Shpfiveのgooブログ

主にネットでの過去投稿をまとめたものです

Yahoo!知恵袋で見かけたトンデモ議論(16) 三橋貴明氏に限りませんが、批判するなら相手の主張をキチンと理解してからじゃないんですか?

2018-09-21 21:20:46 | 政治・社会問題
最初にお断りしておきますが、私自身はネットで一定の人気のある三橋貴明氏の「経済理論」について、これを支持するものではありません。

が、悪質投稿者が性懲りもなくこんな質問をたてたので
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10196445345


三橋貴明氏の見解について、

最近ブログで、以下のようなやり取りを目にしました。
(主張1)
日本政府は通貨発行権があるのだから、打ち出の小槌のように無尽蔵に紙幣を生み出せる、つまり借金は返さなくてもいいといっているのですから、こんなけっこうなことはありません。

(主張2)
→私自身は三橋氏の見解を支持するものではありませんけど、氏はそんな主張はしていませんよ。
少なくとも氏は「バランスシート」の範囲を超えてまで、そんなことができるとは言っていないはずです。

私個人は主張1を支持している人間ですが、三橋貴明の説をよく知っている人に質問します。三橋の主張は1と2、どちらなのでしょうか?


アホらしいとも思いましたけど

この件に付いて
先生の主張は三橋氏の主張と同じですよ。


などというをついている回答者もいますし
(私は三橋氏のいうバランスシート論など主張したことは過去一度もない、あるというならソースを明示せよ!)

いずれにしろ、悪意によるデマを放置するわけにもいきませんので、一応コメントくらいはしておこうと思います。

まず三橋氏の主張の少なくとも核心部分は

(主張1)
日本政府は通貨発行権があるのだから、打ち出の小槌のように無尽蔵に紙幣を生み出せる、つまり借金は返さなくてもいいといっているのですから、こんなけっこうなことはありません。


ではあり得ません。

まあ、私としても三橋氏の膨大な著書群をくまなく目を通したわけでもないのですけど、それでも氏の主張の核心部分は氏が言うところの「バランスシート」にあることくらいはわかります。

仮にどこかで通貨の発行権に言及したとしても、それは何かのついでのようなものでしょう。

論より証拠、当の三橋氏のブログから引用してみましょう。
https://38news.jp/economy/07328


 いわゆる国の借金というプロパガンダ用語ではなく、「政府の負債」として認識することは、極めて重要です。何しろ、「政府」の負債であるため、借りているのは「政府」であることが誰にでも分かります。

 ところが「国の借金」と呼ばれてしまうと、我々国民はあたかも「債務者」が自分達であるかのごとく誤解してしまいます。しかも、「政府の負債」を人口で割り、「国民一人当たり826万円の借金」などと報じらるわけですから、猶更です。

 実際におカネを借りているのは、政府であり、国民ではありません。国民はむしろ、おカネの貸し手、つまりは債権者なのです。

(中略)

 図の通り、日本国債の主な所有者は国内の金融機関です。とはいえ、例えば預金取扱機関(銀行など)は、別に自前のおカネを政府に貸しているわけではありません。

 銀行は、我々の「債権」である銀行預金を、政府にまた貸ししているわけです。すなわち、政府の負債の「債権者」が日本国民になります。

 しかも、政府の子会社である日本銀行が量的緩和政策で国債を大量に買い取っているため、政府の実質的な負債が現在、猛烈な勢いで減っていっています。


念のため、こちらも見てみましょう。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12150894147?__ysp=55%2Bl5oG16KKLIOS4ieapi%2BiytOaYjiDjg5Djg6njg7Pjgrnjgrfjg7zjg4g%3D


以下は三橋貴明さんの著書「何があっても日本経済は破綻しない!」の記述になります。

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よくある財政破綻論を論破しておこう。
現在1000兆円の借金がある日本政府が、あと100兆円増やしたら、国債を引き受けている家計の金融資産とのバランスを失し、国内で国債を調達できなくなる、金利も上昇する、というロジックだ。

それに対する答えは2つある。
まず、政府が100兆円の国債で調達し、財政支出したとしよう。
その大半は国内の企業に支払われる。
そしてさらにその発注先に支払われていき、やがて誰かの給料になっていくわけだ。
つまり、「国が100兆円借りて使えば、最終的には家計の資産は同じだけ増えてしまう」のである。

そして、家計は失業や給料減少の恐怖から、ほとんど消費せずに、せっせと預貯金に回す。
銀行は民間の資金需要がないため、仕方なく国債を購入する。
デフレ下の日本では、この動きが延々繰り返されてきただけなのだ。
いつの日か、家計の金融資産残高を国の借金が超えるなどということは起こりえない。p97
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要約すると、

①「政府が国債で調達した資金は、そのまま国民の資産になる」
②「国民の資産は、貯蓄に回され、貯蓄は銀行に貯まる」
③「銀行は国債を購入する、このサイクルが繰り返されているだけで、財政破綻は起こりえない」

こちらの質問者の方による要約(太字にしました)は的を射ていると思いますけど、要するに三橋貴明氏の主張の核心部分というのは「政府の借金が増えても、金融機関を通じて、そのお金を貸しているのは日本国民である」というところにあります。

で、三橋氏言うところの「バランスシート」というのは、要するに日本国家としての「貸借対照表」ということになり、この貸借のバランスが崩れない限りは、日本国の破綻はないというものです。

つまり、三橋氏が日本国はギリシャなどと違って「円建て」だから破綻しないというのは大雑把にいうと「日本国は外国からの借金が原則としてなく、日本国政府にお金を貸しているのは、ほぼ日本国民であり、その貸借のバランスがとれているから破綻はしない」という意味になるわけです。

言い替えると、例えば国債の総額が日本国家のバランスシート上の資産を超えた場合には、三橋氏の理論は成り立たなくなります。

もっとも理屈の上では、日本国が経常収支黒字国(貯蓄過剰国)である限り、国内に資金が滞留するので、例え日本国政府の借金が9000兆円くらいに膨れ上がっても現在のような世界最大の対外純資産がある限り、資産側にまた9000兆円以上の資産があるということにはなります。
(私自身がそう思っているわけではないので、念のため)

要はバランスシート上の貸借の左右は同じになるはずということです。

実際はもう少し複雑なようですけど、三橋理論を分かりやすくいうとそういうことなんでしょう。

で、これは実は大きな論理の穴があります。

まあ、引用した知恵袋の過去質問におけるベストアンサー

国全体をバランスシートで見るやり方で、国が借金すれば、その貸主の国民側の資産が増える、だから心配いらないというもの。これは全く間違ってて、貸し手側の資産は「現預金」から「貸付金あるいは投資有価証券」と言う科目に替わるだけで総額は増えません。国の借金分だけ全体的にはマイナスになります。国の借金分が巡り巡って家計に戻ったとしても、タイムラグはバカにできません。1年程度の短期で家計に戻ったとしても、常に40-50兆円ものマイナスが国全体で発生してしまいます。三橋理論は「国の中での貸し借りはいくらしても構わない」という極論ですが、であれば消費金融や住宅ローンの悲劇など発生しないはずだし、あっても無視できることになります。
家計側でも資産を現預金で持つか貸付や国債で持つかは消費行動に大きく影響します。少なくともおカネが返ってくるまでは家を買ったり車を買ったりはできないでしょう。日本の内需の低迷は家計が理論的には膨大な資産を持っているように見えて、実は自由になるカネが余りないからです。三橋の言っていることは経理屋さんの小賢しい屁理屈です。とても国政レベルの経済理論ではない。
日本は、国民の高い貯蓄性と国に対する経済的信認が高いことで、政府があれだけの巨額の借金を抱えながらこれまでは偶々うまくいってきたにすぎないと思います。個人主義丸出しのアルゼンチンやイタリアのような国民性だったらとっくに破たんしていたでしょう。
逆に言えば、日本は国民の貯蓄と国債残高の差が余りない国の筆頭になっています。一方で国民の税善負担率も先進国ではアメリカに次いで低い国です。つまり今後の財政問題は国債の発行に拠ることではなく、税負担と言う形で国民に降りかかってくるはずです。


も、それなりに参考にはなりますけど

実は、三橋氏が「日本国家のバランスシート」として挙げているものには、何を隠そう「損益計算書」に当たるものがありません。

もし、この三橋氏による「バランスシート」なるものが貸借対照表に当たるものだとするなら、一般的には企業会計原則・一般原則に従って作成される財務諸表と同様のものでなければいけないはずなのですが、どうも、そうした原則には基づかない、ただの「財産目録」に過ぎないように思われます。

少なくともバランスシートを名乗るなら、バランスシート(貸借対照表)と一体の関係にある損益計算書に当たるものがないのは致命的です。

そして、三橋氏のいう「バランスシート」なるものが、実際は「財産目録」でしかないなら「時価評価額」と、それを行うための前提条件が必要になります。

まあ、もっと致命的なことをいうと、国民の私有財産を「日本国家の財産目録」に入れている時点で、もうアウトだと思いますけど。

結論としていうなら三橋貴明氏の「バランスシート論」は、少なくとも私にとっては到底支持できるものではありませんが

(主張1)
日本政府は通貨発行権があるのだから、打ち出の小槌のように無尽蔵に紙幣を生み出せる、つまり借金は返さなくてもいいといっているのですから、こんなけっこうなことはありません。


もし三橋氏が本当にそのような主張をしてるのだとしたら、氏の説の根幹を自ら否定することになるのも間違いありません。

三橋氏の論からいけば、少なくとも日本国政府は、日本国民に対して「借金を返済し続けなければいけない」はずですから。

でないと

氏いうところの「バランスシート」そのものが成り立たなくなります。

追記

相変わらずデマや誹謗中傷を楽しむ悪質投稿者たちがつまらない揚げ足とりをしています。

そのやり取りを見ているだけでも、この人たちの人間性の下劣さが非常によく伝わってきますが(笑)

こんなことを言っています。

先生は『三橋氏は少なくとも氏は「バランスシート」の範囲を超えてまで、そんなことができるとは言っていないはずです。』とご自身の見解を記述しています。

私は「バランスシートの範囲」ってなんじゃ?と思った訳でして
BSて対照表ですから範囲は無いですよね?
借入が増えると現預金が増えて貸借が合います。
それだけのこと


ええと、これは私が

三橋貴明氏いうところの「バランスシート論」の範囲を超えてまで

と言わなければいけなかったということなのでしょうか(笑)?

どうやら、この人たちの脳内では、私はバランスシートそのものに範囲があると主張していることにされてしまったようです。

しかも私は、三橋氏のいう日本国のバランスシートなるものが、その実「財産目録」に過ぎないと言っているんですけどね。

こういうのを揚げ足とりというのだと思いますけど、まあ、いいでしょう。

いずれにしろ、三橋氏の主張が

(主張1)
日本政府は通貨発行権があるのだから、打ち出の小槌のように無尽蔵に紙幣を生み出せる、つまり借金は返さなくてもいいといっているのですから、こんなけっこうなことはありません。


ではないのは間違いないところでしょう。

それは三橋氏のいう「バランスシート論」と矛盾します。

そもそも私はこの話は経済学者(と呼ばれる)丹羽春喜氏あたりの主張と混同しているんじゃないかと思っているんですけどね。
http://keizaikakumei.hatenablog.com/entry/2017/11/04/163139


どちらかというと、この人の方が

(主張1)
日本政府は通貨発行権があるのだから、打ち出の小槌のように無尽蔵に紙幣を生み出せる、つまり借金は返さなくてもいいといっているのですから、こんなけっこうなことはありません。


という話にはピッタリだと思うんですけどね。

それより、この人たちは「何のために消費税の増税」が必要だと思っているんでしょうか?

ネットで特定投稿者に対するデマや誹謗中傷を楽しむために「消費税の増税」の必要性を唱えているのでしょうか(笑)?

私にはそう見えますけどね。

どのみち、今のまま消費税の増税を繰り返しても、今まで通り日本国は新興衰退国への道をばく進するだけですよ。

その未来は、おそらく惨めな後進国と化したアジアの病人。

それは過去の実績により、もう答えが出ている話です。

この人たちはそうなってほしいんでしょうか?

まあ、ネットでデマや誹謗中傷を楽しむのが目的の人たちには言っても無駄だと思いますので(笑)

私は心ある閲覧者の皆様にご判断いただくだけです。


追記2

他の方による記事ですけど、ある意味、三橋貴明氏の本音がよくわかると思いますので、小黒一正氏らとの対談を紹介させていただきます。
(都合により文字色は変更してあります)

http://megu777.blogspot.com/2011/11/blog-post.html?m=1

(開始16分)三橋貴明

「日本は経常収支黒字国、対外純資産国」
「日本国家のB/Sの負債が増えても、その分、民間の金融資産が増える」
「過剰貯蓄で、銀行は国債で運用するしかない」
「いい加減、数字ベースで話をすべき」
(注)・・・笑
「どうやって財政破綻するんだ!」
(注)・・・笑

(注)あまりにも滑稽なので、思わず笑ってしまいました(笑)



(開始19分)小黒一正

「三橋さん、さっきの国の金融資産のグラフ、わざと出されていると思うんですけど、個人の金融資産の金額は90年代後半から殆ど変わっていません」
「さっき、三橋さんは数字を見てくれといいましたが、政府の債務は急速に膨張していて、一方で家計の金融資産は、ほとんど変動していない。それが本当の数字です」
「政府と企業の違いは課税権の有無。しかし、政府といえども民間部門への課税には限界がある(経常黒字の全てに政府は課税できない)」

(注)あまりにも滑稽なので、ここでも思わず笑ってしまいました(笑)
時価評価を度外視したB/Sを持ち出しているのなら、粉飾決算ですねw
この経営コンサルタント(笑)は、粉飾された財務諸表を片手にコンサルティングを行うことに抵抗がないのかな???
それから、通常、企業の経営状態を見るなら、B/S(貸借対照表)と共にP/L(損益計算書)や資金繰表等を見るべきですが、そういう発想もなさそうです。
顧問先の会社、大丈夫かなぁ???




(開始20分)三橋貴明

「通貨発行権はどうなんですか?インフレ税なので、日銀が買い取ればいい」

(注)本音は、要するにインフレ税だろうが、所得税だろうが、資産税だろうが、とにかく国民の個人資産を政府はパクればいいそうです。

(引用ここまで)

ただ、ここで注目したいこと

三橋氏は打出の小槌のように無尽蔵に紙幣が生み出せるなどとは言っていません。

むしろ

「日本の海洋資源等を担保にしつつ、貨幣を発行するとよい」


など、貨幣発行には担保が必要であることを認識していることを裏付けるような発言さえしています。

まあ、インフレにより国民の財産が目減りしてもかまわないとなら言っていますけど。