福岡万葉散歩

街の様子や木々や草花を眺め乍ら、先人の俳句や和歌を織り込んで、今の季節を楽しみたい。たまには万葉散歩も楽しみたい。

御笠の森 6

2007-01-20 | まち歩き

万葉集巻第四・561に

  大宰大監(だざいのだいげむ)大伴宿禰百代(ももよ)の戀の歌四首

                              としてその一首

    (おも)はぬを 思うといはば 大野なる

        三笠の杜(もり)の 神し知らさむ  

万葉仮名 : 不念乎 思常云者 大野有 三笠杜之 神思知三

筑紫 豊訳 : 思っていないのを思うと言ったら

         大野にある三笠の神社の神様の罰が当るでしょう

日本古典文学大系 萬葉集 注釈

○三笠の杜 ― 神功摂政前紀に、皇后が羽白熊鷲という者を討とうとして、橿日宮(かしいのみや)から松峡宮(まつおのみや)に遷った時、つむじ風が起って御笠が吹き落されたので、時の人がそこを御笠と呼んだとある。

○知らさむ ― シルは支配・管理する意。

(大意) 思ってもいないのに思っているというならば、大野の三笠の杜の神が御承知で、罰をお与えになるでしょうよ。

○大宰大監(だざいのだいげむ) ― 少監とともに大宰府の三等官。正六位下相当。

○大伴宿禰百代 ― 大監だったのは旅人が帥だったころ。その後、兵部少輔、鎮西副将軍、豊前守。天平19年(747年)に正五位下。

 御笠の森にある歌碑の前面

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歌碑の背面  明治百年記念に福岡県筑紫郡大野町(現大野城市)が建てた