トゲのある「茨」が咲いた。万葉仮名では「宇万良(うまら)」で、ノイバラのことである。
ノイバラ
道の辺(へ)の茨(うまら)の末(うれ)に這(は)ほ豆(まめ)の
からまる君を別(はか)れか行かむ
丈部鳥(はせつかべのとり) 万葉集巻20-4352
大意:道のほとりのイバラの先に這いつく豆の枝のように、からまる
あなたに別れて行くのであろうか
天平勝宝七歳(755年)二月に、上総国天羽郡(かみつふさのくに
あまはのこおり)(現在の千葉県富津市の西南部)出身の丈部鳥が
防人(さきもり)として筑紫へ派遣されたときに詠んだ歌である。
防人は筑紫、壱岐、対馬に派遣され国防の任についた。大宰府の
水城大堤を築いたのも彼らであった。