この「福岡万葉散歩」の新規発信をひとまず終了させて戴きます。
今後は「新福岡万葉散歩」と改題して次のブログアドレスで発信中です。
http://manyou2012.blog.fc2.com/
ご高覧賜らば幸甚でございます。
梅 実梅「豊後」
梅咲いて庭中に青鮫(あおざめ)が来ている 金子兜太
庭中(にわなか)に梅が咲き春が来て躍動するいのちを、大群の
魚の青鮫が来ているようだと詠っている。
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梅 実梅「豊後」
梅咲いて庭中に青鮫(あおざめ)が来ている 金子兜太
庭中(にわなか)に梅が咲き春が来て躍動するいのちを、大群の
魚の青鮫が来ているようだと詠っている。
千両、万両、南天が赤い実をつけている。千両、万両、南天は
共に縁起の良い木と云われているが、冬の日に共に緑の葉に
赤い実をつけている。
千両
千両や大墨にぎる指の節 長谷川かな女
万両 ヤブコウジ科
万両は兎の眼もち赤きかな ちよ女
南天
あるかなし南天の紅竹垣に 瀧井孝作
薬用として南天の果実を南天実と称し、鎮咳剤として、喘息、百日咳など
に用いられていたという。
果実にはナンテニン、プロトピンなどのアルカロイドを含んでいるという。
樹皮や根皮の断面が黄色をおびるのはベルペリンなどのアルカロイド
を含有するためで、かっては民間療法として歯茎が腫れて痛むとき、
胃病、脱肛、眼病などに用いられていたという。葉も同様に用いられた
そうだ。
晩菊は晩(おそ)く咲く菊の意である。今その晩菊である野路菊
(ノジギク)が咲いている。
晩菊 品名 野路菊(ノジギク)
晩菊や妻連れし旅いつならむ 大野林火(りんか)
晩菊 品名 野路菊(ノジギク)
晩菊は地に伏し易(やす)し起しけり 安住 敦(あつし)
楓(カエデ)と花梨(カリン)と連翹(レンギョウ)の晩秋
花梨(カリン)
かりんの実天賦をとめの薫りの実 中村草田男
楓(カエデ)の紅葉
冬紅葉しづかに人を歩ましむ 富安風生
黄葉の無患子(ムクロジ)と花水木(ハナミズキ)と栗(クリ)の木の晩秋
からからとむくろじの鳴る梢かな 吉田ひで女
無患子(ムクロジ)の果実は球形をなし、径約2cmで黄褐色に熟す。
堅くて黒い種子が1個入っており、これを羽根つきの羽根の玉にする
のだが、今はどうだろうか。
なに人がきて脱ぎかけし藤袴(ふぢばかま)
来る秋ごとに野辺を匂はす 藤原敏行(三十六歌仙の一人)
藤袴(ふぢばかま) キク科の多年草
芳香を放つことから、秋の七草の中でも人気が高いという。
原産地中国では、洗髪用に使われたそうだが、日本では
出陣の武士が兜にたきこめたといわれる。
この藤袴について高橋治は次のように書いている。
「源氏物語」藤袴の巻で、夕霧が父源氏の使者として玉鬘の
もとに行き持った蘭の花を手渡す。それが藤袴で、この花が
蘭と呼ばれていた傍証とされる。
玉鬘は「源氏物語」中最も印象的な薄倖の美女夕顔の娘で、
父は源氏のライバルだった若き日の頭中将、源氏の妻葵上
の兄である。「夕顔」は大河小説の中にさしはさまれた短編
という説もあるくらいで、見事な出来映えを示す。その伏線が
第二帖「帚木」(ははきぎ)のいわゆる”雨夜の品定め”に出て来る。
その玉鬘(たまかづら)に源氏父子が思いを寄せる。錦織のように
人間関係があやなす王朝絢爛(けんらん)の絵巻を、この花と香り
が彩っている。
この歌の派生歌に源実朝の次の歌がある。
藤袴きて脱ぎかけし主やたれ
問えど答えず野辺の秋風