24年間日本語を教えたモントリオール大学を2012年6月に退官した際、ちょうどいい潮時かと思って「日本語ものがたり」を連載77回目で終わらせて頂きました。ところが先月故小畑精和明治大学教授のお悔やみ記事を書きましたら、「日本語ものがたり」の再開を友人数人から強く勧められてしまいました。退職以来、以前より時間の余裕が出来ましたので、「それでは忘れた頃に時々…ということで」、という条件でお引き受け . . . 本文を読む
昨年11月23日のことです。「悲しいお知らせです」という表題のメールが突然舞い込みました。
差出人は飯笹佐代子先生(東北文化学園大学准教授)。飯笹先生とは、その2ヶ月前に、モントリオール、オタワ、
さらにケベック市と三都市八日間に及ぶ研究旅行に(私は通訳として)ご一緒したばかりです。そして
その「悲しいお知らせ」とは小畑精和先生(明治大学政治経済学部教授)の訃報だったのです。死因は下咽頭癌。享年6 . . . 本文を読む
皆様、ご無沙汰しております。管理人チエ蔵です。
早いもので、たきさんの6冊目の著作「日本語は亡びない」筑摩書房 (2010年3月) が出版されてから、もうすぐ3年になります。只今、たきさんは7冊目を執筆中です。お楽しみに!
さて、今日は、嬉しいお知らせ・・・と、いうより、たきさんブログの管理人として、感謝の気持ちを込めつつ、小飼 弾さんのブログ:404 Blog Not Foundをご紹 . . . 本文を読む
今回の話題は「和子・和夫(和男)」という名前についてです。あるとき「和子・和夫(和男)という名前の人はみんな長女・長男だよ」と主張する人がいて、それが全く初耳だった私はとても驚きました。ましてや、その直後にバンクーバーで会社を経営されている上田(こうだ)和男さんとお会いする機会があり、そのことをお話したら「確かに、私は長男です。それに妻の名前は和子で、やはり長女です」とおっしゃるのではありませんか . . . 本文を読む
前回、モントリオール大学の日本語3年生と日本人が対戦した弥生歌留多大会の様子を書きました。すると「北海道の木の板の取り札が懐かしい」とか、「作戦があったにしても日本人が負けたなんて信じられない」などの声が聞こえてきました。読者の皆さんのコメント、ありがとうございます。こうした反応に気を良くして、今回もさらに百人一首にまつわる話を続けたいと思います。実は、学生が「百人一首」に大いに関心を示したのは . . . 本文を読む
今学期は久しぶりに日本語の最上級である三年生を担当したのですが、思い立ってクラスの学生七名に百人一首の短歌を教えてみたら驚くほど喜ばれました。その反応に気をよくしてさらに万葉集、いろは歌へと古語の森をさらに逍遥し、学期末まで大いに盛り上がりましたが、私自身、大昔に故郷の北海道北見市で百人一首を家族や友達と楽しんだ遠い記憶が蘇ってきて楽しめました。上級クラスですから、難解かつ長文のテキスト分析も勿 . . . 本文を読む
またまた嬉しいお知らせです。管理人チエ蔵です。
3月10日に販売された日経ビジネスアソシエ4月号「英語脳の作り方」特集号で、たきさんへのインタビュー記事が紹介されました。
日経ビジネスアソシエ4月号の表紙はこちら。
気になるインタビュー記事はこちらです。
. . . 本文を読む
皆様、大変ご無沙汰しております。管理人チエ蔵です。
今日は嬉しいお知らせがあります。
「いいちこ」という焼酎をご存知ですか? 管理人は下戸なので、アルコールを含むものは滅多に口にしないのですが、焼酎なら「いいちこ」のオン・ザ・ロックと決めています。口に含むと華やかな香りが広がり、口当たりが軽くて幾らでも飲めそうで、下戸の私には危険な飲み物なのが残念。
その「いいちこ」で有名な大分県の . . . 本文を読む
ご周知の通り、現代日本語の母音は『あ・い・う・え・お』の5つです。とは言っても、その使われ方は一様ではなく、「え」は他の4つと比べて使われる頻度がかなり少ないのです。先ず、国語学者大野晋の「日本語の文法を考える」(岩波新書:1978)に挙げられているデータをご紹介しましょう。それは、万葉集の5,14,15,17,18,19,20合計7巻に使用された万葉仮名の総数を音節ごとに集計したもので、音節の . . . 本文を読む
このブログを読んでくださっている方からのアドバイスで、今回から「です・ます」調で書くことにしました。これまでの記事を書き換えることはしませんが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
日本語を教えるという仕事していると、「あれ、どうして?」と思うことがしばしばですが、今回の表題、「嫌いな食べ物」もそんな一例です。この日本語のどこが「あれ?」なのでしょう。ありふれた日本語だと、どなたも思われ . . . 本文を読む
前回、話題となった古川柳「左見右見して鰻屋へ山の芋」に追加したいのは「山芋が鰻になる」という表現があるということである。意味は「物事が急に意外なものに変わること。また、身分の低い者が急に成り上がること」(「広辞苑」)
隠語の「山の芋=僧」という意味を知らないと笑うことが出来ない川柳と比べて「山芋が鰻になる」の方はいかにも文字通りで、頭を傾げる必要はなさそうだ。この表現と川柳がどういう関係なの . . . 本文を読む
「左見右見して鰻屋へ山の芋」は、江戸時代の古川柳の一つである。優れた古川柳を集めた「俳風柳多留」には、当時の庶民のユーモアと感性の豊かさが横溢しており、江戸風俗の資料としても大変貴重なものである。
柄井川柳(1718-90)は浅草新堀端に居を構え、竜宝寺門前町の名主でもあった。柄井が確立した古典的な川柳が古川柳と呼ばれ、明治以後復興されたものとは区別されている。下に挙げるものなどは、どれも代 . . . 本文を読む
変化しつつある日本語を数回にわたって取り上げているが、今回の話題は「数量を表す副詞の名詞化」である。
日本語は、よく知られているように、数量の表現が英仏語などとかなり違っている。例をあげると、「He bought five tickets/Il acheta cinq billets」において、数量である「five/cinq」は形容詞的に名詞を修飾している。これに対して、日本語の数量は、動詞 . . . 本文を読む
前回から、変化しつつある日本語の新しい状況をいくつか取り上げている。第二回目は、「動詞文が名詞文に化ける」傾向だ。分かりやすく言いかえれば「~ます」とその様々な変化形で終わっていた動詞文が、たった一つの「名詞+です」に全て収斂してしまうことだ。聞いていて「あれ?」と思わされるこうした「疑似名詞文」が、特にニュースで多用されていることに気づいたのは最近のことである。先ずは実例をご覧いただこう。
. . . 本文を読む
日本へ帰るたびに同胞の、それも若者の日本語に耳を傾けるが、さすがは母語でほぼ完全に理解出来るのは嬉しい限りだ。最近の日本語は変わりつつあると言う人が多いが、せいぜい外来語、あるいは日本語らしく味付けした和製英語が増えたぐらいではなかろうか。今日の日本語も、基本的には、30年以上前に私が日本で話していた言葉そのまま、という印象を受けている。
とは言え、やはり言葉は生き物である。さらに目を凝らし . . . 本文を読む