できるだけごまかさないで考えてみる-try to think as accurately as possible

さまざまなことを「流さずに」考えてみよう。"slow-thinking"から"steady-thinking"へ

「選挙で信を問え!」と言えば言うほど、当事者の意思がもみ消されてしまった沖縄県知事選

2010-11-29 08:48:02 | Weblog

まずは以下の数字をざっとイメージしていただいてから読んでいただきたい。

沖縄県 辺野古地区 人口 約1800人(沖縄県名護市辺野古区HPより)
沖縄県 名護市    人口 約6万人(名護市役所HPより)
沖縄県        総人口 約140万人(沖縄県HPより)

※辺野古地区は、名護市の一部である。

2010年沖縄県知事選 投票率 60.88%(前回 64.54%) (毎日新聞より)

●沖縄県知事選確定得票数●
当 335,708 仲井真弘多 <2>無現=[公][み]
297,082 伊波洋一     無新=[共][社][国]
13,116  金城竜郎     諸新


4万票弱の差で現職の仲井真氏が当選したが、たったこれだけの差しかない「激戦」である割には、投票率が前回よりさらに低い60%そこそこというのは、半数近くの沖縄県民にとっては、この選挙はどうでも良かったということなのだろうか。仲井真氏も伊波氏も、普天間飛行場移設に反対という点では同じだったから、「どうせどっちが当選しても普天間移設反対になるだろうし」という気持ちの県民が多かったということか。だとしたら、沖縄県民も衆愚の割合が極めて高い県であると言わねばなるまい。

例えば二人の公約はこれだけ違う。このことを知っていて投票に行かなかった沖縄県民がどれだけいるのか、ぜひ知りたいものだ。

沖縄県知事選告示、3人が立候補(10.11.11 読売)

(前略)
保守系の仲井真氏と、12年ぶりの革新県政復活を狙う伊波氏による事実上の一騎打ちになる見通し。選挙結果は、日米両政府が合意した名護市辺野古への移設計画に影響を与えるのは必至だ。

普天間飛行場の移設先について、仲井真氏は県外、伊波氏は米領グアムを訴えている。ただ仲井真氏は普天間の固定化を懸念し、再選されれば、政府と協議を行う考えを示している。伊波氏は「県内移設反対」を主張し、政府との協議は拒否する姿勢だ。

仲井真氏は那覇市内で出陣式に臨み、「日米合意の見直しと県外移設を(政府に)求め、日本全体で安全保障問題を考えてもらう」と第一声をあげた。

伊波氏は同市の県庁前で出発式を行い、「辺野古への新基地建設に反対し、先頭に立って日米両政府に普天間の危険性除去と返還を求めていく」と述べた。

金城氏は同市内で、辺野古移設の推進を訴えた。

有権者数は10日現在、107万9001人(男52万4532人、女55万4469人)。

選挙戦では、尖閣周辺海域の警備態勢のあり方も争点に浮上している。仲井真氏は取り締まりの強化を主張。伊波氏は中国との対話を進めて解決すべきだとしている。
(ここまで)


普天間飛行場の移設先について、
仲井真氏は「再選されれば政府と協議を行う」としており、
伊波氏は「政府との協議は拒否する」としている。

さらに、尖閣海域の警備体制のあり方についても、
仲井真氏は「取り締まりの強化」を主張し、
伊波氏は「中国との対話を進めて解決すべきだ」としている。


・・・・中国との対話??


尖閣諸島は法的にも実効支配においても日本の領土であり、尖閣諸島近辺に石油や天然ガスなどの資源が埋蔵されていることを知ってから中国がいきなり尖閣諸島の領有権を主張し、実力行使を始めただけである。そんな中国と・・・対話???

ということは、伊波氏は、尖閣諸島に関して、領海や領土、漁業権や資源採掘権などに関して、中国側に何らかの譲歩をする準備があるということだったのか?一県知事に、これらを扱う裁量権など与えられているわけがなかろうに。でなければ、対話のための「材料」もなしに「対話」とやらをすることになるわけだ。まさかいい歳をして、何の材料もなしに対話さえすれば中国が尖閣諸島近辺の邪魔な行動を抑えるようになるとでも思っているのだろうか。だとすれば、こういう公約には反対どころか、少しも理解ができない。

何でも「対話」とさえ言っておけば解決策の提案になると思っていた伊波氏は、どれだけ頭がお花畑のバカサヨク候補者だったのか。


しかしながら、驚くべきは、そんなバカサヨク候補者が、のらりくらりと現実路線へ戻る余地を少しでも残そうとした現職の仲井真氏にあと4万票というところまで得票を伸ばし、

なおかつ、約4割もの沖縄県の有権者が、この重要な県知事選に投票すらしなかったということである。


いつも「沖縄県民からの声」として聞こえてくる

「本土(北海道~九州のことだろう)は沖縄の持続的経済振興策を考えてくれない」
「沖縄はいつも取り残されている」

などの「文句」は、口だけなのだろうか??

違うというのなら、沖縄県の県単位としての失業率対策や、産業振興策について、それぞれの候補者の政策をじっくり比べ、己の意思表示としてしっかり投票すべきだろう。実際に、期日前投票の割合は前回より上がったわけで、しっかり意思表示をした沖縄県の有権者も多数いるのである。

この投票率の低さを知った以上は、沖縄県民の文句は口だけなのだと思っておくことにしよう。まったく「衆愚」は日本中のどこにでもいるものである。争点は普天間移設だけではなかったのですよ、沖縄県民のみなさん。



また、冒頭に辺野古地区、名護市、沖縄県のそれぞれの人口を挙げたのは、少し前の名護市長選挙や、昨日の沖縄県知事選挙と、対象人口が大きくなるにつれて、普天間飛行場の移設予定先となっていた辺野古地区の民意が「なかったこと」にされてゆくプロセスを感じていただきたかったからである。名護市長選挙では、普天間県内移設反対の候補者が当選したが、当の移転先の、辺野古地区の住民だけに限って言えば、移設賛成者の方が多かったのである。というか、苦渋の選択として、普天間飛行場の移設先として受け入れる腹を決めた方が多かったのである。これについては、あの櫻井よしこ氏が、2010年4月1日号の週刊新潮で書いている。やや長いが、じっくり読んでいただきたい。


「 それでも普天間を現行案で移設せよ! 」『週刊新潮』 2010年4月1日号 日本ルネッサンス・拡大版 第405回

(前略)
だが、地元の声に注意深く耳を傾けると、意外なことがわかってくる。普天間飛行場の移設が、辺野古沿岸部にV字型滑走路を作って行われるのであれば、つまり、現行案どおりに行われるのであれば、辺野古の人々は必ずしも反対しないということだ。

実態はどこにあるのか。「地元の中の地元」、辺野古の人々の言い分にまず耳を傾けてみよう。

ちなみに現行案による移設先は、正式には久辺(くべ)地区と呼ばれ、辺野古、久志(くし)、豊原の3区で構成される。人口は各々約2,000、600、400で計3,000人だ。辺野古区長の大城康昌氏と辺野古行政委員会副委員長の宮城安秀氏に話を聞いてみた。

大城氏は、なぜ、普天間飛行場が辺野古に移設されるようになったか、その経緯を思い出してほしいと、次のように語った。

「自民党政権のとき、政府がどうしても辺野古に飛行場をもってくるというので、われわれは苦渋の選択として受け入れたのです。受け入れに当たっては相互に協議して条件を整えました。騒音は基準値以下、安全対策も、受け入れ地域への経済振興策も住民への経済的補償も含めて話し合い、13年もかけて、話し合いから合意へ、そして実現へと事態を進めてきた。それを、政権交代だといって鳩山首相は地元になんらの説明もなしに政府約束を無視し、新案として辺野古の陸上案やホワイトビーチ案まで出してきた。とんでもない話です」

前述の「意外な」発言は、このあと大城氏の口から飛び出したのだ。

辺野古沿岸部にV字型滑走路を作るという現行案は政府とわれわれの合意事項です。辺野古のわれわれはいまもこの現行案は生きていると考えています。政府も正式には否定していないはずです。鳩山首相が地元の意見に耳を傾けるというのなら、地元の中の地元のわれわれの声に、なぜ、耳を貸さないのでしょうか」

名護市議会議員で自民党系会派「新風21」に属する人物も、匿名で語った。

「そのとおりです。久辺3区の住民の殆どが現行案は生きているという認識で、同案を容認しています。地元の新聞もほとんどの大手メディアも報じませんが、3区の区長さんらはそのことを頻りに仰っています」

国民新党国対委員長で沖縄1区選出の下地幹郎氏も、「辺野古の地元で現行案に賛成の声が上がっているのは認識している」と語る。


「70~80%が移設を支持」

だが、現実の政治で起きているのは、そのような「地元意見」とは正反対の現象だ。去る1月24日の名護市市長選挙では移設反対派の稲嶺進氏が1万 7,950票で、移設容認派の島袋吉和前市長に1,600票弱の差をつけて当選した。沖縄の主要2紙を見ても中央紙を見ても、名護市に普天間飛行場移設を受け入れる声はないように見える。その点を大城区長が説明した。

「地図を広げて名護市をよく見て下さい。山を境にして東部と西部に大きく二分されます。海に面した辺野古は東側、名護市役所や大きな企業、人口の大半が西側に存在しています。先の選挙で辺野古への移設に反対したのは主として西側の有権者でした。たとえ辺野古に飛行場が作られても、彼らには騒音をはじめ基地を置くことの負担はないのです。被害を受けるのはわれわれの地区です。にもかかわらず、この久辺3区の住民は、各報道機関の出口調査によると70~80%が移設を支持しています」

市長選挙で地区毎の票の動向を具体的に知る唯一の手懸りは報道機関による出口調査である。それによると辺野古地区有権者の70~80%が、移設容認の島袋氏に票を投じたとされる。

大城氏が強調した。

「名護市の東海岸地帯には久辺地区3区の他に10の区があります。現行案受け入れの私たちの考えは、久辺3区だけでなく、この10区の区長さんらにも理解されていると思います。これまで、われわれは10区とも協力関係を築いてきましたから。たとえば、飛行場移設に関連して北部振興策がとられてきました。交付金を久辺3区だけが受け取るのでなく、その一部を頭割りで各区に配分するなど、相互に助け合う努力を通して、協力関係を築いてきたのです」

大城氏は訥々とした口調で、自身の考えは、久辺3区の区長らと住民の考えでもあると強調した。地元住民の考えが仮に五分五分に分かれ住民同士が対立していたら、区長としてとてもこのように容認の立場は表明出来ないと語る。先の「新風21」の市議も指摘した。

「確かに3月8日、名護市議会は陸上案への反対意見と抗議決議案を全会一致で可決しました。しかし、注意してほしいのは、昨年末から俎上に載せられていた県外・国外移設を求める意見書は全会一致どころか可決もされなかったことです」

陸上案反対決議の中に現行案を示す沿岸部案反対の言葉はない。また、県外・国外案への不同意は現行案受け入れの余地を担保するものでもある。「新風21」の市議は、『県外・国外案』に反対の3つの理由を挙げた。

①現政権も現行案を否定していない。②政府との合意があるからこそ、北部振興事業が、10年来、約789億円規模で行われてきた。③久辺3区の住民の大半が現行案は生きていると考え容認している。

同市議はこうも語る。

「地元の側から辺野古へ基地を誘致したことは一切ありません。ただ、名護市長選挙の結果をうけて、平野官房長官が『結果を斟酌しなければならない理由はない』と言った。移設反対の声に対しても、必要なら国の判断は覆らないとの認識を示唆したように、政府決定には抵抗出来なかった歴史が幾つも重なってきた。であれば、現実論として一体、どうすればよいのか。だからこそ地元は長年、政府と地道に交渉し、辿りついたのが現行案です。その現行案を地元がいまも否定しないのであれば、その声を吸い上げ市政に反映させるのが、市議会の役割です」

ここまできて、気づくはずだ。普天間の移設先を決定する重要な2つの要素、地元と米国の賛同を、辺野古の現行案は満たしているということに。

米国側は一貫して、現行案の実現にこだわってきた。ホワイトビーチ案もキャンプシュワブ陸上案も拒絶したことはすでに述べた。つまり、米国側は現行案にこだわり、地元はそれを受け入れると言っているのだ。残るは鳩山政権だけである。


無視される住民の真の声

それにしてもなぜ、こうした地元の声を、鳩山政権は政策に反映させないのか。理由は2つ、メディアの偏向報道と鳩山首相の定見の欠如である。
先の宮城安秀氏が訴えた。

本当の地元のわれわれの所には、政府の人たちは意見を聞きに来ません。岡田(克也)外相は名護市には来ましたが、西側だけに行って、反対派の人たちばかり集めて意見を聞きました。東側の辺野古には来ない。マスコミが取材に来て、われわれの意見を聞いたとしても、報じてはくれません。久辺3区の全世帯の住民が安心して暮らせて、しかも、国防に貢献するにはどうしたらよいか。われわれは一応、きちんとした案をまとめていて、政府に提案したいと考えています。しかし、政府はわれわれに目を向けず、提案には至っていません。メディアは移設反対派の意見ばかりを伝え、真実を伝えてくれません」

先の名護市議が訴えた。

現行案容認派は保守派だと見做され、沖縄の新聞は取り上げないのです。われわれが地元の声を代弁しようと行動に出ても、無視される。『基地は撤去せよ』という社是の前で、住民の真の声が打ち消されるのです」

メディアの問題に加えて、鳩山首相の国防に対する無責任さが混乱を深めてきた。現行案を否定するなら、首相は、理由を説明する責任がある。だが、明確な説明がないばかりか、首相の言葉は虚構に満ちている。首相は「沖縄の皆様のお気持を大事にしたい思い」を幾度となく強調したが、「沖縄の皆様」の中の、地元の中の地元の皆さんが、政府が頼むのなら現行案でもよいと言っているのだ。その声を無視して実現不可能な県外や国外を主張し続けるのは欺瞞である。

そもそも鳩山首相は政権発足から半年もの長きにわたって、国家の基盤である安全保障問題、そのまた基盤である日米安保体制について、見苦しくも絶望的な迷走を重ねてきた。国民の生命財産を守り、日本の国土と海を守る最高責任者としての任務を全く果たしてこなかった。

空しく現行案を否定し続けて今日に至った真の理由は、単に自民党政権時代の決定には反対するということではないのか。

今回、現行案支持の声の受け止め方について、政府に質問状を送ったが、回答は得られなかった。回答がなくとも、合理的な解決策はひとつしかない。それは結局、現行案に戻ることだ。但し、単に戻ることは許されない。国政の基盤である安全保障を蔑ろにし、日本国は果たして信頼に値する国なのかという疑念を国際社会に抱かせた首相として、恥を知り辞任すべきなのはいうまでもないだろう。(ここまで)


このブログを継続して読んでいただいている方の中には「右翼、左翼という考え方など幻想に過ぎないのに、白河は何をこだわっているのか」などとお考えの諸氏もいるかも知れないが、この記事を読むだけでも、厳然たる事実として、辺野古住民の意思が、沖縄県のマスコミでは採りあげられておらず、結果として全国の多くの国民に知られていないということがわかる。社是が「基地を撤去せよ」と決まっていると、事実がどうであれ、基地を撤去させるのに都合の良い情報だけしか沖縄県のマスコミでは採りあげていないのである。思考が事実より先んじているという点で、沖縄県のマスコミのほとんどが思想的に偏向していると言わざるを得まい。そして、この曲がり具合は、とにかく沖縄は非武装が良いのだという方向性が見て取れるがゆえに、国家としての利益という概念を矮小化させようとする、きわめて単純な日本型左翼思想なのだ。


話が逸れたが、2000~3000人の、移設先の住民がせっかく苦渋の決断として移設を受け入れても、「政権交代したのだからとにかく新しいプランにしようよ」という無責任な民主党の低レベルな感覚的判断によって、「名護市長選で信を問おう」「沖縄県知事選で信を問おう」と規模が大きくなることで、辺野古地区住民の意思は「沖縄県の140万人の中では少数派」という矮小化をされ、なし崩し的に「県」の意思として

「普天間移設は反対」

というメッセージが出たことになってしまっている。少数意見を大切に!などと普段は息巻いている左翼の方々が、この件については完全にダンマリを決め込んでいるのも、思想的偏向性のせいなのであろう。彼らの主張する「民主主義」とやらが、ただのいいわけに過ぎない良い証拠である。

 

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そもそも普天間問題を混ぜっ返してるのはloopy鳩山だろうに



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