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Yahoo!知恵袋で見かけたトンデモ議論(14) その2 軽減税率の導入とインボイス導入はイコールではない その2 税調の2003年報告書を持ち出しても意味はありません

2018-09-12 05:59:36 | 政治・社会問題
こちらの続きですが、念のためもう一度、前の記事を批判するために知恵袋で投稿された「質問」と称するものを引用しておくことにします。


先生相変わらず軽減税率導入されると
合わせてインボイス方式採用が議論される事が理解できないようです。


これは阿Q自身の主張の担保にひっぱり出して来た
石弘光氏が委員を務める税制調査会の
2004年報告書を先生独自の解釈を駆使してコネクリ回した挙句
そのように結論付けていますが
残念な事に前年2003年の報告書を読むと
「将来複数税率が採用されるとインボイス方式を採用する必要がある」とキッパリ書いています。
また「請求書等保存方式は、単一税率の下では適切な仕入税額控除に特段の支障がない」と
単一税率ではインボイスは不要と書いています。





===税制調査会 少子・高齢社会における税制のあり方 2003年6月==


P8より抜粋請求書等保存方式は、単一税率の下では適切な仕入税額控除に特段の支障がない

② 仕入税額控除
現行消費税制度において仕入税額控除を行うためには、課税仕入れ等の事実を納税者自身が記載した帳簿の保存に加え、取引の相手方が発行した請求書等の取引の事実を証する書類の保存が必要とされている(「請求書等保存方式」)。このような請求書等保存方式は、単一税率の下では適切な仕入税額控除に特段の支障がないが、将来、複数税率が採用される場合には、
適正かつ円滑な施行に資する観点から、免税事業者からの仕入税額控除を排除し、税額を明記した請求書等の保存を求める「インボイス方式」を採用する必要がある。

===抜粋終わり=

上を要約すると
単一税率では現行の帳簿方式で問題無いが
複数税率になるとインボイスが必要と書いてますね。


インボイスじゃ無くても現行方式でも仕入税額控除に特段支障が無いのであれば
なんの為 インボイスは必要と税調は考えているのか?と疑問が湧くのは当然で
軽減税率を餌にインボイスを導入を折り込んだと
私は穿った目で以前から見ているのですが・・・



ここで質問です。



=質問 ① =
我らが阿Q先生は財政学の第一人者 石弘光氏の権威にスガリ
ひっぱりだすのは良いですが
氏が委員を務める税制調査会の議論をしっかり把握していないのは
何故でしょうか?

① 基本的に頭が悪く物事を組み立てて考える事が苦手

② 単純にググるの間違えた 引用ミス

③ その他

市井で暮らす庶民が税調の議論なんて
そんな事知る必要も無いのですが
複数税率導入ならインボイスが必要の議論が発生する事くらい
常識的な社会人ならピンと来る話だと想像しますよね。
頭悪いのかな・・・


=質問 ② =

現行の帳簿方式でも複数税率に対応できるし
また 軽減税率を導入しなくても所得に対する逆進緩和の為
給付金制度の導入でも凌ぐ事も出来ると思います。

インボイス方式の真の導入理由は何か?

① 零細業者を締めあげて徴税が目的

② 軽減税率などの制度により政官の業界団体へ対する影響力の増大を狙った

③ その他


→なかなか笑わせてもらいましたけど(笑)

一番笑ったのは


=質問 ② =

現行の帳簿方式でも複数税率に対応できるし


→これについてはまったく同意しませんけど
(正確には対応自体は出来ますが、やるべきではないと考えています)

また 軽減税率を導入しなくても所得に対する逆進緩和の為
給付金制度の導入でも凌ぐ事も出来ると思います。

インボイス方式の真の導入理由は何か?

① 零細業者を締めあげて徴税が目的

② 軽減税率などの制度により政官の業界団体へ対する影響力の増大を狙った

③ その他


皮肉なことに、この部分についてなら、ある程度認識は同じだということです。

また、この人が私の言っていることを何も理解しておらず、反論のための反論に終始しているということも、あらためて浮き彫りになりました。

この人がいうように「現行の帳簿方式でも複数税率に対応」できるというなら、その時点で私が前回の記事につけたタイトル通り

軽減税率の導入とインボイス導入はイコールではない

ことになります。

そのくらいのこともわからないのでしょうか?

徴税する側にとってインボイス導入それ自体に「メリット」があるから導入するのに決まっているではありませんか(笑)。

軽減税率はどちらかというと口実であり、本音はこれを機会に消費税制度にインボイスを導入したい

これ、以前にも私が指摘したことです。

付加価値税におけるインボイスというのは使い方によっては有用なものであり、我が国で政治的妥協によって採用された帳簿方式など、効率も悪く、弊害の多いものでしかありませんけど

制度というのは、所詮採用する側の考え方によって、メリットも、デメリットも変わってきます。

だから私は「今の方向性の消費税増税には反対ですし、それくらいなら他の方向性を模索した方がいいと」思っています。

そのくらいのこともわからないで、この人は人の主張にくだらない言いがかりをつけていたのでしょうか?

なお、付加価値税を先行して導入した欧州諸国の中でも、例えばデンマークは「インボイス方式は採用していますが、軽減税率は採用していません」。


このことはインボイス導入それ自体に価値があるということを示唆しています。

なお、我が国で採用されている帳簿方式などは、現実に他国は相手にしていません。

さて、私に対する言いがかりのうち

阿Q自身の主張の担保にひっぱり出して来た
石弘光氏が委員を務める税制調査会の
2004年報告書を先生独自の解釈を駆使してコネクリ回した挙句
そのように結論付けていますが
残念な事に前年2003年の報告書を読むと
「将来複数税率が採用されるとインボイス方式を採用する必要がある」とキッパリ書いています。


この反論の頭の悪さには、ある種の感動すら覚えました(笑)。

私自身の見解はともかく、普通に考えて「前年2003年の報告書」で何を言っていようが、その時点で最新のものは「2004年の報告書に示された見解」です。

どうせなら「2004年の報告書に書かれた記述」を引用しなさいな(笑)。

では、その「2004年の報告書」は、どのような経緯で発表されたものなのでしょうか?

こちらでもふれましたが

「将来、消費税率の水準が欧州諸国並みである二桁税率になった場合には、食料品等に対する軽減税率の採用の是非が検討課題となる。しかしながら、消費税の税率構造のあり方については、制度の簡素化、経済活動に対する中立性の確保、事業者の事務負担、税執行コストといった観点からは極力単一税率が望ましい。……また、将来、仕入税額控除の際に税額を明記した請求書の保存を求める『インボイス方式』の採用が検討課題となる。これらについては、今後の消費税率の水準に関する議論も踏まえ、高い税率水準の下で複数税率を採用している欧州諸国の例も参考にしつつ、引き続き検討を深めていくべきである」(政府税調[二〇〇四年])


これは石弘光氏の著書である『消費税の政治経済学』P264からの引用です。

が、この文章には、その前があります。

軽減税率を採用している北欧の国々を調査した筆者の経験からいうと、そこでの税務担当者は異口同音に、税務行政が煩雑になり課税の公平・中立・簡素と抵触するから極力導入しない方がいいと忠告してくれた。このような調査結果を踏まえ、政府税調は「平成一六年度の税制改正に関する答申」で、次のように述べている。


つまり、遅くとも2004年報告書が発表される前の石氏ら税調による調査結果により、軽減税率については「税務行政が煩雑になり課税の公平・中立・簡素と抵触するから極力導入しない方がいい」という結論が出ていたことになります。

にも関わらず、同じ報告書で

また、将来、仕入税額控除の際に税額を明記した請求書の保存を求める『インボイス方式』の採用が検討課題となる


とされたわけです。

だから私はそれに沿って前回の記事を書いたまで。

おそらく、こうした言いがかりをつけるような人は「ネットで簡単に拾えるような情報」(そのうち、さらに自分にとって都合のいい部分だけ)を見ることはあっても、相手が提示している原典を自分の目でも確認しようという姿勢が根本から欠如しているんでしょうね。

なお、個人的にはもっと前から、例えば政府税調などは、いわゆる「帳簿方式」について

政治的妥協によりやむを得ず採用したものの、根本的には非効率的なやり方であり、出来れば是正したいという考えを持っていたのだと思っています。

その渦中にいた石弘光氏が、我が国の消費税制度にインボイスが導入できなかったことを「欠陥」だと考えていたのは、既に何度もふれました。

ただ、公的発言としてなら、これは出来ることと出来ないことがあります。

原発は安全であるといったん発言した以上は、どうしようもなくなるまでは政府見解として「リスクが高く、安全とは言い切れない」などと、ウッカリ本音を言うわけにはいかないんです。

が、これを言い出すと水掛け論になりそうなので、いったん自粛することにし、繰り返しになりますが

遅くとも2004年報告書が発表される前の石氏ら税調による調査結果により、軽減税率については「税務行政が煩雑になり課税の公平・中立・簡素と抵触するから極力導入しない方がいい」という結論が出ていた

にも関わらず、同じ報告書で

また、将来、仕入税額控除の際に税額を明記した請求書の保存を求める『インボイス方式』の採用が検討課題となる


とされた

わけですので、2003年税調の報告書を持ち出して

単一税率では現行の帳簿方式で問題無いが
複数税率になるとインボイスが必要と書いてますね。


などと喚いてみたところで

で、それが何?

としか言いようがありませんと答えておきます。

その他の件については時間のある時に、またコメントしようと思います。