福岡万葉散歩

街の様子や木々や草花を眺め乍ら、先人の俳句や和歌を織り込んで、今の季節を楽しみたい。たまには万葉散歩も楽しみたい。

2013.2.16(土) 春が来て梅の花が満開だ

2013-03-20 | 日記・エッセイ・コラム

この「福岡万葉散歩」の新規発信をひとまず終了させて戴きます。

今後は「新福岡万葉散歩」と改題して次のブログアドレスで発信中です。

http://manyou2012.blog.fc2.com/

ご高覧賜らば幸甚でございます。

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梅   実梅「豊後」

  梅咲いて庭中に青鮫(あおざめ)が来ている   金子兜太

庭中(にわなか)に梅が咲き春が来て躍動するいのちを、大群の

魚の青鮫が来ているようだと詠っている。


2012.3.12(月) 春にアイリス(球根ミニアイリス)が咲く

2012-03-13 | 日記・エッセイ・コラム

アイリスは西洋あやめともいわれ、初夏に咲く。ところが園芸種

の球根アイリスのなかにはミニではあるが春に咲くものがある。

この品種は新しいと思われ、有名な句は未だ見つからない。

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ミニアイリス

ここではアイリスを詠んだ句を紹介する   

   葉の中のアイリスの茎折れてをり      長谷川 櫂


2012.3.3(土) 春の兆しのクロッカスと雪割草

2012-03-13 | 日記・エッセイ・コラム

春の兆しを感じさせるように、クロッカスと雪割草が咲きだした。

クロッカスも雪割草も可憐さとともに春の兆しの明るさを感じる。

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クロッカス   春咲きサフラン

   クロッカス汚れを知らず土に咲く      森田 峠

   日が射してもうクロッカス咲く時分     高野素十

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雪割草(ゆきわりそう)   州浜草(すはまそう)   三角草(みすみそう)

   みんな夢雪割草が咲いたのね      三橋鷹女

   雪割草古き落葉のかげに咲く      山口青邨


2012.2.27(月) 蕗の薹(ふきのとう)

2012-03-12 | 日記・エッセイ・コラム

蕗の薹(ふきのとう)が顔を覗かせている。蕗の葉が出る前に

地中から淡い緑と萌黄色の花茎を覗かせている。早春である。

早速、天麩羅とサッと茹でて酢味噌をチョッとつけて食べてみた。

どちらもほろ苦い風味がして、えもいわれぬ早春の美味である。

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蕗の薹(ふきのとう)

   莟(つぼみ)とは汝(なれ)も知らずよ蕗の薹      与謝蕪村

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蕗の薹(ふきのとう)

   蕗の薹岩間の土にひきしまる        西東三鬼

   ほろにがさもふるさとの蕗のとう      種田山頭火


2012.2.19(日) 南天の赤い実に雪が積もる

2012-02-20 | 日記・エッセイ・コラム

今日の午前中までは雪が降り、積雪は10cm位だった。3年振り

の大雪だったとのこと。

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南天の実

   実南天の紅葉もして真赤也      夏目漱石

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椿

   ひねくりし一枝活けぬ花椿      正岡子規

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万両の実

   これがまあ終(つい)のすみかか雪五尺      小林一茶


2012.2.18(土) 夕方から福岡に雪が降っている

2012-02-18 | 日記・エッセイ・コラム

今年、福岡では雪が積もることはなかった。きょうの昼ごろから

雪が舞い出したが一旦小休止して、夕方から本格的に降りだし

た。今夕方の5時過ぎだが積雪は3cm位だろうか。この様子

では明朝は大雪になるだろう。

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午後3時頃   万両に残る雪

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午後5時頃   海紅豆(カイコウズ)に雪が降る

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午後5時頃   柚(ユズ)の木に雪が降る

   降る雪よ今宵ばかりは積れかし      夏目漱石

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午後5時頃   蝋梅(ロウバイ)に雪が降る

   降る雪よ今宵ばかりは積れかし      夏目漱石


2012.1.31(火) 千両、万両、南天が赤い実をつけている

2012-01-31 | 日記・エッセイ・コラム

千両、万両、南天が赤い実をつけている。千両、万両、南天は

共に縁起の良い木と云われているが、冬の日に共に緑の葉に

赤い実をつけている。

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千両

   千両や大墨にぎる指の節      長谷川かな女

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万両    ヤブコウジ科

   万両は兎の眼もち赤きかな      ちよ女

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南天

   あるかなし南天の紅竹垣に      瀧井孝作

薬用として南天の果実を南天実と称し、鎮咳剤として、喘息、百日咳など

に用いられていたという。

果実にはナンテニン、プロトピンなどのアルカロイドを含んでいるという。

樹皮や根皮の断面が黄色をおびるのはベルペリンなどのアルカロイド

を含有するためで、かっては民間療法として歯茎が腫れて痛むとき、

胃病、脱肛、眼病などに用いられていたという。葉も同様に用いられた

そうだ。


2011.11.30(水) 晩菊の咲くころ

2011-12-29 | 日記・エッセイ・コラム

晩菊は晩(おそ)く咲く菊の意である。今その晩菊である野路菊

(ノジギク)が咲いている。

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晩菊      品名 野路菊(ノジギク)

   晩菊や妻連れし旅いつならむ      大野林火(りんか)

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晩菊      品名 野路菊(ノジギク)

   晩菊は地に伏し易(やす)し起しけり      安住 敦(あつし)

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楓(カエデ)と花梨(カリン)と連翹(レンギョウ)の晩秋

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花梨(カリン)

   かりんの実天賦をとめの薫りの実      中村草田男

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楓(カエデ)の紅葉

   冬紅葉しづかに人を歩ましむ      富安風生

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黄葉の無患子(ムクロジ)と花水木(ハナミズキ)と栗(クリ)の木の晩秋

   からからとむくろじの鳴る梢かな      吉田ひで女

無患子(ムクロジ)の果実は球形をなし、径約2cmで黄褐色に熟す。

堅くて黒い種子が1個入っており、これを羽根つきの羽根の玉にする

のだが、今はどうだろうか。


藤袴と源氏物語

2011-10-25 | 日記・エッセイ・コラム

  なに人がきて脱ぎかけし藤袴(ふぢばかま)

    来る秋ごとに野辺を匂はす    藤原敏行(三十六歌仙の一人)

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藤袴(ふぢばかま)  キク科の多年草

芳香を放つことから、秋の七草の中でも人気が高いという。

原産地中国では、洗髪用に使われたそうだが、日本では

出陣の武士が兜にたきこめたといわれる。

この藤袴について高橋治は次のように書いている。

  「源氏物語」藤袴の巻で、夕霧が父源氏の使者として玉鬘の

  もとに行き持った蘭の花を手渡す。それが藤袴で、この花が

  蘭と呼ばれていた傍証とされる。

  玉鬘は「源氏物語」中最も印象的な薄倖の美女夕顔の娘で、

  父は源氏のライバルだった若き日の頭中将、源氏の妻葵上

  の兄である。「夕顔」は大河小説の中にさしはさまれた短編

  という説もあるくらいで、見事な出来映えを示す。その伏線が

  第二帖「帚木」(ははきぎ)のいわゆる”雨夜の品定め”に出て来る。

  その玉鬘(たまかづら)に源氏父子が思いを寄せる。錦織のように

  人間関係があやなす王朝絢爛(けんらん)の絵巻を、この花と香り

  が彩っている。

この歌の派生歌に源実朝の次の歌がある。

  藤袴きて脱ぎかけし主やたれ

      問えど答えず野辺の秋風

  


貴船菊が咲く

2011-10-21 | 日記・エッセイ・コラム

貴船菊(きふねぎく)の名は、京都の貴船地方に多く見られることから

とか、あるいは貴船神社で発見されたからだとか言われているようだ。

貴船菊は秋明菊(しゅうめいぎく)とも言われているが、これは秋に開花

し、花がキクに似るところから名付けられたようだ。

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貴船菊(きふねぎく)  秋明菊(しゅうめいぎく)  キンポウゲ科の多年草

     菊の香や垣の裾にも貴船菊      水原秋櫻子

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貴船菊(きふねぎく)  秋明菊(しゅうめいぎく)  キンポウゲ科の多年草

     観音の影のさまなる貴船菊      阿部みどり女


杜鵑草(ほととぎす)

2011-10-20 | 日記・エッセイ・コラム

花の杜鵑草(ほととぎす)は秋、鳥の時鳥(ほととぎす)は初夏と

季節が違っている。その鳥の腹の模様に似た斑点が、葉や花に

出るところから花の名がつけられたという。

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杜鵑草(ほととぎす)   ユリ科の多年草

     草の名は山ほととぎす雨期長し      中村汀女

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杜鵑草(ほととぎす)   ユリ科の多年草

     野の庭に山が匂ひ来時鳥草      前田正治


2011.10.19(水) 名残りの茗荷の花

2011-10-19 | 日記・エッセイ・コラム

今年は茗荷の子を梅酢漬けにしている。僕にはなかなかの美味だ。

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茗荷の花  みょうがのはな  ショウガ科の多年草

茗荷(めうが)掘る市井の寸土愉(たの)しめり     西島麦南

人知れぬ花いとなめる茗荷かな           日野草城


コリウス、トレニア、サルビアの花

2011-10-17 | 日記・エッセイ・コラム

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葉面模様のコリウス、青色のトレニア、赤色のサルビア

赤色のサルビアはコッキネアという名がついている

サルビアの枝葉(えだは)まばらに卓の上    とみ子(室生とみ子?)


2011.10.16(日) 赤い花が長い穂状をなす水引の花

2011-10-16 | 日記・エッセイ・コラム

今年の水引の花は何時もより鮮やかな赤色に染まった

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水引  ミズヒキ   タデ科の多年草   秋の季語

手前の花は熱帯原産のトウワタ(唐綿)

みづひきのたたみのつやにうつりけり      室生犀星

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熱帯原産のトウワタ(唐綿)


2011.10.13(木) 藤袴の花が咲く

2011-10-15 | 日記・エッセイ・コラム

藤袴(ふじばかま)は秋の七草の一つで、中国原産という。日本には

奈良時代に渡来したという。

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藤袴(ふじばかま)

万葉集巻第八ー1537、1538に

山上臣憶良の、秋の野の花を詠む二首

1537 秋の野に咲きたる花を指(および)折り

          かき數ふれば七種(ななくさ)の花        (短歌)

1538 萩(はぎ)の花尾花をばな)葛花(くずばな)瞿麥(なでしこ)の花

    女郎花(をみなへし)また藤袴(ふじばかま)朝貌(あさがほ)の花

                                      (旋頭歌)

とある。

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藤袴(ふじばかま)

すがれゆく色を色とし藤袴      稲畑汀子