は3000MHzで、皮膚の厚さKを0, 0.2, 0.4 [cm]とした場合の、脂肪層の厚さ(横軸)と電力吸収量(縦軸)との関係を示す。

  このようにマイクロ波は体表面で反射が多いため、治療の効率が悪くなり、安定した治療が行えないという問題がある。これを避けるためには装置と生体とのインピーダンスを整合させることが重要である。

  生体に透過したマイクロ波は皮膚層を減衰しながら透過し、脂肪層との境界で一部は反射し、残りは脂肪層を減衰しながら透過し、筋肉との境界で一部は反射し、残りは筋肉層を減衰しながら透過する。このときの各組織における電力吸収の様子を図6に示す5)。ただし、この図は皮膚の厚さが0, 脂肪層の厚さが3cmのモデルにおけるものであり、脂肪層に接する筋肉層表面の電力吸収量を1として正規化している。なお、2450MHzの電力吸収量は脂肪層でピークが生じているが、これは脂肪層と筋肉層の境界で一部が反射し、入射波が重畳するためである。


図6 脂肪-筋肉2層モデルにおける電力吸収パターン
  (C. Curtis , et al. , 1972 5)を一部改変 )



























  電力吸収の分布は以上に述べたとおりであるが、これによる加温についてSterzerらはシミュレーションを行い、図7に示すような結果を得ている6)。加温領域は図6に示す吸収電力の分布よりも深部に達している。


図7 脂肪-筋肉2層モデルにおける加温パターン
  (F. Sterzer, et al. , 1980 6)を一部改変 )





















  ここでは無限に広い一様な媒質に垂直に平面波を照射した場合のシミュレーション結果を示したが、実際には生体のサイズは有限で、組織は不均一で、照射される電磁波は平面波でないこともあるので、複雑な分布になる。



※ 4) 5) 6) は参考文献です。




memo :

上記の 『 平面波を垂直に照射すると、一部は皮膚表面で反射し、残りは生体に吸収される。 』 という部分から、マイクロ波を照射すると電磁波による人体への反射波を利用した思考盗聴が行われ、同時生体への吸収を利用した音声送信も行われるという予想が出来る。

私的予想

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