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大学卒業生の低収入「蟻族」「蝸居」が不動産市場で流行

2009-12-16 19:35:18 | Weblog
大学卒業生の低収入「蟻族」「蝸居」が不動産市場で流行

http://news.xinhuanet.com/employment/2009-12/15/content_12650696.htm

2009年12月15日 15:41:58  来源:千龍網


 記者は最近、大きな不動産会社の扉を見て発見したことは、「蟻族」と「蝸居」がすでに不動産市場で流行している言葉になり、メディアによって各界の専門家に採用されていることである。

 北京中関村の北にある唐家嶺は、安い生活コストで多くの大学卒業生の集団的な居住を吸収しており、この現象に光が当たるようになるにつれて、「蟻族」は北京で外部出身者の大学卒業生が寄り集めるということの代名詞となっている。そしてこれがテレビで報道されるに従い、家賃の負債が積み重なっている者も「蝸居」と表現されるようになっている。


■幸運にも「蟻族」から「蝸居」に

 林暁(仮名)は2004年の北京のある有名大学の卒業生であり、彼女が卒業したときは北京に留まることを決心し、その後数年は何人かの同級生と学校の近くで部屋を借りていた。この数年を振り返って、林暁は実に大変だったという印象で、毎朝9時から夕方の5時まで働き、混雑している地下鉄とバスに乗った。彼女は、自分はこの都市のアリでしかない、どんなに真面目に働いても依然として弱い集団でしかない、と語っている。

  付羽(仮名)は、「蟻族」のなかの幸運な一人であり、大学を卒業して働いて二年後に、家族が自分の部屋を買うための頭金を出してくれたという。

 彼はあちこち調べて一つの小さな家を探し当てたが、単価はすでに平方メートル当たり1.8万元に達し、ローンは100万元にもなり、毎月の抵当は収入の半分以上を占めている。付羽は、家を買ってから生活を切り詰め(省吃俭用)、仕事にも細心の注意を払い、軽々しく仕事を替えないようにしていると話す。

 大学を卒業したばかりの「北漂一族」(地方から北京に出てきて定まった住居を持てない人々のことを指す―訳者註)は、家賃が安い部屋に住むか集団で一つの部屋を借りるなどして「蟻族」となり、数年が過ぎて少数の幸運な「蟻族」が家を購入した後は、毎月抱えているローンを重荷として背負う「蝸族」に昇格するのである。

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■「蟻族」「蝸居」はリスクに抵抗する能力に格差が

 記者の理解によれば、現在90%の人が家を購入したらローンを組んでおり、その中の35%の人の月に支払っている額は収入の60%を占める。

 北京の各不動産仲介業者による数値が表しているように、現在北京で家を購入する人々の4割は80年代以降に生まれた世代であり、彼らは決して十分な経済的実力を持たないものの、数年間懸命に働いた後に家族からの援助で頭金を借りて、自ら巨額のローンを毎月払い、無理して(挤破脑袋)でも家を買おうとする。

 心理学者の楊子によれば、彼らはもともと独立して生活する能力に差があって、挫折の経験がきわめて少ないため、心理的な忍耐能力に比較的差がある。彼らが何らかのリスクや緊急事態に遭遇した時、焦り、強迫、恐れといった症状が、多少なりとも出現するのだという。

 美聯物業(不動産会社―訳者註)の張大偉は、現在不断に高騰している住宅の価格は、若い80年代以降の世代に強い心理的圧迫感を生み出ており、彼らは住宅価格の不断の上昇を心配して、そこから自らの経済的能力を省みることなく、無理して家を買ってしまうのだと考えている。

 現在、都市では座視できないほどの不動産バブルが出現しており、お金を持った投資家が大量に入り込んでいる。弱い勢力の置かれた「蟻族」がその中に参加した後、ひとたび市場に動揺が発生すると、彼らはこうした強大な経済的な圧力に根本から耐えられなくなってしまうのである。ゆえに、張大偉は家を購入する若い人は、家を買う際は必ず身の丈に応じて行うべきであり、段階的に消費し、理性を保持することを提案している。

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 最近社会問題となっているらしい、「蟻族」「蝸居」についての記事。大学生の就職難に関係している話かと思ったら、完全に住宅問題についての話だった。住居の公的な社会保障が弱く、専ら家賃のために働いているような風景は、日本でも似たところがある。中国の社会学者は農民問題を都市化によって解決しようとしているが、果たしてこの問題に対応できるのだろうか。

 不動産価格が高騰しているために、経済力のない若者でも焦って家を購入するというのは、日本にもかつてそんな時代があったかなという感じである。