シロタビの、B級旅行イバラ道

「るるぶ」片手に定番記念写真を撮るだけが旅行なのだろうか? 観光名所のその陰で、ひっそりと怪しい光が待っている・・・

B級史跡でお勉強・・・・・~吉見百穴と百穴温泉

2009年01月29日 22時57分37秒 | B級スポット関東
基本的に住処のある東海地方中心に回っている筆者であるが、嫁サンの実家は埼玉県である。
というわけで、年末年始の帰省を利用して行って来たのが、見所や観光地の少ない埼玉県で光り輝く史跡、「吉見百穴」である。


「ヨシミヒャッケツ」と読んでしまいそうだが、「ヒャクアナ」と読むほうがスタンダードらしい。
入場料は300円。 国指定史跡だけに、通常のBスポの平均価格よりもかなり安い。
維持管理費だけ頂きますという感じか。


これが敷地内の解説板。
一見、古代人の住居跡かと勘違いしてしまいそうだが(僕もそう思っていた)、実際に作られたのは聖徳太子の時代(6~7世紀)で、みんなちゃんとした家に住んでいた。
後の研究で、これは横穴墓・・・つまり「お墓」だと判明したそうである。
明治20年に初めて発掘調査が行われたが、遺骨や遺品等の出土品はほとんど無いそうである。
盗賊でも頻繁に入っていたのだろうか。


これが全景。 一つ一つの穴には自由に入れるので、マナーを守って見学しましょう。
頂上まで登ると、東松山の市街地の眺めがいい。


少し残念なのは、太平洋戦争末期に、ここに大規模な地下軍需工場を作ると言う事で、遺跡が少し壊されてしまったこと。
この軍需工場跡地のトンネルは相当広大で、幅3メートルくらいのトンネルが碁盤の目状に展開されている。
ただし崩落の危険大ということで、入り口から10メートルくらいしか公開されていないのが残念。
その先は固い鉄格子で行き止まりとなっている。
奥には、工場作業者のための地下浴場等もあったようで、見たいところではあるのだが。
もうひとつ、一部横穴には「ヒカリゴケ」という、光っているように見えるコケの一種が生息しているとも紹介されていたが、自分の目ではさっぱり見つからなかった。
売店のおばちゃん曰く、少しづつヒカリゴケも減ってきているようで、観光地化しつつ貴重な史跡や自然を保全するのは難しいと感じるところである。

ということで40分ほどの冒険を終え、駐車場を出て200メートルほど走った所で、我々の目の前にこのようなものが飛び込んできた。


んー、非常に香ばしい匂いを放っている物件であるといえよう。 「岩窟売店」である。
と思ったら、道路を挟んで向かいにはこんなモノが。


百穴の駐車場からこんな離れた場所にもこのような遺跡が。。。。
「なんでこんな放置してあるんだろう、ここも整備して公開すればいいのに」とその時は思ってしまったのだが、後で調べたら明治から大正時代にかけて造られた、「岩窟ホテル」なる物件の廃墟であると分かった。
つまりあの横穴は、人工的に掘られた客室なのである・・・・
昔の人の便乗商法もなかなかたくましいものがある。

しかし衝撃はこれだけでは終わらなかった。
この「岩窟売店」から川沿いに分岐する細い道があり、その分岐点にこのような立派な門看板?があったのだ。


これはまたいい感じで寂れたオーラを出していると言えよう。
といわけで、案内に沿って「百穴温泉」なるものを調査してから帰ろうと言う事になった。


それがその玄関。 あまりにも古臭かったので、入るのは止めようと言う事で帰ってきたのだが、この温泉も家に帰ってからネットで調べてびっくり。
ここは首都圏から最も近い混浴温泉で、「混浴」と「女湯」しか無いそうである。
つまり野郎共は全て混浴風呂行きとなってしまうので、合法的に女性が入ってくるのを待っていられるワケだ。
というわけで、女性の裸目当てで来る男連中も結構多いそうで、特にカップルの場合、混浴で一緒に入ろうとなるだろうから要注意との事である(笑
そういえば、僕が調査している間にも、ひと組若い女の子を連れたカップルが入って行ったのだが、あの子もオッサンどもの餌食になったのであろうか・・・・

結局、これら周りのネタ物件のおかげで、吉見百穴の旅は、思いっきりB級色満点の面白旅行となってしまったのである。

2008年1月1日訪問

海底レストランの幻想ランチ・・・~蒲郡ファンタジー館(後編)

2009年01月16日 22時31分19秒 | B級スポット愛知
 竜宮城ジオラマを抜け、頭がクラクラしてくるところだが、この「貝と花の幻想館」は、まだ終わらない。
今度は、これまた数え切れないほどの貝を使った壁から本物の水が落ちてくる、滝エリアに突入である。


巨大な壁面から水が流れ(屋内設備という事を考えれば、これはなかなか大掛かりな仕掛けだ)中央には、写真のような中国風の乙姫様?がドンと居座っている。
周りの七色の装飾は無論すべて貝殻だ。

ここを抜けると、今度はファンタジースペースと称して「光る貝」が飾ってある。
と言っても、自力で光る訳ではなく、真っ暗な部屋の中で、ブラックライトに反応する貝が並べてあるだけであるが。


ファンタジースペースの次は、自称日本最大級を誇る貝殻コレクションである。
と言いつつ、写真の真ん中に見えるのは、紫水晶(アメジスト)の原石である。
かつてこの施設には「宝石伝説」というコーナーがあったようなので、宝石伝説閉鎖後も、いいものは飾っとけという感じか。
貝殻コレクションの方も、ただ膨大な貝に名前のプレートを付けて展示してあるだけなので、貝に興味の無い人にはキツい。
生息地やウンチク等のパネルを付けてくれるとか、何か工夫してくれないと、貝殻博物館としては失格だ。

ここを抜けると、観光地恒例の「出口がみやげ物屋」のパターンで、いろいろな貝殻細工等が所狭しと売っていた。 我々は「ファンタジー館絵はがき」と「ファンタジー館下敷き」を購入。

これで晴れてファンタジー館を脱出・・・・と思いきや、みやげ物屋の出口の横にこのような看板が。


海底レストラン乙姫である。

「海底」なのに2階に上がらねばならぬシチュエーションといい、素晴らしい雰囲気を醸し出している。 ここでランチを食べず去るのは、我々B級一家のプライドが許さないだろう。 行くしかないのだ。
しかし階段を上がって海底レストランに突撃した我が一家を、さらなる衝撃が襲った。

なんと満席であった・・・・・・・

いや、いくらなんでも200人はいるぞ。 これはおかしい・・・・

あとで調べて知ったのだが、これは遠州鉄道なる会社の企画するバスツアーで、我々がファンタジー館内でクラクラしている間にやってきたようだ。
団体さんが居たのは、「レストラン竜宮」と呼ばれるエリアで、我々一般客が通される「乙姫」とはレジを挟んで反対側であるが、雰囲気は同じである。


一般客エリアのお客さんは我々だけだったが、レストラン内部はこんな感じである。
(一部の)コアな人間の琴線に触れる素晴らしいレストランである。 
しかし・・・・

遠州鉄道のHPを見ると、日帰りでずわいがに食べ放題ツアーということなのだが、なぜこんなファンタジックな食堂でかにを食べなければならないのか。
普通は、もっと高級感のあるお座敷とかだろう・・・ツアーに来た客達は、目が点になってやしないだろうか。。。

とりあえず我々は、せっかく来たのだからと、名物?の「玉手箱料理」を注文。


さすがに団体ツアーを受け入れているだけあって、味の方は悪くなかった。
ちなみに壁のほうに目をやると、貝だけで出来たこんな壁画もある。


ちなみにこの壁画、10人がかりで、1年近くかけて作ったそうな。
これはまた素晴らしい出来で、B級などと言うのは製作者の方に失礼であるが・・・こんな壁画の前で団体さんがカニすき喰ってるのを見ると、やっぱヘンである(笑

腹ごしらえも終わったので、最後に向かいの「織物会館」なる建物に入り、えびせんべいのショッピング。


で、えびせんべいエリアの奥には、このような記念撮影コーナーが。
とりあえずこの施設、ファンタジー館とレストラン乙姫は、一般客は我々だけで、えびせんべいコーナーにかろうじてもう一家族いただけ。
つまり団体さんが来ない日は、相当ひどい客入りであることが想像されるのだ。
多分ここの経営者さんは、団体ツアーの契約を取るべく東奔西走していると思うが、それら旅行会社からのツアーから見捨てられてしまったら、一般観光客の入り具合からいって終了確定であろう。

乙姫竜宮城と海底レストランのインパクトは、全国のB級スポットと比肩しても十指に入る破壊力を持っているだけに頑張って欲しいが、しかし・・・・・

なんて事を考えていたら、ファンタジー館の入り口の壁に蒲郡市の観光ポスターが。


なんと乙姫様がメインで出演されているではないか!!
とりあえず蒲郡市からは見捨てられていない様なので一安心・・・・していいのか?

2007年12月15日訪問

海の奥底で、君の心は融かされるだろう・・・~蒲郡ファンタジー館(中編)

2009年01月06日 17時23分20秒 | B級スポット愛知
愛知県随一の珍スポット「蒲郡ファンタジー館」。
前半の海底散歩を終えると、なにやら怪しげな浦島太郎の唄と共に、貝殻で出来た竜宮城の門が現れる。
それを潜ったその先に飛び込んできた光景は、筆者にとっては、いまだにB級スポット歴代NO1の衝撃として心に刻まれている。


これがその光景。 実に500万個もの貝殻を使って作られた竜宮城ジオラマである。


ご覧のように、空中を舞い踊るタイやヒラメも、すべて貝殻を貼り付けてできている。 気の遠くなる労力だ。
貝殻を使ってないのは、乙姫様を始めとするマネキン達ぐらいのものだ。


しかし、僕にとってある意味異様に映ったのが、そのマネキン人形達なのだ。
もともとB級スポットには、この手の等身大マネキンは必須アイテムである。
地方の民族資料館なんかに行くと、マネキン達が昔の生活や風俗を再現したりしていて、意外と面白かったりする。
しかしその手の人形は、あくまで「人形」であり、やはり作り物的な無機質な感じが離れていても伝わってくる。
デパートのマネキンと同じ感覚だ。
しかしファンタジー館の乙姫様と女官達は、妙にリアリティのある造りで、鼓動や体温が伝わってくるようだ。


この蒲郡の竜宮城に住む美女達を、ちゃんと紹介したブログは無いようなので、ここでしっかりと掲載しておこう。
まずは一番左側にいる女官から。
いわゆるファッションモデル風味のマネキン的無機質美女ではなく、リアル感というか人間臭さのある、「隣のクラスの気になるコ」的な造りである。(意味不明)
とりあえず僕はあまりの衝撃の大きさに、彼女達を撮影するために、50mmの単焦点レンズを取り出してしまったぐらいである。


中央で乙姫様と浦島太郎と一緒に回転する女官。
動いているので、通常フラッシュを焚かなければ被写体ブレするところなのだが、単焦点開放とISO1600のコンボでしっかりと止まった。 さすが一眼レフだ。
この娘は最も幼い感じのつくりだ。
個人的には一番ツボにはまっており、普通に街を歩いている可愛い子という感じ。


実は一番マネキンぽいというか、人形臭さがあったのが主役の乙姫様。 というか性格キツそう・・・・。 どう考えても、浦島太郎は尻に敷かれる運命から逃れられないという感じであるが・・・。
おとぎ話の乙姫様は、こんなイメージであっただろうか?


一番右側の女官。 あごのラインが丸く、実に妖艶な美女である。
名著「珍日本紀行」の都築氏も書いていたが、この生々しいこだわりぶりは、作者の好みというか、萌えの魂を入れ込んで造っているとしか思えないのである。
う~ん、この施設のプロデューサは一体どんな人物だったのか・・・
(後編に続く)

2007年12月15日訪問


「団体旅行」が生んだ路傍の奇跡・・・~蒲郡ファンタジー館(前編)

2009年01月04日 11時32分49秒 | B級スポット愛知
古くからの温泉地と珍スポットは、意外と密接な関係がある。
それは、日本にはかつて、「慰安旅行」という文化があったからだ。
まあ、今もあるのだけど、僕の会社でも泊まりの旅行は参加者が集まらなくなってきていて、ほとんど社員旅行も日帰りという状態だ。
特に若い人は、余計な人付き合いを嫌う傾向にあるし、プライベートな時間が大切にされる時代だ。

団体旅行全盛の頃には、団体さんに寄ってもらえるだけで商売が成り立つという事で、温泉街等には秘宝館とかいろいろな施設が造られていった。 雄琴のソープ街も、成り立ちは似たようなものだろう。
もともと団体さんの気を引くために、かなりインパクトのあるネタで攻めた物件が多い上に、経年劣化による寂れ感も加わって、かなり熟成されたB級臭が放たれているわけである。

愛知県屈指の温泉街である蒲郡市にもそれはあった。 もともと寂れた雰囲気も漂う古い温泉地ということで廃墟も多く、その筋の人には良く知られた土地であるのだが、最も強烈なオーラを放つ物件はココをおいてないだろう。


それがこの 「蒲郡ファンタジー館」 である。
1人歩くオッサンは何を思う。


問答無用・完全無欠のB級スポットである。 この素晴らしい雰囲気に余計なコメントは陳腐だ。 できれば現地にいって味わって欲しい・・・・。
で、左側がファンタジー館入り口なワケだが、道路の右側の建物は「織物会館」となっていて、三河木綿の婦人服と、三河名産のえびせんべいの館となっている。
これらをトータルで経営しているのが「蒲郡フラワーパーク」という会社らしいのだが、「フラワー」に関する事業をどこで行っているかはよく分からない。
というより会社の経営は大丈夫なのだろうか?

とりあえず700円を払って入ってみよう。


ここは、世界中から集めた5000万個の貝殻で作られたオブジェが並ぶ、「貝殻の館」である。
「ファンタジー」と言えるかどうかは微妙である。 なんともサイケデリックで不思議な空間であることは確かなのだが。
細かいウンチクは公式HPを参照してもらうとして、とりあえず初めて来た人は誰でもびっくりするであろう。


貝殻びっしりの、ちょっと不気味な人魚姫。 作品うんぬんというより、これを造った職人さんの労力というか、執念に頭が下がる思いである。
遊園地が閉鎖になって、メリーゴーランドが解体されたりするのを見ると、哀しいとはいえ、「しょせん工業製品だから」という割り切りもできるが、ファンタジー館が閉鎖された時はどうなるのだろうか。 この作品たちをショベルカーで・・・なんてちょっと勿体無さ過ぎるというか、可哀相な話だ。


70年代風情が漂っているが、随所に光の演出なども入っている。
ただし左側の壁が、ただの海中写真のパネルで、しかも色褪せているのが若干残念。


ガラス張りの床の下には、貝殻で作った海底オブジェが。


微小貝のコーナー。 1円玉と比較してあり分かりやすい。 何気に貝に対する知識も付く施設である。


これは圧巻、オウム貝がびっしりと貼り付けられたトンネル。 通称「ノーチラストンネル」。
小さい貝だと感じないのだが、オウム貝は大きいので、これがすべて生きていたかと思うと、なんとも胃にもたれるオブジェである。


トンネルを抜けると貝殻の滝がある。 通称「ピンキーフォール」。 公式HPでは、シャボン玉が舞うと書かれていたが、装置が壊れたのか、シャボン玉は存在せず。
奥のほうに見えるのが、貝を8万個使ったという大作、「ファンタジードラゴン」だ。


HPでは、「人魚姫がお出迎え」と書かれていたが、そんなメルヘンな雰囲気がまるで無い生々しい人魚姫。
後に待ち構える竜宮城もそうだが、ここの人形、異様に生々しいというか、リアルなのである。 造った人の趣味だろうか。 秘宝館的な人形でファンタジーしようというところがなんともミスマッチで、Bスポとしてここもポイントが高い。


人魚姫を過ぎると待ち構える竜宮城の門。
予備知識をほとんど持たずに行ったこともあるが、この先の衝撃度は個人的なランキングではNO1である。
というわけで、ファンタジー館は3回に分けてお送りすることにします。
長くなりそうなので(笑  (中編に続く)

2007年12月15日訪問